[EBS] 新しいボリュームタイプ(sc1、st1)の性能を測定してみた

2016.04.20

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はじめに

AWSチームのすずきです。

EC2インスンタンスの仮想ディスクとして利用できる Amazon Elastic Block Store (EBS)、 新しいボリュームタイプとして、スループットに特化した「st1」、アクセス頻度の低いアーカイブに適した「sc1」がリリースされました。

従来より提供されているEBSの「Standard」(マグネティック)、「gp2」(汎用SSD)との 性能比較を実施することができました。

早朝公開の第一版では、EC2(m4.large)の帯域がボトルネックとなり、 EBSの種類別の性能上限が正しく測定できていませんでしたが、 最大帯域の高いインスタンスでの確認結果を加えて紹介させて頂きます。

EC2設定

インスタンスタイプと最大帯域

  • m4.large (56.25MB/秒)
  • m4.xlarge    (93.75MB/秒)
  • m4.2xlarge  (125MB/秒)
  • m4.4xlarge (250MB/秒)
  • m4.10xlarge (500MB/秒)

利用AMI

  • Windows_Server-2012-RTM-Japanese-64Bit-Base-2016.02.10 (ami-2044434e)

EBS設定

  • 1TBのEBSをEC2インスタンスの追加ボリュームとしてアタッチ(st1, sc1, gp2)

ファイルシステム設定

  • NTFS(アロケーションユニットサイズ64KB)で再フォーマットを実施しました。

ベンチマークツール設定

結果(1TB EBS性能)

  • CrystalDiskMarkの(Q= 32,T= 1)となります。

スループット最適化HDD(st1)(New)

インスタンスタイプ Sequential Read Sequential Write Random Read 4KiB Random Write 4KiB
m4.large 56.441 MB/s 56.549 MB/s 263.9 IOPS 263.4 IOPS
m4.xlarge 94.023 MB/s 94.213 MB/s 263.9 IOPS 263.2 IOPS
m4.2xlarge 126.317 MB/s 125.175 MB/s 263.9 IOPS 263.4 IOPS
m4.4xlarge 250.947 MB/s 250.932 MB/s 263.9 IOPS 263.4 IOPS
m4.10xlarge 278.963 MB/s 275.094 MB/s 263.2 IOPS 262.9 IOPS

コールドHDD (sc1)(New) 

  • 低アクセス想定アーカイブ用
インスタンスタイプ Sequential Read Sequential Write Random Read 4KiB Random Write 4KiB
m4.large 56.440 MB/s 56.513 MB/s 84.0 IOPS 83.7 IOPS
m4.xlarge 91.378 MB/s 90.754 MB/s 84.0 IOPS 83.7 IOPS
m4.2xlarge 91.587 MB/s 90.754 MB/s 84.0 IOPS 83.5 IOPS

汎用SSD(gp2)

インスタンスタイプ Sequential Read Sequential Write Random Read 4KiB Random Write 4KiB
m4.large 56.494 MB/s 56.542 MB/s 3019.3 IOPS 2993.2 IOPS
m4.xlarge 94.208 MB/s 94.616 MB/s 3004.4 IOPS 2978.0 IOPS
m4.2xlarge 125.42 MB/s 125.648 MB/s 3003.7 IOPS 2979.2 IOPS
m4.4xlarge 154.807 MB/s 154.588 MB/s 3005.6 IOPS 2979.2 IOPS
m4.10xlarge 154.726 MB/s 153.853 MB/s 3037.6 IOPS 2979.0 IOPS

マグネティック(Standard)

インスタンスタイプ Sequential Read Sequential Write Random Read 4KiB Random Write 4KiB
m4.large 56.520 MB/s 35.597 MB/s 1043.2 IOPS 2622.1 IOPS
m4.xlarge 107.314 MB/s 43.702 MB/s 1059.8 IOPS 3061.5 IOPS
m4.2xlarge 103.883 MB/s 26.870 MB/s 851.1 IOPS 2613.0 IOPS

EBS性能

  • 容量に比例してスループットが変化するst1の性能を確認しました。
  • EC2の帯域がボトルネックとならないm4.10xlargeを利用しています。
EBSタイプ Throughput Sequential Read Sequential Write Random Read 4KiB Random Write 4KiB
st1(1TB) 40/245 278.963 MB/s 275.094 MB/s 263.2 IOPS 262.9 IOPS
st1(10TB) 391/500 561.859 MB/s 551.611 MB/s 536.9 IOPS 535.6 IOPS
st1(16TB) 500/500 565.151 MB/s 560.176 MB/s 536.9 IOPS 535.9 IOPS
gp2(1TB) - 154.726 MB/s 153.853 MB/s MB/s 3037.6 IOPS 2979.0 IOPS
io1(20000IOPS) - 336.285 MB/s 336.417 MB/s 19883.3 IOPS 20317.9 IOPS
  • ThroughputはAWSコンソール上にて、st1ボリューム作成時の値を反映

コスト確認

  • コストパフォーマンスの検討のため、1$あたりのEBS性能を求めました。

1$あたりの帯域(Sequential Read)

EBSタイプ 月額費用($)| Sequential Read 1$あたり性能
st1 $54 250.947 MB/s 5.17 MB/s
sc1 $30 91.587 MB/s 3.05 MB/s
gp2 $100 125.426 MB/s 1.29 MB/s
standard $84 103.883 MB/s 1.24 MB/s

1$あたりのIOPS(Random Read)

EBSタイプ 月額費用(1TB)| Random Read 4KiB IOPS 1$あたり性能
gp2 $100 3003.7 IOPS 30.03 IOPS
standard $84 851.1 IOPS 10.13 IOPS
st1 $54 263.2 IOPS 4.87 IOPS
sc1 $30 84.0 IOPS 2.8 IOPS

  • 月額費用($)は、1TBのEBS、1ヶ月間東京リージョンで稼働させた場合の定価。
  • 性能値はm4.2xlargeのCrystalDiskMark測定値
  • IO課金の発生するstandardのEBSは、4$(IOPS20相当)を加算。

まとめ

今回(2016年4月)に新しいEBSタイプとしてリリースされた「st1」と「sc1」、 読書ともにシーケンシャルIOに優れた性能を持つことが確認できました。

利用するEC2インスタンスがxlarge以下、それ以上のインスタンスを利用している場合でも、 高い帯域を必要としない場合には、コストパフォーマンスに優れた「sc1」の利用がおすすめです。

100MB/s以上の帯域を必要とするシステムでは「st1」、2xlarge以上のEC2インスタンス(EBS最適化済み)で 利用することをご検討ください。「st1」はEBS容量に比例して広い帯域が利用可能となります。 適切なディスクサイズ設定を行うことで、より効果的な利用が期待できます。

また、費用面だけでなく、これまでマグネティック(standard)のEBSに存在していた1TBの 容量制限が存在していましたが、「sc1」「st1」では、最大16TBまでのボリュームが作成可能となりました。 従来型のEBS、ストライピングで束ね、1TB以上のボリュームを利用されている場合、 「sc1」「st1」への変更でメンテナンス性の向上も期待できるかと思われます。

測定風景

new-ebs-10xlarge

  • 10xlarge起動記念。