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AWS&Azure&GCPの凄腕エンジニアが激論!「雲の中心で愛を叫ぶ! クラウド横断パネルディスカッション」レポート(完全版) #devsumi

2020.03.02

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2020年02月13日(木)〜14日(金)の2日間、目黒雅叙園で開催された『Developers Summit 2020』。

通称"デブサミ"と呼ばれているこのカンファレンスイベントには、私自身2013年から参加しており(この時は一般枠として)、翌2014年からはいわゆる『プレス枠』として参加させて頂き、翔泳社様のメディアサイト『CodeZine』にレポートを寄稿させて頂いていました。(※これまでの寄稿情報については以下ページをご参照ください)

そして今年2020年も、引き続きプレス枠として参加しました!

当エントリは寄稿エントリとして聴講したものの中から、Developers.IOでも是非レポートしておきたい!というセッションについてレポートしたいと思います。同僚の濱田孝治が登壇した「雲の中心で愛を叫ぶ! クラウド横断パネルディスカッション」です。

目次

セッション概要

セッションの概要は以下の通り。(公式サイトから抜粋)

【セッションタイトル】 雲の中心で愛を叫ぶ! クラウド横断パネルディスカッション【セッション説明】 年々多数のサービスが登場し、技術の進化が激しいパブリッククラウド。本セッションでは、AWS、Azure、GCPをそれぞれ使いこなしているエンジニアのみなさんをお呼びし、クラウド愛あふれるパネルディスカッションを行います。各プラットフォームの最近の動向、好きなところ、使いどころ、そしてサービスへの愛をざっくばらんに伺い、みなさんにとって気になるサービス、好きなサービスにたくさん出会える時間となれば幸いです!

そして、登壇者に関する情報は以下の通り。

  • 司会:近藤 佑子氏(株式会社翔泳社 CodeZine編集部 副編集長、Developers Summit / Developers Boostオーガナイザー)
  • パネラー:
    • 濱田孝治(クラスメソッド株式会社 AWS事業本部コンサルティング部 マネージャー/シニアソリューションアーキテクト)
    • 松村 優大氏(株式会社オルターブース 業務執行役員 / Chief Technical Architect)
    • 高野 遼氏(クラウドエース株式会社 取締役 CTO)

(※左から近藤氏、濱田、松村氏、高野氏)

セッションレポート

各者自己紹介

近藤:
では、セッションを始めさせて頂きます。まずは自己紹介から。
株式会社翔泳社 CodeZine編集部 副編集長、Developers Summit / Developers Boostオーガナイザーを務めさせて頂いてます、近藤 佑子と申します。CodeZineというWebメディアでエンジニアの皆さんに役立つ情報をお届けしているのと、デブサミ全体の企画・運営取りまとめをやっています。去年、AWS/GCP/Azureの資格を、ちょっとクラウドの勉強をしてみたいと思って、無事3つとも合格することが出来ました。そういった経緯・観点からこのセッションを企画しました。本日はパネリストの皆さんに、初心者目線で色々伺えたらな、と思っています。よろしくお願いします。

(※司会:近藤 佑子氏)

本日の流れは、このあとパネリストの皆様に5分程で自己紹介をして頂き、ディスカッションの中で「業務における気付き」や「個人のキャリア」「組織の育成」について、最後に「クラウドの学び方」というテーマで皆さんに伺っていきたいと思います。
パネリストはこちら御三方、AWS代表はクラスメソッドの濱田さん、Azure代表はオルターブースの松村さん、GCP代表はクラウドエースの高野さんにお越し頂いています。

自己紹介&会社紹介:濱田 孝治(クラスメソッド株式会社/AWS代表)

濱田:
どうも、よろしくお願いしまーす。皆さん、こん、こんばんはー!! ...一瞬、こんにちはとこんばんは、迷いました(笑)
クラスメソッドAWS事業本部コンサルティング部、濱田と申します。よろしくお願いします。会社と自己紹介をさせて頂きます。「クラスメソッドとは」と一番最初にお話をさせていただくんですが、2つだけ、皆さんにお伝えしたいと思います。2つだけです。「AWS」ってキーワードと、あともう1つ「Developers.IO」、この2点をご紹介させて頂ければと思います。
クラスメソッドは、2018年のパートナー・オブ・ザ・イヤーをめでたく頂きまして、AWSビジネスに最も貢献したパートナー、というふうに認められました。2019年の(パートナーオブザイヤーの)発表はされていないんですけれども、来月くらいですかね、3月に発表があると思います。

もう1つ、うちの会社の特色なんですが、AWS re:Inventですね。ご存知の方も多いと思うんですが、このイベントに昨年2019年は総勢80人で参加してきました。

うちの会社はですね、別にそんな多くないんですね、350人くらいの規模の会社なんですけれども、その中で80人が一週間、現地(ラスベガス)に出かけてワーワーやっていました。良くこれで業務が回るな...という(笑)、そんな会社なんですけれども、AWSにコミットしている会社なんだな、というふうに思って頂ければと。
最後、Developers.IO、はい。AWSに関する情報を検索したときにDevelopers.IOを参考にしている、という方々も多いかと思いますが、社員ほぼ全員で書いてます。僕も勿論書いています。月間220万PV平均、去年のre:Invent効果で一時的に290万PVまで跳ね上がったようです。そんな感じでみんなでせっせとブログを書いています。

