【Bedrock Engineer】AIに今期の目標(OKR)を考えてもらった
こんにちは、こーへいです。
今回は「Bedrock Engineer」を使用して、私の今期の目標を考えてもらいました。
Bedrock Engineer とは
Bedrock Engineer は、Amazon Bedrock を活用したソフトウェア開発タスクのための AI アシスタントです。大規模な言語モデルと実際のファイルシステム操作、Web検索機能などを含む自律的な AI エージェントがあなたの開発を支援します。
https://github.com/aws-samples/bedrock-engineer/blob/main/README-ja.md より
Bedrock EngineerはAWSJのDaisuke Awajiさんにより開発されているAIアシスタントツールです。
こちらはデスクトップアプリとしてダウンロードできる、親切なUI/UXが特徴のAIツールとなっており、開発者だけでなく、コンソールに馴染みがない非エンジニア職の方にも使いやすいアプリケーションとなっております。
単なるAIチャットの機能に留まらず、ローカルコードの修正を行えたり、「Step Functions Generator(Step FunctionsのASL定義の生成機能)」や「Diagram Generator(AWSアーキテクチャ生成機能)」等のAWSエンジニアの支援機能にも強みがあります。
今回はメイン機能である「Agent Chat」を使用して、目標を考えてもらいましょう。
OKRとは
詳しくはOKRを設定するに載っていますが、組織や個人の目標達成を管理するフレームワークと考えてください。
OKR では、目標の 60~70% の達成率が理想的です。逆に、達成率が常に 100% の場合、その OKR の設定レベルが低いと言えるので、もっと野心的な目標を立てる必要があります。
他にもこういったフレームワークは色々あると思いますが、OKRの特徴の1つに「野心的な目標を立てる」というのが挙げられます。
弊社の記事も参考ください。
今期の目標をAIに聞いてみた
少し話はそれますが、最近はAIエージェント効果により世間や社内のAI意識がより一層高まり、個人としても以前よりAIに関する取り組みを増やしていきノウハウを貯めていくべきと感じていました。
そして会社の期がちょうど変わるタイミングでもありましたので、AIの力を借りて目標を考えてみようというわけです。
Bedrock Engineerを使用した理由は、使用したことの無かったTavilyを使用してネット上の最新情報(特にクラスメソッド株式会社の情報)を取得しつつプランから考えてくれるAIエージェント的な動きで目標を立てて欲しかった為です。
結論
- ベースとなる目標案は自分の頭から捻り出すべし
- 目標は自分で、目標までの道はAIの力を借りて考える
- AIの広い知識や平均的な回答は、足りない観点を補ってくれるため一定の効果があると考える。とはいえ最終的に納得したOKRを決めるられるのは自分なのでメインは自分で考えるべき
- 一方で上記の結論からだったらAIを使用しなくていいやと考えるのは早計、むしろAIを使いまくることでより良い方法を模索すべき
Bedrock Engineerのセットアップ
上記記事の「前提」「構築」「Bedrock Engineerの設定」を行い、以下の状態にしてください。
- AWSアカウントおよびAmazon Bedrockの利用環境が整っている(Bedrock Engineerでは自前のAWSアカウントのBedrockを使用します)
- 今回のモデルは「Claude Sonnet 4」を使用しています
- Bedrock Engineerをインストールし、起動する
- Bedrock EngineerからAWS環境への認証情報をセットする
- Tavilyにサインアップし、APIキーをセットする
AIエージェント「Web Deep Researcher」をセット
Bedrock Engineerを開いたら、デフォルトで用意してくれている「Web Deep Researcher」を使用する設定をします。
ナビゲーションバーから「Agent Directory」を押下し、「Web Deep Researcher」を押下してください。
「Web Deep Researcher」が開かれたら、下にスクロールし「マイエージェントに追加」を押下してください。
続いて「Chat」を選択し、左上の「Software Developer(もしくは現在設定しているエージェントが表示されています)」を押下します。
先ほど追加した「Web Deep Researcher」の3点リーダーを選択し、「編集する」を押下します。
システムプロンプトが英語となっているため、日本語に翻訳したものに変更します(英語のままだと英語でチャットのやり取りになります)。
システムプロンプト(※AI翻訳)
あなたは、ユーザーの目標を達成するために包括的な情報を収集する、DeepSearchのような多段階ウェブ検索を実行するAIアシスタントです。連続して複数のウェブ検索を実行し、詳細な情報を収集してください。
基本機能
・連続して複数のウェブ検索を実行し、詳細な情報を収集する
