AWS Application Migration ServiceとCloudEndure Migrationの比較

AWS Application Migration ServiceとCloudEndure Migrationの比較

AWSの移行サービスであるAWS Application Migration Service(MGN)とCloudEndure Migrationの比較をしてみました
Clock Icon2022.05.24

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はじめに

ネクストモードの南です。

現在AWSではサーバー移行用のサービスとしてAWS Application Migration ServiceとCloudEndure Migrationが提供されています。

AWS Application Migration ServiceはCloudEndureの後継サービスとして2021年5月に一般向けにリリースされました。 それに伴ってCloudEndureは2022年12月30日でAWS GovCloudおよび中国リージョン以外のリージョンでのサービスが終息することがアナウンスされており、今後は後継のサービスであるAWS Application Migration Serviceを使用することが基本的に推奨となります。

CloudEndure Migration EOL

このエントリではAWS Application Migration Serviceを利用するにあたって、CloudEndure Migrationと比較するとどのような点が違うのかについて解説していきたいと思います。

なお、AWS Application Migration Serviceは長いので、以降は公式の略称である「MGN」と記載します。

AWS Application Migration Serviceとは

オンプレなどの移行元環境からネットワークを経由してサーバーイメージを転送し、AWS環境へのサーバーの移行を実現するサービスとなります。継続的にデータレプリケーションをすることで移行元と同期した状態を保ち、移行時のダウンタイムを最小限に抑えることが可能となります。また、物理環境と仮想環境のどちらにも対応しているため、AWSへのリフトをする場合には非常に使いやすいサービスとなっています。

以下のエントリでMGNについて解説したセッションを公開していますので、ぜひこちらもご参照ください。

【補足】CloudEndure Migrationについて

CloudEndure MigrationがAWSに組み込まれたのは2019年でしたが、もともとCloudEndureはクラウド移行の有償サービスとして展開されており、AWS以外のプラットフォーム向けにも対応していました。AWSの買収以降はAWSのサービスとして提供されるようになりましたが、アカウントやコンソールなどはAWSと分離したままとなっていました。MGNはCloudEndureの仕組みをベースとして、AWSネイティブなサービスとしてリリースされた形となります。

比較

MGNはCloudEndureの後継のサービスとしてリリースされたこともあり、基本的には同等な機能を持っていますが、細かい点でいくらか違いがあります。 以下に特にポイントとなる点を解説していきます。

なお、より詳細なサービスの違いについては以下の公式の案内も併せてご確認ください。

1.サポートOS

CloudEndureでサポートされていた一部のOSがMGNではサポートされていません。 CloudEndureでしかサポートされていないOSが対象になる場合には、MGNが選択できないケースがありますのでご注意ください。 2022年2月にWindows Server2003/2008がサポート対象となるなどアップデートが度々ありますので、最新の情報はMGNのサポートOS情報をご確認ください。

MGN CloudEndure
Windows Server
Windows Server 2003 32/64 bit
Windows Server 2003 R2 32/64 bit
Windows Server 2008 32/64 bit
Windows Server 2008 R2 64 bit
Windows Server 2012 64 bit
Windows Server 2012 R2 64 bit
Windows Server 2016 64 bit
Windows Server 2019 64 bit
Windows Server 2022 64 bit
Windows Server
Windows Server 2003 32/64 bit
Windows Server 2003 R2 32/64 bit
Windows Server 2008 32/64 bit
Windows Server 2008 R2 64 bit
Windows Server 2012 64 bit
Windows Server 2012 R2 64 bit
Windows Server 2016 64 bit
Windows Server 2019 64 bit
Windowsクライアント
Windows 10 64bit
Windowsクライアント
Windows XP
Windows Vista
Windows 7
Windows 8 64bit
Windows 10 64bit
Linux
SUSE Linux 12 and higher
Debian Linux 9 and higher
Ubuntu 12.04 and higher
RHEL 6.0 and higher
Oracle Linux 6.0 and higher
CentOS 6.0 and higher
CentOS 5.0(vCenterからのagentless replicationのみ)
Linux
SUSE Linux 11 and higher
Debian Linux 8 and higher
Ubuntu 12.04 and higher
RHEL 5.0 and higher
Oracle Linux 6.0 and higher
CentOS 5.0 and higher
Kali Linux 2.0 and higher

