[レポート]【パネルディスカッション】エンタープライズITからみたクラウドコンピューティングの課題(エンタープライズITとクラウドの間をつなぐもの) #AWSSummit
こんにちは、城内です。
今回は、 AWS Summit Tokyo 2016の6/2(木) P3A1720セッションのレポートです。
セッション情報
- セッション名:【パネルディスカッション】エンタープライズ IT からみたクラウドコンピューティングの課題(エンタープライズ IT とクラウドの間をつなぐもの)
- モデレータ:楠 真氏(株式会社野村総合研究所 理事)
- パネリスト:占部 利充氏(三菱商事株式会社 常務執行役員)
- パネリスト:森 陽一氏(三井住友カード株式会社 専務執行役員 システム本部長)
- パネリスト:小林 睦生氏(野村アセットマネジメント株式会社 執行役員)
- パネリスト:谷脇 康彦氏(内閣官房 内閣審議官、内閣サイバーセキュリティーセンター 副センター長)
セッション内容
はじめに
第三世代プラットフォーム
- 第一世代・・・IBMメインフレーム
- 第二世代・・・Intel、Oracleクライアントサーバ
- 第三世代・・・クラウド
- AWS、Azure、GCPなど
- ビジネスを支えるプラットフォーム
クラウドのコアテクノロジー
- モバイル
- クラウドコンピューティング
- ビッグデータ
エコシステム
アライアンスからエコシステムに変化。
各パネリストから一言
谷脇氏
- 政府や各省庁を対象にしたサイバーセキュリティ対策
- 昨年の不正アクセス、400万件/年間
- 日本年金機構へのサイバー攻撃
- サイバーセキュリティにおける三つの柱
- サイバーセキュリティを産業としてとらえる
- ITの便益を得るためにセキュリティ対策を
- サイバーセキュリティ基本法
- クラウドの活用は、ベネフィットと守るべきセキュリティのバランスを考えるべき
占部氏
- 企業がグローバル化、多拠点に拡大したことへ、ITで対応
- オペレーションの最適化
- 情報の共有化
- IT部門が横断的な組織に
森氏
- クラウドはエコの追及
- 新しいFinTechビジネスの大半はAWSを利用している
小林氏
- FinTechによって金融業界が変わってきている
クラウド活用拡大に向けて
クラウドジャーニー
- トライアル
- 社内業務・周辺システム
- 基幹系システム
リスクの拡大
- 開発リスク
- 障害リスク
- セキュリティリスク
リスクを克服していくためには
- 法務・制度理解
- リソース整備
- 利用実績の積み重ね
IT業界の構造変化
- ハードからソフトに
- SIからサービスへ
- ユーザ企業の役割
森氏
- IT機器とソフトウェアをセットで販売する従来型のビジネスが通用しにくくなっている
- 40歳以下のリッチな企業家ランキングの上位40名の内8名はAWSを使っている
- ハードとソフトが主役の時代は終わった
- 一番力があるのはデータを持っている会社
- クラウドでないと提供できないサービスが出てくるのでは
- ハード、ソフトウェアベンダーは外部クラウドとの連携を充実させるようにしている
ユーザサイドとしては、第一世代から第二世代まではSIerからの提案ベースでよかったが、第三世代からは変わってくる。
- モード1・・・要件定義を行って着実にシステム開発を行っていく
- モード2・・・スピード重視、アジャイル開発、ビジネス部門とIT部門との連携が重要
占部氏
- TCS Globalとの連携
- グローバル・ネットワーク・デリバリー・モデル
- インドのオフショアとニアショアの組み合わせ
- 34万人のネットワーク
- グローバルとローカルのバランス
小林氏
- クラウド利用に関して
- 数年前までは使わない理由はいくらでもあった
- 世の中は使う準備が整ってきた
- ITガバナンスを検討しているが、従来のオンプレミスの考え方がベースになっている
- AWSになることによって、責任共有モデル等の契約に対応していかなくてはならない
グローバル対日本
- プラットフォームによるグローバルマーケット誕生
- 日本企業の位置づけ
サイバーセキュリティの対策
谷脇氏
- サイバー空間に国境はない
- グローバルでの連携、民間を含めた情報共有
- 2009年からサイバーセキュリティの分野でASEANとの間で協力関係を築いている
- 他国への技術提供、国際貢献
- ASEAN各国とのサプライチェーンを守っていく
- 政府の役割は強まっていく
- 民間企業と海外企業の間でサイバーの情報を共有するのは難しい
- 間に国が介在し、民間の連携を促していく
クラウドとの関係、グローバルマーケット
占部氏
- 産業のデジタル化
- 新しいビジネスでいろいろな事業に付加価値をつけて全体の利益をオプティマイズする
- 1%の改善、効率・収益の改善
- IT人材が事業部門の中に入って、一体となって事業を回す
森氏
- IoTが2020年までに300億台に増える
- デジタルメッシュ
- IoTによっていままで進化しなかったものが急激に進化する
- 進化のスピードが速くなっている
- 従来の常識、既存の枠組みが変わっているので、それを踏まえて未来を予測する
ITによって何かが変わるのか?
- ITによっていままでできなかったことができるようになる
- クラウドを活用することによって低コストでできる
- クラウドを活用することによって従来時間がかかっていたことがすぐにできる
ITを使ってビジネスを創造していくことが求められている。
日本・日本企業の課題
- 人材育成(アプリケーション開発、基盤、運用)
- 経営とITの対話
占部氏
- ITの戦場が変わってきているバックオフィスのシステムから、フロントシステムのオプティマイズへ
- IT人材をうまく配置、育成する、じっくりやると10年くらいかかる
- 事業部の若い人材にITの現場を経験させる、ITを活用する現場に出させる
森氏
- 最新のIT事情を把握する力が求められる
- 行動基準
- オープン
- アジリティ
- スピード
- オープンイノベーションのマインド
- 顧客起点のコミュニケーション改革、顧客中心主義
- 新しいことに何度でもチャレンジできる環境作り
- 人材育成
- フルスタックエンジニア(ビジネスもITも分かる人材)
- 人事制度を含めて検討が必要
谷脇氏
- 情報システムの統合化、30%のコスト削減(1500億)
- 国民へのサービスへ、サイバーセキュリティに投資
- 各省庁のシステムは統一基準をベースにしている
- 外部のクラウドサービスを使用する基準を追加する予定
- 統合化して、クラウド化する、守りやすい形にする
- 中小企業のシステムをクラウドへの移行を推進
AWSへの期待
小林氏
- これからのビジネスはクラウドなしではできない
- 既存のビジネスルールにどういう風にしたら準拠できるのかというようなことを考えて欲しい
森氏
- 海外の内製という感覚では、日本にはまだフィットしない
- アメリカと日本との違いというのを理解して欲しい
占部氏
- 日本向けのサービスを充実させてほしい
谷脇氏
- 国としてクラウドの活用を推進していきたい
- 震災時のバックアップ対策
- クラウドはレジデンス、ビジネスコンティニュイティという観点からとても重要
楠氏
- ジャパンネイティブに変化して欲しい
感想
このセッションは、事業者視点のお話が聞けてとてもためになりました。
やはり、昨年に同様のパネルディスカッションに参加した際にも話として挙がっていましたが、IT業界の構造変化という流れは必要なんだなと改めて考えさせられました。
また、今回はさらに、フルスタックエンジニアというキーワードで表現されていましたが、事業会社側はITが分かって業務も理解しているという新しいIT人材を育成しようとしているという話も聞けたので、ITエンジニアとしては、そういった事業会社側の動きに合わせたサービス提供の形態を考えていかなければならないんだなと思いました。