AWS Generative AI Solution Box を使って GenU を 1-click デプロイしてみた

AWS Generative AI Solution Box を使って GenU を 1-click デプロイしてみた

2025.10.17

いわさです。

Generative AI Use Cases (GenU) は CDK ベースで作られているため、CDK デプロイ用の環境を用意してデプロイすることが多いと思います。
最近知ったのですが、AWS Generative AI Solution Box というものを使うと GenU を始めとする AWS が提供する AI ソリューションを環境の用意なしで簡単にデプロイできることを知りました。

DevelopersIO には CDK を使う標準のデプロイ方法を紹介するブログはいくつかあったのですが、AWS Generative AI Solution Box を使ってデプロイしている記事がなかったので今回試してみました。

https://dev.classmethod.jp/articles/generative-ai-use-cases-jp-handson-kb-rag/

https://dev.classmethod.jp/articles/genu-bedrock-knowledgebases-agents-crossaccount/

AWS Generative AI Solution Box

AWS Generative AI Solution Box とは、オープンソースで開発されている生成 AI の活用や開発に役立つアプリケーションを 1 click デプロイする機能を提供しているリポジトリのことです。

https://github.com/aws-samples/sample-one-click-generative-ai-solutions

本日時点では以下のソリューションがサポートされています。

ウェブサイトは以下となりまして、AWS アカウントにログインした上でウェブサイト上から上記 AWS ソリューションの中からデプロイしたいものを決めます。

https://aws-samples.github.io/sample-one-click-generative-ai-solutions/

リージョン選択コントロールと「Deploy」ボタンがあるので、そこからそのまま AWS マネジメントコンソール上にテンプレートが展開されてデプロイまで出来る感じです。
実体としては CDK デプロイ可能な基盤を含めてデプロイできる CloudFormation テンプレートです。

Generative AI User Cases (GenU) をデプロイする

今回は GenU のデプロイ方法を確認したかったので、AWS ソリューションの中から GenU をデプロイしてみましょう。
まず事前に AWS アカウントへのログインを済ませておきます。

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続いて AWS Generative AI Solution Box ウェブサイト内の「Generative AI Use Cases」で東京リージョンを選択して「Deploy」ボタンを押します。

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AWS Generative AI Solution Box より

そうすると AWS マネジメントコンソールの CloudFormation スタック作成画面に遷移すると思います。
ここでは作成する GenU 環境をカスタマイズするための以下のパラメータを指定することが出来ます。

パラメータ名 説明 本日時点のデフォルト値
Environment デプロイに使用する環境名 dev
NotificationEmailAddress デプロイ通知を受信するメールアドレス (例: test@example.co.jp) -
ModelRegion Bedrockモデルを使用するAWSリージョン us-east-1
AdditionalModels デプロイに追加するモデル (カンマ区切り) us.anthropic.claude-opus-4-1-20250805-v1:0
RAGEnabled RAG機能の選択: Amazon Bedrock Knowledge Bases、Kendra、Kendra Enterprise Edition、またはそれらの組み合わせ None
AgentCoreEnabled AgentCore上で動作するAWS MCPを使用するエージェントを有効化 (us-east-1で実行) true
SelfSignUp セルフサインアップ機能を有効化 (注意: パブリックアクセスを許可する場合は慎重に検討してください) false
AllowedSignUpEmailDomains サインアップを許可するメールドメイン (例: example1.co.jp, example2.co.jp) -
AllowedIpV4AddressRanges アクセスを許可するIPv4アドレス範囲 (例: 10.0.0.100/32, 192.168.0.0/24)。現在のパブリックIPアドレスはこちらで確認: https://checkip.amazonaws.com/ -
AllowedIpV6AddressRanges アクセスを許可するIPv6アドレス範囲 -

今回は RAG が欲しかったので RAGEnabled オプションを指定したいと思います。

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デフォルトの None 以外だと Amazon Bedrock Knowledge Bases を使うKnowledge-Basesか、Amazon Kendra Developer Edition を使うKendra、Amazon Kendra Enterprise Edition を使うKendra-Enterprise、Bedrock Knowledge Bases と Kendra どちらも使うBoth/Both-Enterpriseから選択が可能です。
今回私は Amazon Bedrock Knowledge Bases が使いたかったのでKnowledge-Basesを選択しました。

