Storage Transfer ServiceにAmazon S3からのデータ転送をより安くするオプションが追加されました
Google Cloudデータエンジニアのはんざわです。
2024年5月17日、Storage Transfer ServiceにGoogleが管理するマネージド・プライベート・ネットワーク経由でのデータ転送のオプションが追加されました。
この記事では、新しいオプションの概要や料金などを簡単に紹介したいと思います。
マネージド・プライベート・ネットワークとは?
マネージド・プライベート・ネットワークとは、Storage Transfer Serviceを利用して、Amazon S3からGoogle Cloud Storageへデータを転送するためのオプションの1つです。
このオプションを有効化するとGoogleが管理するCross-Cloud Interconnect経由でデータが転送されます。
これにより、Amazon S3のEgress料金がかからなくなり、代わりにGoogle CloudにGiBあたりの料金がかかります。
しかし、AWSからLISTやGETコールなどのオペレーション料金がかかる場合もあるそうです。
設定の方法
設定の方法は非常に簡単です。
コンソールから転送ジョブの作成時にマネージド プライベート ネットワーク
の枠にチェックを入れるだけでマネージド・プライベート・ネットワーク経由での転送に変更が可能です。
今のところ、gcloud CLIとクライアントライブラリでは、マネージド・プライベート・ネットワーク経由のオプションは対応していないようです。
料金の概算
(2024年5月19日時点での情報です)
マネージド・プライベート・ネットワークを介したAmazon S3からのデータ転送にかかる費用は以下の通りです。
データ転送量 | 料金 |
---|---|
一律 | 0.03 USD / GiB |
一方で、us-east-1
のAmazon S3のEgress料金は以下の通りです。
データ転送量 | 料金 |
---|---|
最初の 10 TB / 月 | 0.09 USD / GB |
次の 40 TB / 月 | 0.085 USD / GB |
次の 100 TB / 月 | 0.07 USD / GB |
150 TB / 月以上 | 0.05 USD / GB |
これらを比較するとデータ転送量に関わらず、マネージド・プライベート・ネットワーク経由でデータ転送した方が安いことがわかると思います。
一方で変更点として、今まではAWS側で発生していた料金がGoogle Cloud側に請求されるようになるので注意が必要です。
組織全体の費用は削減されるものの、Google Cloudを利用する部署やチームの料金は増加するため、複数の部署を跨いだ予算や方針などの再検討が必要になると感じました。
リージョンの制限
(2024年5月19日時点での情報です)
マネージド・プライベート・ネットワークは、以下のAmazon S3リージョンでサポートされています。
us-east-1
us-east-2
us-west-1
us-west-2
ca-west-1
ca-central-1
対応しているリージョンがまだ少ないのは残念ですが、今後の拡大に期待しています。
(ap-northeast-1
のサポート待ってます!!)