LINE Pay / LINE CheckoutでEC決済・キャッシュレス決済をかんたん導入!第3回LINEテクノロジーパートナー向け勉強会参加レポート
第3回LINEテクノロジーパートナー向け勉強会が開催されました!
2019年7月25日(木)にLINE株式会社主催のLINEテクノロジーパートナー向け勉強会の第3回が開催されました!
LINEテクノロジーパートナー向け勉強会は、LINEのサービスのアップデート情報や活用事例紹介をメインとした、LINEのサービスをより深く理解するための勉強会です。半年に1回のペースで開催されています。
第3回のテーマは LINE Payの紹介 です。今回、弊社クラスメソッドは Developers.IO CAFE でのLINE Payの活用方法の事例紹介をさせていただきました。
本記事はその内容のレポートです。
なおLINE for Businessでもセミナーレポートが公開されていますので、あわせてお読みください。
1. オープニング、API関連アップデート情報共有
まずはLINE株式会社高木氏より、API関連のアップデート情報を共有いただきました。
詳しくは公式のドキュメントをご参照ください。
- Messaging APIに統計情報を取得するエンドポイントが追加
- LIFF(LINE Frontend Framework)のBLE(Bluetooth Low Energy)通信
- LINE Thingsの自動通信機能
- LINE Beacon対応の近接ビーコン端末(ACCESS社製)
2. LINE Payのご紹介
LINE Payについての概要
次にLINE Pay株式会社橋本氏より、LINE Payについての概要をご紹介いただきました。
キャッシュレス消費者還元事業
2019年10月1日より、キャッシュレス消費者還元事業が行われます。これにより2020年6月まで、対象となっている中小事業者でキャッシュレス決済を利用すると最大5%のポイント還元が行われます。
国内のキャッシュレスサービスの増加
普段TVCMやコンビニなどでよく目にするのでお分りいただけていると思いますが、キャッシュレスサービスはここ数年で大きく増加しました。
なお、LINE Payは「QRコード決済サービス」と認識されることが多いのですが、その限りではありません。
LINE Payは何?
LINE Payはモバイルウォレットサービスで、決済については4つの手段がご利用できます。
- LINE Pay カード(プリペイドカード)
- コード決済(QRコード / バーコード)
- タッチ決済(Androidのみ)
- オンライン決済(スマホ / PC)
その中でもLINE Payでは今後、 オンライン決済(スマホ / PC)に注力 していきます。
チャージして、決済・送金・出金できるサービス
LINE Payでは様々な手段により チャージ/決済/送金/出金 が利用できます。
チャージは銀行口座から行う方法以外に、現金からレジなどでチャージすることもできます。
残高の一部をLINEの友だちに送金できますので、割り勘などのシチュエーションにおいても役立ちます。
LINE Payのユーザー数
LINEは国内の月間アクティブユーザー数(MAU)が8,100万となっており、LINE Payについては 登録数が3,600万、グローバルで741万MAU(2019 2Q時点) となっています。間違いなく 国内で最もポピュラーな決済サービス と言えるでしょう。
こちらは利用者の居住地と年代・性別の分布図です。居住地は概ね人口分布比率に近しい数値です。年代としては、スマホネイティブ世代が最も利用していることになります。
LINE Payのセキュリティ
LINE Payでは、ユーザーが安全・安心に利用できるよう以下のセキュリティ対策を行なっています。
以下のブログにも詳細に解説されています。
本人確認制度
LINE Payでは不正利用を未然に防ぐため、利用開始時に所定の手続きによる本人確認が必要になっています。
LINE Pay専用パスワード
LINE Payを利用するにあたり、LINE自体のパスワードとは別に LINE Pay専用パスワード の登録が必要となっています。使うごとに都度入力が必要となりますが、Touch IDやFace IDといった生体認証を入力の代わりに利用できるため、簡単かつセキュアに利用できます。
安全なクレジットカード決済
クレジットカードを登録して使う場合は、セキュリティコードの認証に加えて 3Dセキュア認証 を行う必要があります。自分しか知しらない3Dセキュアの認証パスワードを確認するため、第三者による不正利用を防止でき、より安全にクレジットカード決済を利用できます。
情報の暗号化
登録した銀行口座情報やクレジットカード情報は全て暗号化して保管されています。そのため支払先の店舗や送金先のLINE友だちに情報が渡ることはありません。
またLINE Payは、PCI DSSやISO/IEC 27001に準拠し、安全で信頼性の高いサービスを提供しています。
24時間365日のモニタリング体制