次に自己紹介。僕、濱田孝治と言います。社内外では『ハマコー』と呼ばれています。入社は2年半前。2017年09月に独立系SIerからジョインしました。現在はAWS事業本部 コンサルティング部に所属しているのですが、この部署が何をやっているかというとざっくりいうと、AWSに困っている人々にAWSのことを何でもやってあげる、という感じです。コンサルティングもしますし、構成図書いたりとか、勿論実際の構築もやりますしインフラのテンプレートをCloudFormationやTerraformで書いたりとか、サンプルのコードを書いたりとか、およそAWSに関することは何でもやっている、という感じですね。

(※パネリスト:濱田孝治 a.k.a.ハマコー(AWS代表))

ブログはこの2年半で160本書いています。この数字、うちの会社ではそんなに多いというわけでは無いんですけれども...僕が普段どんな記事を書いているのかについては、私の著者ページから辿ってご確認頂けると。

好きなAWSのサービスは、僕的には最近コンテナにハマっているので主なスペシャリティはコンテナ関連が好きですね。ECS、EKSなどなど。あとはIaC(Infrastructure as Code)としてはCloudFormationも凄い好きです。好きになった一番最初のキッカケはやっぱり 『EC2』ですね。僕もここまでITエンジニアとしてキャリアを18年程重ねているんですけれども、一番最初、サーバを手でこねてキッティングしてラックに詰め込んで....みたいなことをやってたんですが、そこがEC2でサクッと出来てしまうことの衝撃というのが凄くて、そこが惹かれたところでした。また、APIが全て公開されていて、コードで何とでも出来る、ってところもすごく惹かれた部分ですね。
最近のAWSの動向で感じることですが、すげーパーソナルなことを言いたいなと思うんですけれども...あの...もう...止まらないんですね。アップデートや機能追加の勢いが(笑) もう、AWSって結構歴史が長いくせに、本当にアップデートの速度が全然止まらないし、サービスもどんどん増えてくるし、積み重なってくるので結構ですね、中の人としてはですね、中の人というか専業で扱っているものとしては、辛い部分もあるというところで...はい。たまに疲れるときもある、と(笑) これは本当に、正直な気持ちですね。

で、疲れるときもあるんですけども、AWSと付き合っていくときに、一定のコツというかあるなーと。乗りこなし術と言いますか。その辺が掴めるとものすごい楽しいな、と思っています。この2年半でやってきて感じているその「コツ」と「楽しさ」の部分を、是非皆さんとパネルの中でディスカッションしながらお伝えしていければと思います。

自己紹介&会社紹介:松村 優大氏(株式会社オルターブース/Azure代表)

松村:
みなさんこんばんは。株式会社オルターブースの松村と申します。よろしくお願いします。
現在は業務執行役員とChief Technical Architectというロールで活動しております。主に、自社のプロダクトの開発推進やコンサルティングを普段の業務でやっています。個人ではMicrosoft MVPという、Microsoftから個人に送られるアワードがあります、それを2016年、開発系のカテゴリで受賞させて頂きました。
また、個人的には普段C#という言語が一番好きで、コミュニティも色々やっています。昨年はMicrosoftのde:codeというカンファレンスに登壇させて頂いたり、PHPカンファレンスの福岡版、昨年は実行委員長を務めさせて頂きました。

私が所属するオルターブースという会社は、拠点が福岡にあります。2015年創業のまだいわゆる『スタートアップ』です。社員も全体で15人、ほとんど福岡、東京に1名だけ在籍しています。やっていることは、Microsoft Azureを一番得意としていまして、それを使ったクラウドインテグレータ事業をメインに行っています。

オルターブースではコンサルティングもやりますし、開発もやります。全てクラウドでWebアプリケーションや業務システムを作る、というのをやっております。会社としては2017年と19年に、Microsoftのパートナー・オブ・ザ・イヤーを受賞させて頂きました。
なので私も普段Azureをよく使ってAzure自体も大好きなんですけれども、好きなサービスとしてはAzure App Service、WebAppと言ったりもしますけれども、これはフルマネージドのWebサーバです。C#とか、Node.js、PHPとかいろんな言語に対応していて、いわゆるPaaSと言われる領域のサービスになります。サーバ自体の管理、我々利用者が触れる部分はかなり限られております。私としては非常に安定感のあるサービスだと思ってます。スロット機能という、1個のサーバーリソースでいわゆるプロダクション環境とステージング環境とか開発環境とか切り替えが出来る機能があったり、CI/CDと連動していたりとか、Dockerのコンテナイメージを動かすことも可能です。
あともう1個、Azure Cloud Shellという、開発用、自分たちが管理用に使うシェルがあります。これはAzureポータル上に組み込まれているものです。なのでブラウザ、ポータル上でbashとかPowershellのコマンドが打てるようになってます。GitとかdotnetとかNodeとか、kubectl(Kubernetesのコマンドラインツール)が既に入っており、トレーニングとかも全てこの環境で出来るのでとても重宝しています。

(※パネリスト:松村優大氏(Azure代表))

Azureが好きになったきっかけ、これはやはりコミュニティですね。デブサミもそうですけど、元々は医療系のパッケージエンジニアをやっていたんですけれども、福岡でJAZUGというAzureのユーザーグループイベントに参加して、そこでAzureを知り、PaaSの『ユーザーが諸々管理しなくて良い』というところに衝撃を受けました。今でもC#とか、Visual Studioを使って開発しているので、Azureとは相性が良いというのは感じます。
個人的には、これからのAzureで「熱い」ところは幾つかアイコン並べてますけど、いわゆる「クラウドネイティブ」のアプリケーションを作成するのに適したサービスですね、Kubernetesもそうですし、あとこのAzure Functionsとか、いわゆるサーバレスですね。こういったサービスもだいぶ揃ってきているので、クラウドの良さをフル活用するアプリケーションが作りやすくなっていると思います。

