[レポート] VMware Cloud on AWSによるエンタープライズクラウドへの取り組み #AWSreInvent #ENT101
はじめに
ネクストモードの南です。
re:Invent 2023で行われたBreakOutセッションAn enterprise cloud journey: Speed and scale with VMware Cloud on AWS(ENT101)
のセッションレポートをお届けします。
セッション概要
Speed and scale are critical success factors in an organization’s digital transformation. Maximizing existing resources while adopting the benefits of the cloud is possible with VMware Cloud on AWS. Join this session to explore an enterprise’s successful journey toward digital transformation, where a streamlined approach solved pre-migration challenges. Discover how you can use existing hardware, migrate without rewriting applications, and maximize existing skills using VMware Cloud on AWS. Gain insights into efficient strategies for managing large-scale migrations within tight timelines, drawing from the experiences of AWS and a prominent industry leader.
組織のデジタルトランスフォーメーションにおいて、スピードとスケールは重要な成功要因です。VMware Cloud on AWSを使用すれば、クラウドのメリットを活用しながら既存のリソースを最大限に活用できます。このセッションでは、合理的なアプローチによって移行前の課題を解決した、デジタル変革に向けた企業の成功事例をご紹介します。VMware Cloud on AWSを使用して、既存のハードウェアを使用し、アプリケーションを書き換えることなく移行し、既存のスキルを最大限に活用する方法をご紹介します。AWSと著名な業界リーダーの経験から、厳しいスケジュールで大規模な移行を管理するための効率的な戦略について洞察します。
レポート内容
本セッションで理解できること
- クラウド移行の重要性とその効果的な方法
- VMware Cloud on AWSを利用することで、企業がどのように予算・人的資源・技術的制約を克服できるか
- クラウド移行の計画のポイント
- Honeywell社のクラウド移行を例に、説明された理論が実際のビジネスシーンにどのように適用され、どのような効果をもたらすのか
クラウド移行の契機
最初はAWSのDavid Piet氏のセッションとなります。
まず、クラウド移行への契機として、データセンターからの撤退、限られたキャパシティ、ビジネスの急成長、老朽化したハードウェア、大口契約の更新、モダナイゼーションなど、企業が直面する一般的な課題を取り上げました。
また、制約として予算、時間、拡張性、運用上の変更などを挙げ、これらをどのように最小化するかについて語りました。具体的には、総所有コスト(TCO)の観点から予算を考え、タイムラインから逆算してマイルストーンを設定し、スケーラブルなパターンを設計し、運用上の変更を慎重に検討することが提案されます。
VMware Cloud on AWSを利用することの効果
VMware Cloud on AWSを利用することで、企業が予算、人的資源、技術的制約をどのように克服できるかについての説明がされます。
VMware Cloud on AWSは、既存のVMwareベースの仮想マシンをAWSに移行することを可能にし、AWSが提供する200以上のサービスを活用できるようにします。これにより、企業は予算と人的資源の制約を克服し、ビジネスの成長とスケールを実現することができます。
さらに、既存のVMware環境とほぼ同じ環境で作業ができることが、このサービスのコアな価値提案であると説明されます。特に、再トレーニングやリスケーリングの必要がなく、日々のオペレーションに変更がなく、再教育にかけるコストを最小限に抑えることの効果が強調されていました。
クラウド移行の計画
移行計画については三つのステップに分けることが提案されます。
最初のステップは、移行を計画し始めた段階で現在の状況を評価し、インベントリを収集し、アプリケーションの依存関係やライセンス要件などについて検討することとなります。また、この段階では、短期的、中期的、長期的な目標を設定し、それに合わせた適切なアーキテクチャ設計を考慮する必要があります。
次に、移行準備段階で、アプリケーションの所有者に移行後の運用準備状況を伝え、同時に移動する仮想マシンの論理的なまとまりを確認します。この段階では、AWS環境の構築に着手します。
最後のステップは、ワークロードの実際の移行です。この段階では、データの確認とレプリケーションの開始、適切なカットオーバー日数の計画、ユーザーの受入テストの実施などが行われます。
また、この全体的なプロセスを成功させるための2つの重要な要素として、明確に定義されたRACIマトリックスの存在と、シングルスレッドのオーナーシップの重視を挙げました。
Honeywell社の移行事例
ここでスピーカーがHoneywell社のNate Lenoir氏に代わります。
はじめにHoneywell社のクラウド移行の概要について説明がされます。
Honeywell社はアメリカ東海岸とデラウェアにあったデータセンターを閉鎖し、バージニアリージョンのAWSへ移行しました。この移行は2023年に完了し、移行後の環境としてVMware Cloud on AWSが採用されました。
また、ダウンタイムを最小限に抑えるためにVMware HCXなどのテクノロジーが活用されたことや、技術スタッフの再教育の必要性はなかったことが説明されます。
ここではHoneywell社が抱えていた課題と、VMware Cloud on AWSのアプローチについての説明があります。
移行前の環境の課題として、多様なワークロードと複数のネットワークが存在する状況、および、Cisco ACIとVMware NSXの両方を導入しているデータセンターの管理の難しさが語られました。また、制約のかかったリソースでのデータセンター運用の問題点も挙げられました。
課題に対するアプローチとして、VMware Cloud on AWSを使用し、非本番用と本番用の2つのSDDCを構築する方法を採用しました。このアプローチでは、非本番用のSDDCと本番用のSDDCをそれぞれ別のネットワークで管理し、それぞれの環境を適切に制御することが可能になります。
また、
具体的なクラウド移行の計画について語られます。
VMware Cloud on AWSに加えてAWSのプロフェッショナルサービスの利用を経て、12月のアーキテクトとの議論、1月の20VMを対象にしたパイロットプログラムの開始、2月の非本番試験運用、3月の本番用SDDC構築というスケジュールで進めた、とあります。
また、このスケジュールを振り返って、AWSとの連携の重要性やビジネススピードへの対応、適切な人材とプロセスの必要性が強調されました。
移行についての具体的な説明があります。
1856台のサーバーが移行され、その半分近くが新規構築されたとあります。
移行プロセスは非常に迅速で、予定より大幅に前倒しして4ヶ月で本番稼働まで達成することができました。
また、この機会にワークロードの大規模な棚卸しを行ったところ、約3000の不要なワークロードが見つかり、これらはすべて廃止された、とあります。
最後にまとめとして、移行プロジェクトを成功させるための重要な要素として、1チームでのアプローチ、素早い決断、文書化が重要だと強調されました。
おわりに
An enterprise cloud journey: Speed and scale with VMware Cloud on AWS(ENT101)
のセッションレポートをお届けしました。
本セッションでは、クラウド移行の重要性とその効果的な方法に加え、VMware Cloud on AWSを利用することで、企業がどのように予算・人的資源・技術的制約を克服できるかについて理解を深めることができる内容となっています。
さらに、Honeywell社の具体的な移行事例を通じて、これらの理論が実際のビジネスシーンにどのように適用され、どのような結果をもたらすのかを知ることができました。
より効率的で成功確率の高いクラウド移行を計画するための理解を深めることができるセッションだったと感じます。
ネクストモードについて
ネクストモード株式会社は東日本電信電話株式会社とクラスメソッド株式会社で設立したクラウドカンパニーです。「クラウドであたらしい働き方を」というメッセージを掲げ、さまざまなクラウド技術や製品を組み合わせて企業の働き方の当たり前を変えていくことを目指しています。クラウドやSaaSのご利用に関してお困りごとがあれば、ネクストモードまでぜひお問い合わせください。