・初回検索結果を分析し、より具体的な情報を得るための追加検索を自動的に計画・実行する
・複雑な質問に対して包括的な回答を提供する
・常に最新の情報提供に努める
・すべての情報源を明確に引用する
検索手法
・ユーザーの質問を理解し、適切な検索クエリを作成する
・初回検索結果を分析する
・不足している情報を特定する
・より詳細な情報を得るための追加検索クエリを生成する
・複数のソースからのデータを統合・整理する
・包括的で構造化された回答を提供する
ウェブ検索の使用方法
・tavilySearchツールを使用して正確で最新の情報を取得する
・1回だけでなく、少なくとも2〜3回の追加検索を実施して情報を深掘りする
・多様なソースを確保するため、異なる角度から検索クエリを試行する
・検索結果の信頼性を評価し、信頼できるソースを優先する
・ウェブサイト取得と分析
・fetchWebsiteツールを使用して特定のウェブサイトの内容を詳細分析する
・大規模なウェブサイトの場合、コンテンツは自動的に管理可能なチャンクに分割される
・必要に応じて特定のチャンクを取得・分析する
回答形式
・情報を論理的に整理し、読みやすく構造化された回答を提供する
・要点を箇条書きでまとめる
・複雑な概念は図表やリストで説明する
・回答の最後にすべての情報源(URL)を引用する
・検索プロセスの概要を示し、情報がどのように収集されたかを明確にする
注意事項
・不足している情報は正直に認め、追加検索を提案する
・矛盾する情報がある場合は、両方の観点を提示し、バランスの取れた回答を提供するよう努める
・時間に敏感な情報(価格、統計など)については、情報の日付を含める
・利用可能なツール
・ウェブ検索にはtavilySearchツールを積極的に使用する
・詳細なウェブサイト分析にはfetchWebsiteツールを使用する
・コマンドを実行する必要がある場合は、事前にユーザーの許可を求める
左上が「Web Deep Researcher」の状態になっていれば大丈夫です。
聞いてみた
では早速、今期の目標を聞いてみましょう。
簡単に前期の目標と、クラスメソッドのエンジニアであること、また目標の方針のみ情報として与えています。
プロンプト
私はクラスメソッド株式会社でエンジニアをやっているものです。私の会社では毎年OKRを活用し、組織や個人の目標達成を管理しております。
今期の目標を一緒に考えてください。
改善したい内容としては、前の期では個人の目標を主として考えておりましたが、よりチームや組織を良くするための目標にしていきたいと考えております。
後はワクワクするような目標を立ててください。
以下は私の昨年のOKRです。こちらも参考にしてください。
OKR 1
目標|Objective
・二つ名「プリセールスの鬼」獲得
主要な結果|Key Results
・プリセールス参加15件以上
・無料相談会参加10件以上
・技術支援案件獲得5件以上
・プリセールスレビューの実施10件以上
OKR2
目標|Objective
・2つ名「パブリックコントリビュートの鬼」獲得
主要な結果|Key Results
・登壇10件以上
・ブログ50件以上執筆
「TavilySearch」等を使用して、AIが目標を考えてくれています。
結果が返ってきました(詳細はクリックしてください)。
回答
🚀 2025年のワクワクするOKR提案
調査結果を踏まえ、クラスメソッドの戦略方向性とカルチャーに合致した、チーム・組織貢献型のOKRを複数パターンご提案いたします!
🌟 パターンA:「チーム・組織エンパワーメント型」
OKR 1
目標|Objective
🔥 クラスメソッドの「技術知見共有プラットフォーム」の価値を10倍にする
主要な結果|Key Results
チーム内でのナレッジシェア文化を構築し、月次勉強会の定期開催と参加率80%以上を達成
社内向け技術コンテンツ制作を主導し、エンジニア満足度を20%向上させる
新人・中途エンジニアのオンボーディング効率を50%改善する仕組みを構築
他部署との技術連携プロジェクトを3件以上立ち上げ、組織横断での価値創出を実現
OKR 2
目標|Objective
🚀 次世代技術で顧客価値創造のイノベーター集団を育成する
主要な結果|Key Results
生成AI・セキュリティ分野での社内技術リーダーを5名以上育成
顧客向け技術ソリューション提案を10件以上主導し、成約率30%以上を達成
チーム全体のAWS認定資格取得を促進(チーム合計で20資格以上取得)
クラスメソッドの技術ブランド向上に寄与する革新的取り組みを1件以上実現
🌟 パターンB:「エコシステム貢献型」
OKR 1
目標|Objective
🌍 テクノロジーコミュニティ全体の成長エンジンになる
主要な結果|Key Results
OSS貢献活動を組織的にリードし、クラスメソッド全体のOSS contribution数を前年比150%増加
技術コミュニティでのクラスメソッド認知度向上に貢献(イベント共催3件以上)
後進エンジニア育成のメンタリングプログラムを立ち上げ、5名以上のメンティーをサポート
業界全体の技術レベル底上げに寄与する教育コンテンツを10本以上制作・公開
OKR 2
目標|Objective
⚡ クラスメソッドの事業成長を技術で加速させる
主要な結果|Key Results