自己紹介&会社紹介:高野 遼氏(クラウドエース株式会社/GCP代表)

高野:
皆さんこんにちは。クラウドエースの高野です。1988年生まれ、宮崎県都城市というところで育ちました。高専を出まして、富士通という会社に入りまして...本日富士通からいらした方、いらっしゃいますか?(数名挙手)お世話になっております(笑)
富士通では沼津工場というところにおりまして、社内のシステムを作っておりました。プライベートクラウドを作っておりました。もしかしたらまだ生きているかもしれないですけれども。当時では新しくて、EC2もなかったときに、VMを自動で払い出すWebアプリケーションを作っていました。
その後、今のクラウドエースの前職となる会社に転職をしまして、そこから更にフリーのITコンサルタントを2年間、クラウドエースという会社は2016年の11月に出来た会社で僕が6人目の社員です。今は社員数が160名近く居ます。

(※パネリスト:高野遼氏(GCP代表))

クラウドエースはGCPのパートナーです。Google Cloudのパートナーをずっとやっておりまして、現在はマネージドサービスプロバイダーと⼀番上位のプレミアサービスパートナーの認定をもらっています。拠点については、海外展開をかなり早めに進めていまして、APACにシンガポール/ベトナム/タイ/インドネシア/台湾に海外支社があります。今年もう1個くらい出来るかもしれません。日本では東京大阪名古屋福岡に拠点があり、リモートでも沖縄のメンバーが居たりします。

クラスメソッドさんが先程、80人re:Inventに行ったという話をされましたけども、一応弊社もGoogle Cloud Nextというイベントがサンフランシスコであるんですけれども、頑張って10人くらい行きました(笑)、普通に一週間滞在すると、旅費交通費宿泊費で50万くらい掛かるんですよ。普通に。分かります?50万円x80人で...恐ろしいですよね(笑) 僕らは10(人)が限界ですね。今年も、クラウドエースでは15人くらい参加したいなと思ってます。
アプリケーション開発の分野では、グローバルでアワードを頂いています(Partner of the Year Winner:Application Development)。そしてGCPに掛かるリセールだとか、システム開発をやっています。
社員はGCPが好きな人が集まっていて、資格取得も推進しています。社員数よりも取得した資格の数は多いです。 僕もここに挙げた資格は1つを除いて全て持っています。

クラウドが好きになった切っ掛けとしては、あるタイミングでGoogle App Engineを使って業務システムを作る、という、当時めちゃくちゃ先進的なことをやっていたんですね。今となってはこのアイコンももう使われていませんが(笑)、これが僕の最初のGoogleとの出会いでした。Google App Engineが僕にとっての最初のPaaS、いわゆるソースコードを書いてデプロイすれば動きます、という世界を見て「もう全部これでいいじゃん」と思い、こっちの世界にシフトしようかな、と思いました。
他に好きなサービスとしては、僕はアプリケーション開発者なんですね、皆さんCI/CDってやってます?やっている人は分かると思うんですけれども、CI/CDのビルドの安心感って、あれヤバいですよね?(笑) 先進的、安心感ヤバくないですか?自分のクソみたいなビルド環境でイメージが壊れないとか、めちゃくちゃ安心するじゃないですか。CI/CD環境をGoogleが「Cloud Build」というサービスで用意してくれているのは嬉しいですね。

もう1個は最近流行りのML、機械学習。Cloud AutoML Visionってのが非常に良いサービスになっています。

最近のGCPの動向を僕が勝手に僕目線でお話しますと、GCPは今2つの領域に力を入れています。

1つはモダナイゼーション(Modernization)。このモダナイゼーションは2種類あって、アプリケーションとインフラのモダナイゼーションがあります。これを実現するために、AnthosというプラットフォームをGCPは用意しています。

