アンケートの「声が小さい」の一言から始まった、登壇・配信環境改善の2年間をまとめてみた

アンケートの「声が小さい」の一言から始まった、登壇・配信環境改善の2年間をまとめてみた

イベント登壇の内容は素晴らしいのに、音声が小さくて評価が下がってしまう——そんな「もったいない」を感じたことから始まった、2年8か月の登壇・配信環境整備の歩みをご紹介します。音響課題の解決から記録機能の追加、そしてオンライン配信対応まで、その時々の課題に向き合いながら進化させてきた機材導入の経験をまとめました。
2026.08.06

こんにちは、コンサル部@大阪オフィスのTodaです。

イベントや社内勉強会のお手伝いをする中で、内容とは関係のないところで「もったいないな」と感じる場面が何度かありました。登壇内容は素晴らしいのに、声が小さくて聞き取りにくいという理由だけで評価が下がってしまったり、実際にアンケートで「もう少し声を大きくしてほしい」というフィードバックを頂いたこともございます。

同じような「もったいない」は他にもいくつかあり、こうした「もったいない」を一つずつ解消していく中で、2023年12月頃から現在(2026年08月時点)まで、登壇・配信環境を整えてきました。
今回は、その2年8か月の歩みを機材の範囲でまとめてみました。

感じていた「もったいない」

振り返ってみると、感じていた課題はいくつかありました。

中でも大きかったのが、音響品質が原因で内容とは無関係に評価を下げてしまうという点です。
当時のマイクはメガホンに近いもので、機器を通すと声が大きくなる代わりに、音質が変わり、登壇者によっては使わないケースなどもございました。結果、音が小さく、低い評価につながっていました。

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また、届く範囲が狭いことも気になっていました。
当時のオフラインイベントの会場はそこまで面積がなかった関係で参加者数も20名前後となり、登壇者の準備などを考えると伝えられる範囲が狭い印象がありました。
メンバーや外部登壇者様はいろいろな得意分野があり、もっと知ってもらえるようにできたらと考えていました。

あわせて、アーカイブが残らないためYouTubeなどで追加配信をしたり、社内で知見を共有したりすることができず、課題と感じていました。

これらは別々の問題のように見えて、実は環境を整えれば同時に解決できるものだと考え、都度テーマを決めて機材や運用を少しずつ変更してきました。

環境整備の歩み

ここからは、実際にどのような順番で環境を変えてきたかをご紹介します。
一気に理想の構成にしたわけではなく、その時々のオーダーや課題に対応する形で、機材が増えたり置き換わったりしてきました。

音を届けるところから

一番はじめは、拡声器スピーカーとプロジェクタだけのシンプルな構成でした。
登壇者のPCをHDMIでプロジェクタに接続して資料を投影し、拡声器で声を大きくする、それだけの構成です。

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そこから、音響面の課題に対応するためマイクと音質を維持して音を大きくできるスピーカーを導入しました。声の大きさに関するご指摘は、この時点でかなり減っています。あわせてBluetoothでiPhoneを接続できるようにし、開始前や休憩時間にBGMを流せるようにもしました。

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記録に残せるようにする

音の課題がある程度落ち着いたところで、続いて手をつけたのは「記録が残らない」という課題です。
カメラを導入し、登壇の様子を録画して社内配信できる構成に変更しました。
この当時はカメラで登壇者とプロジェクタに映る登壇資料を記録する形になっており、登壇資料の画質が課題となりました。

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その後、ビデオスイッチャー(OSEE製)を導入し、登壇資料の映像と登壇者のカメラ映像をミックスして1つの映像として収録・社内配信できるようにしています。
資料だけでなく登壇者の表情や身振りも一緒に残せるようになったことで、後から見返した時の伝わりやすさがかなり変わりました。

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オフィス移転と、配信という新しい要望

そうした中、オフィス移転のタイミングで会場設備がアップグレードされる機会がありました。
大型モニターを3台、マイクを2台、ミキサー、アンプを整備し、これまでの構成と接続する形にしています。

会場が整った一方で、今度は「配信」というオーダーを頂く機会が増えてきました。
この時点ではPCとOBSを利用して、オンライン参加者向けの配信に対応しています。カメラ・スイッチャー・OBSとそれぞれ独立した機材を都度操作する必要があり、運用としてはまだ手数の多い状態でした。

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また、この段階の時に外部登壇者様のPC画面が写らないトラブルが数件発生しました。
PCから出力されるHDMI出力信号に問題があり、写らないケースがある事を確認しています。
当件は統一された信号規格に合わせるコンバーターを入れて互換性の問題を改善しています。

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一台にまとめる

複数の機材を個別に操作する運用が煩雑になってきたことを受けて、画面と音響をまとめて制御できるRoland VR-6HDを導入しました。ビデオスイッチャーとオーディオミキサー、配信用エンコーダーが1台に統合されており、機材を1つにまとめることで操作もかなりシンプルになっています。

