月刊クラスメソッド IoT まとめ 2023年04月号
「月刊クラスメソッド IoT まとめ」では、AWS の IoT 関連のアップデート情報や DevelopersIO の IoT 系の記事をピックアップして紹介しています。
今回は、合計 18 本のアップデートとブログ記事の紹介になります。
AWS IoT Core が MQTT 5 の共有サブスクリプションをサポート
昨年末に AWS IoT Core の MQTT Version 5 サポートが発表されましたが、そのうちの共有サブスクリプションについては未サポートだったものが今回のリリースで新たに追加されました。
大量の Publish を EC2 などを使った複数の Subscriber で分散処理したいような場合に、コンピュートリソースをスケールアウトすることで処理負荷を軽減できるようになります。
下記の記事でもアップデートについて、実際に試してみた内容を紹介しています。
AWS IoT Core for LoRaWAN がパブリック LoRaWAN ネットワークと Everynet によるローミングをサポート (プレビュー)
AWS IoT Core for LoRaWAN に LoRaWAN デバイスを接続したい時、パブリックな LoRaWAN ネットワーク経由で接続できるようになりました。
また今回のリリースでは AWS IoT Core for LoRaWAN が Everynet 社の提供する「パブリックな LoRaWAN ネットワーク」と連携してローミング機能をサポートするようになりました。
これにより、LoRa ゲートウェイ経由で AWS IoT Core for LoRaWAN に接続していたデバイスがホームネットワークから移動しても、 移動先にある EveryNet のネットワーク(Visited Network)経由でホームネットワークに接続できます。
また、LoRa ゲートウェイを持たない LoRa デバイスも、EveryNet が提供するゲートウェイ経由でホームネットワークに接続できるようになります。
イメージとしては、AWS ドキュメントにある下記の図が分かりやすいと思います。
本機能は、まだプレビュー中でマネジメントコンソールからは利用できず、AWS CLI や API 経由で利用する形となっています。
また、利用できる AWS リージョンも一部のリージョンのみとなっています。EveryNet 社のネットワークのカバレッジもブラジル、インドネシア、アイルランド、イタリア、プエルトリコ、スペイン、アメリカ、イギリス となっているので、日本ではまだ利用することができません。
参考リンク
AWS IoT TwinMaker が 3D シーンでのデータ オーバーレイとテキスト注釈のサポート
AWS IoT TwinMaker で利用する 3D モデルのシーンの中にテキストによる注釈や機器の説明やハイパーリンクなどを記載して表示できるようになりました。
下記の記事で試した内容が紹介されていますので、ご参照ください。
AWS IoT Core Device Advisor が WebSocket を介した MQTT をサポート
AWS IoT Core Device Advisor は AWS IoT Core に接続するデバイスを検証するためのテスト機能をフルマネージドで提供するサービスです。
今回のリリースで、新たに MQTT over WebSocket の Sig V4 を使用してテストを実行できるようになりました。
対象バージョンは、「MQTT 3.1.1 over WebSocket」「MQTT 5 over WebSocket」の2つになります。
Amazon Location Service が長距離マトリックス ルーティングをサポート
出発地と目的地が遠く離れていても、単一の API で次の時間と距離を計算できるようになりました。
- 180 km 圏内で最大 122,500 のルート
- 距離の制限無しで最大 100 のルート
参考リンク
DevelopersIO ブログ記事
ここからは、AWS のアップデートとは関係なく、DevelopersIO で投稿された IoT 関連の記事を紹介していきます。
AWS IoT TwinMaker Matterport 統合が利用可能になっていました
最初は、AWS IoT TwinMaker と Matterport の連携についてです。Matterport は建物の内部などを3Dスキャンを利用してデジタル化するシステムを開発・提供する企業で、従来より AWS IoT TwinMaker と3Dモデルを連携することができました。
以前は、Matterport で生成した3Dモデルを gLTF 形式に変換したファイルをインポートする方法がありましたが、今回のインテグレーションにより、ファイル単位でのインポートではなく Matterport の資格情報をベースに連携できるようになりました。
Raspberry PiとAWSを繋いでみる ~MQTT のデモ~
AWS IoT Device Client と Raspberry Pi を利用した公式チュートリアルの紹介ブログです。本記事では MQTT によるデバイスとクラウドの双方向通信について紹介しています。
Raspberry PiとAWSを繋いでみる ~AWS IoTのジョブ~
先程と同じ AWS IoT の公式チュートリアルの紹介ブログです。本記事では AWS IoT Jobs について紹介しています。
GUI の OPC UA クライアント「UaExpert」と「デモサーバ」で OPC UA 通信を試してみる
産業用通信プロトコルの OPC UA の通信について、Unified Automation 社が提供しているクライアントアプリとデモサーバを使って動作検証したブログです。
AWS Summit Tokyo レポート
4 月 20 日〜 21 日に幕張メッセにて AWS Summit Tokyo が開催され、DevelopersIO でも多くのレポートが掲載されています。ここでは IoT 関連のレポートを紹介します。
【レポート】Manufacturing on AWS ~製造 DX の新潮流~(AWS-20) #AWSSummit
製造業における DX をすすめるにあたり、最新の潮流や構成設計の際に参考になるリファレンスアーキテクチャの紹介がありました。セッション中に紹介された「製造業向けリファレンスアーキテクチャ」は必見です。
【レポート】AWS IoT で実現する IoT プラットフォーム構成と IoT データの活用(AWS-41) #AWSSummit
IoT プラットフォームをこれから作成していこうとする場合に、どのサービスをどのように使っていくのがいいか、サービスの特徴や具体的なユースケースを交えて紹介れたセッションのレポートになります。
IoT 関連ブースレポート
今回の AWS Summit では、IoT 関連ブースとしてミニチュア工場や AWS Monitoron など AWS が提供するデバイスも展示されており、なかなか実機が見れないほど多くの人で賑わっていました。
【レポート】スマートファクトリの実現における AWS IoT での検討ポイント(AWS-13) #AWSSummit
スマートファクトリーを実現するためのロードマップが最新のサービスとともに紹介されたセッションのレポートになります。個人的に興味のある分野だったので、網羅的な内容が印象的なセッションとなりました。
最後に
先月は、やはり AWS Summit があったことがポイントだったかと思います。IoT 関連の展示や数多くのセッションがあり非常に勉強になりました。特にユーザーセッションでは、各企業でどのような課題があり、それをどのように解消されたのか、活用事例を含めて聴講できたのではとても楽しく刺激的でした。
またアップデートの中では、AWS IoT Core for LoRaWANのパブリックネットワークとローミングサポートが個人的に印象的でした。ゲートウェイがなくともホームネットワークに接続できるようになったので、LoRaWAN を使う際のアーキテクチャの選択肢も増えてより柔軟に設計できるようになったと思います。
IoT 導入支援 / 相談会の紹介
クラスメソッドでは、AWS を中心とした IoT 導入においてエッジからクラウドまでトータルでサポートしています。
このようなお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせください。
- ローカルでデータ収集と可視化はできたが、クラウドで可視化する適切な構成が分からない
- 集めたデータを使って故障予知などに使いたい
- デバイスで動くアプリケーションの開発を AWS で効率化したい
- 工場設備からデータ収集してクラウドに送る方法が分からない
- エッジデバイスのセキュリティが心配だ