Amazon EBS ボリュームが Recycle Bin(ごみ箱)機能に対応しました
はじめに
2025 年 11 月、AWS Recycle Bin(ごみ箱)が EBS ボリュームのサポートしました。誤って削除した EBS ボリュームをごみ箱から復元できるようになります。
何ができるようになったのか
- 設定さえしておけば、誤って EBS ボリュームを削除してもごみ箱に入るので復元可能
- ただし、ごみ箱内で保存期間中も通常の EBS ボリューム料金が発生
- EC2 インスタンスの終了(削除)で EBS ボリュームが削除されるのも保護対象
- そのため、特にオートスケールする環境では保護対象を指定するタグ付けか、除外タグ設定が必要
- スケールインで削除された EC2 の EBS ボリュームがごみ箱に入り、保持期間分コスト増
Recycle Bin とは
Recycle Bin は、誤って削除したリソースを一時的に保持する機能です。要はごみ箱機能です。指定した保持期間内であれば削除したリソースを復元できます。保持期間が経過するとリソースは完全に削除されます。今回のアップデートにより、EBS ボリュームがサポート対象となりました。
- EBS スナップショット(2021 年 11 月)
- AMI(2022 年 2 月)
- EBS ボリューム(2025年11月) New!!
保持期間の上限
リソースタイプごとに保持期間の上限が異なります。
| リソースタイプ | 保持期間 |
|---|---|
| EBS ボリューム | 1~7 日 |
| EBS スナップショット | 1~365 日 |
| AMI | 1~365 日 |
料金
Recycle Bin 自体に追加料金はかかりません。ただし、ごみ箱で保持期間中のリソースには通常の料金が発生します。
- EBS ボリューム: 通常のボリューム料金と同じ
- EBS スナップショット: 通常のスナップショット料金と同じ
- AMI 自体には追加料金なし
- ただし、関連付けられたスナップショットには通常のスナップショット料金が発生
料金詳細は Amazon EBS の料金をご確認ください。
保護対象の指定
保護対象は、以下の方法で柔軟に設定できます。
- リージョン内の全リソースを保護
- 特定のタグが付いたリソースのみ保護
- 除外タグで特定リソースを保護対象から除外

EC2 ボリュームのごみ箱について
同じごみ箱からの復元でも、スナップショットからの復元と比べると利点が 2 つあります。
復旧ポイントが直前
スナップショットからの復元では、最後のスナップショット取得から削除までの間のデータが失われます。例えば、1 日 1 回スナップショットを取得している場合、最大 24 時間分のデータ損失につながります。
一方、EC2 ボリュームをごみ箱からの復元では、データの損失が発生しません。削除時点の状態をそのまま復元できるため、RPO(目標復旧時点)がスナップショットからの復元と比べると大幅に改善されます。
復元後の EBS のパフォーマンス
スナップショットから復元する場合、EBS ボリュームはすぐに使用可能です。ですが、ボリューム初期化処理が行われ、我々の見えないところで S3 からのダウンロードが発生します。そのため、復旧直後は I/O レイテンシが増加し、パフォーマンスが低下する可能性があります。
一方、EBS ボリュームをごみ箱から復元したボリュームは、即座にフルパフォーマンスを発揮できます。
補足
スナップショットからの復元でも、IO 性能を要求するワークロードですぐにフルパフォーマンス発揮させたいときはお金の力で解決できます。
EBS ボリューム初期化レートでボリューム初期化時間を短縮。
EBS 高速スナップショット復元を利用すれば、最初からフルパフォーマンス。
設定方法
説明が長くなりましたがここからは実際にやってみたコーナーです。
マネジメントコンソール
EBS ボリューム画面か、スナップショット、AMI 画面のから「Recycle Bin」を選択します。

「保持ルールを作成」をクリックします。

リソースタイプに「EBS ボリューム」を選択します。保持期間やタグ条件を設定し、「保持ルールを作成」をクリックします。

AWS CLI
以下のコマンドで保持ルールを作成できます。期間は最長の 7 日間で、すべてのリソースが対象にしたときの例です。
aws rbin create-rule \
--description "Rule for All EBS Volumes" \
--retention-period "RetentionPeriodValue=7,RetentionPeriodUnit=DAYS" \
--resource-type "EBS_VOLUME" \
--tags "Key=Name,Value=RetentionRuleAllEBSVolumes"
参考: create-rule — AWS CLI 2.32.3 Command Reference
動作検証
実際に EBS ボリュームを削除して、ごみ箱の動作を確認しました。
EBS ボリュームの削除
EC2 コンソールから通常通りボリュームを削除します。

削除したボリュームがごみ箱に保持されていることを確認できます。

ごみ箱からの復元
ごみ箱から対象のボリュームを選択し、「復元」をクリックします。

ボリュームが元の状態で復元されました。タグ、ボリューム ID、作成日時はすべて保持されています。

EC2 削除時の動作検証
インスタンス終了時に削除されるボリュームも ごみ箱で保護されます。EC2 インスタンスを削除して動作を確認しました。
公式ドキュメントには以下のように説明されていました。
Volumes deleted due to instance termination or root volume replacement are protected by Recycle Bin.
https://docs.aws.amazon.com/ebs/latest/userguide/recycle-bin-factors.html
インスタンスの削除
EC2 コンソールから通常通りインスタンスを削除します。ルートボリュームは「終了時に削除」が有効な状態です。

インスタンスを削除すると、ルートボリュームも自動的に削除されます。

ごみ箱に入る
削除されたルートボリュームがごみ箱に保持されていることを確認できます。インスタンス削除後でもボリュームだけは復元可能です。

オートスケール環境での注意点
オートスケーリンググループを使っていなくても、一時的に EC2 インスタンスを起動して、削除するような仕組みがあれば気をつけてください。AWS ParallelCLuster や、AWS Batch のコンピュートノードは計算中のみ一時的に起動するインスタンスです。
まとめ
Recycle Bin(ごみ箱)が EBS ボリュームをサポートしました。誤削除時の復元が可能になりました。
利用を検討する際は、以下の点に注意してください。
- ごみ箱に保存期間中も通常の料金が発生
- オートスケール環境では特定のタグを対象にするか、除外タグの設定を検討






