気付いたら400本近く勉強会&イベントレポートを書いてきてたので考え方とか書き方とかをまとめてみた #techpub
当エントリは下記のイベント『Tech Pub vol.6 書き続ける技術(勉強会・カンファレンスレポート編)』にて発表した内容を補足する形で書いたものです。当日は15分という時間枠での発表でしたのでボリューム的に話し切れないと思い、「このテーマでの登壇」だった事もあったのでキリも良いかなと思い"ブログ"の形で別途まとめてみました。
イベント参加レポートはこちらとなります。
イベント当日に発表した内容・スライドは以下となります。当エントリではスライド38ページの『書き続けるための「コツ」や「技術」 - 【勉強会・カンファレンスレポートの場合】』に列挙した内容について、自分なりの考え方や取り組み方を書き連ねて行こうと思います。
目次
考え方とか
このパートの内容は上述の発表スライドである程度言及しているので、内容を補足する形で。
これまでの自身の活動を振り返ってみると、(勉強会・参加レポートを含めた)ブログを書き続ける事が出来たのは「自発的に湧き上がるモチベーションを支えにしてきた」のでは無く、「外的要因から転じた状況を"制約"として自らに課して来た」部分があるなーというところに着地するに至りました。「次のイベントまでに参加レポートを書き上げる」も「月2桁投稿を目指す」のいずれも、どちらかと言えばスタートはそんな感じです。
そんな目標(月2桁投稿)を定めて暫く経つとその状態が自分の中ではデフォルトとなり、自然と「今月は(まず)10本、何を書こう」「何か書くネタ無いかな」「やばい、(2桁投稿に)xx本足りない。何か書かなきゃ」と考えるようになりました。また月2桁投稿を続けて行くには一定の時間やリソースが必要となります。逆算していく形で「これを達成するにはどうすれば良いか」と考えるようになり、各種ツールの導入や書き方の改善、情報の収集・活用等にも手を入れていくようになりました。
幸いクラスメソッドでは「ブログの執筆」を含めたアウトプットを業務時間中に行う事は何ら問題ありませんし、むしろ奨励されています。(業務が忙しいとそういった時間を確保するのは中々難しかったりもしますが)、そういった意味ではアウトプットの時間を確保するには比較的容易な環境にある、とも言えるでしょう。
また、ブログ執筆の際の「ネタ」についても、探せばそこら中に転がっているものです。「新サービス・新機能を試してみた」「業務で詰まった部分を備忘録として」「お客様からの問い合わせ内容(を抽象化する形でネタに昇華)」などなど、探せば幾らでもあります。以前程機会は多く無くなってはしまいましたが、社内チャット等で「この内容面白そう。誰か試してみた・調べてみた内容でブログ書いて!」というメッセージが飛び交う事もありました。自発的にネタが出せなければそういった「外からの意見」に乗ってしまうというのも全然アリだと思います。
そして、スライドで「続けられる『スタイル』を見つける」という内容にも言及していましたが、個人的には実はこれが一番大事なのかなーと思っています。目標とする数値や状況は人それぞれですし、それを実現するための『方法』や『アウトプットとしての形』も得意な形、やりやすい方法等あると思います。幸い、そういった情報もブログや書籍、その他様々な形で世に出回っています。それらを色々試してみて、自分なりに『合う』ものを見つけながら・改善しながら『ひとまずは続けてみる』事が結局のところ『書き続けていくために必要なこと』になっていくのでは無いか...という感じで(回答になってるんだかなってないんだか分からない形に)自分の中で整理が着きました。
イベント参加前
ここからはスライドにトピックまでは載せていましたが言及するに至らなかった内容となります。まずは「イベント参加前」に実践していることや心掛けていることなど。
予習・情報収集
参加するイベントについては、開催のテーマ的に「自分が慣れ親しんでいる・熟知しているもの」もあれば「興味はあるけど(そのテーマについて)正直そこまでの知識は無い」という場合もあるかと思います。いずれにしてもイベント内で何らかの概要説明や基本的な解説がなされる事はあるかと思いますが、全く知識が無い状態で臨むのも勿体無い気がしています。可能であればそのテーマについて自分なりに調べて&把握しておく方が聴講の時間をより有意義に過ごす事が出来るでしょう。自らの予習→参加後の「復習」の材料として、有用な情報についてはレポート内に含めて活用する...というのも自分の中では時折実践しています。
参加前に書けるところは書いてしまう
これは現在、ほぼ毎回実践しています。
