2026年末まで延長された t4g.small の無料枠をCURで確認してみた
2020年にリリースされた Amazon EC2 t4gインスタンス。当時から無料トライアルが設定されていました。
この無料枠は毎年延長されてきましたが、昨年末の2025年12月、t4g.smallインスタンスの無料トライアル期間について 2026年12月31日まで延長されることが発表されました。
この延長措置が2026年1月時点で正しくシステムに反映されていることを、Cost and Usage Report (CUR) 2.0 を用いて実際の課金ログを確認する機会がありましたので、紹介します。
検証環境
Cost Explorerの概要表示ではなく、詳細な明細を確認するため、S3に出力されたCUR 2.0のデータを参照しました。
なお、リセラーや組織による特殊な割引・集計の影響を排除するため、個人クレジットカード決済の単独アカウントを使用しています。
- 契約形態: 個人利用(AWS直接契約・単独アカウント)
- 対象期間: 2026年1月1日〜2026年1月5日
- リージョン: Asia Pacific (Tokyo) - ap-northeast-1
- インスタンスタイプ: t4g.small (AWS Graviton2)
- 稼働状況: 24時間常時稼働

2025年12月請求実績
2025年12月、確定済みの請求情報より、t4g.smallのインスタンス費用は無料であったことを確認しました。

CUR 2.0による課金データの確認
2026年1月4日分のレコードを抽出し、無料枠の適用状況を確認しました。実際のCUR出力データは以下の通りでした。
CURレコード詳細(2026年1月4日分)
| 項目(英語) | 項目(日本語) | 値 |
|---|---|---|
| bill_billing_period_start_date | 請求期間開始 | 2026-01-01 00:00:00+00:00 |
| bill_billing_period_end_date | 請求期間終了 | 2026-02-01 00:00:00+00:00 |
| line_item_usage_start_date | 使用開始時刻 | 2026-01-04 00:00:00+00:00 |
| line_item_usage_end_date | 使用終了時刻 | 2026-01-05 00:00:00+00:00 |
| line_item_usage_type | 使用量タイプ | APN1-BoxUsage:t4g.small |
| line_item_usage_amount | 使用量 | 24.0 時間 |
| line_item_unblended_cost | 未ブレンドコスト | $0.0 |
| line_item_line_item_description | 説明 | $0.00 per On Demand Linux t4g.small Instance hour under 750 free hrs/month of t4g free trial ending Dec 31 2025 |
| line_item_resource_id | リソースID | i-******** |
| product_instance_type | インスタンスタイプ | t4g.small |
| product_region | リージョン | ap-northeast-1 |
ログからの考察
line_item_unblended_cost(未ブレンドコスト)が $0.0 となっており、2026年1月時点でも無料枠が正しく適用されていることを確認しました。
なお、執筆時点(1月上旬)の速報値では、説明文(Description)の日付が「2025」のままとなっていますが、実請求額が$0で計算されている事実から、AWS内部の課金ロジックでは既に期間延長が適用済みであると判断しました。
「追加費用」の確認
今回の「t4g.small」の検証環境でも、以下のリソースに対しては通常の従量課金が発生していることを確認しました。
1. EBSボリューム (gp3)
インスタンスが無料でも、ストレージは有料です。
- 使用量タイプ:
APN1-EBS:VolumeUsage.gp3 - コスト: 約 $0.08 / 日 (25GBの場合)
- 計算式: $0.096 (GB-month) × 25GB ÷ 月の日数
2. IPv4パブリックアドレス
2024年2月より有料化されたパブリックIPv4アドレスの課金も発生していました。
- 使用量タイプ:
APN1-PublicIPv4:InUseAddress - コスト: $0.12 / 日 ($0.005 × 24時間)
3. データ転送 (Data Transfer Out)
今回の検証においては通信量は微量であり、追加コストは発生していませんでした。 月間100GBを超えるインターネットへのデータ転送などを実施する場合、転送課金にご留意ください。
検証の結果、t4g.small自体は無料ですが、標準的な構成(EBS 25GB + Public IPあり)で運用した場合、月額約 $6.15 程度の維持費が発生することがわかりました。
t4g.smallとt3.smallのコスト比較(通常料金含む)
今回の無料枠延長に加え、無料枠終了後(あるいは月間750時間超過時)のコストパフォーマンスを検証するため、x86アーキテクチャの同等スペックである t3.small および t4g.small の通常料金を含めた3パターンで月額維持費を比較試算しました。
月額維持費試算(750時間/月 稼働・東京リージョン)
| 項目 | ① t4g.small(無料枠適用) | ② t4g.small(通常料金) | ③ t3.small(通常料金) |
|---|---|---|---|
| EC2インスタンス | $0.00 | $12.60 | $15.60 |
| EBS (25GB gp3) | $2.40 | $2.40 | $2.40 |
| IPv4アドレス | $3.75 | $3.75 | $3.75 |
| 月額合計 | $6.15 | $18.75 | $21.75 |
※価格は2026年1月執筆時点の東京リージョン・オンデマンド料金(Linux)に基づく試算です。
- t4g.small: $0.0168/時間
- t3.small: $0.0208/時間
- IPv4: $0.005/時間
比較考察
- 無料枠のコストメリット:
無料枠適用時(①)は、通常料金のt3.small(③)と比較して**月額 $15.6(約2,300円)**安く運用可能です。 - 無料枠終了後もGravitonが有利:
無料枠を使い切った場合(②)でも、t4g.smallはt3.smallより約19%安価($12.60 vs $15.60)に計算リソースを利用できます。
制限事項と注意点
t4g.smallの無料枠には、以下のような制限事項が存在します。詳細は公式FAQページをご確認ください。
- 組織で1アカウントのみ:
AWS Organizationsを利用している場合、無料枠(月間750時間)は組織全体で共有されます。複数アカウントでそれぞれt4g.smallを起動しても、無料になるのは合計750時間分のみです。 - CPUクレジット:
Unlimitedモード(デフォルト)で長時間高負荷をかけた場合、CPUクレジット枯渇時に追加課金が発生します。無料なのはあくまで「インスタンス稼働時間」であり、余剰CPUクレジット料金は対象外です。
まとめ
CUR 2.0の実データに基づき、t4g.smallの無料枠が2026年12月31日まで正しく適用されていることを確認できました。ARMアーキテクチャで動作するワークロードの検証や開発環境、常時稼働の軽量サーバーとして、t4g.small の利用をおすすめします。
また、t4g.smallを無料枠で運用した場合、総コストの約6割がIPv4アドレス料金($3.75)でした。コストを極限まで抑えるためにはパブリックIPv4を持たない構成が有効と考えられますが、IPv6アドレスとIPv4プライベートアドレスのみとした構成の実用性などについては、追って検証を行いたいと考えています。