もう1つはデータプラットフォームで、BigQueryを中心としたデータ分析基盤をGCPは力を入れています。

トピック1: 業務における気づきについて

案件の傾向

近藤:
ではディスカッション、最初のトピックに参ります。ここでは『業務における気付き』などについて伺っていきたいと思います。
最初の質問は『どんな案件・業種・テクノロジーのものが増えているか』というところについて、それぞれお話頂きたいなと思います。
濱田:
今日の3社って、思いっきりインテグレーターなんでいろんなところから引き合いを受けて仕事する、という感じかとは思いますが、AWSに関してはうちの会社の特色的なところもありますが、本当に業種はバラバラですねー。ECされているお客様とか、小売のお客様とか、医療系のお客様もいますし、金融系の会社様もいます。それだけ、AWSが広く使われてきているんだな、おしなべて色々なお客様からの引き合いはあるな、という感じですね。
近藤:
濱田さんご自身の感覚的には、今までは例えばWeb、ベンチャーとかスタートアップとかだったのが例えば金融系などの割合が増えてきているシフトしてきている、という感じなのでしょうか?
濱田:
僕が(クラスメソッドに)入ってきたのが2年半くらい前なので、2年前でもEC系とかWeb系のお客様は多かったなという印象なんですけれども、本当にここ1年くらいで頂く案件は会社さんの規模も5人くらいの小規模なところから1万人規模の大きなところまで本当に様々ですね。いろんな方々がAWSを使っていこう、と思われているんだなーと肌で感じています。
近藤:
テクノロジー系には、濱田さんはコンテナをやられているということでしたが、コンテナの需要は増えていますか?
濱田:
コンテナーは...すごい好きですね!ってそういう質問じゃないか(笑)
コンテナーの需要は、増えてますね。特に昔は、EC2でオートスケーリング、みたいな構成が一般的だったんですけれども、そっから先スケーリングや環境のポータビリティだっってところでコンテナを使おうとされているお客様が増えているなと。これからサービスを新しく作ろう、というときに、SaaSみたいなものを出すときに、アジリティ高くやりたいからコンテナで考えていく、というケースは凄い増えています。
近藤:
なるほど、ありがとうございます。続いて松村さんはいかがでしょうか。
松村:
弊社は拠点が福岡ということは先程お伝えしましたが、お客様のほとんどが東京です。勿論九州のお客様もいらっしゃるのですが、Microsoftのゴールドパートーナーというところもありまして、やはりエンタープライズ系の企業様とお仕事をさせてもらったりということは多いです。最近は、先程高野さんも言われましたけれども、Azureでもモダナイゼーションの流れが非常に来ているなと感じています。例えばWindowsサーバが古いOSがサポートされなくなってくる、じゃあAzureに行こう、といったところでご相談頂くようになる、というのが多いです。
近藤:
松村さんの好きなPaaSとかエンタープライズを活用されているというのはあるんですか?
松村:
基本的には仮想マシン、いわゆるIaaSはあまり使わないですね。基本的にはPaaSとサーバレス系ですね。あとはSaaSのサービスと組み合わせるとか。最近だとAzureは、Logic Appsってみなさん聞いたことありますか?いわゆる『ノンコード』です。コードを書かずに処理やワークフローを組むことが出来るサービスです。
近藤:
確かに最近はローコード、ノンコードというのはトレンドになっているな、と感じています。高野さんはいかがでしょうか。
高野:
クラウドインテグレータとというか、SIerなのでまず基本的にはクラウド活用支援ということで僕らは呼ばれることが多いはずなんですね。つまり、自社でクラウドをやってみたいけれどもやりかたが分からないから教えてくれ、とか一緒に手伝ってくれ、とかの話は絶対的にずっとあって、それでいうとクラウドエースも今、年に2倍のペースで売上が上がっているんですね。なんでずっと増え続けている。という事になっています。
もう1個は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉。誰が流行らせたのかわからないですけれども(笑)、やっぱりユーザー企業さんはあれを気にしておられる。でユーザー企業経営層の方も気にしておられる。現場の生産性を上げるために、データプラットフォームを作っていきたい。というお話が多いので、BigQueryを中心としたデータ分析基盤のお話が非常に多いです。それに付随するセキュリティのコンサルティングだったりとか、GCPのコンサルティング、どうやって使っていったら良いんだ、というお話が多いかなと思っています。
近藤:
私もGCPはデベロッパーに近いサービスだな、というイメージがあるので、DXとはちょっと遠いのかな?というように感じていたんですけれども、確かにBigQueryの活用、という意味だとすごい納得できる部分もあるかなと思いました。
高野:
あと、この点についてはG Suiteの影響もあるんですよ、G Suiteが使われてて、BigQueryとG Suiteがどんどん近づいて行っているんですね。Google Spreadsheetですね。そこが近づいていってるんで、BigQueryのデータを整備して、 カタログ化して、現場の業務効率化に使いたい、という話が多いです。

自分が推しているクラウドで『便利なところ』は?

近藤:
次の質問に行きたいと思います。『自分が推しているクラウドで便利だなと思うところ』。仕事で使っている上で、便利だなと思うところについて伺いたいと思います。
高野:
GCPで便利なところは、『プロダクトが多くない』ところですね。これは悪口じゃ無いですよ(会場笑) 洗練されている、という事にしておきましょう(笑) その点かなー、やっぱり。アーキテクティングで悩まないですね。例えば、あのRDBだったらこれだし、というのを簡単に選べる。Googleの一番いいところ、というのがその領域で一番良いものを出してきている、と思うので、非常にシンプルにアーキテクチャを作ることが出来ます、というのがいいところ、ですかね。
あと、個人的にGCPで気に入ってるところがあるんですよ。Googleはビジョナリーなんです。次のITプラットフォームの形をちゃんと見せてくれる。ハイブリッドクラウドのための仕組み、何が問題でどんな課題があるのかってのをちゃんと目に見える形で見せてくれるので、そこはエンジニアとしては追ってて楽しい部分ではあるかな、みたいな。
近藤:
確かに、Anthosを凄い推してるな、というのを思ったときに、Googleはそういう方向性なんだな、っていうのが私でもわかったのでそういうビジョンを伝えるのがGoogleは上手いな、とは思いました。
高野:
そうなんです、なかなか理解されないですけどね。伝え方は上手いんですけれども(笑)
近藤:
松村さん、いかがでしょうか。
松村:
私自身開発者なので、開発に特化したサービスが好きなんです。例えばさっきも軽く紹介しましたが、Azure Functions。AWSもGCPもサーバレスのサービスってありますけれども、これの良さは『イベントドリブン』であるというところなんですね。何かの、ファイルが置かれたとか、データが登録されたとか、そういった何かをトリガーにして自分が書いたコードが動き出す、というところがシンプルで使いやすい、と思ってます。Webアプリケーション本体からちょっと外れた、サブシステム・サブアクションみたいな、本体から切り離した非同期で出来るような処理、これを実装しやすいというのはサーバレスの特徴だし、好きなところですね。
そういった意味では『AWS Lambda』の勢いは凄い強いな、と思いますね。ただ(Azure) Functionsも色々な言語に対応していますし、色々なトリガーも増えてきているのでこれからが楽しみですね。
濱田:
そうですね、先程高野さんが振って頂いたような気がしたのでアレですけども(笑)、AWSの良さはぶっちゃけ『何でも出来る』ところ、ですかね。AWSは本当に、歴史が長いんですよね。正直、ワークフローをやるときに『何を使うのか?』みたいなところで悩むことはあると思います。
多分、ワークフロー(Workflow)って名前が付いているサービスはまだあるんですけれども、多分今あんまり使われて無くてStep Functionsに寄ってたりとか、バッチ処理では何をするの?Lambdaなのかコンテナなのか、AWS Batchって名前そのもののサービスもあるんですけど...AWSって本当に、何でも出来るんですよ(笑) その一方で、選び方が難しくなっているという感触はありますね。選択肢の多さというのはそれだけ、お客様のニーズに合うものを選べる懐の広さ的なところもあるので、古いサービスを残しつつも新しいものを足していく、進化の早さという点は凄い好きなところですね。
『付き合ってて・追ってて飽きない』というか、イノベーションのスピードが全く落ちない、そこがエンジニアとしてやってて楽しいところですね。
あと、AWSは開発者向けに寄ってきているな、というのは感じています。僕が好きなのが、CDKというのがあるんですけど、TypeScriptとかPythonでインフラを定義する、というやつですね。

