AWS Deadline Cloud で Arnold の UBL 利用を確認する〜ジョブの SUCCEEDED だけでは判断できなかった話〜

AWS Deadline Cloud で Arnold の UBL 利用を確認する〜ジョブの SUCCEEDED だけでは判断できなかった話〜

AWS Deadline Cloud の Customer-Managed Fleet で Arnold ジョブが成功しても、UBL ライセンスを利用できたとは限りません。CloudWatch の LicensesInUse やセッションログ、出力画像など諸々を照合したうえで成否を確認する必要があります。
2026.09.04

はじめに

AWS Deadline Cloud の Customer-Managed Fleet (CMF) で Arnold の Usage-Based Licensing (UBL) を設定したあと、テストジョブが SUCCEEDED になり画像も出力されれば、構築完了と判断したくなります。

しかし、Arnold はライセンスを取得できない場合も、透かし付きでレンダリングします。検証では、ライセンスを取得できていないジョブが終了コード 0 で完了し、Deadline Cloud 上では SUCCEEDED になる現象に遭遇しました。また、短時間で終了したレンダリングにおいて、CloudWatch の値からライセンスの利用有無を判定できないケースもありました。

本記事では、CMF で Arnold の UBL を設定したあと、ライセンスが実際に使われたことを確認する方法を紹介します。

AWS Deadline Cloud とは

AWS Deadline Cloud は、クラウド上のレンダリングジョブやレンダーファームを管理できるサービスです。Customer-Managed Fleet (CMF) は、利用者が用意した Worker でジョブを処理する構成です。

Arnold とは

Arnold は、Autodesk が提供する物理ベースのレンダラーです。3ds Max では、MAXtoA というプラグインを介して Arnold を使用します。Deadline Cloud で 3ds Max の Arnold ジョブを処理するには、Worker に 3ds Max と MAXtoA を導入し、3ds Max Adaptor から Arnold を選択してレンダリングできるようにします。

Usage-Based Licensing (UBL) とは

Usage-Based Licensing (UBL) は、Deadline Cloud が対応するソフトウェアのライセンスを、使用時間に応じた料金で利用できる仕組みです。Deadline Cloud の CMF で UBL を利用する場合は、VPC に License Endpoint を作成し、Worker からのライセンス要求を Deadline Cloud のライセンスサーバーへ転送します。

対象読者

  • Deadline Cloud の CMF で Arnold の UBL を設定している方
  • ジョブは成功したものの、UBL ライセンスを取得できたか確認したい方

参考

事象

開発環境で Arnold のライセンスを設定せずにレンダリングしたところ、ジョブは画像を出力して SUCCEEDED になりました。しかし、画像全体には透かしが表示されました。

deadline-cloud-arnold-no-license-watermark

また、セッションログを確認したところ次の警告が出力されていました。

rendering with watermarks because of failed authorization

ジョブ状態から分かるのはレンダリング処理そのものが成功したかどうかであり、Arnold のライセンス取得の成否は別の方法で確認する必要があります。

このあと、別環境で UBL を設定し、最小構成の Arnold ジョブを実行しました。

このジョブも SUCCEEDED になり、ログに認証失敗の警告はありませんでした。一方、レンダリングは 1 秒未満で終わり、CloudWatch の LicensesInUse0 のままでした。UBL の利用を直接確認するには LicensesInUse=1 を観測する必要がありますが、この試行では確認できませんでした。出力は 160×120 ピクセルの完全透明な画像で、何も描画されていませんでした。この画像だけを見て、透かしが消えたと判断することはできません。

deadline-cloud-arnold-ubl-short-test-transparent
全画素が透明で、透かしの有無を判別できなかった画像

対策

そこで、透かしの有無を確認できる画像にしたうえで、レンダリングを約 7 分間継続させ、その間に LicensesInUse を確認しました。

結果は、次の 3 項目で確認しました。

確認項目 今回確認した内容 役割
CloudWatch LicensesInUse=1 UBL 利用の直接証拠
セッションログ 環境変数・警告の有無 対象ジョブとの整合確認
出力画像 物体の判別可否・透かしの有無 最終成果物の確認

CloudWatch の確認

Deadline Cloud は、AWS/DeadlineCloud 名前空間に LicensesInUse メトリクスを出力します。CMF では、LicenseEndpointId で License Endpoint を、Product でメーター製品を絞り込めます。

今回は、LicenseEndpointId だけを指定した系列と、Product=arnold だけを指定した系列を別々に取得しました。2 つのディメンションは同時指定しません。どちらも開始前の 0 から描画中の 1 へ変化しました。

Product=arnold の系列で LicensesInUse=1 となり、Arnold のライセンスセッションが使われたことを確認できました。

ログと画像の確認

セッションログでは、ADSKFLEX_LICENSE_FILE が対象の License Endpoint を指していることと、無ライセンス時に出ていた認証失敗と透かしに関する警告が、今度はなくなったことを確認しました。

出力画像は物体を識別でき、Arnold の透かしがないことを目視で確認しました。

deadline-cloud-arnold-ubl-verified

ログや画像だけでは、利用したライセンス経路を単独で証明できません。本検証では、LicensesInUse=1 を直接証拠とし、ログと画像で対象ジョブとの整合性を確認できました。

まとめ

Arnold はライセンスを取得できない場合も、透かし付き画像を出力して正常終了することがあります。そのため、Deadline Cloud のジョブが SUCCEEDED になったことだけでは、UBL の利用開始を確認できません。

以下の手順によって、レンダリング時に UBL が利用されたことを確認できました。

  1. メトリクスを観測できる実行時間を確保
  2. CloudWatch の LicensesInUse=1 を確認
  3. セッションログと出力画像で対象ジョブとの整合性を確認

Deadline Cloud の CMF で Arnold の UBL を利用する前の確認項目として、参考になれば幸いです。


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