AWS公式トレーニング「Migrating to AWS」受講レポート

AWS公式トレーニング「Migrating to AWS」受講レポート

Clock Icon2017.06.16

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こんにちは、臼田です。

2017年4月27日〜28日の日程で、AWSの公式トレーニング「Migrating to AWS」の日本における開催がスタートしたので、早速受講してきました。

これまでのトレーニングにはなかった「オンプレミスからAWSへの移行(マイグレーション)」にフォーカスした内容で、AWSの技術よりは移行プロジェクトの計画・設計・マネジメントに特化していました。

オンプレミスからの移行を実際に行うSIerのエンジニアやPL・PMだけでなく、ユーザ企業の各部門の関係者やCIOも含め、移行プロジェクトに関わる方々は参加する価値があると思います。

以下詳しい内容をお伝えしていきます。

トレーニングの概要

Migrating to AWS では、既存のワークロードの AWS クラウドへの移行とその計画に焦点を当てて学習します。本コースでは、ポートフォリオの検出、アプリケーションの移行計画と設計、移行の実行、移行後の検証、アプリケーションの最適化など、移行プロセスの各段階に関係するさまざまなクラウド移行戦略について詳細に説明します。

AWSトレーニング | Migrating to AWS

トレーニングは2日間あり、内容は大まかに以下の構成になっています。

  • 移行の概要
  • 移行対象の検出と分析
  • 移行の計画と設計
  • 移行、統合、検証
  • 移行後の運用と最適化

カリキュラムの詳細はAWSトレーニング | Migrating to AWSの「コースの概要」をご覧ください。

対象者

このコースは次のような方を対象としています。

  • 「AWS Technical Essentials 1」または「Architecting on AWS」を修了した、クラウド移行を実行するソリューションアーキテクトとエンジニア
  • AWS クラウドへの既存ワークロードの移行に関連するプロジェクトに携わり、「AWS Technical Essentials 1」または「Architecting on AWS」を修了した IT プロジェクトマネージャー
  • 企業のクラウドのセンターオブエクセレンス (CoE) のメンバー

エンジニア等も対象範囲になっていますが、移行に関わる特にマネジメント層も対象となっています。

AWS上の技術的な話よりもコンサルタントやプロジェクトマネジメントの要素が強い内容となっていますので、対象者も他のトレーニングとは少し異なります。

前提知識

このトレーニングでは、受講する前に次の知識を身につけておくことが推奨されています。

あまりAWSのテクニカルな知識は必要なく、代わりにクラウド・オンプレミスを問わず、システム開発・運用・移行の経験があると、より深く理解ができるようになっています。

講習実施風景

注:会場、講師やスケジュール配分は、開催日程によって異なる可能性があります。

今回トレーニングの会場となったのは東京、品川にある日本サード・パーティ株式会社の御殿山トレーニングセンターでした。各席には演習を実施する為のノートPCと教員用ディスプレイが設置されています。この2画面を使ってテキストを参照したり、演習を実施したりできます。

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参照するテキストは、講習初日までに各種案内のメールが送られてきて、テキストがダウンロード、参照できるようになっています。オンラインであれば良いので、演習のPCでも、持ち込みのノートPCでも、どちらでも好きな方法で参照が可能です。

今回の講師は、アマゾンウェブサービスジャパン テクニカルトレーナーの大村さんでした。

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(テクニカルトレーナーの大村さん。細かい要件についての質問も丁寧に教えていただきました。)

ラボとディスカッション

トレーニング中は座学だけではなく、ラボとディスカッションもありました。

トレーニングで用意されたラボは以下の3つです。

  • AWS Application Discovery Service によるIT環境の検出
  • AWS Database Migration Service によるデータの移行(EC2編)
  • AWS Database Migration Service によるデータの移行(Amazon Aurora編)

ディスカッションは下記のような内容がありました。

  • 移行計画の概要を作成する
  • 詳細な移行計画を作成する
  • 移行の設計
  • アプリケーションを最適化する

学習内容としては技術的な要素が少ないためラボは短めで、代わりにディスカッションに多くの時間を使いました。

 

トレーニングで学べること、役立つ点

移行プロジェクトの考え方・進め方を体系的に学習できる

これまでAWSが蓄積してきたオンプレミスからの移行のノウハウをトレーニングにしたもので、実用的な考え方を学ぶことが出来ます。

移行の方法は状況によってさまざまであり、唯一正解のやり方があるわけではありません。

そこで以下のように3つのステップでマイグレーションを学ぶことを推奨していました。

  • Basic(原則): AWSのマイグレーションにおける一般原則
  • Forms(型): 他社事例から参考可能な情報
  • Application(応用): 具体的な(自社の)移行の解決策を考える

解説されるプロジェクトの考え方・進め方はAWSのコンサルタントが持つ豊富な移行経験に基づいています。

下記に学習するトレーニング項目の一部をピックアップしてどのような手法やサービスを学習するか紹介します。

移行の進め方

移行に伴う全体的なフローや、どのような体制を確立して進めればいいか解説されます。

移行を開始するにあたってのビジネスドライバー(要因)の理解から始まり、AWSが定義する移行戦略の6Rを利用した移行パスの設計やCoEの設置方法、財務・セキュリティ・コンプライアンス・契約等の様々な観点から移行対象を評価方法について熟知出来ます。