送金依頼の回数や金額、アカウント作成の挙動などから、不正な動きをするアカウントを検知するモニタリングシステムが導入されています。
システムおよび人の目による24時間体制でのモニタリングにより、悪質な利用や、不正行為の拡大を未然に防ぎます。
利用者補償制度の採用
LINE Payでは、第三者による不正行為によって発生した損害を補償する制度を導入しています。送金・支払い・出金など全てのLINE Payサービスが補償の対象となっており、万が一不正に利用された場合、損害額はLINE Payがカバーしてくれます。
どのようなケースが補償の対象となるかについては公式ブログで解説されていますので、そちらをご参照ください。
これからのLINE Payの事業・サービス方針
これまでのLINE Payオンライン決済
これまでLINE Payはシンプルな決済サービス単体として提供されていました。ECサイトなどでは複数の決済サービスの選択肢の一つという形で利用されています。
事業方針とAPIをリニューアル
事業方針として LINE独自の価値提供 をコンセプトに、LINE 公式アカウントとの連携強化 が進められます。これからは決済サービス単体としてではなく、LINEの各サービスと連携しながら、LINEならではの体験が得られるようになっていきます。
APIについては、決済に加えて ユーザーがLINEに登録した配送に必要な個人情報が利用可能 になります。こちらは先日発表された LINE Checkout そのものです。
すぐに買えちゃう「LINE Checkout」
LINE Checkoutは、LINE Payのオンライン決済加盟店向けの新サービスです。LINEアカウントログインと併用することで、LINE Profile+に登録した氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどのようなオンラインショッピングに必要な情報を活用できるようになります。
ユーザーとしては新しく情報を入力する必要がなくなるため「入力が面倒だからやっぱり買うの辞めた」といったケースが起こりづらくなり、購入までのコンバージョン率の向上が大いに見込めます。
現在ではLINEで住所までの情報を設定する必要があるケースはLINEデリマなどが挙げられますが、今後は様々な施策によりLINE Profile+への情報登録が推進されていくことでしょう。
LINE Checkoutのユースケース
ECサイトのみならず、LINEならではのユーザー体験ベースで購買体験も大きく変えることができます。
こちらはLIFF(LINE Frontend Framework)を組み合わせたチャットコマースの例です。コーディネート画像がチャットで送られてきて、掲載されているアイテムをタップすると商品の詳細を見ることができ、そのまま購入・発送まで済んでしまいます。
こちらはトークルーム内決済です。例えば化粧品の場合、ポップアップストアに立ち寄って接客を受けたものの、その場では購入しないといったケースはよくあるかと思います。後日試用した商品の情報がトークルームで届き、その際に以前取得したクーポンを使って簡単購入。その後さらに限定色の紹介をキャンペーンで告知したり…といったようなマーケティングアプローチから購入までをシームレスに繋げます。
LINE Pay API Overview & Demo
LINE株式会社中嶋氏よりLINE Pay APIのご紹介&デモをしていただきました。
LINE Pay API v3
LINE Pay APIの最新バージョンとしてv3がリリースされています。v2との違いなどを解説いただきました。
まずLINE Pay API v2の基本的なフローは以下のようになっています。なお、このフローはv2とv3で大きくは変わりません。
- サーバーからReserve APIを呼び出し、決済URLをもらう
- 決済URLをユーザーに渡し、ユーザー ~ LINE間で決済認証
- LINE Payから承認通知がサーバーに届くのでConfirm APIを呼び出す
v3ではReserve APIがRequest APIという名前に変わります。またRequest APIには配送する商品かどうかが選択できるようになっています。配送する商品の場合、LINE Profile+と連携しユーザーに対して決済認証を行う際に配送先の選択を求めることができます。
サーバー側から設定した配送先を取得するにはInquiry ShippingMethods APIを利用します。
また、よりセキュアな認証を行うために X-LINE-Authorization
ヘッダーにトークンをセットする必要があります。
LINE Pay Demo
LINE Checkoutの例として、ワインのチャットオーダーのデモをご紹介いただきました。
チャットでワインの種類や個数を選び、住所入力を省略しながら決済&発送を行なっています。
3. クラスメソッドによる実践事例ご紹介
次に弊社クラスメソッドの諏訪と中村から、Developers.IO CAFE でのLINE Payの活用方法の事例紹介をさせていただきました。
Developers.IO CAFEとは?
