【レポート】前田建設工業が作るEnterprise ITのあり方(内製アジャイル開発、BigData/AI) #AWSSummit
はじめに
AWS Summit Tokyo 2019 Day3 で開催されたセッション”前田建設工業が作るEnterprise ITのあり方(内製アジャイル開発、BigData/AI)” についてレポートします。
スピーカーは前田建設工業株式会社 髙橋哲郎様です。
セッション概要は次の通りです。
ITに関して保守的と思われがちな建設業界において、前田建設工業では内製指向を進め、開発スピードの高速化とビジネス環境の変化への柔軟な対応を可能にしています。また、DX実現のため、AI時代を迎えてのビッグデータ基盤の整備、レガシーシステムのクラウド移行によるマイグレーションを自社内で進めています。前田建設工業が考えるIT部門のあるべき姿、アジャイル開発手法と体制、運用、ベンチャー企業との共創、AWS活用方法をご紹介します。
セッションレポート
以下、セッションレポートです。
前田建設工業の紹介とベンチャー企業との競争
- 創業100周年
- 目指す未来
- AI,IoTロボティクスの革新
- 請負業が限界
- 総合インフラサービス企業 へ変革していく
- インフラサービス事業(コンセッション事業)
- 仙台空港、愛知県の有料道路、愛知県の国際展示場
- 請負をしつつインフラサービスを拡大している
- IT戦略と組織
- 工事施工の生産性を革新
- ITに事業基盤構築
- 情報システム総合センター
- 内製開発チーム
- ICI総合センター
- ベンチャーのアイデアを社会実装するための全てが揃う
- MAEDA SII
- ベンチャーに資金投資
- ベンチャーインキュベーション
- 経営面で支援
- 愛知アクセラレートフィールド
アジャイル手法を内製開発に用いて得たもの
- 内製開発の役割
- 要件が明確 -> 外部ベンダー
- パッケージやサービスがあるもの -> 購入
- 差別化が必要、重要な技術 -> 内製
- 歩み
- 2011年からアジャイルを導入
- 2000年代 Webシステム、スパゲッティコード、永遠に続く回帰テスト
- RubyやRuby on Railsを採用していき、OSS、アジャイルを採用した
- クラウドは2011年AWS東京リーション
- クラウド利用状況
- マルチクラウド - 各社固有のサービスは避ける
- 今はAWSにほぼ集中
アジャイル手法を用いた開発
- 約30システムを開発 Ruby on Rails / Node.js / Python
- アジャイル CI/CD基盤の紹介
- ソース管理 Git
- 課題管理 Redmine
- 1週間スプリント
- ニアショア開発している・松江・出雲・博多
- ストーリーポイントの付け方
- 1、2、4,8,16ためいき(単位が地域によって違う)
- ストーリーポイントの付け方
- CIの実施とテストの分散実行
- Jenkinsで行っている、自動化されているので、回帰テストのコストがゼロ
- テストを並列化して、テスト時間を短縮している
- 本番同等環境(30ノード)を利用
- 仮想ブラウザを利用してキャプチャをとってる
- 実機のブラウザ操作も可能
- CDの実施
- CapistranoやItamaeでデプロイ
- 本番同等環境にはChatからデプロイ
- エラーが発生したらChatに通知
アジャイル手法導入の効果
- 生産性を上げる事ができた
- ガートナーが言ってるようなバイモーダル組織化 モード2 へ
内製による開発を全社ITへ
- システム統合基盤を内製開発
- マイクロサービス化、API連携
- DX化への準備運動その1
- APIの品質確保
- Jenkins -> テストしてAPIドキュメントを自動生成
- ビッグデータ基盤の開発とシステム間データ連携の整備
- DX化への準備運動その2
- 業務が決まらなくても貯められるのが良い
- アジャイル開発チームからITへの部門全体へのフィードバック
- レガシ脱却・モダン化・フルスタック化
- チームとしてフルスタック化
- 社内図書をラズパイ、基盤は発注、スマホとクラウドを用意した
- DeepRacer League
- 一瞬三位になった!
アジャイル思想をITへの部門以外に展開する試み
- AIやDXをいかに全社展開するか
- アジャイル的な文化の拡大
- 漫画を作った!そし社内へ発信(すごい
- 社内からアイデア募集、可能なものはすぐにPoC
- AIアシスタント(Chat)の開発リリース、社内共通インターフェースへ
- 会社がAPI文化になってる!
- AI開発のサンドボックスをベンチャー向けに公開
- AIプログラミング基盤 > 職員やベンチャー社員が Jupyter Notebook を使える環境
- アジャイル文化を社内へ拡大、DX実現。拡大を目指す
まとめ
- ICT技術は不可欠
- アジャイル的発想は、デジタル・ビジネスの想像にも効果的
- 勝ちパターンはなし
- 様々なトライをして向かって行く
- B with B to S -> 共創
- OSSに還元します maedadev · GitHub
最後に
100年を迎えた企業の中で、アジャイルな開発を長年行って成果を出し、新しいテクノロジーにも挑戦して、その文化を全社に広めるユニークな試みも行っていました。こんな企業が沢山できれば日本ももっと元気になれそうな気がしました。