東京リージョンの EFS をバージニア北部リージョンの EC2 インスタンスから VPC ピアリング経由でマウントしてみた (Route 53 プライベートホストゾーン編)

東京リージョンの EFS をバージニア北部リージョンの EC2 インスタンスから VPC ピアリング経由でマウントしてみた (Route 53 プライベートホストゾーン編)

前回の検証では /etc/hosts を使用していましたが、今回は Route 53 プライベートホストゾーンを活用して、別リージョンの EC2 インスタンスから EFS をマウントする方法を試してみました。複数インスタンスでの運用を想定した、より実用的なアプローチをご紹介します。
2026.08.05

はじめに

テクニカルサポートの 片方 です。
以前、東京リージョンの Amazon Elastic File System(Amazon EFS)を、バージニア北部リージョンの EC2 インスタンスから、クロスリージョン VPC ピアリング経由でマウントする検証を行いました。

https://dev.classmethod.jp/articles/efs-cross-region-vpc-peering-ec2/

こちらでは、別 VPC から EFS をマウントする際に、EFS のマウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスと EFS の DNS 名の対応を、EC2 インスタンスの /etc/hosts に記載して実現していました。

<EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレス> <ファイルシステム ID>.efs.<リージョン>.amazonaws.com

/etc/hosts を使用する方法は、単一の EC2 インスタンスで手早く検証する場合に便利です。
一方で、マウントする EC2 インスタンスが増えると、各インスタンスへの設定配布や変更管理が必要になります。
また、EFS マウントターゲットを削除して再作成すると、プライベート IP アドレスが変わる場合があります。その場合、/etc/hosts を設定したすべての EC2 インスタンスで設定変更が必要です。
この課題への対応として、Route 53 プライベートホストゾーンに A レコードを作成し、別の VPC にある EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスを名前解決する方法があります。
本ブログでは、元記事のネットワーク構成をベースに、/etc/hosts を使用せず、Route 53 プライベートホストゾーンを利用して EFS の DNS 名を名前解決します。そのうえで、米国東部(バージニア北部)リージョンの EC2 インスタンスから、東京リージョンの EFS をマウントしてみます。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/Route53/latest/DeveloperGuide/hosted-zones-private.html?utm_source=openai

構成

以下の構成を使用します。

  • EFS ファイルシステム: 東京リージョン(ap-northeast-1)
  • EC2 インスタンス: 米国東部(バージニア北部)リージョン(us-east-1)
  • VPC 間接続: クロスリージョン VPC ピアリング接続
  • 名前解決: Route 53 プライベートホストゾーン
  • IP アドレス: IPv4
  • マウント方法: Amazon EFS マウントヘルパー(amazon-efs-utils)

前提条件

以下の条件を満たしていることを前提とします。

  • 検証に必要な AWS リソースを作成・変更できる権限があること
  • EC2 インスタンスに接続できること
  • EFS 側 VPC と EC2 側 VPC の CIDR ブロックが重複していないこと
  • EFS 側 VPC と EC2 側 VPC 間で VPC ピアリング接続が確立されていること
  • 双方のルートテーブルに、対向 VPC の CIDR ブロック宛てのルートが設定されていること
  • EFS マウントターゲットのセキュリティグループで、EC2 側 VPC からの NFS 通信(TCP 2049)が許可されていること
  • EC2 インスタンスに amazon-efs-utils がインストールされていること
  • 検証後に作成したリソースを削除できること

また、Route 53 プライベートホストゾーンを利用するため、EC2 インスタンスが存在する VPC で以下の DNS 属性を有効にします。

  • enableDnsSupport
  • enableDnsHostnames

Route 53 プライベートホストゾーンで定義した名前を利用する場合、これら 2 つの DNS 属性を true に設定する必要があります。
なお、EFS のマウントターゲットを東京リージョンの ap-northeast-1a に 1 つだけ作成して検証します。

実施済みの設定

以下の記事で作成した環境を利用します。

https://dev.classmethod.jp/articles/efs-cross-region-vpc-peering-ec2/

上記記事を参考に、以下の設定を実施済みの状態から開始します。

  • 東京リージョンに Amazon EFS ファイルシステムを作成
  • 東京リージョンの EFS 側 VPC に EFS マウントターゲットを作成
  • 米国東部(バージニア北部)リージョンの EC2 側 VPC に Amazon EC2 インスタンスを作成
  • EFS 側 VPC と EC2 側 VPC の間にクロスリージョン VPC ピアリング接続を作成
  • 双方のルートテーブルに、対向 VPC の CIDR ブロック宛てのルートを追加
  • EFS マウントターゲットのセキュリティグループで、EC2 側 VPC からの NFS 通信(TCP 2049)を許可
  • EC2 インスタンスに amazon-efs-utils をインストール

今回、EC2 インスタンスと EFS ファイルシステムは異なる AWS リージョンに存在します。そのため、efs-utils.conf の region に EFS が存在する東京リージョンの ap-northeast-1 を設定します。

sudo cp /etc/amazon/efs/efs-utils.conf /etc/amazon/efs/efs-utils.conf.bak
sudo sed -i 's/^#region = us-east-1/region = ap-northeast-1/' /etc/amazon/efs/efs-utils.conf

