[レポート] クラウドソリューションアーキテクトになるためのステップとは? #AWSreInvent #ARC211

re:Invent 2023で行われたBreakOutセッション What is the path to becoming a cloud solutions architect?(ARC211)のセッションレポートをお届けします。
2023.12.27

はじめに

ネクストモードの南です。

re:Invent 2023で行われたBreakOutセッションWhat is the path to becoming a cloud solutions architect?(ARC211)のセッションレポートをお届けします。

セッション概要

In this breakout session, learn the essential skills required to become a cloud solutions architect. The role is challenging and rewarding and comes with a bright career path. Explore the path to becoming an solutions architect, the technical skills needed to be proficient at the role, how to embrace ambiguity, and the nuanced people skills needed to flourish as you solve real business problems with technical acumen. Come learn how to thrive as a solutions architect, how to multiply your abilities, and how to create beautiful designs that solve problems for your customers and teams.

このセッションでは、クラウドソリューションアーキテクトになるために必要不可欠なスキルを学びます。クラウドソリューションアーキテクトは、チャレンジングでやりがいのある仕事であり、輝かしいキャリアパスが待っています。ソリューションアーキテクトになるための道筋、その役割に熟達するために必要な技術的スキル、不確かさを受け入れる方法、そして技術的な洞察力をもって実際のビジネス上の問題を解決しながら活躍するために必要な人間的スキルについて探求します。ソリューションアーキテクトとして成功する方法、能力を倍増させる方法、顧客やチームの問題を解決する美しいデザインを生み出す方法を学びましょう。

セッション動画

セッション動画はYoutubeで公開されてます。

見どころ

セッションのタイトルからは技術面の能力開発にウエイトを置いた内容かと思っていましたが、組織内における役割や求められるビジネススキル・ソフトスキルなど、色んな角度から解説された内容となっています。エンジニアとしての視点だけでなく、ビジネスパーソンとしても参考になる内容だと思いますので、興味のある方はぜひセッション動画もご覧ください。

レポート内容

セッションのアジェンダは以下のようになっています。
最初にソリューションアーキテクトとは何なのかについて触れ、ソリューションアーキテクトが何をするのか、どのようなパスがあるのか、必要なスキルについても解説し、最後に有用な学習ツールなどを紹介する、という流れになっています。

はじめに、ソリューションアーキテクトについての解説があります。

  • ソリューションアーキテクトとは、ビジネス上の問題を解決するために技術的なアーキテクチャを設計し、リードする人のこと
  • 問題はビジネスによって定義され、テクノロジーによって解決される。この2つを組み合わせるのがソリューションアーキテクトの仕事

続いて、ソリューションアーキテクトが実際にどんなことをするのか、なぜ組織に必要なのかについて解説されます。

  • アプリケーションのビルドとデプロイを高速化するアーキテクチャを考案する
  • 品質を向上させるために、新しいアプローチを試し、価値に還元していく
  • ビジネスチームやテクノロジーチームが適切に情報を受け取り、実行できるようにする
  • AWS well architectedフレームワークなどを中心にベストプラクティスを学び、展開する

コミュニケーションの面からの役割についても触れられます。

  • ソリューションアーキテクトはエンジニアと経営陣の間を円滑に繋げる役割を果たす
  • ビジネスの必要性を理解し、それを技術的なアーキテクチャに変換することが求められる
  • 各エンジニアのそれぞれの関心事を理解し、対応する方法を提案する一方で、技術的な決定や課題をビジネス上のリスク等に変換して経営陣に伝える

ソリューションアーキテクトの組織内での配置のされ方について、代表的な2つのケースが紹介されます。
一つは左側の図のように、ソリューションアーキテクトが複数のプロジェクトに横断的に携わるケースです。こちらでは、メリットとして効率的な進め方と一貫したアーキテクチャーを得ることができます。しかし、プロジェクトが増えるとプロジェクト間のスイッチングでオーバーヘッドが生じることとなり、スケールしにくい、というデメリットも持ちます。
二つ目は右側の図のように、ソリューションアーキテクトがデリバリーチームに直接組み込まれるケースです。チーム内での意思決定を迅速に下すことができ、デプロイの高速化に寄与することになります。しかし、他のチームとのアーキテクチャの一貫性や共有といった面では難があり、ドキュメンテーションやチーム間調整などの対応が必要になります。

