[レポート]「メグとばけもの」のつくりかた – 心を揺さぶるゲームの技術 #CEDEC2023 #classmethod_game

[レポート]「メグとばけもの」のつくりかた – 心を揺さぶるゲームの技術 #CEDEC2023 #classmethod_game

Clock Icon2023.08.27

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こんにちは、ゲームソリューション部のsoraです。
今回は、CEDEC2023のセッションレポートを書いていきます。

セッション概要

「メグとばけもの」のつくりかた - 心を揺さぶるゲームの技術

受講スキル:
インディーゲーム開発に興味がある方であれば、どの職種の方でも楽しんで視聴していただけます。ネタバレがあるため、ぜひ本作をプレイしてからの受講をおすすめします。

得られる知見:
「メグとばけもの」の開発プロセスを企画、シナリオ、マーケティングの観点から知ることで、自身のゲーム開発に役立てることができます。

セッションの概要:

本講演では、インディーゲーム「メグとばけもの」の2年間の開発過程を振り返り、企画、シナリオ、マーケティング、それぞれの観点からリリースまでの舞台裏を紹介。「心を揺さぶるゲームづくり」について実例を踏まえながら解説します。

※本講演は「メグとばけもの」のネタバレを含みます。

レポート

はじめに

2.5年程度で制作しました。小規模のチーム開発であり、予算や見積もり表は作っていないとのことです。

コンセプト

ゲームが成功するかどうかは、コンセプト(企画)にかかっているといっても過言ではありません。
Discordにストーリーアイデアチャンネルを作り、アイデアを出し合ったとのことです。
企画の段階で、心が動かされる予感がしたとのことで、コンセプトが50パーセントを決めるとおっしゃっており、コンセプトが決まれば自然とゲームができてきたそうです。

開発準備

コンセプトが決まり、いきなり開発を始めると失敗する経験がありました。そのため、準備期間を設けました。
1年で2,3人で完成させる規模感ということで、工数が肥大化することは入れないことを決めました。
・バトルシステム:ショップやアイテム、ゲームバランスの調整が必要になるため、最低限のものにする
・成長システム:シナリオ重視のゲームであり、ほとんど入れない
あくまでシナリオ重視のゲームであり、バトル部分に工数をかけすぎないように意識をしているようでした。

私も個人開発をしていて、バトル要素や課金要素を入れていくと、こんなの完成するのか?と思うことが多かったので、工数の調整の部分で参考になりました。

プロットづくり

見せたいシーンを先に決めたそうです。
App Storeのゲーム紹介のためのスクリーンショットを決めてから作り始めるなどにより、このシーンが見たいからゲームを進めるというモチベーションに繋がったりもします。
また、OPやEDを先に作ったりし、ゴールを先に決めてから作っていく方がチームとしてやりやすかったとのことです。
見せたいシーンは特別意味のあるものでなくても、自分がやりたいからやる・入れたいから入れる気持ちで出していったそうです。

版権物などだと世界観に沿って制作する部分が多いと思うので、この点は個人/小規模開発ならではであり、個人/小規模開発の良い部分だと感じました。

開発

仮グラフィックで最後まで作り切ったそうです。
仮グラフィックの状態でプレイして感動できるものであれば、グラフィックを作り上げればもっと感動するものです。
仮グラフィックで作った後に、アートメンバを追加しました。

個人的には、グラフィックと並行に進めていって、きれいなものが出来上がってからプレイする固定観念がありましたが、仮グラフィックで作りきるやり方もよさそうだと感じました。

バトル画面を見ると、どこかで見たような画面に見えます。
人は全く知らないものよりも少し知っている/馴染みのあるものの方が手に取りやすく、似ていることを必要以上に恐れなくても良いのではないかとのことです。
多くのゲームは他のコンテンツなどからインスピレーションを受け取って作っているものであり、パクリは良くないけど何もかも新しいものである必要はない。
本作も○○っぽいであったりパクリなどと言われることはなかったそうです。

仕上げ

制作したゲームを実際にプレイしてフィードバックを出していきます。
いきなり全てのチームメンバにプレイしてもらうのではなく、まずはコアメンバー、次に他のチームメンバー、チーム外の違った価値観を持つ知り合いなど、タイミングをずらしてプレイしてもらったとのことです。
時間差でプレイしてもらった理由は、いきなり多くの人に遊んでもらっても同じところで指摘が出ることが想定されて無駄が多くなる・ストーリー重視のゲームであり初見プレイという弾は重要とのことでした。
フィードバックの中で、指摘するだけでなく、良いところを出しつつコメントしてもらえたことが嬉しかったとのことです。
最終的に840個のフィードバックに対して、修正をしていきました。
単なるバグだけでなく、ストーリーの矛盾やキャラのセリフに対する矛盾などに対する修正も加えていきました。

私も個人でシナリオライティングをしているので、一人称の揺らぎや準備していた伏線を回収したかどうかを確認することもあったので、この辺りはあるあるなのだと感じました。

その裏で、ディレクターがゼロをプラスにする修正をしていたそうです。

マーケティング

当たり前のことをやる程度で、マーケティングばかりに注力しすぎなかったとのことです。
あくまで大切なのはゲームの中身で、ゲーム作りが時間をかけたい部分であって、マーケティングばかりをやっているとマーケティングをやる人になってしまうためです。

ゲームクリア後にサントラやグッズへの誘導を入れることで、ゲーム配信者が視聴者に向けて進めてくれる場合もあって、宣伝につながったりします。
ゲームのミュージックビデオを作成して広告をうったときには、広告で初めて涙したとの声もあったそうです。

まとめ

感想

クラスメソッドの中でゲーム業界の方々を支援することに関してはもちろん、私も個人でゲーム開発をしていることもあり、ゲームを0から作っていく工程について非常に参考になる内容でした。
講演の中でも様々な他のゲームタイトルが挙げられていましたが、製作者の好きな他のゲームからのインスピレーションから入れたい要素を入れているものも多く、好きなものにこだわって作ったという気持ちが伝わる講演でした。
特に個人開発を始めようとしていたり、現在個人開発中の方には、刺さる内容だったのではないかと感じました。

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