[アップデート] Amazon Quick Suite のチャットエージェントがメモリ機能を使ってユーザーにパーソナライズされた情報を認識・保存して回答してくれるようになりました
いわさです。
Amazon Quick Suite ではユーザーがチャットエージェントを構築し、自然言語で AI エージェントに指示をしたり会話することができます。

先日こちらのアップデートで、メモリ機能というものが追加されました。
この機能はチャットエージェントがユーザーとの会話内容から学習を行い、リソースやツール、レスポンス形式などユーザーにパーソナライズされた情報を認識して「メモリ」に保存します。
このメモリは他のユーザーとは共有されないのですが、同一ユーザーの他の会話セッションなどに引き継がれます。
この機能の検証方法がわかったので紹介します。
メモリ機能の確認方法
例えばどこかの会話の中で次のようにエージェントにレスポンス形式を指示したとしましょう。
みなさんもよくやると思うのですが、特定の方言でレスポンスするように指示してみます。

上記の履歴アイコンからチャット履歴を開きます。
このチャット履歴の下部に「View memories」というボタンがありまして、こちらでメモリの中身を確認することができます。

反映まで数分のタイムラグがあるようですが先程会話した内容から指示にあたる部分を抽出して保存してくれているようです。

特にこの機能のオン・オフはなく、会話中に個別に保存するかどうかの指示もしません。自動で保存されます。
メモリを使って回答してもらう
そして回答時にエージェントはこのメモリに保存された指示を考慮して回答してくれるみたいです。こちらも使用にあたっての指示は特にいらなくて自動で使われます。
試しに新しいセッションでチャットエージェントと会話を開始してみます。

私のチャットエージェントが新しい会話で開始したときも関西弁で回答してくれるようになりました。
このように、パーソナライズというかユーザーが会話中に指示した内容を記憶し、今後の会話で考慮しつづけてくれます。
関西弁になったら絵文字を使うのか?
メモリを使いたくないときは「プライベートモード」を使う
このメモリ機能、指示の保存も利用もすべて自動で行われます。
うまいことユーザーに最適化してくれるとも考えられますが、一方で特定の会話については過去のメモリ内容を使ってほしくなかったり、ユーザーコンテキストとして保存してほしくないときもあると思います。
チャットエージェントに「プライベートモード」が追加され、こちらを使うことでそれが実現できます。
新しくチャットセッションを開始したとき、次のように履歴アイコンの左にプライベートモードに切り替えることができるアイコンが追加されています。

こちらをクリックして ON の状態にすると、次のようにチャット入力エリアにもプライベートモードである旨が表示されていますね。

プライベートモードでまたレスポンス内容に関する指示をしてみましょう。レスポンスをすべてひらがなで行うように指示しました。

よく見てみると関西弁で回答されていないですね。このプライベートモードを使うと、保存済みの指示内容も無視されるようです。
比較のためにプライベートモードを使わずに別の指示も行ってみます。レスポンス時の数字に漢数字を使うように指示してみました。

こちらは関西弁で回答されていますね。メモリが使われていそうです。
少し待ってメモリに保存された内容を見てみると、ひらがなに関する指示は保存されておらず、漢数字に関する指示は保存されていることが確認出来ました。

このように、メモリに保存したくない/メモリを考慮して回答してほしくないときにプライベートモードを使えることが確認できました。
メモリから削除する
メモリに不要な指示が含まれている場合は明示的に削除することで調整することができます。
例えば関西弁をやめさせたいとき、次のように対象の指示を削除することができます。
また、「Delete all memories」を押すことで全てのメモリを削除することもできます。

関西弁だけ削除することが出来ました。

別でメモリに保存されたマークダウン形式では回答し続けてくれていますが、関西弁は使われなくなりましたね。

さいごに
本日は Amazon Quick Suite のチャットエージェントがメモリ機能を使ってユーザーにパーソナライズされた情報を認識・保存して回答してくれるようになったので使ってみました。
このアップデートは自動でオンになっているので、なんだかチャットエージェントの回答が過去のコンテキストを引きずりすぎているなと感じたときはメモリ機能を見直してみると良さそうです。
なお、ドキュメントによると KMS カスタマーマネージドキーを Quick Suite で使っている場合はメモリ機能が使えないとのことです。有効化されていないなぁという方はそのあたりも確認してみてください。









