[アップデート] Gemini for Google Cloud の最新情報を共有します #GoogleCloudNext

Next'24 開催直前に Gemini for Google Cloud のアップデートについて調べてみました。
2024.04.10

本日4/9(火) AM 9:00~(GMT-7) より Google Cloud Next '24 がラスベガスにて開催されます! 開催に先駆けて本日 AM 5:00(GMT-7)に Google Cloud 公式ブログにて複数のアップデートがリリースされました。

複数のアップデートの中から本ブログでは「Gemini for Google Cloud」のアップデートについて、現時点でのリリースを基に調べてみたいと思います。

Gemini for Google Cloud

開発者、Google Cloudサービス、アプリケーションのための生成AIアシスタントであり、より効率的な作業やコーディング、より深いデータインサイトの獲得、セキュリティ上の課題への対応などを支援します。
以前より Duet AI として BigQuery へのクエリを自然言語で生成したりCloud Logging に集約されたログを自然言語で要約できたりするAIチャットアシスタント(一部プレビュー)や、IDE環境に統合可能なコード生成支援の Duet AI for Developers(制限付きGA) が提供されていました。

2024/3/26 に複数のリリースノートで Duet AI から Gemini for Google Cloud に変わることがリリースされ、Gemini を利用したアシスタントとなることと名称のリブランディングが説明され、この日から Cloud Console 上の UI も「Gemini」に変更されていました。

アップデートについて

今回の速報では、Gemini for Google Cloud の新しいアップデートに加え、AIアシスタント機能についてのブランドの統一化と、支援する対象と分野に合わせてシンプルで明瞭なメッセージング戦略となった印象です。

Gemini for Google Cloud は幾つかのコンポーネントを含む総合的なブランド名であり以下を含みます。

  • Gemini Code Assist
  • Gemini Cloud Assist
  • Gemini in Security
  • Gemini in BigQuery
  • Gemini in Looker
  • Gemini in Database

以下より詳細を説明します。

Gemini Code Assist

VS CodeなどのIDEに統合可能で、コード生成支援に加えてGoogle Cloudプロダクトに関わる質問にも回答可能な既存の Duet AI for Developers を進化させ、Gemini モデルを採用した Gemini Code Assist が発表されました。

昨年12月より提供されていた Duet AI for Developers に対し、Gemini Code Assist では以下の新機能が導入されたとのことです。

  • Full codebase awareness (Private Preview)
    100万トークンのコンテキストウインドウを提供する Gemini 1.5 Pro によって全コードベースにわたる大規模な変更を行うための支援を提供するとしています。例えば、新機能の追加、ファイル間の依存関係の更新、バージョンアップの支援、包括的なコードレビューなど、大規模プロジェクトで多くの依存関係を持つコードの変更支援が可能となるとのことです。

  • Code customization (Private Preview)
    プライベートコードベースを カスタマイズした Gemini Code Assist に接続して、コンテキストに応じたコード生成を行えるようにすることができます。また、GitLab、GitHub、Bitbucket を含む複数のソースコードリポジトリにアクセスするための接続を提供します。

  • Integration Services
    Apigee や Application Integration を使用して、アプリケーション間のシームレスなアクセスと接続を可能にするサービスの拡張です。これにより、外部サービスやAPIとの統合を容易に行うことができます。

  • Ecosystem enhancements
    Datadog、Datastax、Elastic、HashiCorp、Neo4j、Pinecone、Redis、Singlestore、Snyk、Stack Overflow を含む複数のパートナーからのデータとナレッジソースでGemini Code Assistを改善しています。
    これは、先般リリースされた Stack Overflow との戦略的提携など、ナレッジソースを提供するパートナーとの生成AIエコシステム形成についてかねてより関係強化することを公表していましたが、ついに具体化し機能として提供されたようです。

Gemini Cloud Assist

Gemini Cloud Assist は、以下の機能によって Google Cloudサービスのアーキテクチャを踏まえたアプリケーションライフサイクルの設計、運用、最適化を支援します。

  • Goal-driven design
    ニーズに合わせたアーキテクチャ構成を生成し、さらに提案の背後にある理由を説明可能としており、ビジネス目標に適したクラウドアーキテクチャ設計の支援が受けられます。

  • Guided operations and troubleshooting
    発生した問題を診断し、根本原因を特定して解決策を推奨します。

  • Tailored optimizations
    コスト削減、パフォーマンス、高可用性のいずれを優先するかに関わらず、改善の余地を特定して目標達成方法を提案するとしています。これにより、ユーザーはリソースの使用効率を最大化し、かつクラウドコストを最適化するための支援を得ることができます。

