Kiro-CLI(v1.21.0)のWebアクセス機能を試してみた

Kiro-CLI(v1.21.0)のWebアクセス機能を試してみた

Kiro-CLI v1.21.0で実装されたweb_fetchとweb_searchについて、既存のcurlとのHTTPリクエストの差異と、検索機能の確認を試みました。
2025.11.28

2025年11月25日、AIアシスタント「Kiro-CLI」のバージョン 1.21.0 がリリースされました。

本アップデートで、web_fetch および web_search ツールがサポートされ、Kiro-CLIが インターネット上のコンテンツにアクセス可能になりました。

https://kiro.dev/changelog/web-search-and-fetch-for-kiro-cli/

https://kiro.dev/docs/cli/reference/built-in-tools/#web-search-and-fetch

本記事では、既存の curl との違いや、検索機能の挙動・制限について実機検証を行いました。

検証環境

検証にあたり、以下の構成を用意しました。

  • クライアント: Amazon Linux 2023 (Kiro-CLI v1.21.0)
    • kiro-cli update で更新
$ kiro-cli version
kiro-cli 1.21.0
  • Webサーバ: Amazon Linux 2023 (EC2)
    * nc コマンドで簡易HTTPサーバ(ポート3000)を稼働
# 簡易Webサーバ (ポート3000で "OK" を返す)
while true; do { echo -e "HTTP/1.1 200 OK\r\nContent-Length: 2\r\n\r\nOK"; } | nc -l -p 3000 2>&1; done

1. web_fetch:URL指定によるコンテンツ取得

指定したURLの内容を取得する web_fetch ツールについて検証しました。

1-1. 基本動作と curl (shellツール) との違い

Kiro-CLIは従来から shell ツール経由で curl を実行することは可能でした。

今回追加された web_fetch とはどう使い分けるべきか、簡易Webサーバに対して、両方のツールでアクセスを指示し、その違いをKiro自身に分析させました。

プロンプト:

http://52.88.xxx.xxx:3000の内容を、using tool: web_fetch と、curl を実行して表示して。また、その違いを教えて。

実行結果:

  1. web_fetch: Fetching content from... → HTMLコンテンツとして整形して取得
  2. curl (shell): curl http://... → 生のレスポンスを取得

両者とも正常にアクセスできましたが、Kiroによる使い分けの回答は以下の通りでした。

ツール 特徴・メリット 推奨ユースケース
web_fetch ・HTMLを解析・整形して読みやすくする
・キーワードによる部分抽出が可能
・セキュリティ制限あり(ローカルIP不可など)
公開Webサイトの情報収集、ドキュメントの読み込み
curl (shell) ・生のHTTP通信を完全制御(ヘッダ、POST、認証)
・ローカル/プライベートIPもアクセス可能
・詳細なデバッグが可能
APIテスト、ローカルサーバの検証、詳細な通信確認

コンテンツの中身(テキスト情報)をAIに読ませたい場合は web_fetch が適しており、通信そのもののテストや認証を伴う処理には引き続き curl が利用できます。

1-2. User-Agent の検証

web_fetch時、Webサーバ側に届くリクエストヘッダを確認しました。

GET / HTTP/1.1
accept: */*
user-agent: Kiro-CLI
accept-encoding: gzip
host: 52.88.xxx.xxx:3000

curl コマンドを使用した場合は User-Agent: curl/x.x.x となりますが、web_fetch では user-agent: Kiro-CLIと、異なるクライアントであることを確認しました。

1-3. Selectiveモードによる抽出(robots.txt)

DevelopersIOの robots.txt を対象に、「Allow」行のみの抽出を指示しました。

実行ログ:

Fetching content from: https://dev.classmethod.jp/robots.txt (searching for: Allow) [mode: selective] (using tool: web_fetch)
...
> はい、抽出できました。selectiveモードで"Allow"をキーワードに検索した結果、以下のAllowパスが含まれています:

- Allow: /
- Allow: /sitemap.xml
- Allow: /sitemaps/*
- Allow: /feed/
- Allow: /en/feed/

ログに [mode: selective] と表示され、ファイル全体ではなく指定したキーワードに関連する行のみが抽出されました。ドキュメントの特定セクションのみを参照したい場合に有効であると確認しました。

1-4. 仕様と制限事項 (Limitations)

ドキュメントおよび今回の検証結果より、以下の仕様・制限を確認しました。

  • 対象コンテンツ: text/html のみ(画像、PDF解析は不可)
  • ファイルサイズ: 最大 10MB
  • タイムアウト: 30秒
  • 認証: Basic認証やログインが必要なページは非対応

次に、Google検索のようにWeb上の情報を探す web_search ツールについて検証しました

直近情報の検索(2025年11月)

AIの学習データに含まれていないはずの直近情報(検証時点:2025年11月)の問い合わせを試みました。

プロンプト:

2025年11月にリリースされたAWSの新サービス、サービス名と発表日を教えて

回答:

(検索結果)
2025年11月にリリースされたAWSの主要なサービス・機能を、サービス名と>発表日でまとめました:

