[アップデート]AWS BackupでEC2のリストア時にEBSのカスタムボリューム設定が可能になりました

[アップデート]AWS BackupでEC2のリストア時にEBSのカスタムボリューム設定が可能になりました

Clock Icon2025.05.30

お久しぶりです。みなみです。
AWS Backupで、EC2リストア時にカスタムボリューム設定ができるようになったというアップデートがありました。これにより、AWS Backupからのリストア時にボリュームタイプやサイズを柔軟に変更できるようになります。
実際に試してみたので紹介します。

アップデート内容

今回のアップデートで、AWS BackupからEC2をリストアする際にEBSの設定変更を行うことが出来るようになりました。
具体的には以下のような設定が可能になっています:

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/05/aws-backup-ec2-restores-custom-volume-configuration/

  • ボリュームタイプの変更: gp2からgp3、io1からio2への変更が可能
  • ボリュームサイズの拡張: 元のサイズより大きなボリュームでリストア
  • IOPS・スループットの調整: パフォーマンス要件に応じた最適化
  • 暗号化設定の変更: 非暗号化バックアップを暗号化してリストア
  • KMSキーの指定: クロスアカウント・クロスリージョンリストア対応

アップデート以前はどうだった?

AWS Backupでは、リストア時のボリューム設定において以下のような制限がありました

  • 固定設定でのリストア:バックアップ時点のボリューム設定がそのまま適用
  • 手動での再設定が必要:リストア後に手動でボリュームタイプやサイズを変更

そのためリストア時にEBSの設定変更が必要な場合は、AWS Backupのリストア機能ではなく、AMIからのインスタンスを起動するケースがほとんどでした。

試してみる

マネジメントコンソールからの復元

復旧ポイントから復元を行ってみましょう。
新たにストレージ(ボリューム)の設定が追加されていることが確認出来ますね。

AWS Backup リストアスクショ

AWS CLIからの復元

今回のアップデートによってstart-restore-jobコマンドのmetadataオプションのプロパティとしてBlockDeviceMappingsが指定出来るようになりました。

そのため、以下のようにリストアが可能となります。

aws backup start-restore-job \
    --recovery-point-arn "arn:aws:backup:ap-northeast-1:123456789012:recovery-point:xxxxx" \
    --metadata '{
        "InstanceType": "t3.medium",
        "KeyName": "my-key",
        "SubnetId": "subnet-12345678",
        "SecurityGroupIds": ["sg-12345678"],
        "CpuOptions": {
            "CoreCount": 1,
            "ThreadsPerCore": 2
        },
        "Monitoring": {
            "Enabled": true
        },
        "BlockDeviceMappings": [
            {
                "DeviceName": "/dev/xvda",
                "Ebs": {
                    "VolumeType": "gp3",
                    "VolumeSize": 100,
                    "Iops": 3000,
                    "Throughput": 125,
                    "Encrypted": true,
                    "KmsKeyId": "arn:aws:kms:ap-northeast-1:123456789012:key/xxxxx",
                    "DeleteOnTermination": true
                }
            }
        ]
    }' \
    --iam-role-arn "arn:aws:iam::123456789012:role/service-role/AWSBackupDefaultServiceRole" \
    --resource-type "EC2"

AWS Backupのリストア機能とAMIからの起動の比較

今回のアップデートで、AWS BackupのEC2のリストア時に設定できる項目が増えたものの、一部の機能はまだ対応しておりません。

AWS BackupでのリストアとAMIから起動の機能を比較した表が以下となります。
AWS Backupのリストアでも、CLIのみ対応している機能なども確認出来ますね。

