
Apple Developer DocumentationをAIエージェントで検索できるapple-doc-mcpを試した
AIコーディングアシスタントの普及に伴い、さまざまなModel Context Protocol(MCP)サーバーが登場している。Microsoft Learn Docs MCP Serverや、AWS Documentation MCP serverなど、公式ドキュメントを検索できるMCPサーバーが数多く提供されている。
しかし、iOSエンジニアにとって重要なApple Developer Documentationを検索するMCPサーバーは、残念ながら公式には提供されていない。調査をおこなったところ、サードパーティ製ではあるが「apple-doc-mcp」というMCPサーバーを発見した。
apple-doc-mcpは、Apple Developer Documentation に直接アクセスできるMCPサーバーだ。ワイルドカード対応の検索機能、全Appleフレームワークの探索、AIアシスタント向けのクリーンなMarkdown出力などの機能を持つ。
なお、MCPについて詳しく知りたい方は、Microsoft Reactorで公開されているこちらの動画がおすすめだ。日本語でわかりやすく解説されている。
今回は、このapple-doc-mcpを実際に導入し、Claude for DesktopとGitHub Copilot for Xcodeの両方で動作を検証してみた。
検証環境
- macOS 15.2
- Claude for Desktop
- GitHub Copilot for Xcode 0.38.0
- nodebrew 1.1.0
- node v22.13.1
- npm 11.4.2
apple-doc-mcpをインストールする
事前準備
- apple-doc-mcpはNode.js 18.0.0以上が必要。
- 今回の検証環境(Node.js v22.13.1)は要件を満たしている。
- 条件を満たしていない場合には、nodeをアップデートしておくこと
リポジトリのクローン
まず、GitHubからリポジトリをクローンする。
git clone https://github.com/MightyDillah/apple-doc-mcp.git
cd apple-doc-mcp
このリポジトリはプリビルド済みのため、手動によるビルド作業は不要だ。
依存関係のインストール
npm install
動作確認
node dist/index.js
サーバーが正常に起動すれば、インストール完了だ。Ctrl+Cでプロセスを終了しておこう。
MCPサーバーの起動自体は、MCPクライアント(Claude for Desktopなど)でおこなってくれるので、利用時にサーバーを立ち上げっぱなしにしておく必要はない。
Claude for Desktop での設定方法
Claude for Desktopでapple-doc-mcpを使用するには、設定ファイルの編集が必要だ。
[設定を編集]をクリックすると設定ファイルが開かれる。
設定ファイルの場所は、Claude for Desktopのドキュメントによれば、以下のパスに用意されている。
- macOSの場合:
~/Library/Application\ Support/Claude/claude_desktop_config.json
- Windowsの場合:
%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
設定手順
設定ファイルに以下の内容を追加する。
{
"mcpServers": {
"apple-doc-mcp": {
"command": "node",
"args": ["/absolute/path/to/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
}
}
}
/absolute/path/to/apple-doc-mcp
は実際にクローンしたディレクトリの絶対パスに置き換える。私はnodebrewを使ってnodeバージョンを切り替えているため、commandも以下のように書き換えた。
{
"mcpServers": {
"apple-doc-mcp": {
"command": "/Users/ch3cooh/.nodebrew/current/bin/node",
"args": ["/Users/ch3cooh/works/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
}
}
}
Claude for Desktopの再起動
設定を反映するため、Claude for Desktopを再起動する。再度、設定画面を確認して、running になっていれば起動に成功している。
動作確認
再起動後、Claudeとのチャットで以下のように質問してみる。
apple-doc-mcpが利用可能か確認してください
正常に動作していれば、初回実行時に実行許可を求められる。
許可すると、Claudeがapple-doc-mcpの解説をおこなう。
GitHub Copilot for Xcode での設定方法
GitHub Copilot for XcodeでのMCPサポートは現在パブリックプレビューで利用可能だ。
設定手順
Xcodeでの設定は、GitHub Copilot for Xcode App を開き、Agent Mode のツールピッカーから「Edit Config」を選択する。
- GitHub Copilot for Xcode アプリを開く
- MCPタブを開く
- 「Edit Config」を選択
- MCP設定を追加する
{
"servers": {
"apple-doc-mcp": {
"command": "/Users/ch3cooh/.nodebrew/current/bin/node",
"args": ["/Users/ch3cooh/works/apple-doc-mcp/dist/index.js"]
}
}
}
mcp.json を保存すると自動でリロードしてくれる。Available MCP Tools に apple-doc-mcp が追加されていることがわかる。
動作確認
設定後、Agent モードで以下のような質問を試してみる。
apple-doc-mcpが利用可能か確認してください
正常に動作していれば、初回実行時にapple-doc-mcp/list_technologies
の実行許可を求められる。
[Continue]ボタンをクリックすると、Copilot がapple-doc-mcpの解説をおこなう。
apple-doc-mcpの使い方
apple-doc-mcp が提供する4つの機能を紹介する。以下は実際にGitHub Copilot for Xcodeで使用した例だ。
list_technologies
全てのAppleフレームワークとテクノロジーを一覧表示できる。
Search Apple documentation for all available frameworks
実行結果は下図の通り。
get_documentation
特定のシンボルやフレームワークの詳細ドキュメントを取得する。
Use apple-doc-mcp to look up UIViewController documentation
実行結果は下図の通り。
search_symbols
ワイルドカード(*, ?)対応の高度な検索機能が利用できる。
Use apple-doc-mcp to find RPBroadcast* classes in ReplayKit
実行結果は下図の通り。
check_updates
リポジトリの更新を確認する。
apple-doc-mcpの更新をチェックしてください
実行結果は下図の通り。GitHub Copilot for Xcodeだからなのか、gitコマンドの実行に失敗してしまった。
まとめ
apple-doc-mcpは、Apple Developer Documentationへの直接アクセスを可能にする優秀なMCPサーバーだ。実際に使用してみて、その価値と制約の両方を実感できた。
主なメリット
最大の利点は、Apple公式ドキュメントとリアルタイムで同期されているため、常に最新の情報を取得できることだ。各AIモデルの学習データには時間的な制約があるため、最新のAPI仕様(たとえばiOS 18.2で追加されたAPIなど)を確認する際に特に威力を発揮する。特にSwiftUI、UIKit、Foundationなどの主要フレームワークの調査や、API仕様の確認において活躍してくれるだろう。
また、プリビルド済みで導入が簡単な点や、AIアシスタント向けに最適化されたクリーンなMarkdown出力も大きな魅力だ。
注意すべき制約
一方で、いくつかの制約も理解しておく必要がある。サードパーティ製のため公式サポートは期待できず、セキュリティ面についても自己責任での判断が求められる。また、日本語での質問に対して期待通りの回答が得られないケースもあった。
今後も継続的に使用し、新たな発見があれば本記事に追記していく予定だ。