IoT端末を自前で制作して販売する方法を妄想してみた

IoT端末を自前で制作して販売する方法を妄想してみた

Clock Icon2019.05.17

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はじめに

サーバーレス開発部の平田です。実は前職では、IoTのような端末の機器選定に主に関わっていました。

その頃はまだ、携帯会社の既存のLTE網を用いた低消費電力ネットワークである、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)なども広まっていませんでした。

しかし現在では、 LTEより帯域・消費電力の少ないLTE-M(LTE Cat.M1)はもう携帯会社大手3社出揃い、また更に帯域・消費電力の少ないNB-IoTもSoftbankとDocomoから提供され始めています。

画像のような大きなデータを送るようなIoT機器では、依然として有線/無線LANやLTEなどを用いる必要があると思いますが、数値で示されるようなセンサーデータなどのみを送るのであれば、上記のようなLTE-M、NB-IoTの規格のほうが消費電力・価格の面で有利だと思います。

では、実際どのくらいお安くなるんでしょうか?というかそもそも、キャリアネットワークを使ったIoT端末って大体いくらぐらいかかるんでしょうか?そしてそれをどこで売ればいいんでしょう?

この記事ではそこらへんを調べて、手っ取り早くIoT端末を作る妄想してみたので、ご紹介したいと思います。

IoT端末のコスト

さて、それではまずIoT端末のキモである通信モジュールから見ていきましょう。

通信会社大手3社では、ありがたいことに動作確認の取れた通信モジュールを公開してくれています。

https://www.nttdocomo.co.jp/biz/support/iot/product/

https://open-dev.kddi.com/information?type=2

https://www.softbank.jp/biz/mobile/solution/m2m/product/

天下の大手3社からのお墨付きなので、もちろん技適も取ってあるかと思います。ですので、この中から安そうなものがいくらで売られているのか調べてみました。

国内販売されているものは、保証やサポート等が日本語できちんとある分お高めなので、安さを求めるのであれば中国あたりから輸入しましょう。今回はそうしてみることを考えていきましょう。

各規格ごとに横並びで比較しやすいように、同じシリーズと思われる通信モジュールで、モジュールのみの価格でまず比較します。

B2B向けのECサイトであるAlibabaで多数のショップが同じ商品を販売しており、また購入数などによって大きく変わると思うので、すべて同じショップでのものですが価格は参考程度にしてください。

規格 商品名 価格
LTE SIM7100JC $10.00
LTE-M SIM7500JC $1.00
LTE-M ・NB-IoT SIM7000JC $10.00 - $20.00

SIM7500JCだけ安すぎないかと思いましたが、ショップの評価は悪くなく、他のショップでこれ以下の価格で売ってるところもあったので、発注量次第かとは思いますが正しいようにみえます。

通信モジュールの帯域と価格は比例すると予想していましたが、どうもそうではないようですね。価格だけみればSIM7500JCがベストバイに思えますが、電池で長く持たせたいなどの理由があれば、より消費電力の低いNB-IoTに対応したSIM7000JCが良さそうです。

各商品の最後についているJCが日本モデルをおそらく意味しており、それ以外の英字のついたモデルは海外モデルだと思います。どうも海外モデルの方が気持ちお安く売られているように見えます。海外モデルでもLTEのB1に対応していれば、国内の大半はカバーできると思うので、そちらを購入するのもいいかもしれません。ただし技適はないので自分で申し込む必要があるかと思います。

まだ技適が取られてなく、日本向けモデルもないですが、NB-IoTのみに対応した安価な通信モジュールもあるようです。

NB-IoT SIM7020 $5.00 - $8.00

さて、通信モジュールはお手頃価格で手に入りそうです。が、通信モジュールだけではどうにもなりません、どうにかしてマイコンなどの「頭」と繋げなければなりません。勉強すればプリント基板を注文していろいろくっつけて行けばいっちょ出来上がるんでしょうが、残念ながら今の私にそういった知識はありません。

今回は手っ取り早く作りたいので、次のようなSIM7000JCと基板が一緒になったものを買うと想定しましょう。

https://www.alibaba.com/product-detail/For-Japan-SIM7000JC-breakout-board-LTE_60838017041.html

5つ以上で1個あたり$28、良さげですね。商品ページにリンクされているAliexpressで他の商品のページを見ると、ちゃんとドキュメントもあるようなので、頑張ればどうにかできそうです。

こいつをArduinoやRaspberry Piと接続してやれば、なんとかなりそうです。GPSもついているようなので、あとはそこらへんで売られているモバイルバッテリーを繋げて、頑張って位置情報をクラウドに送るようなソフトウェアを作り込めば、もうIoT端末のDIYが完成したと言っても過言ではないんじゃないでしょうか?

