
Cursor 1.0 で追加された非同期 AI エージェントやCursor AgentによるPRレビューなどの新機能を一通り試してみた
こんにちは。リテールアプリ共創部のきんじょーです。
Cursor 1.0 がリリースされ、多くの新機能が追加、GA されたので早速試していきます!
BugBot による自動コードレビュー
PR-AgentやCodeRabbitのように、GitHub の Pull Request を AI がレビューしてくれる機能が、「BugBot」という名前で Cursor から出ました!
仕組み
Cursor と GitHub を連携し、Pull Request に対して Cursor Agent と同じ AI がレビューコメントを追加してくれます。
PR が更新されるたびに自動実行したり、PR コメント内で BugBot に対してメンションし手動実行も可能です。
他の PR レビュー AI エージェントと大きく違うのは、コメント内にFix in Cursor
というボタンがあり、押下するとPR レビューのコンテキストを引き継いだ状態で Cursor を起動できる点です。
価格
Under the hood, BugBot uses the same AI that powers Cursor and use same pricing as Max mode.
ドキュメントには上記記載があり、Max モードと同じ価格設定になるようです。
Max モードでもどのモデルが使われるかについての言及は今のところ見当たりません。
設定画面からは月額の課金上限を設定できます。
Free Tier があり、セットアップ後 1 週間は無料で使えます。
試してみた
Cursor と GitHub を連携する
設定画面の Integrations から BugBot の Connect GitHub を押下します。
GitHub の認可画面に飛び、Cursor のアクセス権限を付与します。
Manage Connections から、BugBot を連携する GitHub リポジトリを選択します。
連携が完了すると以下のような表示です。
リポジトリ毎に PR レビューの有効無効が設定でき、デフォルトでは有効にしたリポジトリのコントリビューターが作成する PR に対して起動します。 Cursor のチームメンバーかどうかは関係ありません。
加えて、GitHubのユーザー名単位で AllowList や BlockList の管理ができます。
また個人別の設定として、以下 Bot の起動条件を設定できます。
- メンション時のみ実行するかどうか
- PR レビューを 1 度だけ実行するか、コミット追加毎に実行するか
- バグが見つからなかった場合のコメント要否
BugBot へレビューを依頼
先日作成したスライドパズルにダークモードを追加する PR を Amazon Q CLI に作成してもらいました。
こちらの PR を BugBot にレビューしてもらいます。
PR を作成してコメントにbugbot run
と投稿すると、BugBot が起動します。
Amazon Q CLI の変更が完璧だったので、バグは見つからないとのことでした。
試しに、ダークモードを切り替えるトグル処理にバグを埋め込んでみます。
再び BugBot を起動すると、しっかりバグを検出してくれました!
Fix in Cursor
を押下すると、Cursor に遷移しコンテキストを保持した状態で Cursor Chat が開きました。
このまますぐに Cursor Agent を使って修正を開始できます。
所感
他の PR レビューエージェントは、人による Pull Request レビューの認知負荷を減らすため、変更点をサマリーしてくれたりしますが、BugBot は名前の通り Bug の検出に特化しているようです。
レビューの補助機能というよりは、開発者自身がいち早くバグに気づいて Cursor で修正するワークフローを素早く回すための機能に見えます。
ちなみに、Copilot にもレビューを依頼したところ、以下のコメントをくれました。
Background Agent
Background Agent は、Cursor がリモート環境で立ち上がりコードの編集、実行ができる非同期エージェントの機能です。
仕組み
非同期型の コード生成エージェント といえば Devin が有名ですが、Cursor でも同様に非同期型のエージェントを出してきました。
実態は AWS 上で実行されるコンテナで Cursor が起動するようです。
価格
Maxモードのモデルのみ利用でき、トークン数による課金となります。
将来的にはコンピューティングリソースに対しても課金される可能性があるとのことです。
試してみた
ベータ版の機能のため設定から有効化する必要があります。
執筆時点では、プラバシーモード(入力情報を学習されない)を有効にしている場合は使用できません。
こちらも先ほどのパズルゲームのリポジトリで試していきます。
Cmd + E
もしくは、左下のメニューからBackground Agent
を開きます。
パズルを自動で解くモードを Background Agent に依頼してみます。
リモートで開発環境のセットアップが開始されました。