移行戦略の6Rとは以下の6つの分類です。少し詳細に説明します。

  • 6R
    • Re-Host
    • Re-Platform
    • Re-Purchase
    • Refactor
    • Retire
    • Retain
  • Re-Host(ホスト変更)
    • リフト&シフト
    • サーバ、アプリケーションをオンプレからクラウドへそのまま移行する
    • 若干変更が必要な場合があるが基本的は変更しない
  • Re-Platform(プラットフォーム変更)
    • OSまたはDBエンジンの変更
    • アプリケーションのアップグレードなど
  • Re-Purchase(買い替え)
    • 買い替え/使用中止と購入
    • アプリケーションをSaaSに変更するなど
  • Refactor(リファクタリング)
    • 最適な形に変更する
    • DBをRDSやNoSQLにするなど
  • Retire(リタイア): 廃止
    • 重複リソースの廃止
    • 代替えのHAなど
  • Retain(保持)
    • 移動しない、オンプレで引き続き運用する
    • サポート対象外のOSやアプリケーションなど

CoEはセンターオブエクセレンスと呼ばれるチームで、企業内のさまざまな IT チームとビジネスチームから豊富な経験を持つ主要な人員が集められます。

ポートフォリオ検出と分析

移行対象のシステムの情報をポートフォリオとして検出と分析の手法が解説されます。

移行対象の依存関係やリスクを特定するためにビジネス詳細や技術詳細等、洗い出すことが必要な情報がまとめられています。また、その検出に有用なツールについてレクチャーされます。代表的なものとしてAWS Application Discovery Serviceがあり、これを利用したラボもあります。

移行の計画

移行の計画の適切な作成方法が解説されます。

移行時の優先順位付けを行うための基準が解説されるので、クラウド移行のスケジュールを設定する際に使用できる、順序が指定されたアプリケーションのリスト作成が可能となります。

移行手法については継続的デリバリー手法とスプリントモデルを利用した移行計画の組み立て方が解説され、プロジェクトに応じた移行手法の具体的な選択方法を教示されます。

移行の実行方法

移行の手法として、6Rの詳細が解説されます。

移行を実施するためのソリューションとして下記サービスも絡めた移行方法と、それぞれの選択基準を理解できます。

  • ストレージ
    • AWS Direct Connect
    • AWS Storage Gateway
    • AWS Import/Export Snowball
    • サードパーティツール
  • データベース
    • AWS Database Migration Service
  • サーバ
    • AWS Server Migration Service

一連の移行プロセスをディスカッションできる

上記の各プロセスをディスカッションでロールプレイングして、「Application(応用)」部分をきちんと身につけることが出来ます。

おなじみの「GoGreen社」の移行プロジェクトを例にし、参加者とチームを組んでディスカッションしながらケースに合わせた演習が出来ます。

実際に私の参加したチームでは、「移行期間短くない!?」「これはクラウドに持っていけないでしょ」「優先順位これで大丈夫?」「移行した効果ちゃんと出るの?」「絶対計画遅れそう」等々本番さながらのディスカッションが出来ていたと思います。

ディスカッション後に発表して、講師からの指摘で「あ〜そうすればよかった!」となることも多く、非常に参考になる内容となっていました。

ディスカッションが多いことで、学びがより深まります。

実案件に沿った意見交換が出来る

講師の方は実際に様々な実案件の経験があり、参加者からの本番環境を想定した質問についても深く意見を出していただけます。

特に、講師の方は日本で様々な案件を経験しているので、AWSとしての一般的な移行に対する解決策だけでなく、日本特有の文化や商習慣を考慮した意見をいただけます。

受講したメンバーの感想

今回クラスメソッドからはAWS事業部の臼田が参加しました。「ここがよかった!」と思った点を共有します。

臼田の感想

専門的な手法に対する解説

他のトレーニングと違って、AWS技術の解説よりも移行プロジェクトの達成のための手法について深く解説されているため、コンサルタントの方向に強くなることが出来ると感じました。オンプレミスからAWSへのマイグレーションに深くかかわった事がない方でも、必要な考え方が身につくと思います。

ロールプレイングによる実践的な演習

上記のような手法をテキストだけで理解することは容易ではないですが、実践的なロールプレイングも行うのでしっかりと内容が身につくと感じました。チーム毎に違った考え方が生まれますが、それぞれのチームの考え方をレビューして確認することが出来るため、より多くのケースを経験することが出来ます。

質の高いテキスト

AWSが公式トレーニングとしてまとめている内容とあって、体系的に学習することができ、かつクラウドに適した移行の考え方が身につく内容となっていました。テキストを持ち帰り何度も読み返すことが出来ることも魅力的です。

今後のトレーニング実施予定

今後のトレーニング開催日程と価格については、クラスとワークショップのページから「Migrating to AWS」の「クラスを検索する」をクリックして確認下さい。

演習環境を伴うクラスルームトレーニングですので、各回に定員が設けられています。開催日に近くなると満席になる可能性もありますので、早めのお申込みがおすすめです。

まとめ

本トレーニングは、これまでのトレーニングとは少し異なった、移行プロジェクトのマネジメントに特化したコースでした。

前提知識も高くありませんので、オンプレミスの環境からAWSへの移行を検討しているSIerやユーザ企業の方はぜひご受講を検討していただきたいと思います。

「オンプレミスのリプレース時期が近いけどAWSにしようかな?」「移行したいけど何をしたらいいかわからない!」とお悩みの方には最適です。

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