追加でなにか安上がりなセンサーを追加したとしても、ガワにそんなお金をかけなければ、たぶん原価5000円に収まるぐらいで作れちゃいそうです。いろいろ夢が広がりますね。

携帯会社のランニングコスト

さて、IoT機器ですから、ネットワークに月々料金がかかってきます。

普通のLTEの料金から見ていきましょう。

SORACOM Airを長期利用割引を適用して、前払いをすると、月々あたり199円になります。

https://soracom.jp/services/air/cellular/discount_price/

 

お次はLTE-M・NB-IoTです。両方を現在提供しているSoftbank、Docomoの料金を見てみましょう。

まず、先に市場にNB-IoTを出したSoftbankからです。

https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2018/20180426_02/

「IoT料金プラン」の概要(NB-IoTおよびCat. M1共通)

とあるので、LTE-MでもNB-IoTでも料金が変わりません。AWS IoTや自社サーバなどを用いて、ソフトバンクのIoTプラットフォームを併用しない場合は、最安のプランで月々100円からとなっています。

 

次にDocomoです。

https://www.nttdocomo.co.jp/biz/charge/module/lpwa/

ちょっと確証はないですが、特にLTE-M専用、NB-IoT専用プランとかはないようなので、こちらも同一料金のようです。最安のプランで月々150円からとなっています。

 

というわけで、LTEでもLTE-MでもNB-IoTでもの最低月々100円代からでキャリアネットワークに繋げるようです。

上記を見て、個人的には費用は規格によってはそこまで変わらないのかなという認識です。もちろん台数などによって大きく変わってくると思いますが、規格よりも、ネットワーク使用量がいくらになるのか、というのが一番料金に響いてくるのではないかなと思いました。

どこで売るのか?

さて、モノは作りました、携帯会社と諸々の契約も済みましたとしましょう。

ではどこで売ればいいんでしょう?いろいろ販路は考えられると思いますが、特にコネがないのであれば、Amazon.co.jpで売っていくのが手っ取り早いのではないのかと思います。

AmazonではFBA(フルフィルメント by Amazon)というサービスがあります。簡単に言ってしまえば、Amazonにモノを送りつければ、それ以降の注文受付からの発送などはAmazon側でよしなになってくれる、というサービスです。

Amazonで注文する際、こういった表示を見たことがあるかと思います。

これが発送などをまるっと行ってくれるFBAになります。

後は広告ですね、自分のSNS投稿で広めるなり、AmazonでもGoogle AdWordsでもTwitterでもFacebookでも、どこでもお金をかければ好きなだけ広告を流せます。

おわりに

なんだかひょっとすると簡単にIoT端末を作れて、バンバン売れそうな気持ちになってきませんか?

というわけで皆さんガンガン組んで売りましょうと締めたいところですが、一点注意点があります。

卒業研究でも、ソフトウェアでも、特にライブラリでよくあることですが、「パッと思いつくものは既に世の中にいいものがある」ということです。

例えば上記で作れそうなGPSトラッカーですが、LTE-MやNB-IoTに対応したものは検索すれば$40もしないで売ってます。バッテリー持ちなどのスペックを鵜呑みにすれば、かなり良さそうです。

https://www.alibaba.com/product-detail/Kingwo-Small-Locator-GPS-AGPS-LBS_62062831262.html

https://www.alibaba.com/product-detail/Most-Selling-High-quality-4G-GPS_62029380287.html

1から作るより、ここいらに頼んでソフトウェアをAWS IoTに送るようにしてくれやと頼むほうが安上がりかもしれません。いやそれどころか、ソフトウェアも有り物で、単に仕入れてロゴをはっつけて値札を倍にして売るほうがいいのかもしれません。

残念ながら、必死になってオリジナル品を作ったとしても、安価な有り物の輸入品に埋もれてしまう、というのは、Amazonのスマートウォッチの売り上げランキングイヤホンの売り上げランキングなどを見れば、明らかだと思います。

中には製造会社が直で売ってちゃんと日本向けに作ってるというのもあるでしょう。ちゃんとサポートがあり、品質がいいものも、もちろん数多くあると思います。しかし、画像検索すればわかりますが、上記の通り単にAlibaba等で仕入れたのがそのまま売られているものが少なからずあります。

これが各々にとって良いのか悪いのかはひとまず置いておくとして、IoTモノづくりの側としては、こういう中でどうやって生き残ればよいのでしょうか?

私としては、新たな分野でいち早く市場に商品を投入し、データを収集するなどして、後追いには真似できない価値をいち早く届ける、ということをまず考えています。

様々な解法があるかとは思います。しかし、どのタイミングで参入するにせよ、スピード感が求められるというのは、概ね意見の一致が得られるのではないかと思います。

こうした中で、IoTのバックエンドを素早く構築したいというときに、我々の出番があるのではないのかな、と考えています。

記事通りにIoT機器を手っ取り早く作ったぜ、機器ソフトウェアも手っ取り早く組んだぜ、でもバックエンドは手っ取り早くは行きそうにないぜというときには、ぜひとも我々にご連絡くださいませ。

お問い合わせ|クラスメソッド (https://classmethod.jp/inquiry)

逆にバックエンドを手っ取り早く組みたいぜという方は、ぜひとも我らがサーバーレス開発部に入っていただきたいです。

まずはクラスメソッドとサーバーレス開発部がどんなところなのか、まずは会社説明会で話だけでも聞いてみませんか?

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