ホテル・旅館の予約から到着までの顧客体験を向上させるLINE公式アカウントとLINEミニアプリの活用方法

ホテル・旅館の予約から到着までの顧客体験を向上させるLINE公式アカウントとLINEミニアプリの活用方法

ホテル・旅館のフロント混雑解消とDXを実現しつつ、LINE公式アカウントとLINEミニアプリを活用し予約後の事前チェックインから宿泊者名簿入力、旅前に合わせた観光・オプション案内までを自動化。旅館業法に準拠した実装方法や仕組みを徹底解説します
2026.10.06

ホテル・旅館の予約から到着までの顧客体験を向上させるLINE公式アカウントとLINEミニアプリの活用方法

こんにちは。リテールアプリ共創部@大阪のmorimorikochanです。

チェックインの時間帯に、ホテルのフロントに長い列ができて困った経験はないでしょうか。
当日のフロントで宿泊者名簿の記入や本人確認を一から行っていると、お客様をお待たせして不満につながるだけでなく、スタッフも電話対応すらできないほど手一杯になってしまいます。

また、観光の予定が決まっていないお客様がフロントで相談されている場面もよく見かけます。
しかし、混雑する時間帯ではスタッフも手短に対応せざるを得ず、お客様の満足度を下げてしまうばかりか、周辺観光の案内や施設オプションをご提案する貴重な機会も逃してしまいます。

実は、これらの課題はいずれも「お客様が到着する前」に対策を打つことが可能だと考えています。
予約完了の直後にLINEミニアプリから宿泊者名簿を入力していただき、観光案内も旅行目的に合わせて到着前にLINEでお届けすればよいのではないかと考えてます。
宿泊事業者様との商談でも、「事前チェックインの案内メールを送ってはいるものの、結局は当日にフロントで一から記入してもらっている」というお悩みをお聞きします。
案内の届け先をメールからLINEに切り替えることで、こうした状況を大きく改善できる可能性があります。

これまでの記事では、滞在中と宿泊後のお客様との接点をLINE公式アカウント(Messaging API)とLINEミニアプリで刷新する方法を検証してきました。
本記事では、その前段階にあたる「滞在前(予約完了から当日の到着まで)」を取り上げます。
前2回の記事では、友だち追加がすでに完了している前提で解説していましたが、滞在前の連絡窓口をLINEに集約すれば、事前チェックインの流れの中で友だち追加をしてもらえます。

なお、この記事では到着時の本人確認と鍵の受け渡しについては、現地で行う前提としています。
2025年には旅館業における衛生等管理要領が改正され、ICTを活用した本人確認の手法が整理されましたが、LINEの画面上だけで本人確認が完結するわけではありません。
法的な要件については、後半の"事前チェックインの法的要件"で整理したものを紹介したいと思います。

検証した顧客体験

予約確認から、そのまま事前チェックイン

予約完了の通知をLINEでお届けし、そこからシームレスにLINEミニアプリを開いていただくことで、「友だち追加」と「宿泊者名簿の事前入力」を一連の操作で完了できる体験を構築しました。
名簿の入力にはクイック入力機能を活用しているため、わずか数秒で完了します。

以下のデモ動画では、通知の受信から二次元コードの表示までの一連の流れをご覧いただけます。


予約完了の通知から、友だち追加と事前チェックイン入力までを一続きで完了

具体的には、まずOTAや自社予約エンジンなどで宿泊予約が完了すると、予約者の電話番号宛てにLINE通知メッセージ(友だち追加していないユーザーに対しても、電話番号をもとに配信できるメッセージ)でメッセージが届きます。

このメッセージからアクセスするとLINE公式アカウントとのトークが開きます。
トークでは、以下のような感じで予約完了のお知らせと共に、事前チェックインへの導線が用意されています。

このメッセージのボタンをタップするとLINEミニアプリが起動します。
初回起動時のチャネル同意画面には友だち追加のトグルボタンが表示されるため、お客様は許諾と同時に友だち追加も済ませることができます(2025年9月のUI改修により、この友だち追加オプションはより見やすく目立つ表示になりました)。

