【iOSDC Japan 2024 レポート】Day1「iOSアプリらしさを紐解く」を聞いてきた #iosdc
2024年8月22日から24日に開催された「iOSDC Japan 2024」に参加してきた。WWDCが世界的なカンファレンスであるとすれば、iOSDC Japanは日本国内での最大のiOSデベロッパーカンファレンスだ。
この記事では、Day1「iOSアプリらしさを紐解く」についての感想を共有する。
iOSアプリらしさを紐解く
登壇者
- Natsuho Ide さん
スライド
概要
これまで主にWebサイトやWebアプリのデザインをしてきた私は、業務でiOSアプリをデザインするにあたり、エンジニアと「iOSアプリらしいデザイン」について議論する機会がありました。しかし私には「iOSアプリらしさ」とは何か理解できず、戸惑いを感じました。ただiOSのパーツを使うだけではiOSらしくはならず、見た目だけの問題ではないようです。
そこで私は、iOSアプリらしいデザインを分析し言語化することにしました。さまざまなアプリを観察し、Human Interface Guidelinesを読み込むことで、iOSアプリ特有の特徴があることに気づきました。
例えば、アニメーションを使用してわかりやすいインターフェースを提供し、タッチジェスチャーの活用で操作感を向上させることなどが挙げられます。これらの特徴を理解することで、見た目だけでなく、操作性やユーザー体験全体を通じてiOSらしいデザインを実現できます。
この登壇では以下の内容をお伝えします。
- iOSアプリらしさとは何かの考察と私なりの解釈
- iOSアプリらしさについて、Human Interface Guidelinesのデザイン原則を基に具体的な事例を交えて紹介
- アプリをよりiOSらしくするための改善点を見つける
iOSらしいデザインを理解し、実践することで、アプリをより魅力的にしていきましょう!
「iOSアプリらしさ」とは「直感的に使えること」ではないかという考察が紹介されていた。Human Interface Guidelines (HIG)を基に、iOSアプリらしくするためのポイントが具体的な事例とともに話されていた。
セッションでは、以下の2つの事例が具体的に紹介されていた。
- カードをタップしたときに拡大し、遷移先の画面のヘッダーになるトランジション
- お気に入りを追加したときに、お気に入りタブに入っていくようなアニメーション
また、try! Swift 2024でusagimaruさんが話された「良いアプリケーションをデザインするための感覚の持ち方」が、iOSアプリらしさを知るために参考になると紹介されていた。
こう思った
長くアプリ開発の仕事に携わっていると、スマートフォンアプリ開発の初期には「らしさ」ということが全く考慮されていなかったように思う。さすがに最近では少なくなってきたが、iOSアプリにAndroidのデザインを持ち込んだり、逆にAndroidアプリにiOSのデザインを持ち込んだりするプロジェクトを多く見てきた。
私自身は、14,15年前くらいに伊勢シンさんの話を聞いて以来、「世界観」という言葉をよく使っている。当時はアプリのUIデザインができるデザイナーが少なく、iOSらしくないデザインのアプリが多かった。そのため、OSの標準アプリにデザインを合わせましょうと説いてきた。自分が世界観を遵守できているかどうかは別の話だが……
紹介されていたふたつの具体例について。前者はApp StoreアプリのTodayタブで、特集されているアプリやゲームのカードをタップした時に、カードが拡大されてそのまま次の画面のヘッダーとして表示されるトランジションである。このトランジションは、コンテンツのビジュアルを強調したい場合に有効で、ユーザーがどのコンテンツを選択したかを明確に伝えられるのが良い点だろう。
後者は、iOSの標準アプリでの事例は思い浮かばなかったが、ECアプリでカートにアイテムを追加すると、そのアイテムがカートアイコンに向かって飛んでいくアニメーションをたまに見かける。
前述したようなUIデザインの見た目だけでなく、アニメーションやタッチジェスチャーといったユーザー体験の要素が「iOSらしさ」にとって重要であるという点を再認識した。