国土数値情報の緯度・経度情報をQuickSightで取り扱えるフォーマットに変換してみた

地理空間情報をQuickSightで取り扱えるフォーマットに変換する方法をご紹介したいと思います。
2021.06.15

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はじめに

データアナリティクス事業本部の藤川です。
QuickSightで地理空間情報を簡単に取り扱えますが、地理空間情報には様々なフォーマットがあり、実はとても厄介です。
地理空間情報をQuickSightで取り扱えるフォーマットに変換する方法をご紹介したいと思います。

QuickSightが扱える緯度と経度の座標の有効範囲

QuickSightは特定の範囲内の緯度と経度をサポートしています。単位は「度」です。
※参考:緯度と経度に関する問題

座標 有効範囲
緯度 -90 ~ 90
経度 -180 ~ 180

平面角を表すものですが、緯度、経度は「秒」で表現される場合もあります。 こちらの記事でご紹介した国土数値情報は、緯度、経度を「秒」で表しています。 国土数値情報の緯度、経度は「秒」、QuickSightの緯度、経度は「度」ですので、「秒」から「度」に変換が必要です。

1度 = 60分 = 3600秒ですので、次式のような変換が必要です。

1秒 = 1/3600度

やってみた

国土数値情報のデータをQuickSightで使用できるようにしてみたいと思います。 ここでは、計算フィールドを使って、QuickSight内で変換してみます。

サンプルデータを用意

  1. サンプルデータを用意します。こちらの記事でご紹介したデータを流用します。
  2. QuickSightを開きます。
  3. データセットを開きます。 quicksight-datasets
  4. 「地価公示データ」というデータセットをクリックします。
  5. データセットの編集ボタンをクリックします。 quicksight-datasets-002
  6. 「地価公示データ」(カスタムSQL)の右側にある矢印をクリックし、SQLクエリを編集をクリックします。 quicksight-datasets-003
  7. カスタムSQLを次のように変更します。緯度、経度の2行を追加しただけです。
    select
        "都道府県名",
        "駅距離",
        "緯度",
        "経度",
        "h27価格" as "2015年",
        "h28価格" as "2016年",
        "h29価格" as "2017年",
        "h30価格" as "2018年",
        "h31価格" as "2019年",
        "r2価格" as "2020年"
    from
        "hello_athena".landprice a left join "hello_athena".prefcode b
        on substr(a."所在地コード", 1, 2) = b."都道府県コード"
    where
        "用途" = '000'
  8. 適用ボタンをクリックします。

  9. 閉じるボタンをクリックします。 quicksight-datasets-004

計算フィールドを追加

この時点では、緯度経度は「10進数」というデータ型です。まだ、ロケーション(地理空間コード)として認識されていません。
latitudelongitudeという名称の計算フィールドを追加して、変換できるようにします。

  1. 計算フィールドを追加ボタンをクリックします。 quicksight-datasets-005
  2. 名前を追加latitudeと入力し、その下のフィールドに次の通り入力します。
    {緯度}/3600
  3. 保存ボタンをクリックします。 quicksight-datasets-006

  4. 再度、計算フィールドを追加ボタンをクリックします。
  5. 名前を追加longitudeと入力し、その下のフィールドに次の通り入力します。

    {経度}/3600
  6. 保存ボタンをクリックします。
  7. 画面左側のフィールド一覧で、latitudeの3点リーダーをクリックし、座標に追加をクリックします。 quicksight-datasets-007
  8. 新しい地理空間の座標を作成を選択し、追加ボタンをクリックします。 quicksight-datasets-008
  9. 座標に名前を付けるGeocode(任意の名前で構いません)と入力し、緯度で使用するフィールドにはlatitudeを、経度で使用するフィールドにはlongitudeを選択します。
  10. 座標の作成ボタンをクリックします。 quicksight-datasets-009
  11. 画面右側の保存ボタンをクリックします。
    ※筆者の環境では、SPICEを選択するとエラーが出てしまいましたので、直接クエリに変更しました。 quicksight-datasets-010

分析に地理空間情報を表示

  1. QuickSightを開きます。
  2. 「分析」を開きます。
  3. こちらの記事でご紹介した「地価公示データ analysis」を流用します。
  4. ビジュアルタイプ地図上のポイント(Geospatial Charts (Maps))をクリックします。 quicksight-analysis-001
  5. フィールドウェルに次のようにセットします。 quicksight-analysis-002
  6. データはGeospatialが5,000件、Colorが31件までに制限されるため、都道府県でフィルタを掛ける等絞り込むようにしてください。 quicksight-analysis-003

他の地理空間情報フォーマットに対応

公式サイトには、緯度、経度をDMS(時分秒)形式からQuickSightが取り扱える「度」に変換する方法が掲載されています。
※参考:緯度と経度に関する問題

度、分、秒 (DMS) 形式の座標を使用する(度分秒→度)

「文字列」型の緯度経度というカラムにDMS形式の緯度、経度が入力されている場合、そのままお使いいただけます。

  1. 計算フィールドlatitudeを追加します。
    ifelse(
        split({緯度}, "''", 2) = "N",
        parseInt(split(split({緯度}, "°", 1), "'", 1) ) +
            (parseDecimal(split(split({緯度}, "°", 2), "'", 1) ) /60) +
            (parseDecimal(split(split({緯度}, "°", 2), "'", 2) ) /3600),
        (parseInt(split(split({緯度}, "°", 1), "'", 1) ) +
            (parseDecimal(split(split({緯度}, "°", 2), "'", 1) ) /60) +
            (parseDecimal(split(split({緯度}, "°", 2), "'", 2) ) /3600)) * -1
    )
  2. 計算フィールドlongitudeを追加します。
    ifelse(
        split({経度}, "''", 2) = "E",
        parseInt(split(split({経度}, "°", 1), "'", 1) ) +
            (parseDecimal(split(split({経度}, "°", 2), "'", 1) ) /60) +
            (parseDecimal(split(split({経度}, "°", 2), "'", 2) ) /3600),
        (parseInt(split(split({経度}, "°", 1), "'", 1) ) +
            (parseDecimal(split(split({経度}, "°", 2), "'", 1) ) /60) +
            (parseDecimal(split(split({経度}, "°", 2), "'", 2) ) /3600)) * -1
    )
  3. 次のようなサンプルデータがあるとします。
    緯度 経度 場所
    51°30'26.4636''N 0°7'39.9288''W サンプル
    34°38'35.3''N 134°59'50''E 明石市
  4. この場合、次のように変換されます。
    緯度 経度 場所 latitude longitude
    51°30'26.4636''N 0°7'39.9288''W サンプル 51.5074 -0.1278
    34°38'35.3''N 134°59'50''E 明石市 34.6431 134.9972

さいごに

QuickSight以外でも緯度、経度情報を使用する場合は、前処理する段階でフォーマットを変換しておくのが便利でしょう。 今回は、QuickSightの計算フィールドを使用し、QuickSight側でデータ加工してみました。アドホックな分析で、国土数値情報を使用したい場合には重宝すると思います。 ご利用シーンに合わせて是非使い分けてみてください。