元々Cloud Formationとかインフラの1個ずつのプロパティを設定してそれが反映される...というのが元々の「Infrastructure as Code」だったんですが、それがTypeScriptの5行くらいのコードでVPCとECSとその他ソース諸々が一通りのものが出来上がる...みたいなところの凄さを見て、「AWSはインフラ寄りのエンジニアが使うサービス」というイメージが強かったのが「AWSはソフトウェアエンジニア・アプリケーションエンジニアの方に寄ってきているな」という印象は持ちました。
近藤:
濱田さんは元々アプリ開発者と伺っていましたが、今はコンテナ等もやられていて結構インフラ周りの人、という印象が強いのかな?と思いましたがいかがでしょうか。
濱田:
僕は今、どちらかというとアプリ寄りのほうを触っていることが多いですね。Codeシリーズというのがあったりとか、コンテナをメインではやっていますがCI/CDまで含まないと勿体無いのでそのへんを全部マネージド・サービスで完結出来るというようなところを含めて、AWSの中で完結出来てアプリケーション開発出来るという点は良いかなと思ってます。

他のクラウドで『うらやましい』と思うところは?

近藤:
個人的に次の質問、これ凄い聞いてみたかった内容ではあるんですが、他のクラウドで羨ましいなと思うところについて。皆さん、いかがでしょうか。
松村:
AWSについては、開発者・利用者が活発だなというのがありますね。JAWS-UGのようなユーザーコミュニティが活発で大きいカンファレンスが出来たりとか、みんながAWSが好きで、熱を持っていて活動しているというのは、見ていて楽しそうだな、と思いますね。 GCPはあんま使ったこと無いんで詳しくは無いんですが、Firebase、あれは...GCPのサービスなんですかね?
高野:
あれは...GCPのサービスです!

松村:
あれも、使ったことはないんですけど、Firebaseでアプリ作ったとか、開発者が気軽に試せるサービスというのが、開発者ライクというか、開発者自身が好きになれるサービスなのかなという気がしますね。
近藤:
確かにfirebaseはアレによってアプリ開発者のアイデアをすぐサービスとして実現しやすいのかな、というイメージは私も思います。
濱田:
一応JAWSは、僕もJAWSで活動するようになったのはここ1年くらいなんですけど、ユーザーコミュニティとしては日本最大級だと思うんですけれどもむっちゃうちもブログ書いてますし、「あー、この辺分からへん!」というのがあったときに、やっぱこう「人に聞く」のが凄い早いんですね。それは僕も凄い感じているんで、その辺の早さは、コミュニティにこれまで関わってきた人の積み上げてきたものが為せる業なのかな、と思いますね。
GCPが羨ましいなと思うのは、羨ましそうな気がするのは「使おうとしているお客さんが結構イケイケな会社さんが多そう」なイメージがある、というところですかね。まぁ何と比べて、というのは置いといてw GCPは使おうとするお客さんが先進的にクラウドを使われる層が比較的多いのかな?という気がしますが、実際どうですか?
高野:
そうですね、....それはあまり間違ってはいなくて、そもそもGCPは「App Engine」から始まっているんで、目を付けている人達が"ちょっとおかしい"んですね(会場笑) で、何でしょうね...Googleの開発者向けに、開発者を見てサービスを作っているところはあると思うんです。だから売れないんですよ(笑) だからそこはやっぱり、今だとユーザー企業にたくさんエンジニアが増えてきているので、そういうところでファンを獲得しているのはあるのかなと思っています。
濱田:
Azureに関しては、Microsoft系のライセンスを扱うのが、これもぶっちゃけAWSに比べてという話になっちゃいますが、非常にまぁ楽だな、という感触はあります。
松村:
サーバ系のライセンス、開発系のライセンスなどは確かにそうですね。
濱田:
今手元に持っているライセンスを、AWSに持っていくときって、結構ハードル高いイメージがありますよね。まぁその辺は戦略としてもあるのかなとは思いますが...
高野:
他のクラウドで羨ましいところ...そうですね〜...シェアがあるのが羨ましいかな、とは思いますね。あとはAWSもAzureも情報がたくさんあるところ。公式ドキュメントがしっかりしていますし、あとこれは大きい声では言えないんですけれども、大きい声では言えないんですけれども、サポートが良いらしいですね(笑) AWSさんもマイクロソフトさんも。そこはちょっとあるかもしれない。
近藤:
ありがとうございます。高野さんのGCP愛が凄いなーというのを感じました(笑) 松村さん、今の高野さんのお話を聞いてどうですか?
松村:
サポートは確かに、ドキュメントはかなり多いです。日本語訳されているもの、多少機械翻訳もありますけれども、本当の最新の情報が欲しい、となれば英語のを読もうとなりますね。
高野:
その辺一緒ですね。あと、日本語版ドキュメントについては、誤訳が多いですね。例えば、「Container Image」ってフレーズがあるとするじゃないですか。で、この時の"Image"って、"画像"とかで訳したら駄目じゃないですか?(会場笑)
松村:
Azure Functionsが「Azure関数」とか、なってるときありますねー。
濱田:
えーっ、そんなん、あります?(笑)
松村:
あるんですよ〜(笑)