これらの Gemini Cloud Assist 機能は Private Preview で、Cloud Console のチャットインタフェースから直接アクセスでき、さらに様々なクラウド製品やリソース管理のためのインタフェースを通じて直接アクセスできるとのことです。

Gemini in Security

生成AIを活用してサイバーセキュリティの脅威に対する組織の対応能力を強化しリスク管理のプロセスを改善することを目的とした取り組みが Gemini in Security となります。ここでは、具体的な機能として Gemini in Security Operations が紹介されています。


Gemini in Security Operations は、昨年12月にGAが発表された Duet AI in Security Operations が名称変更され Gemini ベースの生成AIアシスタントとなり、かつ機能追加されたサービスとなります。
Chronicleセキュリティプラットフォームに統合され、自然言語によるデータ検索や自動サマリー生成などによりセキュリティチームの脅威検出、調査、対応を支援する生成AIアシスタントツールですが、Gemini in Security Operations として新たな機能追加が発表されています。

  • Gemini in Threat Intelligence (Public Preview)
    会話型検索を使用してMandiantの最前線の脅威インテリジェンスを利用し、攻撃者の行動に関する洞察を数秒で得ることができます。また、関連するオープンソースインテリジェンス(OSINT)記事の自動収集と要約を提供し、分析をサポートします。

  • Gemini in Security Command Center (Public Preview)
    設定ミスや脆弱性に関する重要かつ優先度の高いアラートを要約し、シミュレートされた攻撃経路における潜在的な脅威を排除する方法に関する推奨を提供します。。

なお、Geminiのセキュリティ機能は SecLM API(SecLM:サイバーセキュリティに特化した大規模言語モデル)に基づいて構築されているため、セキュリティに特化した機能の提供とがされています。

Gemini in BigQuery (Preview)

Gemini in BigQueryは、自然言語をサポートし、データエンジニアやデータアナリストの生産性を高めるための BigQuery 向け生成AIアシスタント機能です。以下の機能が発表されています。

  • data canvas
    新しいノートブックのようなインターフェースで、自然言語による操作や組み込みのビジュアライゼーションが提供されます。

  • AI augmented data preparation
    ローコードでビジュアルデータパイプラインを構築する機能で、データクレンジングや加工を生成AIで支援します。

  • その他生成AI支援
    クエリの推奨、セマンティック検索、クエリのパフォーマンス向上やエラー最小化、コスト最適化のための推奨機能などを提供します。 自然言語のプロンプトを使用してSQLやPythonコードを作成することもできます。

  • BigQuery から Vertex AI へのシームレスな接続
    BigQuery から直接 Vertex AI の AIモデルにアクセスでき、これによりAIモデル、従来のMLオペレーター、統計関数をデータパイプライン内でシームレスに組み合わせ、ドキュメント、ビデオ、画像、音声などのマルチモーダルな分析を行うことが可能になります。

Gemini in Looker

Gemini in Looker は、生成AIを利用してビジネスデータとチャットする新しい方法をユーザーに提供します。主な機能は以下の通りです。

  • Conversational Analytics (Private Preview)
    データに対してチャット形式で質問ができます。多角的な質問を投げかけ、数秒で洞察を得ることが可能としています。

  • その他機能 (Public Preview)
    コーディング無しでビジュアライゼーションやレポートの作成、Workspace との接続などを提供します。

Gemini in Database (Preview)

自然言語を使用してアプリケーションをより速く構築し、単一のペインからデータベース全体を管理、最適化、統制し、データベース移行を加速することができる生成AI支援機能を提供します。主な機能は以下の通りです。

  • Database Studio の SQL生成と要約機能
    リッチなSQLエディタである Database Studio に AIを活用したチャットインターフェイスによりSQL生成と要約機能を提供します。

なお、先日GAとなった AlloyDB Studio の Gemini による支援について、弊社ブログでも言及していますのでご参照ください。

  • Database Center
    単一画面からデータベース群全体を統合管理可能なダッシュボードを提供します。AIによる分析と推奨事項により、可用性、データ保護、セキュリティ、コンプライアンスの問題を評価し、洞察とヒントが得られます。

  • 移行の簡素化
    Database Migration Service 内でコード変換やコードの詳細説明などデータベース移行のラストワンマイルを支援します。

さいごに

本日より開催される Google Cloud Next '24 でも本件に関して情報収集してまいります。
今年は弊社から6人が現地参加しており、アップデートやセッションレポートなどは随時共有してきたいと思います。

また、Next '24 の翌週に帰国したばかりの現地参加メンバーが振り返り勉強会を行いますので是非とも現地でご参加ください!