Apple Developer DocumentationをAIエージェントで検索できるapple-doc-mcpを試した

Apple Developer DocumentationをAIエージェントで検索できるapple-doc-mcpを試した

Clock Icon2025.07.17

AIコーディングアシスタントの普及に伴い、さまざまなModel Context Protocol(MCP)サーバーが登場している。Microsoft Learn Docs MCP Serverや、AWS Documentation MCP serverなど、公式ドキュメントを検索できるMCPサーバーが数多く提供されている。

しかし、iOSエンジニアにとって重要なApple Developer Documentationを検索するMCPサーバーは、残念ながら公式には提供されていない。調査をおこなったところ、サードパーティ製ではあるが「apple-doc-mcp」というMCPサーバーを発見した。

apple-doc-mcpは、Apple Developer Documentation に直接アクセスできるMCPサーバーだ。ワイルドカード対応の検索機能、全Appleフレームワークの探索、AIアシスタント向けのクリーンなMarkdown出力などの機能を持つ。

なお、MCPについて詳しく知りたい方は、Microsoft Reactorで公開されているこちらの動画がおすすめだ。日本語でわかりやすく解説されている。

https://www.youtube.com/watch?v=ON58T4Zmr_k

今回は、このapple-doc-mcpを実際に導入し、Claude for DesktopとGitHub Copilot for Xcodeの両方で動作を検証してみた。

検証環境

  • macOS 15.2
  • Claude for Desktop
  • GitHub Copilot for Xcode 0.38.0
  • nodebrew 1.1.0
  • node v22.13.1
  • npm 11.4.2

apple-doc-mcpをインストールする

事前準備

  • apple-doc-mcpはNode.js 18.0.0以上が必要。
    • 今回の検証環境(Node.js v22.13.1)は要件を満たしている。
    • 条件を満たしていない場合には、nodeをアップデートしておくこと

リポジトリのクローン

まず、GitHubからリポジトリをクローンする。

git clone https://github.com/MightyDillah/apple-doc-mcp.git
cd apple-doc-mcp

このリポジトリはプリビルド済みのため、手動によるビルド作業は不要だ。

依存関係のインストール

npm install

動作確認

node dist/index.js

サーバーが正常に起動すれば、インストール完了だ。Ctrl+Cでプロセスを終了しておこう。

MCPサーバーの起動自体は、MCPクライアント(Claude for Desktopなど)でおこなってくれるので、利用時にサーバーを立ち上げっぱなしにしておく必要はない。

Claude for Desktop での設定方法

Claude for Desktopでapple-doc-mcpを使用するには、設定ファイルの編集が必要だ。

20250716201245

[設定を編集]をクリックすると設定ファイルが開かれる。

設定ファイルの場所は、Claude for Desktopのドキュメントによれば、以下のパスに用意されている。

  • macOSの場合:~/Library/Application\ Support/Claude/claude_desktop_config.json
  • Windowsの場合:%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json

設定手順

設定ファイルに以下の内容を追加する。

{
  "mcpServers": {
    "apple-doc-mcp": {
      "command": "node",
      "args": ["/absolute/path/to/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
    }
  }
}

/absolute/path/to/apple-doc-mcp は実際にクローンしたディレクトリの絶対パスに置き換える。私はnodebrewを使ってnodeバージョンを切り替えているため、commandも以下のように書き換えた。

{
  "mcpServers": {
    "apple-doc-mcp": {
      "command": "/Users/ch3cooh/.nodebrew/current/bin/node",
      "args": ["/Users/ch3cooh/works/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
    }
  }
}

Claude for Desktopの再起動

設定を反映するため、Claude for Desktopを再起動する。再度、設定画面を確認して、running になっていれば起動に成功している。

20250716204040

動作確認

再起動後、Claudeとのチャットで以下のように質問してみる。

apple-doc-mcpが利用可能か確認してください

正常に動作していれば、初回実行時に実行許可を求められる。

20250716204130

許可すると、Claudeがapple-doc-mcpの解説をおこなう。

20250716211342

GitHub Copilot for Xcode での設定方法

GitHub Copilot for XcodeでのMCPサポートは現在パブリックプレビューで利用可能だ。

設定手順

Xcodeでの設定は、GitHub Copilot for Xcode App を開き、Agent Mode のツールピッカーから「Edit Config」を選択する。

  1. GitHub Copilot for Xcode アプリを開く
  2. MCPタブを開く
  3. 「Edit Config」を選択

スクリーンショット 2025-07-17 9.39.47

  1. MCP設定を追加する
{
    "servers": {
        "apple-doc-mcp": {
          "command": "/Users/ch3cooh/.nodebrew/current/bin/node",
          "args": ["/Users/ch3cooh/works/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
        }
    }
}

mcp.json を保存すると自動でリロードしてくれる。Available MCP Tools に apple-doc-mcp が追加されていることがわかる。

20250716204627

動作確認

設定後、Agent モードで以下のような質問を試してみる。

apple-doc-mcpが利用可能か確認してください

正常に動作していれば、初回実行時にapple-doc-mcp/list_technologiesの実行許可を求められる。

20250716210523

[Continue]ボタンをクリックすると、Copilot がapple-doc-mcpの解説をおこなう。

20250716210526

apple-doc-mcpの使い方

apple-doc-mcp が提供する4つの機能を紹介する。以下は実際にGitHub Copilot for Xcodeで使用した例だ。

list_technologies

全てのAppleフレームワークとテクノロジーを一覧表示できる。

Search Apple documentation for all available frameworks

実行結果は下図の通り。

20250716205807

get_documentation

特定のシンボルやフレームワークの詳細ドキュメントを取得する。

Use apple-doc-mcp to look up UIViewController documentation

実行結果は下図の通り。

20250716205949

search_symbols

ワイルドカード(*, ?)対応の高度な検索機能が利用できる。

Use apple-doc-mcp to find RPBroadcast* classes in ReplayKit

実行結果は下図の通り。

20250716210043

check_updates

リポジトリの更新を確認する。

apple-doc-mcpの更新をチェックしてください

実行結果は下図の通り。GitHub Copilot for Xcodeだからなのか、gitコマンドの実行に失敗してしまった。

20250716210202

まとめ

apple-doc-mcpは、Apple Developer Documentationへの直接アクセスを可能にする優秀なMCPサーバーだ。実際に使用してみて、その価値と制約の両方を実感できた。

主なメリット

最大の利点は、Apple公式ドキュメントとリアルタイムで同期されているため、常に最新の情報を取得できることだ。各AIモデルの学習データには時間的な制約があるため、最新のAPI仕様(たとえばiOS 18.2で追加されたAPIなど)を確認する際に特に威力を発揮する。特にSwiftUI、UIKit、Foundationなどの主要フレームワークの調査や、API仕様の確認において活躍してくれるだろう。

また、プリビルド済みで導入が簡単な点や、AIアシスタント向けに最適化されたクリーンなMarkdown出力も大きな魅力だ。

注意すべき制約

一方で、いくつかの制約も理解しておく必要がある。サードパーティ製のため公式サポートは期待できず、セキュリティ面についても自己責任での判断が求められる。また、日本語での質問に対して期待通りの回答が得られないケースもあった。

今後も継続的に使用し、新たな発見があれば本記事に追記していく予定だ。

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