EC2 インスタンスと EFS ファイルシステムが異なる AWS リージョンにある場合、EFS マウントヘルパーを使用するために efs-utils.conf の region を設定します。 (docs.aws.amazon.com)
元記事では、EC2 インスタンスの /etc/hosts に EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスと EFS の DNS 名を登録していました。本ブログでは、/etc/hosts による名前解決は使用しません。

やってみた

EFS のマウントターゲットを確認する

Route 53 プライベートホストゾーンの A レコードに登録するため、EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスを確認します。
Amazon EFS コンソールで対象のファイルシステムを選択し、ネットワーク タブを開きます。
今回使用するマウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスは、以下のとおりです。

項目
EFS の DNS 名 fs-xxxxxxxxxxxxxxxxx.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com
マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレス 10.0.133.1
マウントターゲットのアベイラビリティーゾーン ap-northeast-1a

001

次の手順で、EFS の DNS 名に対する A レコードとして 10.0.133.1 を登録します。

Route 53 プライベートホストゾーンを作成する

Route 53 コンソールで、ホストゾーン から ホストゾーンを作成 を選択します。
以下の内容でプライベートホストゾーンを作成します。

項目
ドメイン名 fs-xxxxxxxxxxxxxxxxx.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com
タイプ プライベートホストゾーン
VPC 米国東部(バージニア北部)リージョンの EC2 側 VPC
リージョン us-east-1

作成後、対象のプライベートホストゾーンが EC2 側 VPC に関連付けられていることを確認します。

002

繰り返しとなりますが、Route 53 のプライベートホストゾーンを利用する VPC では、enableDnsSupport と enableDnsHostnames を有効にする必要があります。

EFS の DNS 名を A レコードとして登録する

作成したプライベートホストゾーンを開き、レコードを作成 を選択します。
以下の内容で A レコードを作成します。

項目
レコード名 空欄
レコードタイプ A
10.0.133.1 (対象 EFS の IPv4 アドレス)
TTL 300
ルーティングポリシー シンプルルーティング

003

レコード名を空欄にすると、プライベートホストゾーン名そのものに対する A レコードを作成できます。今回の検証では、以下の名前を 10.0.133.1 に名前解決できるようになります。

fs-038322bb98746fc2b.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com

EC2 インスタンスから名前解決を確認する

バージニア北部リージョンの EC2 インスタンスへ接続し、getent コマンドで EFS の DNS 名を名前解決します。

EFS_DNS=fs-xxxxxxxxxxxxxxxxx.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com
getent ahostsv4 "${EFS_DNS}"

Route 53 に登録した EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスが返れば成功です。

004

dig コマンドが利用できる場合は、Route 53 Resolver を明示して確認することもできます。

dig +short @169.254.169.253 "${EFS_DNS}" A

EFS をマウントする

EC2 インスタンスでマウントポイントを作成し、EFS の DNS 名を指定してマウントします。

sudo mkdir -p /mnt/efs

sudo mount -t efs -o tls \
  fs-xxxxxxxxxxxxxxxxx.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com:/ \
  /mnt/efs

EFS マウントヘルパーは amazon-efs-utils に含まれます。今回のように、EC2 インスタンスと EFS ファイルシステムが異なる AWS リージョンにある場合は、事前に efs-utils.conf の region に EFS が存在するリージョンを設定します。
本ブログでは、EFS が東京リージョンに存在するため、ap-northeast-1 を設定しています。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/efs/latest/ug/mount-fs-different-vpc.html

これで、Route 53 のプライベートホストゾーンとレコードを使用した実装は終了です。
お疲れ様でした!

確認してみた

mountpoint コマンドで、/mnt/efs がマウントポイントとして認識されていることを確認します。

mountpoint /mnt/efs

続けて、ファイルを作成できることも確認します。

sudo touch /mnt/efs/test-file.txt
ls -l /mnt/efs/test-file.txt

以下のように test-file.txt が表示されれば、EC2 インスタンスから EFS へ読み書きできています。

-rw-r--r--. 1 root root 0 Aug  4 00:00 /mnt/efs/test-file.txt

005

以上で、Route 53 プライベートホストゾーンを使用して名前解決を行い、別リージョンの EC2 インスタンスから EFS をマウントできることを確認できました。成功ですね!

まとめ

Route 53 プライベートホストゾーンを利用し、米国東部(バージニア北部)リージョンの EC2 インスタンスから、クロスリージョン VPC ピアリング接続経由で東京リージョンの EFS をマウントしました。
/etc/hosts を使用する方法と比較すると、名前解決の設定を Route 53 に集約できる点がメリットです。
マウントする EC2 インスタンスが複数ある場合でも、各インスタンスの /etc/hosts を個別に更新する必要がありません。

一方で、EFS マウントターゲットのプライベート IPv4 アドレスが変わった場合は、Route 53 の A レコードを更新する必要があります。また、本ブログではマウントターゲットを 1 つだけ使用しているため、可用性が求められる本番環境では、複数アベイラビリティーゾーンへのマウントターゲット配置、DNS レコードの設計、レコード更新の運用または自動化をあらかじめ検討してください。
別 VPC または別リージョンから EFS を利用する場合は、名前解決だけでなく、VPC 間接続、ルートテーブル、セキュリティグループでの NFS 通信(TCP 2049)の許可が必要です。
本記事が、別 VPC または別リージョンから EFS を利用する際の名前解決設計の参考になれば幸いです。

参考資料

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