続いて、上記のようなチームにおける、ソリューションアーキテクチャの仕事について解説されます。
まず、ソリューションアーキテクトはビジネス上の問題やシステムに何が望まれているかを正確に把握し、ゴールや技術的な方向性を関係者間で共有することが求められます。
実装のフェーズでは、必要に応じて新しい技術能力の開発やPoCを実施し、最終的には自組織が持っている能力や技術レベルに合わせてシステムアーキテクチャをデザインしていきます。
リリース後もシステムがビジネス上の価値を提供していることを確認するために、KPIとメトリクスを設定し、継続的に測定をすることが重要です。測定結果を元に成功したかどうかを確認し、必要に応じて改善を続けることが求められます。

また、ソリューションアーキテクトのパスとして、代表的な4つのケースが紹介されます。

  • Investor(発明家)タイプのソリューションアーキテクト
    • スタートアップやインキュベーター、あるいは大学の研究室でキャリアをスタートするタイプ
    • 新しいものや、まだ存在しないものを創造することに好奇心を強く持つ
  • Entrepreneur(起業家)タイプのソリューションアーキテクト
    • ビジネスの専門家としてキャリアをスタートするタイプ
    • ビジョンの共有、コミュニケーション、新しいアイデアの創造と実装に情熱を持つ
  • Composer(作曲家)タイプのソリューションアーキテクト
    • 開発者やエンジニアとしてキャリアをスタートするタイプ
    • アイデアを再現可能なものにし、デザインをパターン化し、誰もが使えるライブラリやAPIを作ることに関心を持つ
  • Advocate(論者)タイプのソリューションアーキテクト
    • 営業、マーケティング、QAなど、顧客と接する役割を持つ
    • 顧客のニーズを理解し、それに基づいてシステムやソリューションを考えることにエネルギーを注ぐ

ソリューションアーキテクトになるためのスキルについて解説されます。
まず、技術スキルでは、自分自身で学習すること、実際に製品やサービスを構築すること、そして周囲に教えることが重要です。特に、ソリューションアーキテクトは異なるチームや色んなロールのエンジニアを繋げる役割を持つため、自分で設計したアーキテクチャを正確に理解し、それを他人に伝える能力が求めらます。そのためには、自分の知識を共有し、チーム全体と共に働くことが重要です。

ソリューションアーキテクトにはビジネススキルも求められます。自社のビジネスがどのように収益を上げているか、顧客や製品、ビジネスの制約、法律や規制を理解する必要があります。また、開発効率を上げるため、自社の組織構造を理解し、障害を取り除き、リスクを軽減する能力も求められます。さらに、ソフトウェアやハードウェアの購入が収益にどのように影響するか、クラウドコンピューティングの重量課金モデルが収益にどう影響するかといった、企業財務の知識も必要になります。

最後に、ソリューションアーキテクトに求められるソフトスキルについてです。ソリューションアーキテクトのソフトスキルには、好奇心、勇気、信念、コミュニケーション、そして思いやりが必要です。アーキテクチャについての好奇心を常に持ち続け、十分な情報があると判断したら行動を起こす勇気を持つことが重要です。また、強い信念を持ちつつも新しい情報に対して開かれた姿勢を持つこと、そしてコミュニケーションを通じて組織を結びつけることが求められます。最後に、システムはユーザーにとって使いやすく、美しく、邪魔にならないものであるべきで、システムを毎日使う人々への思いやりを持つことが大切です。

最後に有用なツールとしていくつかのコンテンツが紹介されました。

AWS Skill Builderでは500以上のコースと学習パスが用意されており、自分のペースで学習を進めることができます。また、資格を取得することで学習した成果を証明する、ということも推奨されます。
業務でアーキテクチャをデザインする場合は、AWSソリューションライブラリのアーキテクチャを参考にしたり、AWS Well-Architectedのベストプラクティスが役立ちます。
そして、学習や業務で得た知識を共有することも重要です。AWS re:Postの質問に回答し、自分の知識をシェアすることにチャレンジしましょう。また、AWSコミュニティのエキスパートであるAWS Herosについて学んだり、コンタクトを取ることもモチベーションに繋がります。

おわりに

What is the path to becoming a cloud solutions architect?(ARC211)のセッションレポートをお届けしました。

セッションでは技術面だけでなく、組織内におけるソリューションアーキテクトの役割や求められるスキルなどについても言及されており、多角的な知識と能力が必要であるということを再認識しました。特に、ソリューションアーキテクトが技術とビジネスの橋渡し役として、どのように組織内で機能するかについての説明は興味深かったです。エンジニアとしてもビジネスパーソンとしても非常に参考になるセッションでした。

ネクストモードについて

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