トピック2: 個人のキャリアや、組織について

『クラウドによるキャリアの変化』と『クラウドが広げるキャリアの方向性』

近藤:
続いてトピック2つ目に移りたいと思います。個人のキャリアと組織について、「クラウドによってご自身のキャリアがどのように変化したか」ということと、今これからキャッチアップするという方に「どんなキャリアの可能性があるのか」という点についてお話し頂けたらなと思います。
濱田:
そうですね、率直に言って、(クラスメソッドに入社してAWSに携わる事になって)色々と幅は広がりましたね。転職のきっかけは生々しい話をすると、独立系のSIerに居て、僕も結構年なので、当時は40歳前、今は40歳過ぎてますが、自分はエンジニアとしての市場価値みたいなのを皆さん、すべからく感じるとは思うんですが、危機感を覚えたんですね。そこは正直なところありました。
そこから転職活動を行って、縁があってクラスメソッドに入ったんですけれども、やっぱ(AWSは)使っている人が多い、市場があからさまに伸びていたのでやっぱりそこで「食いっぱぐれがない」かなとは思いましたね。ベタなんですけれども、使っている人が多くて、使われているテクノロジーにどっぷり入って行くことで(自分の市場価値は)大丈夫だろう、という安心感は感じましたね。そこが一番の変化です。
可能性としてはそうですね、世界的な流れで「クラウドを使っていく」というのは不可避だと思うので、その流れの中に居る事によってエンジニアとしての価値というか、市場を見渡して自分のキャリアを考えていけるようなポジションに入れた、というのが一番魅力に感じたところですね。
松村:
キャリア、かなり変化はしました。
元々、福岡の中小SIでクラサバのパッケージを販売していたという状況だったので、そこからオルターブースに転職したら クラウドのWebアプリケーションを作る形になり、"作るアプリケーション"がガラッと変わりました。なので自分の仕事の仕方、 知識のトランスフォームはかなり必要となりましたけど、ただ言語自体はもともとC#をずっとやってきているので、言語自体の変化は無いですね。作るアプリの種類はガラッと変わりました。
今後のキャリアの可能性という点では、これ自分の願望の部分もあるんですけれども、クラウドを利用するといい場面ってこれから必ず増えてくると思います。業種とか関係なく。使ったほうが良いだろうと。自分が大事にしているのが、例えばサーバーレス得意です、とかそういうのはあくまで個人のスキルの問題なんですけれども、自分が/所属する企業が/お客様が解決したい課題、それらをどうやってクラウドのサービスを使って解決するか、そういう部分の考え方が、今の会社に入って身につきましたし、これからチャレンジされる方もその辺りを考えながら進めていくと良いんじゃないかなと思います。
高野:
クラウドによって、自分のキャリアがどう変化したか。クラウドをどう捉えるか、ですね。エンジニアにとってはクラウドは一つの技術的な要素でしか無くって、まぁ僕的には「鉄砲伝来」みたいなものだと思っています。戦い方が変わったんでしょ、と。武器が変わってきている、ということなんだなと思ってます。
安土桃山時代に鉄砲が広まったんじゃないか....すいません、すごい薄い知識で申し訳ないんですけれども(笑)、でもやっぱ、あのときに目を付けて、鉄砲を作ってたところは儲かった...みたいですよ?(笑)で、それもだからずっと続くわけじゃないんですよ。みなさんがクラウドを使っておくと、勿論鉄砲の使い方を覚えておくことで勿論いいところでいっぱい給料を貰って戦える、というのは勿論あるんだけれども、いずれ鉄砲も廃れるわけですよ。だからこれはまず考えておく必要があると。
で、もう1個良いことがあってですね、鉄砲ってのは当時最新・最先端だったわけで、クラウドも今は最新かもしれない。で最新の技術のまわりって最新の問題が転がっているんですね。例えばCI/CDもそうかもしれない。サービスメッシュもそうかもしれない。最新の問題に触れるってことは、エンジニアとしては"至上の喜び"なはずなんですね。なのでそこは皆さんのキャリアに良い影響を与えるんじゃないかな、と思っています。
近藤:
皆さんあの所属されているのがクラウドに強みをもつ、クラウドインテグレーター企業になるかなと思うんですけれども、お客さんのシステムを作られるようなところから転職されたってことで他の会社の方とかも、どういった切っ掛けで入られたのかなというのが気になっています。その辺いかがでしょうか。
高野:
僕は6人の会社から結構な数、採用してきましたが、かなり人数会っていますけれども、クラウドのエンジニア、僕採れなかったんですね。だって(当時はクラウドのエンジニアが)居なかったから。だから、いかにこう、言葉は悪いですが"だまくらかして"会社に入れて、育てるか、ということをやってた訳です。なんで、やっぱり、SESで多重下請構造の中でやってたんだけれどもその環境が嫌で飛び出して来ました、みたいな人もたくさん居ますし、経験が無い人もたくさん居るんですね。だけど経験無くても良いんですよ。だって鉄砲学ぶのにね、経験無くてもコツコツやれば出来るようになるので、どんなところからでも来れるのかな、と思います。
松村:
弊社はまだ創業5年のスタートアップなので、前提としてはやはり転職組が多いです。クラウドを使ってないお仕事の中でコミュニティにいくとか、「興味はあるけど仕事には使ってない」とか、そういう人達が実際に良さを体感して、そこから弊社に入ってきてくれる、という流れはありますね。
近藤:
では、特に今までAzureやGCPを使いこなしている人が来る、という感じではない?
松村:
そうですね。ただ社員個人個人では登壇をしていたり、Microsoft MVPを複数年に渡って個人のスキルは非常に高い人達が弊社に入ってそれを業務で活かしている、という人が多いです。
近藤:
ありがとうございます。続いて濱田さんにお伺いしたいんですが、クラスメソッドさんて今社員は何人くらいいらっしゃるんでしょうか。
濱田:
多分、グループ全体で350〜400弱の間くらいだと思います。
近藤:
そんな中で色々なキャリア・バックグラウンドの方々が多いのかなと思うんですが、最近だとAWSを使っていない方の入社は...あまりいらっしゃらない感じなのですかね?
濱田:
私の部署(AWS事業本部)では、さすがにそういう人は居ないです...けど、これはちょっと声を大にして言いたいんですが、一番最初の入口でAWSの知識をそこまで求めるかと言われると、そうでも無いんですね。このへんはオルターブースさん(Azure)もクラウドエースさん(GCP)も同じだと思うんですけれども、まぁぶっちゃけ中に入ればやらざるを得ないんです、やらざるを得ないから覚えるんです。ここはもう、お客様に育てられるというか、中に入ればやらざるを得ないので、やっぱクラウドって組み合わせて使えばええやん、的に思うかもしれないんですけれども、付き合っていく上で技術に対するこだわりだったりとか、キャリアの中でこうこだわってやってきた、エンジニアリングとしての(アプリやインフラでの)こだわりがある人達が集まっている、というのがクラスメソッドの強みであるし、その軸の部分はずっと変わらない気がしています。
近藤:
特に、AWSが...というよりも、他にも違った切り口の強みとかを活かせている、という側面も...
濱田:
ですね。どちらかというとそのエンジニアの人が持っている、根源的な技術に対する「欲(望)」というか、楽しんでエンジニアリング出来るか、というのを重視していますね。全社的にもそうですし、うちの部もそうだと思います。

