【report】 PGA TOUR データと AI で革新する次世代ゴルフ実況システム #SPT209 #AWSreInvent
こんにちは。AWS 事業本部の Yoshi です。
re:Invent 2024 でラスベガスに来ています。
PGA TOUR の実況中継を革新する新サービスに関する session があったので参加してみました。
セッションの概要
タイトル
SPT209 | How the PGA TOUR is transforming live player commentary in golf
説明
In this lightning talk, explore the development of new services designed to transform live golf commentary by delivering real-time insights on each player’s shot. By making complex stats and player trends accessible, the tool elevates the viewing experience, which creates a more engaging and personalized connection to the tournament. Also learn about the critical importance of performing discovery, roadmapping, operationalizing, and building a solid foundation—key steps that ensure successful implementation of generative AI. These strategic elements not only power the tool but also set the stage for scalable, impactful AI-driven innovations in live sports.
スピーカー
- Jennifer Bradshaw VP, Product Management, NLP Logix
- Tanner McRae Senior GenAI Solutions Architect, Amazon Web Services
- Scott Gutterman Senior Vice President of Digital Operations, PGA TOUR
概要
PGA TOUR の実況中継を革新する新サービスの開発に関する内容。視聴者に各選手のショットに関するリアルタイム分析を提供、複雑な統計データと選手の傾向を分かりやすく表示するこで視聴体験を向上させ、トーナメントへの没入感を高めている。
アジェンダ
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- AI を活用した新しいゴルフ実況
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- システムの特徴
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- 解説生成の基本フレームワーク
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- ガードレールの実装
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- 運用上の課題
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- 実用性の実証
レポート
セッション中に気になった点をご紹介。
1.AI を活用した新しいゴルフ実況
PGA ツアーは、Amazon Bedrock 等を活用し、AI による実況解説システムを 2025 年の一般公開を目指して準備中。1 トーナメントで約 32,000 ショットのデータをリアルタイムで収集・分析、複雑な統計データと選手の傾向を分かりやすく提供する。
2.システムの特徴
データ収集の強化
新しい ShotLink2 システムにより、従来の 10 倍のデータ量を収集、全 18 ホール、144 人の選手の全ショットを網羅。
※ イメージ図
ShotLink とは?
リアルタイムで弾道を可視化してくれるショット分析システム。各ホールに設置されたすべてのカメラで計測された情報が、リアルタイムでデータセンターのトレーラーに送られ、テレビ中継に統計データとして表示される。
高精度な解説生成
- 約 30-35 の実況パターンを基に解説を生成
- 複数段階の検証システムによる品質管理
- エラー時は人間による確認・修正を実施
3.解説生成の基本フレームワーク
多層構造によるデータ処理
解説生成の基本フレームワークは、事実の生成、ストーリーの構築、最終的な解説の統合とのこと。
品質管理システム
解説生成の品質を保つために、NLP 抽出による事実確認、ShotLink データとのクロスチェック、ブランドの一貫性チェック、不適切な表現のフィルタリングが実施されている。
4.ガードレールの実装
複数の検証アプローチ
- 一般的な NLP 抽出技術の活用
- LLM による判定システム
- カスタム開発された検証機能
重点検証項目
- ブランドとの整合性
- 事実関係の正確性
- 幻覚(誤った情報生成)の防止
実用化における考慮点
- 放送権に関する制限への対応
- 視聴者ニーズに基づいたカスタマイズ
- 従来の実況解説との補完関係の構築
5.運用上の課題
ドメイン知識の重要性
ゴルフに関する専門知識の所有が極めて重要であり、AI は明確に指示されない限り、正確な情報を生成できない。また、検証プロセスなど最終的には人間による確認を実施して精度向上している。
バリデーションプロセス
- 全てのショットに対する検証システムの実装
- スコアの検証による精度チェック
- 3 段階の検証プロセス:
- 1 次チェック:基本的な精度
- 2 次チェック:文体やスタイルの確認
- 3 次チェック:人間による最終確認
継続的な改善システム
- エラーケースの収集と分析
- データサイエンスチームによる継続的なモデル改善
- 週次での運用改善
6.実用性の実証
- 日本の ZOZO チャンピオンシップで実証実験を実施
- タイムゾーンの異なる環境でも安定した運用を確認
参考情報
おわりに
視聴者に各選手のショットに関するリアルタイム分析を提供、複雑な統計データと選手の傾向を分かりやすく表示するこで、ゲームのような視覚的な面白さと、データによる面白さがあり体験してみたいと感じた。また、プロ選手の膨大なショットデータ等を別のサービスと連携して練習することができれば、データをもとに憧れの選手の様なショットが打てる日もくるかもしれない。
このブログがどなたかの参考になれば幸いです。
以上、Yoshi でした!