Developers.IO CAFEは弊社(クラスメソッド株式会社)が運営する、秋葉原に所在するカフェです。どなたでもご利用いただけます。
決済方法はキャッシュレスのみ といった次世代型カフェとなっており、顧客体験や技術を実験的に導入し改善を社内で繰り返すことを目的としています。
現在は お菓子コーナーのウォークスルー決済(レジレス) と カフェメニューのモバイルオーダー を提供しています。
経緯や技術的な情報はすでにブログがいくつかありますので、こちらをご参照ください。
- Amazon Go体験ツアーを組んでシアトルに行ってきました。 〜レジ無し店舗体験編〜 | DevelopersIO
- 社内の精鋭たちを集めて3週間でAmazon Goっぽい仕組みを作った | DevelopersIO
- Developers.IO 2018 で「Amazonの文化をハックせよ。100万円未満で無人レジの仕組みを作ってみた 〜横田deGoプロジェクト〜」について話してきました #cmdevio2018 | DevelopersIO
- 【小売業界のシステム部門必見】キャッシュレスでウォークスルー「Developers.IO CAFE」〜小売の最新型をAWSで構築〜 #AWSSummit | DevelopersIO
Developers.IO CAFEとLINE
Developers.IO CAFEではいくつかのLINEサービスを利用しています。
- LINE Login : 新規登録不要な認証
- LINE Pay : キャッシュレス決済の手段のひとつ
- LINE Messaging API : チャットボットによるモバイルオーダー&ペイの実現
いずれも お客様が手間なくカフェをキャッシュレスで利用できるようにする ことを主目的として導入しています。
LINE Payの実装とTips
Developers.IO CAFEでは、ネイティブアプリからモバイルオーダーを行うことができます。
LINE Payの実装
LINE Payによるモバイルオーダーは、概ね下図のようなフローで実現しています。
- モバイルアプリはサーバーの予約APIを呼び出す。
- サーバーはLINE PayのReserve APIを呼び出す。
- LINE PayはサーバーにPayment URL(WebページURL / LINEのURL Scheme)
- サーバーはPayment URLをモバイルアプリに返す。
- モバイルアプリはいずれかのPayment URL(WebページURL / LINEのURL Scheme)を使ってLINEの決済承認を呼び出す。
- LINEアプリで決済を承認する。
- LINEアプリはモバイルアプリを呼び出す(呼び出し先は 2 の時にサーバーから伝えている)。
- モバイルアプリはサーバーの確定APIを呼び出す。
- サーバーは決済が確定していることをLINE Payに確認をする。
- サーバーはモバイルアプリに注文番号を返す。
LINE Payによる決済をネイティブアプリに導入する際の特に良かった点は 専用のSDKを必要としない ところです。URL SchemeでLINEを呼び出すだけで済むので、非常に簡単に実装できます。
Tips
今回の実装した中でのいくつかのTipsをご紹介します。
決済手段を選択するUX
LINE Payは便利なものの、ユーザーは その時々でメリットが大きい決済サービスを使い分ける という点があります。そこで、決済ボタンは「最後に決済した手段の決済ボタン」と「決済手段を選択する画面に進むボタン」の2つを配置しました。これでよく使う決済手段は簡単に使えるようにしつつ、変更も容易にできるようになります。
決済のテスト時は商品の値段をユニークにする
LINE Payのテスト用の決済は 実際に決済が行われた後、時間差で返金される という仕様になっています。そのため、実際のLINEアカウント上の決済履歴には本番用の決済とテスト用の決済が入り混じります。確認しやすくするため、テスト用の商品は本番で使わないような値段を設定することをオススメします。
Appleのレビュアーがテストできるようにする
iOSのレビュー申請では、AppleのレビュアーがLINE Payを試せるようにする必要があります。今回はテスト用のLINEアカウントに送金するという手段を取りました。他にも残高を増やす方法があるので(前述)、テスト用のLINEアカウントに残高を作る工夫が必要です。
LINE Messaging APIを利用したチャットボットオーダー
ネイティブアプリでのモバイルオーダーの他に、LINEのチャットボットでのモバイルオーダーも開発しました。Developers.IO CAFEのアカウントと友だちになるだけでモバイルオーダーが行えるので、アプリのインストールが不要で非常に手軽に使うことができるようになっています。
素早くチャットボットを作るには
LINEには素早くチャットボットのプロトタイプを作るためのツールが揃っています。
LINE Bot Designer
プログラミングの知識がなくても、簡単かつ短時間でLINEのチャットボットのプロトタイプが作成できるツールです。
Developers.IO CAFEでは、顧客体験を軸にチャットボットの振る舞いや見え方を高速でプロトタイピングしつつ、動画で要件定義を行いました。
Flex Message Simulator
Flex Message Simulatorは、Flex Messageをノンコーディングでデザインできるツールです。UIについては、デザイン ~ フィードバック ~ 反映を高速で繰り返すため、Flex Message Simulatorを使ってノンコーディングでレイアウト、確認、都度反映を徹底しました。
まとめ
LINE Payは国内におけるキャッシュレス時代の代表的な決済手段 と言えます。実装が簡単な上に効果は抜群に良いので、ぜひ導入を検討してみてください。またLINE CheckoutはECの住所入力という負を解消してくれる画期的な手段です。使わない手はないでしょう!
今後もLINEの各種サービスを活用した取り組みを進め、このような勉強会で事例としてご紹介できればと思います。