2.提供リージョン

MGNはAWS GovCloudおよび中国リージョンでは提供されていません。(最新のリージョン別のサービス提供情報はこちらを参照) 移行先がAWS GovCloudおよび中国リージョンとなる場合は、CloudEndureを選択する必要があります。
※AWS GovCloudおよび中国リージョンでは2022年12月以降もCloudEndureが使用可能

3.料金とライセンス切れの際の動作

MGNとCloudEndureのどちらも、レプリケーションを開始してから90日以内に移行が完了すれば無料で利用することができます。 一方、レプリケーション開始から90日経過した場合には、その後の動作が以下のように異なります。

  • MGN:90日経過後もレプリケーションは継続。以降は時間単位で課金が発生する
  • CloudEndure:90日経過時点でレプリケーションが停止

MGNの場合は90日経過以降もレプリケーションが継続するため、万が一90日以上経過してしまったとしても作成したリソースをそのまま使用して移行することが可能です。 ただ、追加で利用料金がかかってしまうので、計画をきっちり整えてからレプリケーションを実施するのが望ましいです。 追加の料金は2022年5月時点で1サーバーあたり0.042USD/時間となっていますが、最新の料金についてはこちらをご確認ください。

4.インターネット接続の要否

CloudEndureでは管理用の通信として移行元サーバとCloudEndure Service Manager間でインターネット経由の通信が必要であり、イントラに完全に閉じているシステムにおいてはCloudEndureを使用することができませんでした。 MGNでは管理用の通信もDirectConnectまたはVPNを経由することができ、インターネット接続がない環境でも利用できるようになっています。

画像引用元:CloudEndure Migration EOL

5.操作面

MGNはAWSネイティブなサービスとして開発されているためIAMなどの他のAWSのサービスと統合されており、CloudEndureに比べて使い勝手が向上しています。
また、CloudEndureではCloudEndure用のアカウントやコンソールでの操作が必要でしたが、MGNでは他のAWSサービスと同様のインターフェースで利用できるようになっており、この点は大きなメリットであると感じます。

以下に操作面での両サービスの違いのポイントを記載します。

5-1.アカウント

CloudEndureではAWSアカウントとは別にCloudEndure用のアカウントを作成する必要がありました。MGNはAWSアカウントで利用可能です。

5-2.コンソール画面、インターフェース

CloudEndureでは専用のコンソールから操作する必要がありましたが、MGNでは他のサービスと同様にAWSマネジメントコンソールから操作することができます。また、AWS API、SDK、CLIから利用することも可能です。

  • CloudEndureの管理コンソール

  • MGNの管理コンソール

5-3.サービス間のクレデンシャルの連携

CloudEndureではAWS環境とのレプリケーションを実行するために、CloudEndure用のIAMポリシーとIAMユーザーを作成してクレデンシャルを連携させる必要がありました。
MGNではサービス利用開始時点で自動的にIAMロールが作成されるため、利用者側で意識する必要がなくなっています。

5-4.レプリケーションサーバの設定

CloudEndureではレプリケーションサーバを管理コンソールの「REPLICATION SETTINGS」から設定していました。
MGNでは「replication settings template」から設定するようになっていますが、基本的な設定項目はCloudEndureと同様のものとなっています。

  • CloudEndureの「REPLICATION SETTINGS」画面

  • MGNの「replication settings template」画面

5-5.移行先サーバの設定

CloudEndureではBlueprintという項目にて移行先サーバーのスペックやネットワーク構成などを設定していました。
MGNではEC2の起動テンプレートを使用して設定するようになっており、起動テンプレートを使用したことがある方にとっても設定がやりやすくなっていると感じます。

  • CloudEndureの「Blueprint」画面

  • EC2の起動テンプレート画面

まとめ

このエントリではMGNとCloudEndureの違いをまとめさせていただきました。 機能面で大きな差分はありませんが、AWSネイティブのサービスとして開発されただけあってMGNのほうがより使いやすくなっていると感じられると思います。 これまでCloudEndureを使用していたがリリース終了に伴いやむを得ずMGNに乗り換える場合などに、このエントリが参考になれば幸いです。 また、クラウド移行を計画しているが進め方に不安があるという場合には、クラウド移行の実績が豊富なネクストモードまでぜひご相談ください。

参考

AWS Application Migration Service

AWS Application Migration Service Documentation

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