[UPDATE] AWS Elemental Linkでデバイスからネットワーク診断ができるようになりました!

Linkデバイスにネットワーク診断機能が追加されました!デバイスのIPアドレスにHTTPSで接続して利用します。ゲートウェイとの通信やDNS解決、またAWSへ必要なプロトコルでの接続ができているかなどをGUIで確認することが可能です。
2022.09.16

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

はじめに

清水です。本エントリでお届けするアップデート情報はこちら!AWS Elemental MediaLive用のセットアップ済みライブエンコーダデバイスとして動作するAWS Elemental Linkで、Linkデバイスからネットワーク診断ができるようになりました。こちらのアップデートは本日2022/09/16時点でAWS What's Newには記載がありませんが、AWS Elemental MediaLive User GuideDocument historyから確認することができます。(2022/09/08付で更新されたようです。)

Document history for user guide - AWS Elemental MediaLive

User Guideでも「AWS Elemental Link network diagnostics」の項目が追加されており、ネットワーク診断の概要、使用方法などがまとめられています。

本エントリではこのAWS Elemental Linkのネットワーク診断機能について、インターフェイスとなるデバイス側のon-boardユーザインターフェイス機能を振り返りつつ必要なソフトウェアアップデートを実施し、実際に利用可能になったネットワーク診断機能について試してみたのでまとめてみたいと思います。

従来のon-boardユーザインターフェイス機能の振り返り

Linkデバイスのネットワーク診断機能はon-boardユーザインターフェイス、つまりLinkデバイスのIPアドレスにHTTPSでアクセスして表示されるGUI画面で利用します。このon-boardユーザインターフェイス画面、これまではどのようなものだったか、まずは確認しておきましょう。

検証対象となるLinkデバイスは2022年7月末からソフトウェアアップデートをしていない状態でした。マネジメントコンソールからは「Software not up to date」が確認できる状態です。

Linkデバイスの電源をonしてネットワークに接続してしまうとソフトウェアアップデートが自動的に適用されてしまう可能性があるため、Linkデバイスならびにon-boardインターフェイスに接続するPCがインターネットに接続されていない状況として(具体的にはルータからWANポートのケーブルを外して)、LinkデバイスにHTTPSでアクセスします。(なお HTTPでは接続できない点に注意しましょう。HTTPSである必要があります。)

Webブラウザで https://[LinkデバイスのIPアドレス]にアクセスします。今回はGoogle Chromeの最新版を使用しました。ブラウザの設定によって、プライバシーエラーが表示されます。今回はChromeでこの状態のままthisisunsafeとタイプしてプライバシーエラーを無視して進めました。(参考: Chromeで、NET::ERR_CERT_INVALID が出たときの対処方法 | DevelopersIO

プライバシーエラーを回避できると、ログインのためのユーザ名とパスワードを聞かれます。デフォルトの設定がLinkデバイスの裏面に印字されているものですね。このon-boardユーザインターフェイス画面で変更済みの場合は変更したものを入力します。

ログイン後は以下のようにStatus画面が表示されます。左上のハンバーガーボタンをクリックするとNavigate項目が表示されますが、設定・確認できるのはこのStatus画面やIPアドレスなどネットワーク設定を行うNetwork Configuration画面、ログインユーザ情報を変更するChange Password画面、といったぐあいでした。

ソフトウェアアップデートの実施

これまでのLinkデバイスのon-boardユーザーインターフェイス画面について確認しました。本題のネットワーク診断画面は最新のソフトウェアアップデートが適用された状態で利用できるようです。まずはLinkデバイスのソフトウェアアップデートの適用状態を確認し、未適用な場合は適用させます。

今回検証に用いたLinkデバイスは、先ほどの示した画面の通り「Software not up to date」が確認できる状態でした。ここから[Start maintenace]ボタンでソフトウェアアップデートを実行しました。

画面の表示は「Software is updating」に変わります。

しばらくすると「Software up to date」の表示になりました。

(今回はしばらく電源を入れていなかった検証用のLinkデバイスのためソフトウェアアップデート実施の必要がありましたが、普段から稼働しており適宜ソフトウェアアップデートが実施されているような環境下では、「Software up to date」となっているはずです。)

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題のLinkデバイスのネットワーク診断機能について確認してみましょう。LinkデバイスのIPアドレスにHTTPSでブラウザから接続します。https://[LinkデバイスのIPアドレス]へのアクセスですね。先ほどと同様、例えばChromeのプライバシーエラーのようなものが表示された場合は無視して先に進みます

on-boardユーザインターフェイスが表示されたら、左上のハンバーガーボタンからNavigateメニューを確認してみましょう。Network Diagnosticsの項目が追加されていますね! ページを開いてみると以下のように、Network diagnostic testsの項目と、Network pingの項目が表示されています。

ネットワーク診断のテストはデバイスの起動時に自動的に実行されています。Test Id test-001がそれですね。test-001の文字列をクリックするとテストの詳細が確認できます。Stream ConnectivityについてはMediaLive ChannelがStartしている状態であるなどの実施条件があるため今回は実施されていませんが、その他のテスト項目はPASSしていることが確認できます。

ネットワーク診断テストは手動でも実行できます。Network diagnostic testsの項目の[Run diagnostic test]ボタンを押下します。確認のダイアログのあとテストが実施され、結果が表示されます。

Stream Connectivityのテストについても確認してみましょう。LinkデバイスをInputに持つMediaLive ChannelをStartさせた状態にします。

再度、手動でテストを実行しました。Stream ConnectivityについてもPASSしていますね。

ここまではネットワーク診断が成功する、正常ケースを確認してきました。イレギュラーケースについても確認してみましょう。Linkデバイスならびにon-boardユーザインターフェイスに接続しているPCのネットワークをインターネットに接続できない状態にし(先程と同様、ルータからWANポートのケーブルを外して確認しました)、手動でテストを実行してみます。結果は以下のように、DNS Resolutionについてはテストが実施されず、そしてAWS Connectivity、Time Server Connectivity、Stream Connectivityの3項目でTest failedとなりました。

Network pingの項目についても確認しておきましょう。こちらはその名の通り、Linkデバイスからpingが実行できます。実行結果は[Ping]ボタン下部のグレーのエリアに表示されますが、pingの実行は1回のみである点に留意しておきましょう。(コマンドラインツールのような出力ですが、4回の実行だったり、途中でCtrl+Cする必要はありません。)

まとめ

AWS Elemental Linkに追加されたネットワーク診断機能について確認してみました。デバイスには電源と映像信号、そしてLANケーブルを挿すだけであとはAWS側で操作するシンプルさがAWS Elemental Linkの特徴ですが、AWS側に接続できない場合はLinkデバイス側のネットワークについて確認・調査する必要があります。これまではon-boardユーザインターフェイス上でネットワークの各種設定状態の確認や設定変更ができるだけでしたが、今回追加されたネットワーク診断機能を使うことでより容易にトラブルシュートができるようになりました。Linkデバイスを設置する現場側で、作業完了の確認としてテスト結果をチェックするのもよさそうですね。

なお、on-boardユーザインターフェイスにアクセスする際、LinkデバイスのIPアドレスへHTTPではなくHTTPSでアクセスする必要がある点、またWebブラウザによっては証明書エラーを無視する設定が必要である点を留意しておきましょう。