イベントレポートは当日参加して聴講した内容をまとめる部分がメインであり大半を占めますが、それ以外の部分も幾つか存在します。主に以下の様な「骨組み」に関するパートは当日現地&参加後で無くても事前に情報収集を行い、ある程度のベースになる部分は書けてしまうのです。
- タイトル
- 導入・書き出しの部分
- イベント情報概要
- セッション情報概要
- 登壇者情報
- 締め・まとめの部分
こういった部分を書くのは体裁や文体など気にすると意外と時間を取られるものです。自分なりの形をブログの下書きやテキストで予め用意しておき、あとはイベント本編:セッション内容のメモや執筆活動に注力出来るようになるとアウトプットまでの流れも非常にスムーズになります。
テンプレートを用意する
これは前述の「参加前に書けるところは書いてしまう」と非常に近しい内容となりますが、「そういう(事前に書いておける)部分をまとめたテンプレートを用意しておく」というのも非常に有効です。カンファレンスの様なイベント内で複数セッションを聴講するような場合や、1つのイベントに複数人で参加してレポートを書くような場合に効果を発揮する形となります。クラスメソッドの場合、「AWS re:Invent」に代表される大規模カンファレンスに参加する場合、事前に必ずこの「テンプレート」的な下書き情報を用意し、参加者各位に展開する形を取っています。(今度開催されるAWS re:Invent 2018のテンプレートについても、先日作成し共有されました)
「道具」の準備
イベントに臨む際の準備として、物理的な道具やデバイスはまずはじめに準備しておかなければならないでしょう。
メモを取る「ノートPC(または対応する記録作業を行う媒体)」は当然として、自分の中では最低限以下の道具を都度持参しています。
- デジカメ(イベント写真撮影用)
- スマホ(イベント写真撮影用:予備として)
- モバイルバッテリー(PC用)
- モバイルバッテリー(スマホ用)
- 電源タップ
IT系のイベント毎に参加する・参加してブログを書くとなった際、途中でバッテリーが切れてしまうという事は即ち「死」を意味すると思っています。まぁいざとなったら紙とペンで、または己の記憶だけで書き切るぜ!という事も出来なくは無いとは思いますがやはり限界がある事を考えるとバッテリーの準備は万全にしておくべきでしょう。
デジカメについては写真撮影用に用意しています。性能その他は個人的な好みもあるので特に指定はしませんが、最低限スライドやイベント風景がクリアに撮影出来るものであればそこまで高いものを用意する必要は無いかなと思っています。連続撮影してすると2〜3時間でバッテリーが尽きてしまうので以前は予備のバッテリーも調達・充電して臨んでいましたが、最近は充電したまま撮影が可能な機種も出ているので、それを購入して使っています。
PC用モバイルバッテリーはこちらのAC電源対応版の『Hyper Juice』を愛用しています。以前の『1』からイベント毎の際には毎回持ち運んで重宝していましたが、このタイプが出てからは更に愛用・活用する形になっています。(ですが既に販売終了してしまったようです...)
イベント参加中
ここからはイベント当日・期間中におけるポイントについて話を進めて行きたいと思います。
情報収集
イベントによっては専用のTwitterハッシュタグが設けられているので(というか最近はほぼほぼありますね)、そこでつぶやかれた内容を追うことで、自分ひとりではカバー仕切れなかった情報を拾い上げる事が出来ます。イベント主催者や登壇者、また参加者や有識者によってつぶやかれた内容も合わせて活用・参照していくとより中身の濃いコンテンツに仕上げられるでしょう。
ちなみに、国内であればTogetterをフル活用していますが、海外カンファレンスに参加する場合の「海外のつぶやき」はTogetterでは拾いきれません。なので必要に応じて海外版Togetterの「ChirpStory」を使って情報を収集しておき、レポート執筆の際の情報源とする事があります。
写真撮影
※当然といえば当然ですが、前提として『イベントやセッション内容の写真撮影がOKな場合』に限ります。
文章で長々と説明を書くよりも、写真一枚でバシッと見せてしまう方が早い・分かりやすいというケースは良くあります。何らかのワークフローや図を多用した構成を説明する場合などがそうですね。画像に説明を添えることで読者の理解度も向上します。
また、単純に『文字だけのレポート』だと素っ気無く見えてしまうのも確か。挿し絵的にも何枚か画像が入っていると華やかさもアップして『読もうかな』という気持ちも幾らか増すんじゃないかなと思ってます。(と書きながら当エントリの内容も文字の比率が多くなって来ているので少し彩り考えないと...)
