[Startup Day 2023] [セッションレポート]「技術的負債を抱えながらそれでも生きていく」を聞いてきました

2023.09.03

こんにちは、CX事業本部 Delivery部の若槻です。

2023/09/01 に AWS Startup Loft Tokyo で開催された「Startup Day 2023」に参加してきました。

今回は、「技術的負債を抱えながらそれでも生きていく」のセッションレポートです。

技術的負債を抱えながらそれでも生きていく

スピーカー

新田 智啓(株式会社カケハシ)

セッション概要

セッション概要:技術的負債 x スタートアップ について経験から感じたことを踏まえて話します。 システムを開発する上で技術的負債の取り扱いは難しいですが、事業立ち上げの中での取り扱いは更に難しく感じます。スタートアップの文脈の中での技術的負債は、通常の開発よりも違った傾向を理解する必要があるのではないでしょうか。システムを立ち上げることと事業を立ち上げることの違い。金銭的や人的な余裕の違い。ほかにも様々な違いがありそう。 これらの違いを考察しながら、スタートアップという特殊環境で生まれる技術的負債の原因を考えてみます。

発表スライド

セッション風景

YouTube 配信

所感

セッション内容は多くのスライドで非常に丁寧に説明するものであったため、特に印象に残った点をピックアップしていきます。

まず新田さんは、他の種別の企業(スモールビジネスなど)と比べ、スタートアップの特徴として次のようなものがあると述べていました。

  • ヒト、モノ、カネが不足している
  • 事業の変化が大きい
  • スピードも早い

スタートアップでは各種リソースが不足しているのはもちろんのこと、事業が「大きく変わること」が前提のため不確実性が高く、それに伴いシステムの「技術的負債が生まれやすい環境にある」とのことです。これは例えば時間の無い中で以前のモジュールやスキーマをインターフェースの調整だけして新しい事業でも再利用し、システムが継ぎ接ぎのようになっていくイメージでしょうか。

さらにスタートアップには次のような「事業フェーズ」があるのも特徴だとのことです。

スタートアップは基本的に変化が起こりやすいが、この事業フェーズが変わった時にはシステムに対する理想状態が特に大きく変わり、「技術的負債であると感じるもの」が増大する。これは「技術的負債が顕在化する」とも言い換えられます。

つまり継ぎ接ぎのシステムが出来て来ようが初期のフェーズのスピード感の中では技術的負債とは扱われず、フェーズが進む中で顕在化してくるものだそうです。

ではこの技術的負債とどう向き合うべきか?という問題に対して、新田さんは、

  • 技術的負債が「顕在化した時点で」向き合って対応すべき
  • 技術的負債の解決は未来に得る複利と捉え、短期的コストを減らすために長期的効果を犠牲にするのはもったいない
  • フェーズに合わせた負債解消の文化を入れるべき

としています。ここはやはりスタートアップと言えど避けては通れないということですね。

しかし、技術的負債が顕在化したことをただネガティブな失敗であるとはみなさずに、「事業が成長したからこそ次の課題にぶつかっているという証」と捉えることが大事だとも述べていました。

この言葉はすごくスタートアップらしいなあと思いました。会社や事業が成長するのであればどんな困難もいとわず、むしろ楽しんでやろうというアントレプレナーシップ(起業家精神)を持っているからこそ出てくるのではないでしょうか。あやかりたいものです。

以上