[UPDATE] AWS Elemental MediaTailorでAd insertionの料金体系に変更がありました [AWS値下げ]
はじめに
清水です。AWSのリニアチャネルアセンブリとパーソナライズされた広告挿入サービスであるAWS Elemental MediaTailorのAd insertion(広告挿入)機能の料金体系が変更されるアップデートがありました。2025/04/04付けでWhat's New at AWSにポストされています。
MediaTailorの広告挿入料金の値下げです!上記What's New at AWSのポストのタイトルではVOD配信向けが強調されていますが、ライブ配信でも条件によっては従来よりも安価な料金での使用が可能となっています。
本エントリでは、このMediaTailor Ad insertionの新たな料金モデルについて確認してみたのでまとめてみたいと思います。ライブストリーミングへの広告挿入では最大で従来の33%オフの料金で、VODストリーミングへの広告挿入では最大で従来のなんと66%オフの料金での利用が可能となっています!
MediaTailor Ad insertionの料金が値下げされた🎉
従来のMediaTailor Ad insertionの料金モデルを確認
値下げされたMediaTailor Ad insertionの料金モデルを確認する前に、まずは従来のMediaTailor Ad insertionの料金モデルを確認しておきましょう。
この従来の料金モデルについても、What's New at AWSのポスト内に記載されています。(後述しますがMediaTailorの料金ページはすでに新たな料金体系モデルに更新済み、かつWayback Machineなどで過去の料金ページを参照しても、きちんと表示されません。What's New at AWSのポストの新旧料金を併記するこの対応はとても助かりました。)
従来の料金モデルでは、月あたり最初の500万回までは広告挿入1,000回あたり$0.75 、 月あたり500万回を超える広告挿入は1,000回あたり$0.50 となっていました。また、ライブストリーミングへの広告挿入かVODストリーミングへの広告挿入なのかにかかわらず、同一の料金体系でした。
以下は実際にAWSマネジメントコンソールで確認した、2025年3月以前のとある月のMediaTailorの使用料金です。
さて、これがどのような料金体系になったのでしょうか。
値下げされたMediaTailorの新たな料金モデルを確認
MediaTailor Ad insertionの新しい料金モデルでは、まずライブストリーミングへの広告挿入なのかVODストリーミングへの広告挿入なのかで料金がわかれます。また、これまでの月間500万回以上の広告挿入でボリュームディスカウントが適用されるといった段階的な料金モデルがなくなり、単一の料金モデルとなっています。
実際の料金については、 ライブストリーミングへの広告挿入では1,000回あたり$0.50 、 VODストリーミングへの広告挿入では1,000回あたり$0.25 となっています。
なお、こちらの料金はすでにMediaTailor Pricingページへ反映されています。(What's New at AWSのポストの時点(2025/04/04)で新しい料金が即時有効となるとのことです。)
引用元: MediaTailor Pricing
ただし、日本語の料金ページ(料金 - AWS Elemental MediaTailor | AWS)では反映が間に合っていないようで、本ブログエントリ執筆の段階では広告挿入料金が表示できない(リージョンも選択できない)状態となっています。注意しましょう。
新旧料金モデルを比較して割引率を確認
MediaTailor Ad insertionの新しい料金体系が確認できたところで、これまでの料金モデルとの比較をしてみましょう。どのぐらい安くなっているでしょうか!?
ライブストリーミングへの広告挿入料金
まずはライブストリーミングへの広告挿入の料金です。従来の料金体系で500万回を超える広告挿入の料金(1,000回あたり$0.50)が、新しい料金体系ではそのまま500万回以下にも適用されたかたちになりますね。
ライブストリーミングへ500万回ちょうどの広告挿入を行った場合を考えてみます。旧料金体系では($0.75/1,000) * 5,000,000 = $3,750
でした。これが新料金体系では、($0.50/1,000) * 5,000,000 = $2,500
となります。33%オフの料金となっていますね。
ライブストリーミングへ1,000万回の広告挿入を行った場合も確認してみましょう。旧料金体系では(($0.75/1,000) * 5,000,000) + (($0.50/1,000) * 5,000,000) = $6,250
でしたが、新料金体系では($0.50/1,000) * 10,000,000 = $5,000
となり、20%オフの料金となります。
500万回以上の料金の割引率は実際の広告挿入の回数によることになりますが、500万回以下を考慮すると新料金体系では 従来よりも最大で33%オフ の料金で使用できることとなります。
VODストリーミングへの広告挿入料金
続いてVODストリーミングへの広告挿入の料金を比較してみます。従来はVODストリーミングへの広告挿入の料金体系というものはなく、ライブストリーミングへの広告挿入の料金と同額でした。新たな料金体系ではVODストリーミングへの料金体系はライブストリーミングへの広告挿入の料金の半額と、より安価に設定されています。
VODストリーミングへ500万回ちょうどの広告挿入を行った場合を考えてみます。旧料金体系ではライブストリーミングへの広告挿入と同額で、($0.75/1,000) * 5,000,000 = $3,750
でした。これが新料金体系では、($0.25/1,000) * 5,000,000 = $1,250
となります。66%の値下げで、これまでの1/3の料金です!すごい。
VODストリーミングへ1,000万回の広告挿入を行った場合も確認してみます。ライブストリーミングへ1,000万回の広告挿入を行った場合も確認してみましょう。旧料金体系ではライブストリーミングへの広告挿入料金と同額で(($0.75/1,000) * 5,000,000) + (($0.50/1,000) * 5,000,000) = $6,250
でした。新料金体系では($0.25/1,000) * 10,000,000 = $2,500
でちょうど60%オフの料金です。
ライブストリーミングへの広告挿入料金と同様、500万回以上の料金の割引率は実際の広告挿入の回数によることになりますが、500万回以下を考慮するとVODストリーミングへの広告挿入料金では 従来よりも最大で66%オフ の料金で利用できることとなります。
まとめ
MediaTailor Ad insertionの値下げについてお届けしました。最大の割引率で計算すると、特にVODストリーミングへの広告挿入では従来の1/3の値段で利用可能になっています。ライブストリーミングへの広告挿入でも従来の2/3の値段です。
スマートフォンやタブレット、PCなど動画視聴環境のハイスペック化やネットワークの高速化などもあり、従来よりもより高い品質の動画配信が求められる昨今、それにともないデータ転送量をはじめ、動画配信に関するコストも上がっているかと思います。そんな中、広告挿入はより重要度を増しています。動画への広告挿入のためのサービスであるMediaTailorのこのタイミングでの値下げは嬉しいですよね。これを機会にMediaTailorの利用を検討してみるというのもありなのではないでしょうか。