Background Agent のタスクを開くと、Cursor のウィンドウ内にフローティングする形でリモート上のタスクが確認できます。
タスクが完了すると、変更内容のサマリーと、Background で動いていた Agent の会話ログが確認できました。
このまま Pull Request を作成することもできれば、変更内容とチャット履歴を引き継いでローカルで開発を進めることもできます。
所感
少し前まで Cursor はスケールアップ(個人の能力を高める)で、Devin はスケールアウトと表現されていましたが、Cursor でも非同期型のエージェントが実装され、スケールアウトできるようになったのはとても大きなアップデートです。
Background Agent のタスクをそのまま巻き取って ローカルの Cursor でシームレスに手直しできるところがエディタに統合された非同期型エージェントの強みに感じました。
ちなみにパズルを解く機能はそのままでは動かず、丸投げするには少し難易度の高いタスクだったかもしれません。
Memory
Cursor でも Cline の MemoryBank のように、エージェントがチャットのセッションを跨いだ記憶を保持できる機能が追加されました。
Rules の 1 つの扱いで、会話履歴から Cursor が自動的に生成してくれるようです。
まだベータ版のため、設定の Rules から有効化する必要があり、こちらもプライバシーモードがオフの場合のみ使用できます。
試してみた
先ほど Background Agent が実行したタスクをローカルにインポートして、作業内容を Memory に保存するよう指示してみました。
変更内容のサマリーが Memory に保存され、別のチャットを開始しても今回の変更内容を踏まえてスタートできます。
所感
これまで Cursor Agent のセッション間の記憶の引き継ぎには、自前で Markdown ファイルを吐かせて読み込ませていたので、Cursor 側で自動的に管理してくれるようになったのは嬉しいアップデートです。
一方で、今回は明示的に指示を出して Memory を更新しましたが、Cursor 側で自動更新となると、意図しないコンテキストが入り込む可能性があり、Agent が何を読んでいるのか注意しておく必要があると感じました。
MCP サーバーのセットアップの簡略化、OAuth 対応
ワンクリックで MCP サーバーをセットアップできるようになりました。
MCP サーバー開発者向けに、ワンクリックで Cursor に MCP サーバーを設定するディープリンクの作成できるツールも公開されています。
試してみた
以下で公開されている MCP サーバーから Playwright を設定してみます。
Add Playwright to Cursor
を押下すると Cursor に遷移します。
Install
でインストールが完了し、
mcp.json を見ると Playwright の MCP サーバーの設定が入っています。
{
"mcpServers": {
"github": {
"command": "docker",
"args": [
"run",
"-i",
"--rm",
"-e",
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN",
"ghcr.io/github/github-mcp-server"
],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "xxxx"
}
},
"Playwright": {
"command": "npx",
"args": [
"@playwright/mcp@latest"
],
"env": {}
}
}
}
これまで mcp.json を直接設定していましたが、ワンクリックになるのは楽になりますね。
Cursor Chat 内で Mermaid や Markdown の表プレビューをサポート
こちらも地味に嬉しいアップデートです。
これまでも、Cursor に Mermaid 記法で図を書いてもらうことはできましたが、Chat 内でそのままプレビューできるようになりました。
試してみた
先ほどの Amazon Q に書いてもらったプロジェクトを Cursor Agent に視覚化してもらったところ、コンポーネントの依存関係と処理フローのシーケンス図をプレビューしてくれました。
その他
Jupyter Notebook を Cursor Agent で編集できる機能や、Web の管理画面、統計情報のダッシュボードの改善が発表されていました。
まとめ
つい先日 Claude Code が VSCode 対応し人気を博しているところでしたが、Cursor も 1.0 で多くの新機能を出してきました。
特に Background Agent はこれまでの Cursor Agent と違い、スケールアウトして並列で開発タスクを進めることができ、使いこなすことで大きく開発効率を上げられそうです。
是非 Cursor を1.0へバージョンアップして新機能を試してみてください!
現時点で、一部機能はプライバシーモードが無効でないと利用できないため、ご利用の際はご注意ください。
この記事が誰かの役に立つと幸いです。
以上。リテールアプリ共創部のきんじょーでした。