チームとして成果を出すにはどうしたら良いか?

近藤:
続いての質問です。ここまでは個人のキャリアについてお伺いしてきましたが、いっぽうで「チーム」としての色々なスキルセットやマネージメント等についてどうしているのか、伺っていきたいと思います。
濱田:
ぶっちゃけうちの部署については、結構「個人事業主の集まり」という雰囲気がありますね。おおよそ、一人が4〜5件のお客様を持って、案件を担当しているんですけれども、その過程で自分のスペシャリティを絶対求められるタイミングがどこかでやってくるんですね。そういうときに、チームとして成果を出すのであれば、凸凹があって、専門が違うところの人間が揃う、得意領域を別々に持つっていうのが一番チームとしてアウトプットを出すのに重要かな、と思います。
松村:
濱田さんに全く同じことを言われてしまいました(笑)
私も同じように思います。Azureも、Azureの中のサービスは多いです。多いので、一人で色々なものをやるってのは結構無理があるし、あまり現実的では無いかなーと思っているので、チームで動く以上は、それぞれの得意なサービス、分かりやすく言えば「開発系が得意」「インフラが得意」とかいうところからもっと細分化していって得意なところを出していく、と。そういう風にしてメンバー同士で補っていくのが良いと思いますね。
ただ補うだけだと、成長としてはスピード感が出ないと思うので、そこはアウトプット、Wikiやブログにまとめて共有するのも重要だと思っています。
高野:
チームとしてという話でいくと、クラウドエースだと今は組織が機能型で分かれていて、アプリケーションコードを書いたり、インフラアーキテクチャ/SREのメンバーもいますし、データ周りや機械学習系のエンジニアも居ますし、フロントエンジニアのメンバーもいます。基本この4つでやっています。
これは役割分担なので、クラウドに限った話では無いと思うんです。つまり自分の守備範囲を認識する、ってことです。サードに居たやつがファーストにくるんじゃねぇ、って話もあるんですが(笑)、別に全部守っても良いんですけど、プロジェクトに於いては自分の役割があるわけじゃないですか。自分の守備範囲はしっかりまず守って、かつポテンヒットを拾ってあげる、というのが大事だと思うのでいろんなポジションの役割とか、については理解しておく必要があるかなと思っています。
SRE何やってるの?データ/MLの人何やってるの?って感じで、それぞれの分野の人が、その他の分野の人達は何をやっているのか?というのを理解しておくと良いんだな、というのはあると思います。
近藤:
なるほどなるほど...割とこう、皆さん近いことをおっしゃられているな、という感じですね。個人ではそれぞれが強みを持っていて、チームとしては多様な強みや特色を組み合わせて全体的な成果を出す...自分の専門以外のところにも理解を示す、協調して出来るようにする、ということと、あとはアウトプットですね。JAWS-UGみたいなコミュニティの場もありますし、ブログだったり社内だったりでしっかりアウトプットして自分の学びにもしていく、そういうことの積み重ねで個人としてもチームとしてもスキルアップして成果を出していく、というのが良さそうな気がします。
濱田:
すいません!今思いついたんですけれども、これは言わせてください!
皆さんの会社の中でも絶対にやってほしいんですけれども、社内勉強会はめちゃめちゃオススメですね。「その分野に強みを持っている人の話を聞く」というのは、ポイントを効率良く学ぶことが出来ますし、AWSの場合は膨大にあるアップデートに対して定期的にそういった場を設けて知識を共有していく...というのは凄い良いかなと思います。