ミニアプリ内では、予約番号と電話番号の下4桁を用いて予約データを照合し、宿泊日程やプラン、人数を表示します。

代表者の氏名や電話番号、到着予定時刻など、OTA(宿泊予約サイト)や自社予約エンジンですでに入力されている項目は、あらかじめ予約データから埋めておきます(プレフィル)。
これにより、お客様は内容の確認と、不足している項目の入力だけで済みます。

不足している項目についても、宿泊者名簿フォームの「自動入力」ボタンを押すだけで簡単に埋められます。
ボタンをタップすると、LINEの共通プロフィールに登録されている氏名、フリガナ、住所、電話番号、メールアドレスが一括でフォームに反映されます。

最後に、利用目的(観光、出張、記念日など)やご要望を選択して送信すると、完了画面に当日フロントで利用する受付用の二次元コードが表示されます。
なお、この二次元コードはトーク画面のリッチメニューからいつでも再表示が可能です。

宿泊当日は、受付用の二次元コードをフロントのタブレット端末または自動チェックイン機にかざし、
画面に表示された名簿内容に間違いがないかをお客様ご自身で確認して確定し、その場で本人確認も実施します。
事前にご入力いただいた内容はあくまで「下書き」として扱い、当日にご本人が確認して名簿として確定させる設計をとっています。(詳細は後述の法的要件のセクションで解説します)

仕組み

予約完了通知は、予約エンジンやPMS(宿泊管理システム)の予約完了イベントをトリガーとして、連携サーバーがLINE通知メッセージのAPIをコールすることで送信します。
LINE通知メッセージのテンプレートには、「ご予約完了のお知らせ」「ご予約前日のお知らせ」「ご予約のリマインド」などの用途があらかじめ用意されているのでそちらを利用します。
導入にはLINEヤフーのパートナー経由での申請が必要なので注意してください。

また、LINE通知メッセージはすべての予約者に必ず届くわけではありません。
受信できるのは、以下をすべて満たすユーザーに限られます。

  • LINE通知メッセージの送信対象として指定した電話番号が、ユーザーがLINEに登録している電話番号と一致していること
  • ユーザーがLINEに登録している電話番号が有効であること(SMSによる電話番号認証を、一定期間内に一度実施している)
  • ユーザーがLINE通知メッセージの受信に同意していること
  • ユーザーがLINE通知メッセージ送信元であるLINE公式アカウントをブロックしていないこと
  • LINE通知メッセージの送信対象として指定した電話番号が、日本、タイ、台湾で発行された電話番号かつ、LINEアプリにおいて電話番号による認証を行うことができる電話番号であること
  • ユーザーがLINEのプライバシーポリシー(2022年3月改定以降のもの)に同意していること

LINE通知メッセージが送信される条件

そのため、今回の構成ではLINE通知メッセージと並行して、予約完了メールにも事前チェックイン用のURL(LINEミニアプリへのリンク)を記載しています。
このように案内経路を2つ用意しておくことで、通知メッセージが届かなかったお客様もメール経由で事前チェックインへ進めるため、全体の利用率向上が期待できます。
通知メッセージの導入ハードルが高い施設であれば、まずはメール経由のみでスモールスタートすることも可能です。

名簿入力のステップでは、まず予約エンジンやPMSから取得した予約データをフォームにあらかじめセット(プレフィル)し、予約時に入力した内容を二重に入力させない工夫をしています。
その上で、予約データに含まれていない項目(住所、フリガナなど)を補完するために共通プロフィールのクイック入力を活用します。

共通プロフィールのクイック入力とは

クイック入力は2025年8月に正式リリースされた機能で、氏名、フリガナ、性別、生年月日、電話番号、メールアドレス、郵便番号、住所を取得できます。
本機能を利用するには認証済みミニアプリである必要があります。
詳しい仕様については、以下の記事で解説しています。

https://dev.classmethod.jp/articles/liff-auto-quick-input/

収集する項目は、旅館業法第6条および同法施行規則第4条の2が定める宿泊者名簿の記載事項(氏名、住所、連絡先)に準拠しています。
2023年12月の法改正により職業欄が廃止され、新たに連絡先が追加されました。
なお、宿泊者名簿は作成日から3年間の保存が必要です。
日本国内に住所を持たない外国人のお客様については、国籍と旅券番号の記載も必要となります。
ただし旅券番号は個人情報保護法上の"個人識別符号"に当たる重要な個人情報であり、旅券(パスポート)の画像は漏えいしたときの影響も大きいため、ミニアプリ側で旅券を撮影、保存する設計はお勧めしません。
旅券については、宿泊当日に現地のフロントで確認し、写しの保存も現地で行う運用をお勧めします。

