【レポート】AWS Ground Stationで天体物理を始めよう #NET308 #reinvent

【レポート】AWS Ground Stationで天体物理を始めよう #NET308 #reinvent

Las Vegasで開催中のre:Inventにて、セッションNET308: Enabling automated astrophysics with AWS Ground Stationに参加してきましたのでレポートします。
Clock Icon2019.12.05

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

Las Vegasで開催中のre:Inventにて、セッションNET308: Enabling automated astrophysics with AWS Ground Stationに参加してきましたのでレポートします。

セッション概要

NASAのジェット推進研究所(JPL)の、ITチーフオフィサーであるTom Soderstorm氏が、AWS Ground StationとNASA JPLの衛星との通信をスケジュールを自動化されているのをデモンストレーションします。 このデモに使用したASTERIA衛星は、マサチューセッツ工科大学とNASA JPLの協働で設計されたものです。AWS Ground Stationはアンテナシステムとクラウド技術を結合し、研究者や科学者が宇宙プロジェクトを自動化できるのです。

原文はこちら。

NASA Jet Propulsion Laboratory’s (JPL) IT Chief Technology Officer, Tom Soderstrom, presents a demonstration of automated scheduling with AWS Ground Station and a NASA JPL satellite. The satellite, ASTERIA, used for this demonstration was designed in collaboration between the Massachusetts Institute of Technology and NASA JPL. AWS Ground Station connects antenna systems to cloud technologies so that researchers and scientists can automate their projects in space.

登壇者

  • Shayn Hawthorne - Senior Manager, AWS
  • Tom Soderstrom - IT Chief Technology and Innovation Officer, NASA Jet Propulsion Laboratory

AWS Ground Station Deep Dive

最初の登壇者は、Shayn Hawthorne (AWS)さんです。

セッションは、簡単な質問から始まりました。聴衆で、AWS Ground Stationというサービスを聞いたことがあるという人という質問に対して、40%くらいの手が上がったように見えました。

アジェンダ

  • Intro to AWS Ground Station
  • AWS Ground Station overview - customer view
  • Demo
  • ASTERIA Ground Station experiment

AWS Ground Station

  • マネージドな衛星用基地局
  • 長期的な利用コミットメントが不要
  • シンプルに使ったぶんだけ、分単位の支払い
  • AWSリージョンの最寄りに隣接
  • セルフサービスのスケジューリング
  • 単純な申し込み順で利用

  • データレートの一例:80Mbyte/s
  • アンテナまでの通信遅延時間は5ms
  • アンテナは数台用意されている

従来の衛星基地局の課題

  • 建設、リース、あるいは借りる
  • 建設するには初期投資が大きい
  • メンテナンスが高額で複雑
  • スケールしない
  • 不透明な価格
  • スケジュールの衝突と調整のための話し合い

AWS Ground Stationはこれらの課題を解決します。

アーキテクチャ

AWS Ground Stationのアーキテクチャスタックは下記。

  • AWS Ground Station
    • (物理的な)アンテナシステム
    • アンテナ制御
    • 衛星のトラッキング
    • スケジューリング
  • Customer VPC
    • ENIを経由
    • Software Radio
    • モデムデータ処理(エンコード/デコード)
  • 上記の間で通信: RF over IP
    • Downlink
    • Uplink
  • APIやSDKを介して、セルフサービスあるいは自動化
  • AWSのセキュリティ管理基盤

Key Events

  • Customerはミッションプロファイルと設定を定義
  • スケジュールを予約
    • 次の情報が必要: ミッションプロファイル、設定、衛星、タイミング
  • システムは、通信を実行

設定

  • ミッションプロファイルは、複数の設定で構成:通信を成立させるために、アンテナシステムを設定
    • 一例: アップリンクとダウンリンク(周波数が違う等、設定は異なるのが一般的)
  • これらは、API経由で作成される