また撮影の際にはカメラのシャッター音設定はOFFにして撮影時に音が出ないようにしましょう。デジカメが無くスマホで代用する場合も、無音対応しているアプリを使うなどして撮影時に余計な音が出ないようにすべきだと思います。
ちなみに横道に逸れる形となりますが、イベントごとにおける『シャッター音』問題については、過去勉強会に参加し出した頃(2012年以降とか)から既に問題となっている一方で、全体としては問題解決には至っていないのでは...という印象です。セッション開始時に『撮影にはご配慮ください』のアナウンスが流れる様になったりだとか、『イベントの趣旨』としてシャッター音アリでの撮影は自粛しようね、と呼び掛けているコミュニティが幾つか散見されるくらいかな、というところでしょうか。
個人的には、イベント主催者や登壇者が気にしないっていうのであれば別に好きにすれば、という感じですが、主催者が何らか呼び掛けている場合はちゃんとそれに従えよ、とは思います。主催者側も『ご遠慮ください』や『ご配慮ください』というマイルドな言い方では無く『禁止です』と強くアナウンスしてしまって良いと思いますし、その上であまりにも酷いようならば一旦発表を止めてもらう、または退出頂くという措置を採ってもらっても良いのでは、と思っています。(問題的にいつまで経っても無くならないので、この件については若干過激派な立場になりつつあります)
まぁ、とは言えこういう主張をしてもきっと「そういう人」には届かないんだろうなぁ...と諦めてはいますけどw
メモの取り方
イベント・セッションの内容を見聞きした情報をメモる際、どういった形の方法を取るかというところについても幾つか意見が分かれるところだと思います。
「どういったツールを使うか」という部分については好みもあることですし、「好きな・使いやすいツールを選ぶ」で良いと思います(これも身も蓋も無いといえば無い...w) ちなみに自分の場合は普段は仕事もプライベートもMacですが、テキストエディタとしては「CotEditor」または「Atom」を普段使いしているのでメモを取る際もそれらを使っています。
ここでは、「技法」というか「実践の際に心掛けていること」を幾つか整理してみます。
自分の中での「略語」を定めてタイプ数を減らす
IT系の勉強会(勉強会に限らないか...)では、とかくなが~い名称や紛らわしい綴りの名称などが多く出てきます。それらの文言を一字一句正確に、しかも一定の速度を以て書き記していくというのはかなり大変な作業です。(当日のタイピングの調子にも大いに左右される部分となるかと思います)
もし、予め「そういう」状況に陥りそうであれば予め「略語」を用意して(業界的に定められているものがあるのであればそれを活用して)出来るだけタイプミスや入力文字数そのものを減らし、セッションの内容を集中して書き留められるようにしておくと捗ります。
(メモ時点で)多少の誤字脱字があっても気にしない
一方で、そういう対策をしていたとしても、やはり打ち間違いや聞き取りミス、その他意図しないトラブル等で正確にメモ出来ない事もあります。そういう時は打ち間違いを直すより、気にせずメモを取り続けて行きましょう。終わった後にメモを見返して「自分が分かる形」で残っていれば良いんです。(解読及びちゃんとした文書に清書する作業は必要ですが)
そういった意味では、略語の他に、自分の中での「メモを取る際のルール」を設けておくとより効率化出来るかもしれません。
思い切ってメモを割愛する
これは「事前または発表直後にスライド等の資料が公開された(またはされる事が確実)」ケースに使えるものになるかと思います。公開される事が分かっていて、且つその資料の内容がある程度事細かに記載されているようであれば、そもそもメモを取る必要も無いのです。気付けばメモしている内容が「スライドの発表内容そのままだった」、というのは私も良くやってしまいますが、丸写しになってしまうのであれば敢えてそこは話をじっくり聞いて内容を理解する事に集中し、スライドに載っていない内容や思いをメモして書き留めておく、という形にしておくとより内容の濃いまとめになります。
