AWS入門ブログリレー2024〜 Amazon QuickSight 編〜

Amazon QuickSight について 2024 年時点の情報をまとめてみました。AWS サービス入門記事として是非ご活用下さい。
2024.04.15

コーヒーが好きな emi です。

当エントリは弊社 AWS 事業本部による『AWS 入門ブログリレー 2024』の 16 日目のエントリです。

このブログリレーの企画は、普段 AWS サービスについて最新のネタ・深い/細かいテーマを主に書き連ねてきたメンバーの手によって、 今一度初心に返って、基本的な部分を見つめ直してみよう、解説してみようというコンセプトが含まれています。 AWS をこれから学ぼう!という方にとっては文字通りの入門記事として、またすでに AWS を活用されている方にとっても AWS サービスの再発見や 2024 年のサービスアップデートのキャッチアップの場となればと考えておりますので、ぜひ最後までお付合い頂ければ幸いです。

では、さっそくいってみましょう。今回のテーマは『Amazon QuickSight』です。

Amazon QuickSight 概要

Amazon QuickSight は、AWS が提供するビジネス分析(BI)サービスです。AWS に蓄積されたデータを利用して、以下のようなダッシュボードをブラウザ上で作成し、可視化・分析できます。

導入や管理のためにサーバーを構築する必要はありません。

Athena、Redshift、S3 など様々なデータの可視化・分析に対応しています。

QuickSight はクエリ発行やデータ操作を GUI で直感的に操作できるようになっています。データソースに接続して QuickSight 上で設定をおこなうと、裏でデータソースにクエリが走り、QuickSight で用意されたビジュアルを使って良い感じに可視化してくれます。

ダッシュボードへのアクセス権限を管理するため QuickSight 独自のユーザー管理ツールが提供されていて、閲覧権限のある QuickSight ユーザーにダッシュボードを公開することが可能です。

Amazon QuickSight のプラン

QuickSightを利用する際には以下の 3 つのプランからプランを選択する必要があります。

  • Standard Edition
    • ユーザーの権限管理を必要とせず、データ分析やダッシュボードの検証を行いたい場合
  • Enterprise Edition
    • 閲覧者と管理者(作成者)の権限を分けて管理したい場合
    • QuickSight の IP 制限や保管中のデータの暗号化、Active Directory への接続を行いたい場合
  • Enterprise Edition + Q
    • 分析からデータの予測を行いたい場合

プラン名を一見すると Enterprise Edition が高そうと思われるかも知れませんが、使い方によっては Standard プランより Enterprise Edition の方が安くなるケースもあります。

詳細は以下ブログを参照ください。

QuickSight に含まれる要素

QuickSight には以下のような要素があります。これらの要素をアセットと呼ぶこともあるようです。

データソース

データソースは、データのもととなるソースです。サポートするデータソースについては、以下を参照ください。

データセット

可視化対象のデータが格納されたデータソースへ QuickSight から接続するか、インメモリデータベースである SPICE へデータをインポートします。この単位をデータセットと呼びます。

SPICE については後述します。

分析

可視化するグラフや図の作成や編集ができます。作成者(Author)以上の権限をもったユーザーが操作できます。

以下のように、画面上でいくつかのコンポーネント(フィールド、ビジュアルタイプ、シート等)で構成されており、自由にビジュアルを作成することができます。

ビジュアルとは、データセットをグラフィカルに表現する集合体で、ビジュアルタイプは表やグラフのタイプのことです。ピボットテーブル、地図、折れ線グラフ、棒グラフ、パイチャートなど、さまざまなビジュアルを選択できます。

ダッシュボード

分析の Read Only モードのことで、分析が作成され公開できる状態になると、作成者(Author)はそれをダッシュボードとしてエクスポート・公開することができます。

テーマ

背景や配色のセットです。自身で編集して作成することもできます。
作成したテーマをその他のユーザに共有し、共有されたテーマを自身の分析やダッシュボードで利用したり、別名で保存してコピーを保持することもできます。
以下は「Midnight」というテーマを適用してみました。

