非クラスメソッドメンバーズな AWS アカウントで AWS サポートプランを変更してみた

2023.07.24

いわさです。

クラスメソッドではクラスメソッドメンバーズというサービスを提供しており、サービスを通して AWS アカウントを提供しています。

また、クラスメソッドでは社員向けに AWS アカウントが与えられて、自由に AWS の検証を行うことが出来ます。
先月 6 月の話しになりますが、諸事情で社内アカウントではなく個人アカウントで AWS Trsuted Advisor を使いたい時がありました。

その時に改めて気がついたのですが、Trusted Advisor のフル機能を使うためには AWS サポートプランがビジネスもしくはエンタープライズである必要があります。
普段利用している社内アカウントは Enterprise 相当の機能が無料で利用出来るクラスメソッドメンバーズアカウントでもあるので、当たり前のように Trusted Advisor をフル活用出来ていたわけですが、個人アカウントの場合はそうもいきません。

AWS サポートの利用料金ですが、ビジネスプランは 100 USD/月、エンタープライズプランは 15,000 USD/月からです。
無料で Trusted Advisor のフル機能を使えるクラスメソッドメンバーズすごいなと改めて思いました。

AWS サポートの料金に AWS クレジット適用出来そう

で、個人で購入したいと思いつつも中々お値段がしますので迷っていたのですが、なんと残っていた AWS クレジットのサービス一覧に AWS Support が含まれているではありませんか。

AWS クレジット適用の事例情報があまり見当たらなかったので「もしかしたらクレジット適用されずに自腹を切ることになるかもしれないな...」と思いつつも、賞与直後だったこともあり強気にビジネスサポートプランへアップグレードしてみることにしました。

サポートプランをアップグレードしてみる

サポートプランですが、アカウント作成直後は無料のベーシックプランとなっています。
サポートセンターから現在のプランを確認することができ、「変更」リンクからサポートプランのダウングレード・アップグレードを行うことが可能です。

ベーシックプランの他には、デベロッパープラン・ビジネスプラン・エンタープライズプランが存在しています。
プランに応じて利用出来るサポートサービスに差があります。今回は AWS Trusted Advisor のフル機能を使いたかったので、ビジネスプラン以上が必要です。

なお、エンタープライズプランについてはこの画面から直接申し込みは出来ずに個別に問い合わせが必要です。

上記のビジネスプランの「アップグレードを確認する」ボタンを押してみましょう。

確認画面が表示されました。
この時は 2023 年 6 月 22 日の朝 5 時です。どうやら月途中の場合はサポート料金が月末まで按分された料金となるようですね。
ビジネスプランだと 1 ヶ月で 100 USD ですが、6 月の 30 日間に対して月末まで当日を含めて 9 日間だったので、ちょうど 30 % ということか。なるほど。

IAM ポリシーで禁止してみる

サポートプランを更新することはそう多くないので、せっかくですからアップグレード前になにか試してみたいところです。

今回はサポートプランの変更を出来ないようにした IAM ポリシーをアタッチしたユーザーで、先程の「承諾して同意する」ボタンを押したらどうなるのかを試してみました。
今回禁止したのは次のうちのStartSupportPlanUpdateアクションです。

次の拒否ポリシーをアタッチします。

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "VisualEditor0",
            "Effect": "Deny",
            "Action": "supportplans:StartSupportPlanUpdate",
            "Resource": "*"
        }
    ]
}

試してみたところ次のようにサポートプランの変更に失敗しました。良いですね!

権限のあるユーザーで操作する

では、今度はStartSupportPlanUpdateアクションが許可されているユーザーでプランのアップグレード確定を行いました。
ロード中...そわそわ。

変更出来ました!
なお、この直後に「アマゾン ウェブ サービスのビジネスサポートへようこそ」というタイトルの E メールがルートユーザーのメールアドレス宛に送信されていました。

そしてサポートプラン変更画面を見てみると、現在のプランがビジネスプランになっていますね。

数日後に請求コンソールから AWS 利用料金を見てみると次のように 6 月 21 日に一括で月末までの分のビジネスプランの料金が発生していました。
おそらく 0.48 USD は日付を跨ぐまでの数時間分と思われます。

無事ビジネスプランにアップグレードすることが出来ました。
あとは AWS クレジットが期待どおり適用されているかどうかですが、それは後述します。

ダウングレードをしてみる

アップグレードした日に月末までの料金 30 USD 近くが一気に発生していましたね。
今月末までビジネスプランを利用して 30 USD で終わらせることは出来るのか試してみました。