トピック3: クラウドの学び方について

近藤:
最後のトピックです。クラウドの学び方について、伺っていきたいと思います。
ここまでのセッションが盛り上がってしまって、残りあと5分くらいしかないのですが(笑)自分のこれまで学んできた経験から、キャッチアップしていくにはどうしていけば良いのか、という感じでお伺いしていければと思います。
高野:
僕はGCPを教える側でしたから、魅力を伝えなければ行けない、というのがありました。お客様に、GCPのこういうところが良いんですよ、と。魅力を伝えようと思うと、やっぱり自分が良く理解をしていなければならない。そういう視点で取り組んでいくことで、より強くなっていけるかなと思います。
アプリ開発者の方が学ぶにはどうすればいいのか、というのはありますが、全部を学ぶ必要はないかなと思います。自分が担当する部分と、その周辺技術を学んで身につけていくところから始めるで良いかなと。その他膨大なサービス群については...これについては「覚えない」ということです(笑)細かいことは覚えちゃいけないんです。 抽象的に考えておくと、ざっくり覚えると。
松村:
私は元々公式ドキュメントとか、GitHubにあるサンプルコードで勉強していましたけど、これから勉強しようと思っている方にはオススメがあります。「Microsoft Learn」というコンテンツです。学習サイトです。これで体系的にAzureの色々なサービスをお金が掛からずに学べます。サンドボックスも中に入っていたりするので、これを使って資格を取るパスなどもあります。

近藤:
確かに、他のクラウドの学習リソースに比べて、無料で使えるというところも含めて秀でているところがあるなーというのは思いました。
濱田:
ポイントは2つあります。1つは、僕はアプリケーションエンジニアだったんですが、クラウドを扱ってて、ある程度の低レイヤーの知識を疎かにしない、というのがすごい大事だなと思いますね。ネットワークだったらL7だけじゃなくてL4、L3だったり、DNSのお話だったりとか、SSL/TLSとか、そういった部分の知識を意識的に学んでおく。学んでおくことによって、クラウドのサービスのアレとコレがこういう原理で繋がっている、なので応用出来るんだな、と。応用は本当に効いてくるので、機能を掻い摘んで覚えていくというよりはその下にあるエンジニアリングとしての基礎を大切にして欲しいな、というのは凄いありますね。
あとはAWS、死ぬほどサービスがあるので思うんですけれども、乗りこなすという意味ではAWSの認定試験、あれは凄い良く出来てて、あれを勉強するとですね、AWSのサービス、こんな風に使って!というのが凄い見えてくるんですね。この選択肢の中でこれとこれを組み合わせたらこれになるんだな、というのは実地のシチュエーションに基づいた知見があるので、AWS認定試験については「獲る」というモチベーションでやって頂いても良いんですが、AWS思想まで含め学習する、という観点で取り組んでも良いのかなと思います。

近藤:
最後に、パネラーの皆さん、一言ずつお願いします。
濱田:
AWSはどこまでいっても海は深いし、山は高いんですけれども、エンジニアとしてむちゃくちゃ楽しい場でもありますので、やりましょう!おー!
松村:
Azureも同じです。これからもどんどんサービスが増えていきますし、使えるようになると非常に楽しみが増えてくると思いますので是非Azureやっていきましょう!
高野:
お二方押してたので、僕は押さないということで...GCP必ずしも使わなくて良いです!(笑)
だって、そこ大切なところじゃ無いので、エンジニアの大切なところは問題解決なので、そのための手段でクラウドを、DBとかでそうですね。で、自ずとGCPに落ちてくれば良いな、くらいで(笑)僕は〆ておこうかなと思います。今日はありがとうございました。
近藤:
ということで、皆さんのクラウドへの愛が伝わったでしょうか?パネルディスカッションを終わりにしたいと思います。ありがとうございました!(会場拍手)

まとめ

という訳で、Developers Summit 2020、「雲の中心で愛を叫ぶ! クラウド横断パネルディスカッション」レポートでした。

1時間のディスカッション、ほぼ全文書き起こしスタイルでお届けしてみましたが、いかがでしたでしょうか。パネラー各位の『ぶっちゃけ』話も折々で出てきて、各クラウドにどっぷり浸かってきた経験ならではの"本音"が聞けたのかな、と思います。時には厳しい意見も出てたりしてもいましたが、その辺は『愛』あってのものなのかな、といったところではないでしょうか。