Amazon でのテーマの使用 QuickSight - Amazon QuickSight

QuickSight Q トピック

自然言語クエリで問い合わせをすることができるデータセットのコレクションのことです。
話しかけるような文言を入力すると、結果を予測してビジュアルで問い合わせに応答します。作成者(Author)は既存のデータセットやダッシュボードからトピックを作成することができます。

「QuickSight Q」と、パブリックプレビュー中の「Amazon Q in QuickSight」というものがあり、別物です。詳細は以下ブログや動画を参照ください。

QuickSight で提供される 3 つのロール

ダッシュボードへのアクセス権限を管理するための独自のユーザー管理ツールが提供されています。
QuickSight は3つのロールを提供します。

管理者(Admin)

QuickSight の管理操作と分析をおこなうことができます。QuickSight アカウント 1 つにつき、1つもしくは複数の管理者を作成します。
主な管理操作は以下のようなものがあります。

  • サブスクリプション管理
  • ユーザーやグループの操作
  • ストレージ容量の管理
  • 他の AWS サービスへのアクセス管理
  • SSO の設定

作成者(Author)

アナリストや BI エンジニアのためのロールで、データセットの作成、分析の作成、分析やダッシュボードの共有、ダッシュボードへの公開などをおこなうことできます。

閲覧者(Reader)

レポートやダッシュボードを参照するユーザー向けのロールです。 QuickSight コンソールや埋め込みアプリケーションを通してダッシュボードにアクセスしたり、Email アラートを受け取ることができます。独自にブックマークを作成したりアラート設定をすることもできます。

SPICE(スパイス)

QuickSight には SPICEというインメモリ型の高速データベースが内蔵されています。
この SPICE 領域にデータを取り込んでおくことで、高速な BI 応答が可能になります。SPICE を使わず、データソースに直接クエリを発行して利用することも可能です。

異なるデータソースをまたがってジョインされたデータは SPICE 内に保存されるため、SPICE 容量を消費します。

料金

Standard Edition

Standard Edition の料金は以下です。
Business Intelligence Service – Amazon QuickSight Pricing – AWS

タイプ 価格 付属の SPICE 容量
年間プラン ユーザーあたり月額 9USD 10 GB/ユーザー
月額プラン ユーザーあたり月額 12USD 10 GB/ユーザー

SPICE 容量を追加する場合は 1GB あたり 0.25USD かかります。

Enterprise Edition

作成者(Author)

月ごと 年間契約
作成者(Author) 月あたり 24USD 月あたり 18USD
QuickSight Q の作成者(Author) 月あたり 34USD 月あたり 28USD

閲覧者(Reader)

月ごと
閲覧者(Reader) 0.30USD/セッション、最大 5USD/月まで
QuickSight Q の閲覧者(Reader) 0.30USD/セッション、最大 $10USD/月まで

閲覧者(Reader)における 1 セッションは 30 分間で、セッションごとに固定料金が発生します。

ユーザーがアクション (ログイン、ダッシュボードのローディング、ページの更新、ドリルダウンまたはフィルタリングなど) を開始した瞬間から 30 分間です。ブラウザのウィンドウ、またはタブで QuickSight をバックグラウンドで開いたままにしていても、閲覧者がページでアクションを開始するまではアクティブなセッションにはなりません。

1 セッションにつき 0.30 USD が請求されますが、閲覧者 1 人あたり 5 USD/月の上限が設定されています。
最初の 16 セッションまではセッションあたり 0.30 USD 請求され、17 回目のセッションでは 0.20 USD 請求され、それ以降は 5USD のままです。

SPICE

QuickSight 作成者(Author)料金には 10GB の SPICE 割り当てが含まれています。
10GB を超える場合、GB あたり/月 0.38USD が追加でかかります。

その他オプション料金は以下をご参照ください。

触ってみる

QuickSight はいろいろな種類のハンズオンが提供されています。目的に応じてハンズオンを選択して試すことができます。

また、公式ドキュメントでサンプルデータも共有されています。サンプルデータを使ってダッシュボードの作成を試すことができます。

終わりに

以上、『AWS 入門ブログリレー 2024』の 16 日目のエントリ『Amazon QuickSight』編でした。 次回、4/10 (水)は弊社 べこみん による「Amazon Macie」の予定です!

参考

2023.08.04 Dive Deep パート1 QuickSight におけるアセット管理