iOSアプリ開発者による2025年のふりかえり

iOSアプリ開発者による2025年のふりかえり

2025.12.31

2025年が終わりを迎え、振り返ると多くの変化があった年だった。現職に転職して2年が経ち、チーム体制も拡大し、開発フローの改善にも取り組んだ。iOS 26への大幅なバージョンジャンプ、12年ぶりのデザイン刷新など、Appleプラットフォームにとって大きな転換点となった一年を、iOSアプリ開発者目線で振り返る。

iOS/Androidアプリ開発

仕事では、引き続きiOS/Androidのネイティブアプリの保守と新機能開発を担当した。Androidについては主にJetpack Composeを使ったUI実装や既存コードの改善に取り組んだが、本記事ではiOSを中心に、特に印象に残ったトピックをいくつか紹介する。

2025年6月9日に開催されたWWDC 2025では、次期バージョンをiOS 26とする命名方式の変更が発表された。iPhone OS 3から続いていたバージョンインクリメントを止め、年ベースのバージョニングへ移行した。これによって各OSでまちまちだったバージョンが統一され、macOS、watchOS、tvOSなど他のAppleプラットフォームと足並みが揃った。

今年の大きなトピックとして、「iOS 26の登場とLiquid Glassデザイン」「CocoaPodsの読み取り専用化とSPM移行準備」「Excluded Architectures問題の解決」などが挙げられる。

iOS 26の登場とLiquid Glassデザイン

WWDC 2025で発表されたiOS 26では、iOS 7以来12年ぶりとなるデザイン刷新がおこなわれた。「Liquid Glass」と呼ばれる新しいデザイン言語が登場し、visionOSから着想を得た半透明でガラスのような視覚効果が、システムUI全体に適用されるようになった。

このデザイン変更によって、既存のカスタムUIコンポーネントが大きな影響を受けた。特にナビゲーションバーやタブバーなどのシステムコンポーネントをカスタマイズしているアプリでは、Liquid Glassに適応するための調整が必要となった。現在もチーム内でLiquid Glass対応について議論が続いており、ユーザー体験を損なわずにデザインを刷新する方法を模索している。

Liquid Glass対応については、次の大きなメジャーアップデートまでに解決する必要があるので、2026年の大きな取り組みの一つになるだろう。

また、DMA(Digital Markets Act: デジタル市場法)対応によってApp Storeの外部ストアが公開されたことも大きな変化だった。個人的にはセキュリティリスクが高いと考えているが、今後の展開を注視していきたい。

CocoaPodsの読み取り専用化とSPM移行準備

2025年最大の課題の一つが、CocoaPods Trunkの読み取り専用化に伴うSwift Package Manager(SPM)への移行だった。長年にわたってiOSコミュニティの依存関係管理の標準として機能してきたCocoaPodsが、メンテナンス体制の問題から、2026年12月2日以降は新しいポッドの追加ができなくなることが決定され、多くのプロジェクトがSPMへの移行を検討することとなった。

特に悩ましかったのが、APIキーなどの機密情報管理に使用していたcocoapods-keysの代替手段だった。SPMには同様の機能が標準で提供されていないため、Arkana、Swift Confidentialなど複数の選択肢を検討し、それぞれのメリット・デメリットを調査した。

https://dev.classmethod.jp/articles/cocoapods-keys-secure-secrets-management/

https://dev.classmethod.jp/articles/cocoapods-cocoapods-keys-arkana-spm/

最終的に移行のためのロードマップを作成したが、機密情報管理の方法については今も悩み続けている。2026年12月のCocoaPods Trunk読み取り専用化までに、SPMへの移行計画を完了させたいと考えている。

Excluded Architectures問題の解決

2024年から引き続き、Xcode 16(iOS 18)以降で発生していたExcluded Architectures設定に関連する問題に悩まされていた。この設定があると、SFSafariViewControllerUIImagePickerControllerを表示した際にフリーズしたり、MapKitで地図を表示した時に画面が真っ赤になる不具合が発生していた。

https://dev.classmethod.jp/articles/xcode16-ios18-safariviewcontroller-freeze-fix/

https://dev.classmethod.jp/articles/ios18-simulator-mapkit-red-screen-issue/

さらに問題を複雑にしていたのが、Excluded Architectures設定があるとSwift Package Managerも正常に動作しないという点だった。これは、一部のサードパーティSDKがarm64シミュレータアーキテクチャに対応していないことが原因だった。

調整を重ねて、必要なSDKのアップデートや代替手段の検討をおこない、ようやくExcluded Architectures設定を削除できた。この問題の解決によって、SPM移行が可能となった。

GitHub Actionsによるブランチマージの自動化

以前と比べるとチームの人数も増え、開発ブランチ数も激増した。複数の機能開発が並行して進む中、ブランチ管理の複雑さが課題となっていた。特に、複数のfeatureブランチを段階的にマージする作業が手動では非効率だった。ミスこそ発生していなかったが、手動で実施していることでケアレスミスが発生するのは時間の問題であった。

この課題に対応するため、GitHub Actionsを使ってブランチの段階的マージを自動化する仕組みを構築した。これにより、チームメンバーの作業効率が向上し、マージミスのリスクも軽減された。

アプリの品質改善

2024年に引き続き、アプリの品質向上に注力した。メモリリークの調査と修正、クラッシュレポートの分析と対応、古いライブラリの削除など、地道な改善作業を継続的におこなった。

特にメモリリークについては、Instrumentsを使った詳細な分析をおこない、リーク箇所を一つずつ特定して修正を進めている。また、不要になった古いライブラリを削除することで、アプリのサイズ削減とメンテナンス性の向上を図った。

DevelopersIOで書いたブログ記事

2025年はDevelopersIOで30本の記事を執筆した。以下は、特に反響の大きかった記事をカテゴリ別にピックアップする。

セキュリティ・開発環境関連

iOS関連

AI・開発ツール関連

これ以外にも、ネイティブアプリの開発記事を多数投稿しているので、ぜひこちらからご覧いただきたい。

https://dev.classmethod.jp/author/wada-kenji/

仕事以外

弊社は「AWSの会社」という認識が強い。そんな中でネイティブモバイルアプリ開発者として従事しているが、周囲の多くがAWSを活用していることもあり、自分も学んでみようと考えた。

AWS資格の足掛かりとして、また今後のAI活用を見据えて、「AWS Certified AI Practitioner (AIF-C01)」を受験し、合格できた。クラウドとAIの基礎知識を体系的に学ぶ良い機会となった。

https://dev.classmethod.jp/articles/ios-engineer-aws-ai-practitioner-study-log/

現在「AWS Certified Cloud Practitioner (CLF-C02)」の学習を続けており、近々受験したい。

まとめ

2025年を振り返ると、iOS 26への大きな変更、CocoaPods脱却対応、技術的負債の解消など、多くの課題に取り組んだ一年だった。特に2025年後半は仕様調整とドキュメント作成が中心となり、プログラミングができずストレスが溜まっていた。

2026年に向けては、Xcode 26への移行・CocoaPodsからSPMへの移行を確実に完了させるとともに、アプリのモダン化と品質改善を継続的に進めていきたい。また、プライベートでは個人アプリの新作開発に取り組み、プログラミングに重きを置いて活動していければと思う。技術的な挑戦を続けながら、より良いアプリ開発を目指す一年にしたい。

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