次のようにベーシックプランにダウングレードしてみましょう。
実施タイミングは 6 月 27 日あたりです。

実行してみると次のようにエラーメッセージが表示されました。

AWS サポートプランでは、少なくとも 30 日間のサブスクリプションが必要になります。このサブスクリプション期間が終了していないため、現時点ではリクエストを処理できません。サブスクリプション期間の終了後にもう一度お試しいただくか、AWS サポートまでお問い合わせください。

アップグレードから 30 日間はプラン変更リクエストを処理することが出来ないようです。
エラーメッセージに案内のあるように AWS サポートに問い合わせることで何かあるのかもしれませんが今回は実施していません。
ちなみに、公式ドキュメント上も「1 ヶ月以上サブスクライブする必要があります」と記述されています。

月を跨いだタイミングでも 30 日経過してないとダウングレード出来ない

アップグレード月内でのプラン変更が出来なかったので、翌月の上旬にも再度ダウングレードを試みました。
ちなみに、この時点で Cost Explorert を見てみると次のように 7 月 1 日に 100 USD 発生していました。ということは 1 ヶ月 + 前月分 かかってしまうことだろうか...

安心してください、詳しくは後述しますがかかりません。

ひとまずダウングレードしてみましょう。ビジネスプランからデベロッパープランへの変更リクエストを送信します

失敗しました。
有料プランへのアップグレードから 30 日間経過していないので変更リクエストが処理出来ませんね。

単純に月を跨いだから出来るようになるわけではないということがわかりました。

初回のアップグレードから 30 日経過後にダウングレード

6 月 22 日の 6:00 ごろにアップグレードしたのですが、7 月 22 日の 5:00 ごろにダウングレードを試みたところ次のように状況は変わりませんでした。

しかしその数時間後、7 月 22 日の 9:00 を過ぎると状況が変わりました。
デベロッパープランへダウングレードをしてみましょう。

確認画面には次のように変更後プランの当日から月末までの月額料金と、ダウングレード前のプランの今月分の残りの料金が返金される旨が表示されています。
つまり 7 月 1 日に計上されていた 100 USD のうち、いくらからは返金されるようですね。なるほど。

確定操作を行うと次のように変更リクエストの処理が開始されました。

その後すぐにデベロッパープランに変更されていることが確認出来ました。

有料プラン内のプラン変更の場合は追加の 30 日間のサブスクリプションは要求されないようだ

さらに、その 1 日後にベーシックにプランに戻してみました。
デベロッパープランの変更後さらに 30 日間プラン変更できない制限が発生することを覚悟していたのですが...

なんとすぐに変更出来ました。

ベーシックプランに変更されたことが確認出来ます。

どうやら公式ドキュメントに記述されているように、有料か無料かの間でサブスクライブ期間の 1 ヶ月縛りはあるようですね。

AWS クレジット適用されていた

また、今回の検証の観点のひとつであった AWS クレジットですが、適用されていました。
請求ダッシュボードの対象請求書に「削減額」というタブがあり、こちらの削減タイプ「クレジット」から、どのサービスにどれだけクレジットが適用されたのかを確認することが出来ます。

6 月については Support (Business) に 30.48 USD 分適用されています。

また、7 月のダウングレード直後は Support (Business) は 100 USD ではなくダウングレードした日までの分で 67.74 USD 分適用されていました。
以下のスクリーンショットはデベロッパープランへ変更した直後のクレジット適用画面なので Support (Developer) には月末までの 9.35 USD 分が適用されています。

さらに、先程の検証のとおりデベロッパープランに変更した翌日にベーシックプランに変更したところ、次のように 1 日分のみ Support (Developer) は適用対象となっていました。

さいごに

今回、非クラスメソッドメンバーズな AWS アカウントで AWS サポートプランを変更してみましたので検証内容を紹介しました。
試してみて確認出来たことは以下です。

  • AWS クレジットが適用されていた
  • 有料プランへアップグレード後の 30 日間は料金が発生するしプラン変更も出来ない
  • 有料プランから有料プランへの変更時は追加の 30 日間の制限は発生しない
  • アップグレード直後や月初に月末までの料金が一時的に発生するが、ダウングレード出来た際にはそのタイミングで返金される

AWS サポートをご利用を検討されている方の参考になればと思います。
ただし、今後上記仕様が変わる可能性もあるので、この記事では動作を保証しているわけではありませんのでご承知おきください。