  • 設定の例

    • AntennaDownlinkConfig
    • 周波数や偏波等を設定
    • DataflowEndpoint
    • IPアドレスやポート番号、セキュリティグループ等を設定

通信を予約

  • 衛星、アンテナ、ミッションプロファイル、日時を指定して予約をする
  • APIあるいはコンソールで予約を行うことができる

デモ

デモ動画が披露されました。マネージメントコンソールを開き、すでに設定済みのミッションプロファイルを使用して、クリックをして予約をする様子。 そして、スケジュールされた通信が行われていることをトラフィックモニターのグラフが変化する様子が示されました。

ステッカー

最後にステッカーもあるからもらってね、ということでいただいてきました。

Tom Soderstromさんのセッション

続いて登壇者が代わり、Tom Soderstrom (JPL)さんのセッションです。

やはり最初は簡単な質問から始まりました。宇宙に関する仕事をしている人、またITを仕事にしている人が手をあげるよう促されました。 後者が圧倒的でしたが、前者もそれなりに手が上がりました。

JPLの使命

  • Are we alone?
    • さまざまな疑問
    • 環境保護
    • 小惑星衝突回避
    • 宇宙はどこからやってきて、どこへゆくのか

JPLはNASAとカルテクの一部門

カルテク=カリフォルニア工科大学です。JPLの概要が紹介されました。

  • 宇宙に関するプロジェクトを成功に導くこと。
  • 300億マイルの距離
  • 昨年は5-6個のプロジェクトを実施

聞き覚えのあるスペースクラフトやデバイスがたくさん紹介されました。

  • CubeSat はオモチャではない
  • 安価だがちゃんとした成果を出す
  • Mars 2020プロジェクト (AWSがスポンサー)
  • その他キュリオシティやオポチュニティ等

ASTERIA CubeSatを使って、宇宙空間での自律動作をデモ

  • JPLはMITとの協働作業により、6U(サイズ)の直方体形状の小型衛星を、構築、試験、運用した。
  • 太陽系外の惑星を発見することが目的。
  • star gazeによる独立した動作による自律航行
  • 彗星の検出

ASTERIA AWS Ground Station experiment

最初のプロジェクト。

  • Downlink
    • 信号のロック
    • フレーム同期
    • テレメトリの処理とダウンリンクの確認
    • Amazon VPC中にモデムを構築(qFEP & qRadio)
    • MOC(?)へのバックアップ
  • Uplink
    • NTIAによるラジオライセンスの取得
    • AWS Ground Station Previewサービスからの移行
    • 他のプロジェクトとの比較による妥当性の確認
    • GovCloudへの移行(TBD)

コンフィギュレーション

実験

  • 写真を撮影
    • ニューヨーク

推薦事項

この手の実験を立案するにあたっての推薦事項が数多く挙げられました。

  • まずリスクのない本当のユースケースを探して成功させること
  • アップリンクはラインセンスがおりてからのみ実施する

地球周回ミッションにおける利点

AWS Ground Stationを地球周回ミッションに適用した際の利点が挙げられました。

  • coordination at scale. (CubeSat swarms, sensor webs)

多数の衛星を使ったswarmやセンサーwebという用語で将来像が示唆されているように感じました。

QAがたくさん

サービス提供側として、他のニーズに興味があるとのことで、相談は歓迎とのことです。 セッション終了後は、会場から多くの質問が出されました。宇宙への好奇心はみなさんやはり旺盛なようです。

さいごに

昨年発表されたAWS Ground Stationは、斜め上の謎なサービスでしたが、具体的なミッションに適用されている事例が紹介されたことでイメージが明確になりました。 ダウンリンクだけだと思っていたのですが、アップリンクがあるとのことで、双方向の通信が賄えることを知れたのが収穫でした(当然ですよね)。 このようなサービスを自らが利用する機会は無いと思いますが、このような思いがけないサービスが提供され得るということが大変興味深いことだと思います。

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.