予約情報の照合が完了したタイミングで、予約番号とLINEユーザーIDの紐付け情報をデータベースへ保存します。
この紐付けデータは前2回の記事でご紹介した施策を支える重要なデータです(詳細は後述の「どうやって『予約とLINEユーザーID』を紐付けるか」で解説します)。
また、事前チェックインを行わなかったお客様に対しても、当日のフロントに設置した二次元コードからミニアプリを開いて友だち追加していただくことで、その場で同様の紐付けを行うことが可能です。

受付用の二次元コードは、LINE側が発行するものではなく、自社システムや事前チェックインSaaS側で生成したものをミニアプリ上に表示しています。
これまでメールなどで送っていたチェックイン用QRコードの届け先が、LINEに置き換わったとイメージしていただくと分かりやすいかと思います。
当日は自動チェックイン機やフロントのタブレット端末でこのコードを読み取り、本人確認は現地で行います。

旅行目的に合わせた周辺案内と滞在前のオプション販売

事前チェックインの入力フォームでは、宿泊者名簿の項目に加えて「利用目的」「到着予定時刻」なども収集するような構成にしました。

これらの回答データを活用し、到着前にお届けする案内コンテンツをお客様ごとに出し分ける体験を検証するためです。
例えば、観光目的のお客様には周辺の観光スポットやモデルコースを、記念日でのご利用にはホールケーキの手配や客室のアップグレードプランを、早い時間帯に到着予定のお客様には早期チェックイン(規定の時刻より早く入室できる有料オプション)をご案内します。
滞在前は現地での予定がまだ確定していないことも多いため、滞在中よりもオプションの事前申し込みにつながりやすいという利点があると思います。

例えば"観光目的"と回答されたお客様には、宿泊の数日前に「周辺の観光地とおすすめ周遊コース」をまとめたFlexメッセージ(画像やアクションボタンを組み合わせたカード型のメッセージ)をカルーセル形式で配信します。
カードをタップすると、ミニアプリ内で詳しい周遊プラン(所要時間、送迎バスの運行ダイヤ、チケット手配の可否など)をそのまま確認できます。

また例えば記念日での宿泊と回答されたお客様には、「ケーキや花束の手配」や「お部屋のアップグレード」といった特別なオプションの案内をお届けします。
お客様はミニアプリ上からそのまま手軽に申し込むことができ、申し込みが完了すると確認メッセージが届きます。
また、早い時間帯での到着を予定されているお客様には、早期チェックインのご案内を表示します。

以下は、利用目的の異なる3名のお客様にそれぞれ適した案内が届いている様子です。

観光目的のお客様向け 記念日のお客様向け 早い時間帯での到着お客様向け

仕組み

事前チェックイン時に取得した回答データは、LINEユーザーIDと紐付けてデータベースに保存し、配信条件に応じたLINEユーザーIDのリストを生成します。
メッセージの配信には、対象者が少人数であればMessaging APIのマルチキャストを活用します。
「宿泊の○日前」といったステップ配信のトリガーも、宿泊後の記事と同様の仕組みで動作させています。

周辺案内のコンテンツについては、自社公式サイトの観光ガイドページや、普段コンシェルジュが案内している定型文をそのまま転用できます。
周遊プランに関しても、自治体やDMO(観光地域づくり法人)が公開している公式情報へのリンクを活用するだけで十分に成り立ちます。
また、Flexメッセージはメールよりも表現力に優れており、写真、カルーセル表示、アクションボタンを組み合わせることで、地域の見どころやプランの魅力を存分に伝えられます。
同様の内容をテキスト主体のメールで送る場合に比べ、お客様に目を通していただける機会は増えると考えています。