サイバーセキュリティ事業統合を技術面でサポートし、統合効果を最大化
社内開発効率を30%向上させる自動化・DX推進施策を5件以上実装
顧客満足度向上につながる技術改善提案を10件以上実施し、採用率70%以上を達成
新規事業・サービス立ち上げに技術リーダーとして参画(1件以上)
🌟 パターンC:「未来創造型」
OKR 1
目標|Objective
🎯 2030年のクラスメソッドを支える次世代技術基盤を創る
主要な結果|Key Results
AI・機械学習分野での社内研究開発プロジェクトを主導(1件以上)
未来技術のPoC実装を通じて、新たなサービスの種を3つ以上創出
クラスメソッドの技術戦略策定に積極的に参画し、技術ロードマップを提案
業界トレンドを先読みした技術投資判断に貢献(月次技術動向レポート作成)
OKR 2
目標|Objective
🤝 全社員が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を技術で実現する
主要な結果|Key Results
開発者体験(DX)向上のための社内ツール・環境改善を5件以上実装
チーム間コラボレーション効率を40%向上させるワークフロー改善を実現
社内イノベーション創出のためのハッカソン・技術イベントを企画・運営(年4回以上)
エンジニア以外の職種との技術連携プロジェクトを3件以上立ち上げ
💡 OKR選択・カスタマイズのポイント
あなたの強み・関心に合わせた選択
コミュニティ活動が好き → パターンB「エコシステム貢献型」
チーム・組織マネジメントに興味 → パターンA「チーム・組織エンパワーメント型」
新技術・イノベーション志向 → パターンC「未来創造型」
クラスメソッドカルチャーとの親和性
✅ リーダーシップ: 自ら率先してチーム・組織を牽引
✅ 情報発信: 従来の個人発信から組織価値向上へ発展
✅ やってみる: 新しいチャレンジで組織に貢献
✅ 楽しむ: ワクワクする目標設定
🎯 次のステップ
どのパターンが最もワクワクしますか?
現在の担当業務・チーム状況を踏まえて調整したい部分は?
特に注力したい技術分野や事業領域はありますか?
より具体的で実現可能なOKRに調整するため、ぜひご意見をお聞かせください!
いかがでしょう?正直なところちょっと目標が壮大であったり全体的に内容が抽象的でありつつも、そこそこクラスメソッドの方向性に沿った目標が返って来たように思えます。
とはいえ、このAIの目標をベースにスタートして考えるのは少し違うなと感じました。
目標は自分で考えるべきで、目標までの道のりはAIの力を借りて考える
ここからは完全に個人の考えとなります。
まず感じた印象としては、AIの提示した目標では残念ながらワクワクしませんでした。言っていることは正しいものの、会社やチーム、個人の文脈を把握していないためやらされる感が強く自分で目標を考えたいなと改めて思いました。
特にOKRの特徴の1つに「野心的な目標を立てる」ことが挙げられますが、AIの無機質(平均的な)回答ではある意味野心から最も遠くなると感じてしまいました。個人的には野心的な目標とは心の領域でもあるからです。
一方でこれだという目標を立てた上で、そこからAIの広い知識や平均的な回答によって足りない観点を補いつつ落とし込みをしてもらうのはそれなりに有効だと思いました。
まとめ
目標決めについて
もう少し細かいやり取りを記事内に載せたかったのですが、これ以上細かくすると社内情報を載せてしまうことになるためここまでが執筆の限界でした。
進捗を共有すると目標の方向性は決まっていますが、特にKR部分に関してはまだ納得しきれずAIの力を借りながら考え中となります(もう少し詳細な情報を食わせたところ、目標に対していい感じのアプローチ案が返ってくるようにもなりました)。
またシステムプロンプトやRAGにて、社内の文脈に関する情報を大量にインプットすることでかなり精度の高い目標案が最初から出力されるのでは?という期待もあるので、今後個人的にRAGのデータを育てていくのもありかなと密かに考えています。
そして改めてAIではなく自分だからこそワクワクする目標が立てられるのだと改めてわかりました。
AIで業務効率化が可能!と言うのは簡単ですが、AIでは向いていない領域を言語化することも同じくらい大切だと考えます。特にインターネット上ではAIが銀の弾丸であるような記載も多く、ノウハウを貯めるにはとにかく試すしかないと感じています。
とりあえず今のところは以下の流れでOKRを決定するつもりです。
- OKRを雑多にメモする。特に目標に関しては納得するまで考える。
- メモをAIに食わせて、自分の足りない観点がないかチェックする。また文章を整理する。
- 完成系を自分で整える。
Bedrock Engineerについて
まずBedrock Engineerは、UI/UXが親切で非エンジニアでも使用しやすいAIエージェント機能の有するアプリとなっております。
もちろんエンジニアも活用できるアプリなのですが、まずはAWSに関係のある非エンジニア向けにBedrock周りを触って欲しく、本記事を執筆しました(結果として現時点では目標決めに対するAIの効果は限定的であると言う結論にはなってしまいましたが...)。
今後はよりエンジニア向けの機能を使用した記事を執筆します!お楽しみに