うんこ漢字ドリル、ドンキの陳列方法を思いつくためには?奇抜なアイデアを生み出す9つの発想
かなり前の話で恐縮ですが、昨年12月〜2月までアドミュージアム東京で行われていた「『思いつく』を考える展」がその後の業務にも役立っているので記事としてアウトプットします。ちなみにアドミュージアム東京は日本を代表する広告代理店こと電通が運営する“広告博物館”です。日本で広告という文化が芽生えた背景やその変遷に関する資料、膨大なCMギャラリーなど見どころの多いミュージアムです。しかも無料で正直どうかしてる。
ひらめきは才能ではなく努力
「『思いつく』を考える展」は、世間がびっくりするようなアイデアを因数分解し、その発想方法を解説するという内容のものでした。
アイデアというと、右脳がすごく発達した才能に溢れる人が天から降ってくるひらめきを形に…というのが一般的なイメージです。それに対する回答のようなものが、この展示の冒頭に出てきます。
こんな書き出しの通り、この企画展ではアイデアを生み出すためにはいろいろな型があり、それらは決して天から降ってくるものではなくて情報や調査の積み重ねから生まれるのだよ、という内容のものでした。そのメカニズムとして、茂木健一郎による「思いつく」のメカニズムが以下のように図説されていました。
「思いつく」は9種類の「やってみた」
この企画展では、発想方法は大きく分けて9種類に分けられるんだということを主軸に展開。下記の9種類をそれぞれ実例を挙げながら説明していました。
9つのやってみた分類
・かくしてみた
・ふやしてみた
・シンボルつくってみた
・くっつけてみた
・ばらしてみた
・くらべてみた
・やめてみた
・やばくしてみた
・いれかえてみた
会場には、この9種類にもとづいて実際に生み出されたプロダクトも置かれていました。
こんな具合。例えば「いれかえてみた」は
福笑いのようにパーツを「いれかえ」られることでプロダクトとして成立。映画「君の名は。」は私たちがもしかして入れ替わってるゥー?!ということによってあの大ヒットを生んだストーリーを築きました。
一方「やばくしてみた」は、もともとの要素・特徴をさらに極端にさせてみたことでブランドを強化させました。私もコンビニで「お〜いお茶」を見つけたら迷わず「濃い味」のほうを選びます。
9種のひらめきをイラストでシンプルに説明したの図はこちらです。
うんこ漢字ドリルのメカニズム
企画展の中で特に注目を集めていたのが、昨年大ヒットを記録した「うんこ漢字ドリル」の例。展示では今やショッピングモールでうんこ先生撮影会なんてのも展開される人気商品が生まれた経緯が「くっつけた」の事例として細かに紹介されていました。 ほかにも、うんこを題材にしたアイデアスケッチなども展示されていました。面白目線でうんこと川柳をつないだこと、そこにビジネス視点での「教育+エンタメ」、デザイン視点での「漢字ドリル+うんこ」…さまざまなうんこのぶつけ合いによってこの教材が生まれたのだというのが事細かに説明されていました。
子どもたちに絶大な人気を誇る「うんこ」と、その対極にある「勉学」を掛け算したというその奇抜さには様々な試行錯誤があったんだなというのが伺える、いいイベントでした。
日常にあるものを9つの「思いつき」で分解してみよう
「ふやしてみた」では店中みっちりと商品を入れることで注目を集めることに成功したドン・キホーテの例が挙げられていました。あとLGBTの象徴であるレインボーカラーのフラッグは社会に訴えるためのわかりやすいマークとして作られたもので、それは「シンボルつくってみた」のカテゴリの実例として同じく紹介されていました。
このように、社会に転がっているさまざまなもの、その中でも注目を集めているものには理由があり、その理由はおおよそ9つに分解できるのかもしれません。そしてそれらは決して無作為に生まれたものではなく試行錯誤の末に生まれたもので、仮にそうだったとしても後付で説明ができるというもののようです。
電通のオウンドメディア「電通報」には、この企画展の記事がひとつずつ掲載されていくようです。皆さんもぜひ興味を持ったらチェックしてみてください。このイベント以降、実際に街にあるものを因数分解してみてますが、たしかにそのとおりなんです。面白いですよ。