また、モデルは Anthropic の Claude Sonnet 4.5 を東京リージョンで使ってみたいと思いますので、ModelRegion パラメータにap-northeast-1を指定し、AdditionalModels パラメータにはanthropic.claude-sonnet-4-5-20250929-v1:0を指定しました。(後述しますが、この AdditionalModels の指定だとデプロイに失敗しました)

さらに、本番環境で使用する場合は以下のセキュリティ対策が推奨されています。[1]

  • AllowedIpV4AddressRangesAllowedIpV6AddressRangesを使用して、アクセス可能なIPアドレスを制限する
  • SelfSignUpfalseに設定し、管理者のみユーザーを作成できるようにする
  • AllowedSignUpEmailDomainsで特定のドメインからのサインアップのみを許可する

作成開始すると 1 分ほどでスタックのデプロイが完了しました。が、まだ実は GenU 自体はデプロイされていません。
このスタックからは GenU をデプロイするための基盤(CodeBuild など)がデプロイされただけで、その CodeBuild プロジェクトから GenU のデプロイフローが開始されています。

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この CodeBuild プロジェクトの Buildspec 上で GenU の CDK デプロイが実行されるようになっています。

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しばらくすると実行されていたビルドが失敗しました。げげっ。

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"Error: Unsupported Model Name: anthropic.claude-sonnet-4-5-20250929-v1:0" を修正

ビルドログを見てみると、どうやらサポートされていないモデル ID を指定してしまっていたようです。
GenU で利用するモデルが指定されたリージョンで提供されていない場合、互換性のあるモデルに自動的に変換されますと記載がされていたのですが...
少し調べていたところ、こちらの記事を発見しました。なるほど。[2]

Claude Sonnet 4.5 のような最近の基盤モデルを利用する場合、モデルIDだけを最新のもの(例 anthropic.claude-sonnet-4-5-20250929-v1:0)に変更すると、 推論プロファイル を使うよう促すエラーが表示されます。

ということで、Bedrock コンソールのクロスリージョン推論から推論プロファイルID を取得して使ってみました。
プレイグラウンドから Sonnet 4.5 の推論プロファイルjp.anthropic.claude-haiku-4-5-20251001-v1:0は私の環境から動かせなかったので Sonnet 4.0 の APAC 推論プロファイルを使うことにします。

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ということで、AdditionalModels をapac.anthropic.claude-sonnet-4-20250514-v1:0に変更して再度デプロイです。
先程デプロイされていたスタックを選択してそこから既存のテンプレート使用で直接更新を行います。

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image.png

パラメータで指定するモデルIDを先程取得した推論プロファイルのもので指定し直します。(以下は間違って Haiku 4.5 のものを使ってしまっています)

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これでデプロイすると、CodeBuild プロジェクトの環境変数上のモデルIDも更新されるので、その後ビルドの再実行を行います。

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18分かかりましたが、デプロイに成功しました。

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デプロイ成功後

デプロイに成功すると、完了を調べるメールが届きます。
そこにウェブサイト URL も記載されています。

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何らかの理由でメールが受信できなかった場合は CodeBuild プロジェクトが CKD デプロイしたことで CloudFormation スタックが追加で作成されていると思うので、GenerativeAiUseCasesStackdevというスタックを探してみましょう。

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そのスタックの出力値の中にWebUrlがありまして、そちらからもアクセスが可能です。

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GenU 環境が無事デプロイされていることを確認しました。
詳細は他の記事と同じなので割愛しますが、今回はユーザーをセルフサインアップし、チャット機能から推論プロファイルが使われていることを確認しています。

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また、Knowledge Bases 上にコンテンツアップロードをしていないのでレスポンスが得られていませんが、RAG メニューも表示されていました。

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さいごに

本日は AWS Generative AI Solution Box の 1 click デプロイを使って GenU をデプロイしてみました。

ローカルなどに CDK デプロイ用の開発環境を用意しなくて済むのが良いですね。
冒頭の記事では cdk.json などから様々なカスタマイズを行っていますが、そこまで本格的な開発やパラメーターカスタマイズが不要であれば良い選択肢になりそうです。

なお、デプロイしたリソースを削除するには、CloudFormationコンソールから GenerativeAiUseCasesStack と GenUDeploymentStack スタックを削除すれば良いです。

脚注
  1. Overview - AWS Generative AI Solution Box ↩︎

  2. Amazon BedrockのClaude 4.5 Sonnetを日本国内だけで実行する方法 | DevelopersIO ↩︎

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