技術検証が簡単に!Amazon GameLift Serversのオンボーディング機能を解説
こんにちは。ゲームソリューション部の出村です。
今回は、Amazon GameLift Servers(旧名:Amazon GameLift)に新たに追加された「オンボーディング機能」についてご紹介します。この機能を利用することで、従来のGameLift Serversと比較して短時間で導入が可能となっています。
では、このオンボーディング機能とはどういったものか、詳しくみていきます
Amazon GameLift Serversへの名称変更
改めてですが、マルチプレイゲーム用サービスであるAmazon GameLiftは、Amazon GameLift Serversへと名称変更されています。
これは、3月にAmazon GameLift StreamsがGAとなった段階で名称変更が行われていました。そのため、今後は、Amazon GameLift Serversと呼びます(以降、GameLift Serversと表記)。
名称の変更以外に大きな機能追加はありませんが、ほぼ同時期に導入された機能が、今回ご紹介する「オンボーディング機能」です。
オンボーディング機能とは
オンボーディング機能は、GameLift Serversをより短時間に構築できるための機能です。これにより、今までより気軽に試すことができます。
この機能は、マネージドコンソールのGameLift Servers > ホスティング:開始方法を選択すると表示されます。
メニューには「クイック オンボーディング」と「SDKのフル統合」の2つの選択肢が表示されますので、そのいずれかを選択して導入をすすめていきます。従来からの方法は、こちらのメニューでの「SDKのフル統合」が該当します。
オンボーディング機能だと構築が楽になる
オンボーディング機能が無い頃は、GameLift Serversを試してみたくても、ゲームクライアントに対してGameLift SDKの組み込みが必要だったり、サーバーを利用するための設定がいろいろ必要だったりと、稼働させるまでが大変でした。
技術検証を行う場合であってもサーバーとクライアントの両方に対して詳細な設定が必要ですので、検証だけでも多くの時間と労力を費やす必要がありました。
今回追加されたオンボーディング機能を利用することにより、GameLift SDKの組み込みが不要になる、設定の一部が簡素化されるなど、これまでより少ない手間や時間でGameLift Serversを利用することができます。
手順が簡素化された事で、これまでよりGameLift Serversを気軽に試すことができ、本格採用するかの検討も行いやすくなることでしょう。
オンボーディング機能とSDKのフル統合での機能比較
オンボーディング機能とSDKのフル統合には、いくつかの違いがあります。
大きな違いとして、オンボーディング機能を採用した場合、GameLift Serverの機能を呼びだすには、GameLift SDKではなくGame Server Wrapperを利用してを呼び出します。
このWrapperは、GameLift SDKのすべての機能をカバーしている訳ではありません。詳細については以下の表の通りです。例えば、セッションIDによるネットワークゲームの参加可否制御をGameLift Serversに任せることはできません。
SDKのフル統合 | Game Server Wrapper (オンボーディング機能) | |
---|---|---|
GetSdkVersion | ○ | × |
InitSDK | ○ | ○ |
ProcessReady | ○ | ○ |
ProcessEnding | ○ | ○ |
ActivateGameSession | ○ | ○ |
UpdatePlayerSessionCreationPolicy | ○ | × |
GetGameSessionId | ○ | × |
GetTerminationTime | ○ | × |
AcceptPlayerSession | ○ | × |
RemovePlayerSession | ○ | × |
DescribePlayerSessions | ○ | × |
StartMatchBackfill | ○ | × |
StopMatchBackfill | ○ | × |
GetComputeCertificate | ○ | × |
GetFleetRoleCredentials | ○ | × |
Destroy | ○ | ○ |
表を見ても分かる通りオンボーディング機能では、必要な機能のみが提供されており、GameLift Serversの全機能を利用することはできません。たとえば、セッション管理やマッチメイキングなどの高度な機能は制限されているため、本格的な運用には、これまで通りGameLift SDKを組み込む必要があります。
オンボーディング機能の活用用途
ここまでの流れを考えるとオンボーディング機能は、以下のような用途に適していると言えるでしょう。
- 導入前の技術検証
- 実際にGameLift Serversの挙動を確認しながら、導入の可否を判断する材料とすることができます。
- プロトタイプゲームの開発
- 短期間で環境を立ち上げられるため、開発初期段階のテストや検証に向いています
まとめ
オンボーディング機能の登場により、GameLift Serversの検証や導入ハードルは下がったと言えるでしょう。
現在、AWS上で稼働しているネットワークゲームの開発を行っており、GameLift Serversの導入を検討しているものの、なかなか決断に踏み切れない方にとっては、このオンボーディング機能を使ったゲームサーバー構築が良いきっかけになるかもしれません。
ぜひ一度、オンボーディング機能を活用して、GameLift Serversの可能性を試してみてください。