Flex Messageを送信する

オプションの申し込みデータは、予約エンジンやPMSに追加オプションとしてAPI経由で連携します。
PMSとのAPI連携が難しい場合でも、管理画面上に申し込み一覧を表示し、スタッフが手作業でPMSへ登録する運用からスモールスタートすることが可能です(後述の実装方式の比較表もご参照ください)。
また、申し込み完了時の確認通知にはサービスメッセージを利用できます。

なお留意点として、滞在前は予約完了通知、前日案内、当日のリマインドなどメッセージの送信数が多くなりがちです。
さらに、LINE通知メッセージは仕様上、広告宣伝や販促目的のメッセージ配信には利用できません。
そのため、各種オプションの案内は友だち追加後のプッシュメッセージ(Flexメッセージ)として別に配信し、通数も1〜2通程度に抑えて過度な通知にならないよう配慮することをオススメします。

前日案内と当日のリマインド、到着時刻の変更

宿泊の前日には交通アクセス、駐車場、送迎バス、持ち物などの実用情報を1通にまとめてお届けし、当日の朝にはチェックイン用の二次元コードと到着時刻の確認をメッセージ配信してみました。
また、到着予定時刻の変更はお客様にわざわざ電話をかけていただくのではなく、LINEのボタン操作だけで完結できるように設計しました。

前日案内 到着時間変更 リアルタイムにPMSに連携
&
トークに通知

宿泊前日の夕方には、前日案内のLINE通知メッセージ(用途は「ご予約前日のお知らせ」)を送信します。
アクセス情報(地図リンク)、駐車場の案内、送迎バスの時刻表、現地の天気予報、朝食の提供時間などをコンパクトにまとめ、「到着時刻を変更する」「二次元コードを表示」といったリンクボタンを配置しています。

当日の朝には、「本日はご来館をお待ちしております」というリマインドのLINE通知メッセージ(用途は「ご予約のリマインド」)を配信します。
受付用の二次元コードや到着予定時刻を改めて提示するとともに、「到着が遅れそうな場合はこちら」というボタンを設置します。

お客様が「到着時刻を変更する」ボタンをタップし、ミニアプリ上で希望の時刻を選択するだけで、PMS側の到着予定時刻がリアルタイムに更新される仕組みです。

友だち追加済みのお客様に対しては、当日の朝になるとトーク画面下部のリッチメニューが自動的に「当日モード」へと切り替わる仕組みを想定して実装しました。

当日モードには、二次元コードの表示、アクセス案内、各種お問い合わせといったメニューが配置されており、当日の連絡やチェックイン手続きを迷わず行えます。
そして現地でのチェックインが完了すると、滞在中の記事でご紹介した「館内モード」のリッチメニューへと切り替わります。

仕組み

前日案内や当日のリマインドは、宿泊日を基準としたステップ配信(例:前日の17時、当日の朝8時など)として実行します。
このステップ配信は、LINE公式アカウントの管理画面(LINE Official Account Manager)の配信機能だけでは実現できません。
そのため、予約データをもとに配信日時を判定してAPIを呼び出す処理を、連携サーバー側にカスタマイズして実装する必要があります。
友だち追加の有無で配信経路を分けず、予約完了通知と同じくLINE通知メッセージに統一し、電話番号宛てに送信しています。
なお、すでに友だち追加されているお客様には、これに加えて当日モードへのリッチメニュー切り替えを実行します。

到着予定時刻の変更処理は、ミニアプリから連携サーバーを経由してPMSの予約データを更新します。

当日モードへのリッチメニュー切り替えには、滞在中の記事でも解説したユーザー単位のリッチメニュー紐付けAPIを活用します。
当日の朝にこのAPIを実行する点を除けば、館内モードへの切り替えと同じ制御ロジックで動作しており、メニューの戻し忘れへの対策も共通の設計方針で実装しています。