とは言え、写真もそうなのですが「この後公開しますので」と言われてもその公開が直後なのか1週間なのか分からない場合、公開の早さを求める場合であれば、当日その場のタイミングであってもついついメモや写真を収めてしまうのは悩ましいところです...w
イベント参加後
ここからはイベント終了後、公開までの流れで気になる部分をピックアップします。
レポート執筆
イベントセッション聴講を終え、懇親会も堪能した後はいよいよ参加レポートを書くぞ!となる訳なのですが、「どうやって書くか」という部分についても人ぞれぞれな部分があるかな、とは思います。
まず大きなポイントとしては「どういう形、構成でレポートを書き上げるか」という点。
自分の中では大きく3つのタイプに分かれると思っています。
- 1.速報系:箇条書きで要点整理していくスタイル
- 2.非速報系:ちゃんとした「読み物」として文章を構成し、まとめ挙げていくスタイル
- 3.その他:上記以外の構成や内容など(画像や音声、映像とか)
1.の「速報系」については、形としては見出しや記載事項の内容を箇条書きでほぼリアルタイムでメモって行き、1つのレポートの形として仕上げていくスタイル。こちらの利点は何と言ってもその早さでしょう。基本的にはそのばその場で内容を把握し、メモし、独自の記法でちゃんとしたコンテンツになるように書き上げていく(この場合、主にMarkdown記法などが使われる事が多いかと思います)ことで、タイピングの調子が良ければセッション終了後即ブログで公開!というワザも可能です。自分も個人ブログの頃は良くやってました。
2.の「非速報系」は、1と対比する形でこういう命名にしてみましたが要は「普通にまとめて、文章として読みやすく書いたレポート」な意味合いで捉えて頂ければと思います。メモを参考にしながら要約・抜粋・追記等を施し、画像やSNS情報等も踏まえて「記事」な体裁として整えた上で公開する形です。1.に比べて時間は掛かりますが、後で見返した時にはやはり情報としての密度の濃さ、
個人的には1.と2.のハイブリッドなスタイルを、1.で書く際の5割増位の時間で書き上げられれば...更にはそれをイベント全体を通じて「完全パッケージスタイル」でお届け出来ればとは思っているのですが、中々難しいところです。
上記の様な記述スタイル然り、ボリューム(1000字なのか10000字なのか)然り、または内容然り、ある程度自分のスタイルを模索しながら確立して行くことで、構成に悩む時間も減らせていけるかなと思います。
公開&公開後の対応
無事書き上がれば、公開へと進みます。各位シェアすれば一段落ですね。
拡散シェアは早いに越した事は無いですが、その辺は無理せず、出来る範囲やペースで構わないと思います。いずれにしても、参加者の報告や感想が聞けるとイベント当事者は嬉しいものです。
(おまけ)ドーピング
個人ブログでレポートを書きまくっていた頃、ハードなスケジュールを乗り切るために「翼を授かる」ことも度々ありました。「これを服用すれば何とかなる」、そう思っていた時期が私にもありました...というところでしょうか。多分に気の持ちよう、思い込みだったとは思うのですが、思い込みではあっても集中出来た節はあったので一定の効果はあったのかな、と思います。ただくれぐれも過剰摂取には気を付けてください。
まとめ
という訳で、個人的にまとめてみた「勉強会・カンファレンスレポートを書く際に考えていること・実践していること」等のご紹介でした。こうして振り返ってみると「自分のこのやり方は他の誰もやってない、特別なものだ!」というのは無く、過去誰かがどこかで述べているであろう内容が並ぶ形となりましたが、まぁそんなもんです。
次の節目は「クラメソにジョインしてDevelopers.IOでブログ1000本書いた」辺りになるのでしょうか。残り本数(出張ブロガー時代も含めると現時点で累計830本近くになるので残りはおよそ170本)とこれまでのペースを踏まえると東京五輪開催までには達成できそうな気もしますが、先のことは分かりません。もしそんな機会が訪れたならば、またこの様な形・切り口で何か書くかもしれません。