
【SAA・DVA 合格】 ゲーム業界向けアーキテクトを志向した AWS 認定取得の記録
こんにちは。ゲームソリューション部に所属するエンジニアの越井です。
本記事では、AWS 認定資格のうち SAA-C03 (AWS Certified Solutions Architect – Associate) および DVA-C02 (AWS Certified Developer – Associate) に合格した際の学習内容や、試験を通じて得られた技術的示唆について記録します。
背景と目的
ゲーム業界における技術支援業務を担う上で、スケーラビリティを意識した構成設計、CI/CD パイプラインの最適化、セキュリティ要件の明確化など、クラウドインフラに関する体系的な知識の必要性を強く感じていました。
従来はクライアントサイドの実装業務に従事してきましたが、より上流の設計やバックエンド領域への支援体制を確立するため、まずは AWS 認定資格を通じて基礎から実践的な設計観点を学ぶことにしました。
今回取得した資格は以下の2つです。
- システム全体設計の基盤を広くカバーする SAA
- サーバーレス開発および CI/CD に特化した DVA
試験の構成と所感
SAA-C03
- 出題領域: VPC、EC2、Storage、Auto Scaling、RDS、IAM など
- 所感: サービスカバレッジが広く、出題傾向も分散しているため、一定以上の網羅性と読解力が求められる印象です。
特にゲーム業界との接点としては、以下のような分野の理解が有効でした。
- ALB / NLB の特性比較と適切な適用シナリオの判断
- ElastiCache (Redis / Memcached) のユースケース設計
- 高可用性を前提とした設計パターンと障害対策の考慮
DVA-C02
- 出題領域: Lambda、API Gateway、DynamoDB、X-Ray、CodePipeline 等
- 所感: サービス単体の知識だけでなく、開発フロー全体の理解と設計整合性が求められる試験構成でした。
中でも印象に残ったのは、Lambda の非同期実行 (Event モード) に関する出題です。これまで SQS に依存していた非同期処理構成に対し、よりシンプルかつ低コストな代替案として応用可能であることを学び、後日ブログにも展開しました。 (参考: [Twilio+Slack] Slack コマンドでの Twilio API コール: Lambda の Event モードによる非同期処理)
学習方法と時間配分
- SAA: 18日間 / 約50時間
- DVA: 18日間 / 約50時間
各試験に対して、おおよそ 2~3 週間程度の学習期間を確保しました。主に教材の通読、模擬試験の反復、間違えた箇所の整理と再確認を繰り返す形式で進めています。
主に使用した教材
SAA-C03
- 徹底攻略 AWS 認定 SAA 教科書 第3版
- AWS 認定資格 WEB問題集&徹底解説
- Udemy 模擬試験コース
DVA-C02
- 徹底攻略 AWS 認定 DVA 教科書&問題集 第2版
- Udemy ビデオ講座および模擬試験コース
試験で直面した課題と学び
解答に迷った領域
- AWS Organizations に関する出題は、教材でのカバー率が低く、本番で不安が残りました。
- セキュリティグループとネットワーク ACL の適用タイミングや動作特性の違い、S3 ストレージクラスのスペック比較といった基礎事項について、事前に暗記して臨んだものの、試験本番ではやや不安を感じる場面がありました。記憶の曖昧さというよりも、「本当にこの設問はその知識だけで答えていいのか?」と問い直してしまうような設問構成に揺さぶられた印象です。
また、試験を進める中で、ある設問の内容が、以前に自分が選択した回答と矛盾していることに気づく場面がありました。AWS 認定試験では見直し機能が提供されているため、対象の設問に戻って内容を修正し、全体として論理的な一貫性が保たれるようにしました。結果としてその修正が正解だったかどうかは分かりませんが、設計者である以上、出した答えの整合性に責任を持ちたいと考えました。
実務への応用が期待できる知見
学習中、いくつかのテーマについては、業務上の構成提案や技術選定に直結すると実感できるものがありました。
たとえば、ElastiCache における Redis / Memcached の比較は、ゲームのセッション管理やリアルタイム通信の最適化を考えるうえで重要な判断材料になります。インフラ系サービスの選定において「なぜこの構成が適しているか」を論理的に説明できるようになることは、構成レビューやアーキテクチャ提案において確実な武器になると感じました。
また、 Lambda の Event モードを利用したブログ記事については、試験を通じたSQS が要らない構成という発想が血肉になったと感じます。この感触こそが認定学習の意味であり、自分が試験を受ける理由でもあります。
試験順序について
私は SAA → CLF → DVA の順に受験しました。
当初は CLF (Cloud Practitioner) から始めるつもりでしたが、社内の先輩エンジニアから「SAA を先に取得した方が全体像を把握しやすく、後の試験もスムーズに進む」と助言を受け、SAA から着手しました。結果的にこの順序が功を奏し、DVA の学習ではサーバーレス関連の理解が一段と進みやすくなりました。
CLF については、SAA の内容を網羅した上で受験すれば、特段の追加学習なしでも問題なく合格できるレベルと感じました。
今後の展望
現在、AWS 認定全12冠(All Cert)の取得に向けて、計画的に学習を進めています。
次は AIF (AI Practitioner) への挑戦を予定しており、その後は SAP (Solutions Architect – Professional) を視野に入れています。認定取得そのものを目的とするのではなく、習得した知識を構成設計や技術提案へ適切に還元し、実務で価値を発揮することを最終的な目標としています。
おわりに
今回の認定取得は、単なる資格取得にとどまらず、クラウドインフラに対する設計視点の獲得、および今後の技術提案に向けた基盤形成という点で、大きな意味を持つものとなりました。
今後も引き続き、検証・実践・発信を積み重ねながら、ゲーム業界における信頼性の高い技術支援を提供できるアーキテクトを目指して研鑽を続けていきます。