
Open OnDemand 導入に役立つリンク集
はじめに
Open OnDemand は HPC 環境をブラウザから利用できる便利な Web ポータルです。日本語・英語ともに情報が限られており苦労しました。検証で得られた知見と、参考情報を共有します。
Open OnDemand とは
Open OnDemand は、Ohio Supercomputer Center(OSC)が開発・管理する Web ポータルです。ブラウザから HPC クラスタを操作できる利点から、世界中の 400 以上の HPC センターで採用されています。
主な特徴は以下の通りです。
- CLI のシェルアクセス
- インタラクティブなアプリケーションの実行
- ファイルのアップロード・ダウンロードの操作
- ジョブのサブミットや管理
- GPU 環境とデスクトップアプリケーションの操作
従来の HPC 環境ではコマンドラインの知識が必要でした。Open OnDemand はブラウザベースのインターフェースを提供することでこの障壁を下げています。研究者や、学生が専門知識なく HPC 環境を活用できる点が最大の魅力ではないでしょうか。
公式サイト
基本情報と導入手順を確認するなら、まず公式サイトをご覧ください。
コミュニティ
Open OnDemand JP
日本のコミュニティサイトです。
ワークショップ資料
2025 年 1 月 27 日開催の九州大学でのワークショップ資料が参考になりました。各機関の Open OnDemand 活用事例を知ることができます。
公式フォーラム
ユーザーや管理者による質問と回答が活発に行われています。設定や問題解決のヒントを得るのには最適です。
導入事例とマニュアル
以下の国内導入事例は、実際の利用方法や UI カスタマイズ例の参考になりました。
- 理化学研究所 計算科学研究センター(富岳)
- 東京工業大学(TUBAME4)
- 自然科学研究機構 岡崎共同研究施設 計算科学研究センター
- 九州大学情報基盤研究開発センター
構築のための参考資料
公式ドキュメントは最低限の内容のため、以下の記事が特に役立ちました。
- さくらのVPSではじめるOpen OnDemand #Webアプリケーション - Qiita
- AWSではじめるOpen OnDemand #Webアプリケーション - Qiita
- 犬でも分かるOpen OnDemand(2):Open OnDemandのインストール - The Running Dog in Dog Years
日本語だけでなく英語でも、詳細な構築手順を解説した記事は驚くほど少ないのが現状です。
私の検証結果
HPC ユーザーでも、HPC の管理や構築サイドの人が主に Open OnDemand を設定するせいか、世界的に情報が少ない様に感じられました。微力ながら Open OnDemand の検証した 2 つの構成パターン構築方法を紹介します。
パターン1: 単一サーバー構成
Open OnDemand の Web ポータルと、シェルアクセスを提供するサーバーが同一のケースです。シンプルな構成で導入しやすく、AWS を利用してとりあえず実行環境を試したいときに使えます。
パターン2: 複数サーバー構成
Open OnDemand の Web ポータルと、シェルアクセスを提供するサーバーを分離したケースです。EC2 2 台を使用しています。実運用に近い構成で構成です。
おわりに
Open OnDemand の検証を通じて、多くの情報ソースをあたりました。特に理化学研究所 計算科学研究センターの中尾さんの記事は大変参考になりました。
インタラクティブなアプリ(Code-Server や Jupyter Notebook)を別サーバーで起動し、Web ポータル経由で提供する設定には苦戦しています。この部分については時間があるときに試してみようと思います。