リモートワーク雑談の仕組み:GatherTownの場づくり

リモートワークでのコミュニケーション課題が企業やプロジェクトの課題として扱われ始めています。その中で「雑談」によるコミュニケーションの「仕組み」が注目もされてきていると見ています。リモートの中では、オンラインツールの仕様によってコミュニケーションはデザインされることがわかってきたので、今回はGatherTownという空間型の音ランツールでコミュニケーションのデザインを考えてみました。
2021.02.16

リモートワークの雑談は、まずは仕掛けから

リモートワークにおいて、雑談の難しさは話題に登ります。それはオンライン会議の多くは業務の話で始まり、業務の話で終わることが多く、雑談ができない。リアルなオフィスとは違いすれ違う廊下もなく、ちょっと出会える自販機も、給湯室もないオンラインの世界では、雑談は確かに起こりずらいものとなっているからです。オンラインのどこで雑談が生まれるのかを観察していた結果、現時点ではまだ「許可」「許容」が見えないと雑談は始まりにくいと気付きました。Zoomのような「対面型」のツールでは、「雑談タイム」というような時間の区切りで雑談の仕組みが作れます。それとは別にSpatialChatの様な「空間型」のツールでは、場のデザインによって雑談が発生します。

私は個人的にもオンラインオフィスについて興味を持っていたこともあって、SpatialChatや、oVice、Remo、といった画面内のアバターの位置情報を利用したコミュニケーションツールを試してきましたが、今回はレトロRPG風のGatherTownを利用してみたので、場づくりという点から紹介したいと思います。GatherTown自体の紹介はすでにしんやさんがこちらで詳しく書かれているのでぜひ読んでみてください。

レトロRPG風デザインのオンラインビデオ通話スペース『 Gather.Town 』で”出社して仕事&気軽に雑談”を楽しく仮想体験!

オープン空間と、プライベート空間でコミュニケーションをデザインする

今回のブログでは、このGatherTownでファシリテーション目線で場づくりをしてみたので、そこを解説していきます。

簡単にGatherTownの仕様について説明すると、利用者は自分のアバターを使ってマップの中でお互いの位置が近いとマイク音とカメラ画像が共有されてコミュニケーションが取れます。マップはカスタマイズすることができて、マップはマス目で区切られていてそのマスに番号でコミュニケーションができる「数字」や「同じ文字列」を配置することで「プライベート空間」を設定します。左が完成マップで、右が番号でプライベート空間を設定している画像になります。 ここからはポイントごとに分けて記載していきます。GatherTownが元からテンプレートとしてもっているものを含めて解説していきます。

マップの説明

デザイン1:着席をデザインする これ自体は、このGatherTownのテンプレートでもすでにデザインされているものですが、この同じテーブルに座っているという感覚を体感させることが、このリモートオフィスでの大事な要素になります。この体験をどのように体感させるかが、オンラインツールの肝になると思っています。GatherTownではアバターの侵入禁止マスを設定することで再現しています。机のオブジェクトを配置して、机のオブジェクトだけ侵入禁止にして、その周りに椅子を配置する。しかも机に向き合う形で配置。そして、そのテーブルの周りをプライベート空間に設定することで、テーブルにつけばそのテーブルの周りのメンバーだけで閉じた話ができるという仕組みです。

No9説明

デザイン2:目でリラックスを生み出すバーカウンター 仕事場にバーカウンター?となると思いますが、雑談を生み出す仕組みと考えれば、カウンター席というのは「リラックスして話す」のを想起させます。これもGatherTownに元からある仕組みですが、始める時に選んだ元テンプレートによって変わるので、これは「ラウンジ」にあたります。これもカウンターテーブルが侵入禁止になっていて、カウンターに着く感じが味わえて、さらにカウンターの内側に入ることで、バーテンダーにもママにもなれます。不思議なことにこのバーカウンターの中と外で、なんとなく役割が生まれて、中の人が会話の流れを担って、外の人が思うがままに話すという形でスタートすることが多いです。

バーカウンター

デザイン3:出迎えをデザインする 初めてこの場に訪れる人は不安だったりするということもあり、出迎えるという行為はオンラインの中でも大事な行動です。特にこの「空間型」のツールでは「そばに寄る」というのは目に見えるものなので、その行動は相手からしてみたら単純にうれしいものです。私はこの出迎えるという行為をGatherTownの中では3つの方法でやっています。 1.私はよくカウンターの中で誰かと話していることが多いので、新しい人が入ってきたら、カウンターから出て話しかけに行きます。私自身が他の部屋に行った時に同じように出迎えに「来てもらう」のが見えて、嬉しかったのでそうしています。

2.仕事をしながらGatherTownにいる時は、入り口から近いテーブルに座っていいます。音は切っていることが多いですが、実はこのテーブルには「プライベート空間」の設定はしていなくて、入ってきた人が寄ってくると声をかけやすい状態になっています。プライベート空間にいると、仕様上アバターが透けた表示になっているので、初めてGathreTownを使う人には仕組みもわからないと「透けてる?」となると思うので、オープン空間にいた方が話しかけやすいです。仕事しながらはちょっと集中していて、入ってきた人に気づけないことが多いので、この方法になりました。

3.たまに大勢で賑わっている時があって、その時用にカウンター内に部屋全体にアナウンスできるオブジェクトを配置していて、それを使って部屋のみんなに新しい来訪者を紹介しています。

アナウンス台

このように「空間型」のツールでは、音の届け方のパタンを理解して場をデザインするとより良いコミュニケーションができます。

デザイン4:座席数は選べると良い 雑談の人数は何人がいいと思いますか?たくさんの方がワイワイできる。二人の方が気兼ねなく話せる。話せる時間を考えたら4人くらいの方がいい。どれも正しくて、気分や関係性から、その人の「今」にとっての「良い」が存在することになります。そこで、選べることが大事だと思っているので、席は2人、4人、8人とそれ以上という感じで用意していて、2人の席はテンプレートよりも多くしています。とはいえ、2人席は雑談よりも1人作業に使っている感じもあるので、これはいわゆるカフェと同じ感じかもしれませんね。

デザイン5:雑談の入り口は複数あると良い 会社的にも雑談欲しいよねというところもあったので、ただ自分の部署の部屋を作っただけではなくて、他部署でも作られた部屋とURLで繋ぐ入り口を設置しています。部屋の存在や、ちょっとしたTipsの交換用にSlack(チャット)でチャンネルも作って交流しています。雑談を仕組みとして行う場合、「全社員一斉にやります!」というのはやや強引で、結局のところ雑談にはならなかったりもするので、ボトムアップというか有志から始まり、また他のツールや集まりで、別の集団が雑談の仕組みを作っていく。それがいくつかあって、できれば全員が雑談ぽいことができるようになると良いのかなと思います。そういう意味ではきっかけとして全社員一斉もあってもいいのでしょうけど。

オンラインツールはEditのやりやすさなどがこれからの優位性を持っていく気がします。ファシリテーターとして、オンラインでも場づくりの作り込みがどれくらいかかるのか、始まってからどこが変更しやすいのかというのが関心どころになっていきそうです。