FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年10月

FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年10月

2025.11.05

近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目し、情報収集を行なっているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。

アップデート

私のキャッチアップ不足か月末に控えた re:Invent に備えた静けさなのかアップデートは少なめでした。

Split Cost Allocation Data for Amazon EKS supports Kubernetes labels

(Amazon EKS の分割コスト配分データが Kubernetes ラベルをサポート)

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/10/split-cost-allocation-data-amazon-eks-kubernetes-labels/

関連記事:

Amazon EC2 now supports CPU options optimization for license-included instances

(Amazon EC2 はライセンス込みインスタンスの CPU オプション最適化をサポートするようになりました)

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/10/amazon-ec2-optimize-cpu-license-included-instances/

[アップデート] EC2インスタンスのインスタンスタイプベースでEBSボリュームとのIOPSやスループットキャパシティが超過しているかを記すCloudWatchメトリクスが追加されました

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-cloudwatch-metrics-monitor-ec2-instances-i-o-performance/

Announcing the General Availability of Smarter, AI-powered Cost Anomaly Detection

(よりスマートなAI搭載のコスト異常検出の一般提供開始を発表)

https://cloud.google.com/blog/topics/cost-management/announcing-ga-of-cost-anomaly-detection?hl=en

トピック

今回、取り上げるトピックは「ガバメントクラウドにおける FinOps」です。6月に開催された FinOps X Day Tokyo 2025 でも注目を集めたガバメントクラウドにおける FinOps に関して、10月下旬にガイドが公開されました。

ガバメントクラウドの実情を知らない私としては、単純にこういったアウトプットが早速公開されたことで、さらにガバメントクラウドや FinOps への関心が高まることが想定されるため、良いことなのではないかなと思いました。ベストな内容とは言えない部分も見受けられましたが、そこはガイド内にも記載されているように、今後も実態や状況に合わせて継続的に更新されていくことを期待しています。

またガイド公開の前後で、ガバメントクラウドにおける FinOps の実践に関する考察やガイドに記載された内容を検証された記事をお見かけました。両記事とも興味深い内容です。

継続的運用経費削減(FinOps)ガイド

https://guide.gcas.cloud.go.jp/general/finops-guide

ガバメントクラウドのFinOpsについて真剣に考えてみる(前編)

https://note.com/techniczna/n/nd2483d7ab9ed

ガバクラ共同利用方式のように直接操作できないアカウントの EC2 を閉域 API Geteway 経由でオンプレミスから起動停止できるようにする

https://qiita.com/takeda_h/items/ef6e74da773769519573

ナレッジ

10月は様々なイベントで FinOps やクラウドコストに関する登壇を見聞きすることが出来ました。とてもありがたいです。

今日も AWS 秋の Cost Optimization 祭り 2025 〜最新アップデート&メソッドと生成 AI × コスト最適化〜 がありますね!

サイバーエージェント流クラウドコスト削減施策「みんなで金塊堀太郎」

Japan FinOps Meetup#5 より

https://speakerdeck.com/kurochan/cyberagent-kinkai-horitarou

SREとソフトウェア開発者の合同チームはどのようにS3のコストを削減したか?

Tamachi.sre#1 より

https://speakerdeck.com/muziyoshiz/tamachi-sre-1

Azureコストと向き合った、4年半のリアル / Four and a half years of dealing with Azure costs

Azure費用最適化のアプローチとイオンの成果 より

https://speakerdeck.com/aeonpeople/four-and-a-half-years-of-dealing-with-azure-costs

Azureコストやらかしパターンから学ぶコスト最適化

Azure費用最適化のアプローチとイオンの成果 より

https://www.docswell.com/s/onarimon-program/58WELX-2025-10-20-165718#p1

FinOps について (ちょっと) 本気出して考えてみた

Azure費用最適化のアプローチとイオンの成果 より

https://speakerdeck.com/skmkzyk/finops-fin

DevelopersIO 2025 Sapporo で「Datadog × AWSコスト最適化」というタイトルで登壇しました #devio2025

DevelopersIO 2025 Sapporo #devio2025 より

https://dev.classmethod.jp/articles/developersio-2025-sapporo-datadog-aws-devio2025/

AWSコスト最適化の定番!もう聞かれても怖くないRIとSP基礎講座 で登壇しました #devio2025

【AIとクラウドの文化祭!】DevelopersIO2025 TOKYO GRAND FINALE より

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-ri-sp-devio2025-chibayuki/

関連情報:

Reserved Instances【AWS Black Belt】

https://www.youtube.com/watch?v=z7CEXdf6ZRw

リザーブドインスタンスに関する最新の Black Belt 資料です。とてもわかりやすく要点を理解することができるため、お勧めです。

5 Docker Image Inefficiencies Dive Will Help You Find

(Dockerイメージの非効率性5つをDiveで発見)

https://medium.com/@bear0x1/5-docker-image-inefficiencies-dive-will-help-you-find-26b6f9b6bb19

関連情報:

肥大化した Docker イメージを Dive という Docker イメージのレイヤーごとの詳細が分析可能なツールを利用して、不要なものを整理したことで半分以下のサイズへ縮小した内容が紹介されています。

Cost Analysis for Amazon CloudWatch Using Amazon Q CLI and MCP servers

(Amazon Q CLI と MCP サーバーを使用した Amazon CloudWatch のコスト分析)

https://aws.amazon.com/blogs/aws-cloud-financial-management/cost-analysis-for-amazon-cloudwatch-using-amazon-q-cli-and-mcp-servers/

