EC2でインスタンスタイプが変更できない?アーキテクチャの違いから理解する移行のポイント
こんにちは、ゲームソリューション部の出村です。
このEC2インスタンスのインスタンスタイプを切り替えようとした際に、移行先のインスタンスタイプによってエラーが表示された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、移行先の環境で動作しないことが明白な場合に表示されるエラーであり、AWSの親切な機能の一つとも言えます。本記事では、このエラーが表示される理由と、回避方法について解説します。
インスタンスタイプを切り替えた時のエラー
EC2のインスタンスを切り替えた時に、以下のようなエラーを見たことがある方もいることでしょう。
Failed to modify instance type for instance i-05de0b4406bce6428.
't4g.large' is not a valid instance type for instance 'i-05de0b4406bce6428' of architecture 'x86_64'.
このエラーは、移行元と移行先のインスタンスタイプにソフトウェア実行の互換性がない場合に表示されます。具体的には、CPUのアーキテクチャ(処理方式)が異なる場合に発生します。
移行先に指定できるインスタンスタイプの条件
移行先に指定できるインスタンスタイプは、EC2インスタンスを最初に構築した際に指定したアーキテクチャによって決まります。
EC2インスタンス構築時には、以下の2種類のCPUアーキテクチャから選択できます:
- 64ビット(x86):Intel社やAMD社が開発した一般的なCPUアーキテクチャ。x86_64とも表記される(初期設定)
- 64ビット(arm):ARM社が開発したCPUアーキテクチャ。arm64とも表記される(AWSではGravitonプロセッサとして提供)
インスタンス作成時には、選択したアーキテクチャに対応したAMIを使用して構築されます。
具体的な移行例を説明します:
- c7i.large(x86_64アーキテクチャ)インスタンスからの場合
移行可能:
- c6i.2xlarge(同じx86_64アーキテクチャ)
- c7a.2xlarge(AMD CPUだがx86_64アーキテクチャ)
- t3a.large(AMD CPUだがx86_64アーキテクチャ)
移行不可能:
- c7g.large(arm64アーキテクチャ)
- t4g.2xlarge(arm64アーキテクチャ)
これは、x86_64用にコンパイルされたプログラムはarm64環境では実行できず、逆もまた然りだからです。
x86_64からarm64への移行方法
例えば、c7i.large(x86_64)で構築されたインスタンスをc7g.xlarge(arm64)インスタンスで動作させたい場合は、以下の手順が必要です:
- c7g.xlargeインスタンスを新規作成
- 新しいインスタンスに動作環境を再構築(各種ソフトウェアの構築、設定など)
このように、インスタンスタイプの単純な切り替えでは対応できません。また、この制限はarm64からx86_64への移行時も同様に適用されます。
まとめ
EC2インスタンスは、インスタンスタイプを柔軟に変更できる特徴がありますが、CPUアーキテクチャの違いによる制限も存在します。移行先のインスタンスタイプを選択する際は、必ず互換性の確認を行うことが重要です。特に、コスト最適化のためにGravitonプロセッサ(arm64)への移行を検討する場合は、アプリケーションの互換性を十分に確認し、必要に応じて再構築を計画する必要があります。これらの制限を理解しておくことで、より効率的なEC2の運用が可能になります。