どうやって「予約とLINEユーザーID」を紐付けるか

ここまでご紹介してきた施策はすべて、「予約が完了したことをシステムが把握できること」と「データベース上で予約番号とLINEユーザーIDが紐付いていること」の2つを前提として成り立っています。
前2回の記事では、この紐付けがあらかじめ完了している前提でしたが、その紐付けを事前チェックイン時に行います。

予約完了から各種配信に至るデータ連携の流れは、以下の図の通りです。


予約完了を起点にしたデータ連携の流れ(①〜⑤)

  1. 予約が成立したタイミングで、予約エンジンやPMSから連携サーバーへ予約データ(予約番号、電話番号、宿泊日程、プラン、人数など)が送られます。API連携が難しい環境であれば、日次のCSV連携でも運用可能です。
  2. 連携サーバーはLINE通知メッセージのAPIをコールし(または予約完了メールを送信し)、事前チェックイン用のURLをお客様へ届けます。
  3. お客様がURLからLINEミニアプリを起動すると、LINEログインを通じてLINEユーザーIDを取得します。その後、予約番号と電話番号をもとに予約データとの照合を行います。
  4. 連携サーバーは、「予約番号」と「LINEユーザーID」(会員基盤が存在する場合は「会員アカウントID」も含む)の紐付け情報をデータベースへ保存します。あわせて、宿泊者名簿フォームに入力された各項目も同じデータベースへ記録します。
  5. 以降の前日案内、当日モードへのリッチメニュー切り替え、チェックイン後の館内モードへの移行、そしてチェックアウト後の配信などは、すべてこのデータベースの紐付け情報を参照してMessaging APIを実行します。

前2回の記事のシステム構成図に記載していた「DBに問い合わせてLINEユーザーIDを取得する」という処理は、まさにこのステップで構築された対応テーブルを参照しています。

また、独自の会員基盤をお持ちでない宿泊施設であっても、「予約番号」と「LINEユーザーID」の紐付けさえ保持できていれば、連載で紹介したすべての施策を実行可能です。

予約経路ごとの入口の違い

施設側が事前に把握できる宿泊者の連絡先は予約経路によって異なるため、事前チェックインへの誘導方法もそれに合わせて使い分ける必要があります。
公式サイトからの直販予約や国内OTA経由の予約では、LINE通知メッセージとメールを併用します。

予約経路 施設が把握できる連絡先 事前チェックインへの誘導
直販(公式サイト、電話) 電話番号、メールアドレス LINE通知メッセージと予約完了メールのリンクを併用して案内
国内OTA 電話番号(取得できることが多い)、OTAが発行する代理メールアドレス LINE通知メッセージを主な経路にする。OTAの代理メールは外部リンクが無効になる場合があるため、メールは補助の経路として使う
海外OTA 日本国内で有効な電話番号を持たないことが大半 到着時にフロントの二次元コードから友だち追加と紐付けを行う(滞在中の記事で解説した流れに合流)

事前チェックインの実装方式

事前チェックインのシステム構成には、大きく分けて3つのアプローチが考えられます。
すでに事前チェックインSaaSや自動チェックイン機を導入しているかどうかによって、適した方式が変わります。

方式 概要 メリット デメリット
既存の事前チェックインSaaSやPMSの名簿入力URLをLINEで配信する 名簿の入力と二次元コードの発行はSaaS側に任せ、LINEは通知の配信と友だち追加だけを担う 開発工数を最小限に抑えられる。自動チェックイン機との既存の連携を活かせる SaaS側のWeb画面になるため、クイック入力を使えない。予約とLINEユーザーIDを紐付ける仕組みは別途開発が必要
LINEミニアプリで名簿を入力し、PMSへ連携する 名簿の入力、予約の照合、IDの紐付けをすべてミニアプリで行い、PMSへAPIまたはCSVで連携する クイック入力を活用できる。予約とLINEユーザーIDの紐付けを自然な流れで作れる 受付用の二次元コードの発行機能と、当日の読み取り設備(自動チェックイン機やフロントのタブレット)を用意する必要がある
LINEミニアプリでの入力に加え、当日の読み取り環境も自社で構築する 上記に加えて、フロントのタブレットで二次元コードを読み取り、名簿の内容を本人に確認、確定してもらう。本人確認はスタッフが対面で行う 高価な自動チェックイン機を導入していない施設でも小さく始められる 無人化まで狙う場合は、後述の本人確認の要件を自前で満たす必要がある。タブレットが「自動チェックイン機器等」に当たるかは、管轄の保健所への事前相談が必要