Amazon Q Developer CLI と Billing and Cost Management MCP Server、CloudWatch MCP Server を利用して AWS アカウント全体の利用費分析から CloudWatch に絞った詳細なコスト分析が紹介されています。

分析の結果、CloudWatchLambda 関数は、保持ポリシーなしで DEBUG レベルと INFO レベルの両方で繰り返しの CSV データを過度にログに記録しているため、膨大なログコストを生成していることが明らかになりました

MCP Server を組み合わせることで、実際の利用状況を含めたより踏み込んだ分析まで行えるのはすごいですね。

Advanced Google Cloud Commitment Management Strategies

(高度な Google Cloud コミットメント管理戦略)

https://www.prosperops.com/blog/advanced-google-cloud-commitment-management-strategies/

Google Cloud でのコミットメントにおける 10つのベストプラクティスが紹介されています。Google Cloud でコミットメントを購入した経験がないので細かなところでの違いはあるかと思いますが、大枠の考え方としては AWS での購入戦略と似ていると感じました。

Analyze logs usage with Amazon CloudWatch enhanced automatic dashboard

(Amazon CloudWatch の拡張自動ダッシュボードでログの使用状況を分析)

https://aws.amazon.com/blogs/mt/analyze-logs-usage-with-amazon-cloudwatch-enhanced-automatic-dashboard/

AWS 側で事前に用意されている自動ダッシュボードの一つである CloudWatch Logs が更新されました。ダッシュボードに関して各ウィジェットごとに紹介されています。CloudWatch Logs に想定より利用費がかかっている際に始めに全容を調査するツールとして有用そうです。

Token by Token: Mastering AI Cost Optimization

(トークンごとに:AIコスト最適化をマスターする)

https://medium.com/@pradhe/token-by-token-mastering-ai-cost-optimization-faede5203d5d

関連記事:

生成 AI のコスト管理における課題とそれらへの対策の一環として複数プロバイダーやモデルのトラフィックを管理する GenAI Gateway と最適化のアプローチが紹介されています。個人的には GenAI Gateway(Generative AI Gateway)を初めて知りました。調べてみると AWS でソリューションが提供されていたり、Uber では自社開発をされていたりするようです。

AWS ranks #1 in Forecasting and Estimation Use Case in Gartner Critical Capabilities for Cloud Financial Management Tools report

(AWS は、ガートナー社のクラウド財務管理ツールの重要な機能レポートにおいて、予測と見積のユースケースで第1位を獲得しました)

https://aws.amazon.com/blogs/aws-cloud-financial-management/aws-ranks-1-in-forecasting-and-estimation-use-case-in-gartner-critical-capabilities-for-cloud-financial-management-tools-report/

関連記事:

ガートナー社によるクラウド財務管理ツール(FinOps ツール / SaaS と言っても良いかなと)に関する調査レポートの記事です。他ベンダーで同様のレポートに関する記事も公開されています。またレポート自体も取得可能です。
市場に、どのようなツールがあるのか、どの領域が得意なのかを知るのに有益です。もちろんレポートにないツールや書かれている内容が自社とマッチしない可能性もあるため、あくまで参考として知るのが良さそうです。

予期せぬコストアップを防ぐ!AWS Lambdaでコストを抑えるための3つの設定とアラート実装

https://note.erhoeht-x.jp/n/n60d709a22d94

Lambda の予期しないコスト発生への防止や早期検出するための具体的な方法( 「同時実行数の設定」「再試行数/待機時間の設定」「異常時のアラート設定」)が紹介されています。Lambda は比較的容易に利用することが可能で多くのユースケースで利用される一方で、思わぬコストインシデントに繋がるケースもあります。既存の Lambda 利用で不安がある場合は是非記事で紹介されているような対策を検討することをお勧めしたいです。

【点呼】担当者は日本に何人いる? AWS Organizationsの社内請求を魔改造CLIで経理翻訳する泥臭い話

https://qiita.com/kaga-yasumitsu/items/24778fe0e130b006e538

配賦に関しては記事内でも書かれているように正解があるものでもなく組織やその状況によっても妥当なアプローチが異なるため苦労が絶えないテーマで、中央集権で管理するチームにとっては大きめな課題の一つではないかと思います(つまり仲間は必ずいますよ!)。そんな生の声を紹介してくださってありがたい限りです。

How to analyze Extended Support Costs using Amazon Athena and CUR 2.0

(Amazon Athena と CUR 2.0 を使用して延長サポートコストを分析する方法)

https://repost.aws/articles/ARKr7SBfj9RleoNhzas51jtg/how-to-analyze-extended-support-costs-using-amazon-athena-and-cur-2-0

利用状況によっては延長サポートの料金は大きなコストインパクトとなります。そのため可能な限り事前に把握し、許容する場合も想定内かなどの状況はしっかり確認したい項目です。記事では CUR 2.0 と Athena による分析と Cloud Intelligence Dashboards での予測が紹介されています。

FinOps Alert: Hidden Costs of Outdated Snowflake Drivers

(FinOpsアラート:時代遅れのSnowflakeドライバーの隠れたコスト)

https://medium.com/@velunatsf/finops-alert-hidden-costs-of-outdated-snowflake-drivers-30cead7bf892

記事では Snowflake で利用するドライバーを更新することで、新機能やバグ修正、セキュリティ強化に加えて、パフォーマンス向上が期待され、ひいては機会損失に繋がるインシデントや溜めずに定期更新することで思わぬ運用コストの増加の回避などの良い影響を与えることが紹介されています。直接的なコストに関する施策とは異なりますが、適切な状態を維持することがトータルで見るとプラスに繋がるというこれも大切な観点ではないかと思います。

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