設定カテゴリ 設定項目 AWS Backup復元
(マネコン)
AWS Backup復元
(CLI)
AMI起動
(マネコン・CLI)
差異の詳細・備考
基本設定 インスタンスタイプ 同等の機能(InstanceType)
キーペア AWS Backupは元のキーペアを自動使用、変更不可
インスタンス数 AWS Backupは常に1インスタンス
名前とタグ 🔶 🔶 AWS Backupは保護されたリソースからのタグのコピーのみ
認証・セキュリティ IAMインスタンスプロファイル 🔶 マネコンは「IAMロールなし」「元のIAMロールで復元」のみ選択可能、CLIでは任意のIamInstanceProfileNameを設定可能
ドメイン結合 Active Directoryへの参加設定
メタデータ(IMDS)設定 CLIではRequireIMDSv2で設定可能
ネットワーク VPC・サブネット 同等の機能(SubnetId)
セキュリティグループ 同等の機能(SecurityGroupIds)
パブリックIP自動割り当て CLIではNetworkInterfaces内で設定可能
複数ENI設定 CLIではNetworkInterfaces配列で対応
ENI詳細設定 NetworkInterfacesで詳細設定可能
ENA Express CLIではEnaSupportで設定可能
ENA queues ネットワークキューの設定
アイドル接続追跡タイムアウト Nitroインスタンス向け機能
ストレージ EBSボリューム設定 CLIではBlockDeviceMappingsで設定可能
ボリューム初期化レート 高速ボリューム初期化(100-300 MiB/秒)
EBS最適化 CLIではEbsOptimizedで設定可能
ファイルシステム設定 EFS等のファイルシステムマウント
インスタンス設定 CPUオプション CLIではCpuOptionsで設定可能
終了保護 CLIではDisableApiTerminationで設定可能
停止保護 誤った停止操作の防止
休止機能 同等の機能(HibernationOptions)
シャットダウン動作 同等の機能(InstanceInitiatedShutdownBehavior)
T2/T3無制限 同等の機能(CreditSpecification)
ホスト名設定 ホスト名タイプ、DNS設定
運用・モニタリング CloudWatch詳細モニタリング CLIではMonitoringで設定可能
自動復旧 インスタンス自動復旧機能
プレイスメントグループ 同等の機能(Placement)
テナンシー 同等の機能(Placement内のTenancy指定)
購入・ライセンス 購入オプション CLIではInstanceMarketOptionsで設定可能
ライセンス設定 CLIではLicenseSpecificationsで設定可能
キャパシティ予約 CLIではCapacityReservationSpecificationで設定可能
高度な機能 Nitro Enclave 機密コンピューティング
Elastic GPU CLIではElasticGpuSpecificationで設定可能
Elastic Inference 機械学習推論アクセラレータ
インスタンス帯域幅設定 ネットワーク帯域幅制御
RAM ディスク ID CLIではRamdiskIdで設定可能
カーネル ID CLIではKernelIdで設定可能
ユーザーデータ 同等の機能(UserData)
アーキテクチャ CLIではArchitectureで設定可能
仮想化タイプ CLIではVirtualizationTypeで設定可能
プラットフォーム CLIではPlatformで設定可能
ルートデバイスタイプ CLIではRootDeviceTypeで設定可能

凡例:

  • ✅:完全対応
  • 🔶:制限的対応
  • ❌:対応なし

使い分け

このようにあえて機能が絞られているのは、AWSの意図のようです。

例えばIAMロールについては保護対象リソースが元々使用していたのと同じインスタンスプロファイルを使用するか、インスタンスプロファイルを使用せずに起動するかを選択出来ます。
これはリストア時に誤った操作によって権限昇格が行われることを防ぐためとあります。

When configuring the restored instance, you can choose between using the same instance profile that the protected resource used originally or launching without an instance profile. This is to prevent the possibility of privilege escalations. You can update the instance profile for the restored instance using the Amazon EC2 console.

参考: https://docs.aws.amazon.com/aws-backup/latest/devguide/restoring-ec2.html#restoring-ec2-cli

AWS Backupのリストア機能はあくまでもリストアに特化しており、あえてシンプルにしていることが分かりますね。

最後に

今回のアップデートによってAWS BackupからEC2をリストアする際にEBSの設定変更を行うことが出来るようになり、リストア時の柔軟性が向上しました。

現状はAWS BackupからのリストアとAMIからの復元を比較すると機能が絞られています。
しかし設定出来る項目が敢えて絞られており、リストアに特化しているという点ではメリットかと思います。
そのため、運用によって使い分けを行うことが重要ですね!

本記事が皆様のバックアップ運用の改善にお役立ていただければ幸いです。
最新のアップデート情報もあわせてチェックしていただき、より効率的なAWS運用を実現していきましょう!

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.