事前チェックインの法的要件

LINEミニアプリを活用して事前チェックインを構築する際に関係する法令や行政のガイドラインについて、一次資料をもとに整理し以下の表にまとめました。

項目 要件 根拠
名簿の記載事項 氏名、住所、連絡先。国内に住所のない外国人は国籍と旅券番号を追加 旅館業法6条、旅館業法施行規則4条の2
名簿の保存 作成日から3年。電子保存も可 旅館業法施行規則4条の2
名簿の記入方法 宿泊者の自筆は必須ではない。予約時の情報を営業者が転記し、チェックイン時に本人が誤りのないことを確認すれば足りる 厚労省 旅館業法に関するFAQの改定について ①No.13
事前入力の位置づけ 予約時の情報をそのまま名簿にはできない。本人確認を伴うチェックイン時に記載(確定)する 厚労省 旅館業法に関するFAQの改定について ⑤No.1
本人確認の方法 対面、ビデオ通話(顔と旅券が鮮明に映り、施設の近くから発信)、または事前共有情報(二次元コード、暗証番号など)と本人確認情報を施設の自動チェックイン機器等で照合し、顔を判別できる角度で録画し、操作の問い合わせ体制を整える方法 衛生等管理要領の改正(2025年3月11日通知、4月1日適用)[^yoryo]
スマホアプリと二次元コードの方式 アプリで事前に登録、認証した本人確認情報に紐付く二次元コードを機器に示して照合する方法は認められる 要領改正FAQ 問10②
外国人(国内に住所なし)の旅券 旅券の呈示を求め、写しを名簿とともに保存する(電子保存可)。自動チェックインでも旅券を機器に示す必要がある 要領改正FAQ 問9
フロントを置かない場合 緊急時の駆けつけ体制、本人確認と出入りの確認、鍵の受け渡しの3要件。自治体の条例で上乗せがある 施行規則4条の3、衛生等管理要領

※本記事の記載は一次資料をもとに一般的な内容を整理したものであり、個別の案件への法的な助言ではありません。実際の導入や運用にあたっては、管轄の保健所や貴社の法務部門、顧問弁護士などの専門家へご相談ください。

まとめ

  • LINE公式アカウントとLINEミニアプリを組み合わせることで、予約内容の確認や宿泊者名簿の事前入力、旅行目的に合わせた観光案内やオプションの提案から、前日案内や到着時刻の変更まで、宿泊前のお客様との接点をひと通り形にできることがわかりました。
  • 一方で、実装にあたって押さえておきたい注意点もいくつかあります。たとえば、LINE通知メッセージには費用や用途、配信対象の条件があるほか、クイック入力の利用には認証済みミニアプリが必要です。また、本人確認は現地で行うため、事前入力はあくまで下書き扱いとし、当日にご本人が確認して確定する運用にします。受付用の二次元コードは自社システム側で発行する必要があり、滞在前に送るメッセージの通数にも配慮が欠かせません。
  • 事前チェックインは、お客様にとって当日の手続きが楽になる便利な機能であると同時に、施設にとっては予約情報とLINEユーザーIDを紐付ける最適なタイミングでもあります。ここで作った紐付けが、滞在中や宿泊後の施策を支える土台になります。

今回は「予約から当日まで」の顧客体験を整理してみましたが、滞在中や宿泊後を扱った記事とあわせて、カスタマージャーニー全体の流れを感じていただけたなら嬉しいです。
こうした体験設計や実際のデモ、裏側の仕組みなどに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひクラスメソッド リテールアプリ共創部まで気軽にお問い合わせください!

https://classmethod.jp/services/line/line-apps/

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※本記事の内容は2026年10月時点の情報にもとづいています。記事中で紹介した各種サービスの仕様、料金、APIの制約などは今後変更される可能性があるため、最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。


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