11月19日

  • Amazon Connect:会話分析機能(音声・チャットボット向け)
  • Amazon Bedrock:新リージョン対応(アフリカ・カナダ・メキシコ・中東)
  • Amazon OpenSearch Serverless:バックアップ・リストア機能(AWS Management Console対応)
  • AWS Secrets Manager:マネージド外部シークレット機能
  • Amazon ECS Managed Instances:スケールイン遅延設定機能
  • AWS PrivateLink:クロスリージョン接続対応
  • Amazon ECR:アーカイブストレージクラス

11月21日

  • Amazon EMR Serverless:Apache Spark 4.0.1(プレビュー)
  • Amazon Athena for Apache Spark:SageMaker Notebooks統合
  • AWS Payments Cryptography:ポスト量子暗号対応
  • AWS Device Farm:マネージド Appium エンドポイント
  • Amazon EKS/ECS:フルマネージド MCP サーバー(プレビュー)
  • Amazon ECS Express Mode:新機能リリース

11月24日

  • Amazon OpenSearch Service:PPL ログ分析機能強化
  • Amazon CloudFront:相互 TLS 認証対応
  • Amazon EC2:割り込み可能な Capacity Reservations
  • Claude Opus 4.5:Amazon Bedrock で利用可能
  • Amazon Aurora PostgreSQL:動的データマスキング機能
  • Amazon SageMaker HyperPod:NVIDIA MIG サポート

References:
[1] Daily AWS Headlines - https://www.daily-aws.com/headlines/20251119/
[2] Daily AWS Headlines - https://www.daily-aws.com/headlines/20251121/
[3] Daily AWS Headlines - https://www.daily-aws.com/headlines/20251124/

記事執筆時点(2025/11/27)のわずか数日前の情報を含め、リストアップされました。ソースURLも明記されていました。

2014年「過去」情報

比較として、11年前の情報の正確性も確認しました。

プロンプト:

2014年11月にリリースされたAWSの新サービス、サービス名と発表日を教えて

回答:

(検索結果)
2014年11月にリリースされたAWSの主要なサービスは以下の通りです:

11月12日

  • AWS Key Management Service (KMS):暗号化キー管理サービス
  • AWS CodeDeploy:コード自動デプロイメントサービス

11月13日(発表)

  • AWS Lambda:イベント駆動型コンピュートサービス

11月14日(AWS re:Invent 2014 Day 2 Keynote)

  • Amazon EC2 Container Service (ECS):Docker コンテナ管理サービス

プレビュー段階で発表(2015年初頭リリース予定)

  • Amazon RDS for Aurora:MySQL互換リレーショナルデータベース
  • AWS Config:リソース構成管理サービス
  • AWS CodeCommit:コード管理サービス
  • AWS CodePipeline:CI/CDパイプラインサービス
  • AWS Service Catalog:サービスカタログ管理

その他の機能追加

  • Amazon S3 Event Notifications:S3イベント通知機能(SNS/SQS/Lambda対応)

References:
[1] AWS Developer Tools Blog - https://aws.amazon.com/blogs/developer/aws-reinvent-2014-
recap-2/

Lambda、Auroraなどが発表された年の情報が回答されました。

検索の拒否

この検索ツールは「技術的な調査」に特化しているようでした。
技術に関係のない質問(例:地理情報)を投げると、明確に拒否されました。

プロンプト:

Q: 日本の本土最西端を紹介しているWebページを教えて

回答:

申し訳ありませんが、その質問はAWSやクラウド技術、開発に関連していないため、web_searchツールを使用することはできません。

一般的な検索エンジンとしての利用は制限されており、あくまで「開発者の技術的アシスタント」という立ち位置がシステムプロンプトレベルで制御されている模様でした。


まとめ

Kiro-CLI v1.21.0でサポートされたWebアクセス機能について、既存の curl と比較した検証結果をまとめました。

Kiro-CLIはユーザーの指示に基づきツールを自動選択しますが、開発者である利用者が各ツールの得意領域と制約を理解することで、AI開発アシスタントとしての能力を最大限に引き出すことが可能になります。

以下の特性を意識し、適切なプロンプトを作成することが、より迅速かつ正確な結果を得るための鍵となります。

ツール 主な用途と特徴 プロンプト例
web_fetch AIによる情報処理に最適。Selectiveモードでドキュメントの特定箇所を抽出し、処理精度が向上します。 「[URL] の セキュリティセクション の内容だけを読み込み、重要な設定ミスがないかチェックして」
web_search 最新技術情報の調査に有効。AIの学習データにない直近の情報も検索可能です。 2025年11月にリリースされた Amazon Bedrockの新機能 の概要と、利用リージョンを調べて」
curl (shell) 通信レベルの確認に引き続き必須。HTTPヘッダの詳細なデバッグ、認証が必要な処理、ローカル/プライベート環境へのアクセスに利用できます。 http://localhost:8080/api のレスポンスヘッダに X-Custom-Header が含まれているか確認して」

これらの特性を踏まえ、Kiro-CLIのより高度な活用にお役立てください。

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