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VR-6HD導入後は、マイクの音量調整にコンプレッサーを利用して手動でのボリューム調整を減らしたり、ワンオペレーションでも運用できるように設定を見直したりと、細かいチューニングも重ねています。この辺りの詳細は以前の記事にまとめておりますので、あわせてご参照いただけたらと思います。

■ イベント時の映像制御、配信、収録に VR6HDを使ってみた!
https://dev.classmethod.jp/articles/broadcast-vr6hd/

■ イベントでの機材周りのサポートをしてみました (IT 勉強会 Midosuji Tech #3編)
https://dev.classmethod.jp/articles/broadcast-event-20241029/

■ 大きいマイクの音をコンプレッサーを利用して圧縮してみた (Classmethod AI Talks #6編)
https://dev.classmethod.jp/articles/broadcast-event-20241030/

いいものを見つけたら即反映

AWS Summit参加時に、登壇環境を見ていまして、常に登壇者情報が表示されるモニターがある事に気がつきました。
セッションを聴いていて、「この人誰だろ?」となったときにすぐにわかるいい体験でした。
会社に戻ってからすぐできるかを確認して次の日のイベントに導入をいたしました。
また、登壇者から手元で「トークスクリプト画面」と「登壇画面」双方を後ろを振り返らないでもわかるようにできたらうれしいと声がありまして、手元のPCにトークスクリプト、小さいモニターに投影資料を映せるようにして登壇しやすい仕組みを入れています。

この段階になりますと、イベントの機材運用を少人数 (1人)でできるようにする施策を併せてする形をとりまして、イベントに必要な人員削減もできるようになっています。

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オフラインとオンラインを同時開催

VR-6HDでの一括運用に慣れてきた頃、オフラインとオンラインで同時に開催するイベントがでてきました。
この場合、「会場内の映像・音響」と「オンライン配信用の映像・音響」を、別々に制御したい場面が出てきます。

この課題に対応するため、配信部分だけを制御できるよう、Blackmagic Web Presenter HDなどの配信専用機材を追加で導入しています。VR-6HDで会場用の映像・音響をまとめつつ、配信用の系統だけを別ラインで切り出せるようにしたことで、会場の見え方と配信画面の見え方を独立して調整できるようになりました。

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積み重ねでできるようになったこと

2026年08月時点では、下記構成になっておりイベントオーナからいただく要望に大体対応出来るようになっています。

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個々の変更はどれも地味なものですが、ここまでの対応で得られたものは思っていたより大きいと感じています。「継続は力なり」 昔、通っていた塾でいわれたことを思い出しました。

オフラインの参加者数は、会場整備も後押しして20名程度から現在は70名規模まで増えています。
直近のイベントでは、オンラインでの視聴も合わせて350名程度の方に届く形になりました。
以前は会場に来られた一部のお客様にしか届いていなかったことを考えると、届く範囲はかなり広がったと実感しています。
機材はさらに多い人数にも対応できる状態になっておりますので、今後の規模の変化にも合わせられるかなと考えています。

また、収録した動画は社内向けにGoogleドライブへ、公開できる内容はYouTubeへアーカイブする運用にしており、当日参加できなかった方も後から見返せるようになりました。
声が小さくて評価が下がってしまうという状況もほぼ無くなり、掛ける時間に対して見てもらえる人数という面でも、以前よりずっと割に合う状態になったと考えています。

今後やってみたいこと

私は 色々なイベントへの参加 や 運用をする機会を頂いておりますが、1つやりたいと考えていることは AWS re:Invent EXPO内で実施されていた「 On Air 」的な対応です。

AWS On Airは AWS様がされているライブ配信で、re:Invent 内ではイベントの最新情報を中継されていました。

クラスメソッドではオンラインや拠点などで色々な分野のイベント・技術登壇をしています。
近い拠点のイベントは、実際にご訪問いただきコミュニケーションも含め楽しんでいただく、遠くの拠点で開催しているイベントで興味がある物はオンラインで視聴頂ける、そのような流れができたら技術から新しい繋がりができるのではと考えています。
「DevelopersIO On Air (仮)」を、いずれ実施したいなと考えています。

後日談

最近は、配信環境そのものに興味を持ってくださるお客様も増えてきました。
イベントの合間に機材を写真に撮っていかれる方もいらっしゃり、少し面映ゆいような、それでいて嬉しいような気持ちになります。

配信をお仕事にされている方から「いい対応だった」と言っていただいたこともございました。
プロの方から見ると気になる点はまだまだあると思いますが、都度の調整が形になっていたのかなと考えています。

さいごに

今回は、2023年12月から現在までの登壇・配信環境整備の歩みをご紹介しました。

一度に理想の構成を作ろうとせず、その時々の課題やオーダーに対応しながら都度テーマを決めて調整してきたことが、結果的に今の安定した環境につながったと考えています。
今後も都度必要な対応を重ねていきたいと思います。

この登壇・配信環境はイベントだけでなく、社内勉強会や昼礼、全体会議といった様々な場で少しずつ試行錯誤を重ねた結果、今の形になっています。
試行錯誤をする多くの場を与えてくださった皆様に感謝申し上げます。

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