【レポート】 エンタープライズ向け機能が充実！ 「What's New with AWS Cost Management」を視聴しました！#AWSreInvent #COP203
こんにちは！クラウド事業本部のおつまみです。
今回はre:Invent2025のセッション「What's New with AWS Cost Management」を視聴したので、内容をご紹介します！
セッションの概要
タイトル
What's New with AWS Cost Management
概要
Join us and learn new features in the AWS Cloud Financial Management portfolio that can transform how your organizations analyze, plan, and manage your cloud spending. In this session, explore new advanced data analytics capabilities, enhanced cost allocation features, and improved reporting tools that enable deeper financial insights. Learn how AWS is expanding its FinOps toolset with new AI-powered solutions and sophisticated data management features to support your cloud financial maturity journey.
私たちと一緒に、組織がクラウド支出を分析、計画、管理する方法を変革できる、AWS Cloud Financial Managementポートフォリオの新機能について学びましょう。このセッションでは、より深い財務インサイトを可能にする新しい高度なデータ分析機能、強化されたコスト配分機能、改善されたレポートツールについて探求します。AWSが、クラウド財務成熟度の向上をサポートするために、新しいAI駆動型ソリューションと高度なデータ管理機能でFinOpsツールセットをどのように拡張しているかをご紹介します。
スピーカー
- Matt Berk, Principal TAM, AWS
- Bowen Wang (AWS), Principal Product Marketing Manager, Amazon Web Services
- Matt Cowsert, FOCUS Principal Product Manager, FinOps Foundation
- Corey Quinn, Chief Cloud Economist, Duckbill
レベル
200
Session Type
Breakout session
セッションの内容
クラウド財務管理の重要性
クラウドの利用が拡大する中、コスト管理の重要性はますます高まっています。
本セッションでは、AWSが提供するCloud Financial Management（CFM）の最新機能を通じて、どのように組織のFinOps成熟度を高められるかが紹介されました。
主要な新機能
1. AWS Billing View
組織内外でコストデータを安全に共有できる新機能
今期のアップデート：
- マルチアカウント統合: 最大20の異なる支払者（Payer）からのビリングビューを統合可能
- セキュアな共有: 組織外のステークホルダーとも安全にコストデータを共有
- 統合ビュー: 複数のAWS組織のコストを一元的に可視化
これにより、マルチアカウント・マルチオーガニゼーション環境での財務管理が大幅に効率化されます。
参考：請求ビューによるコスト管理データアクセスの制御 - AWS コスト管理
2. Billing and Cost Management Dashboard
カスタマイズ可能な新しいダッシュボード機能：
- 柔軟なKPI表示: 最大20個のウィジェットを配置可能
- 事前定義テンプレート: すぐに使える標準ウィジェット
- カスタムウィジェット: 組織固有のKPIを表示可能
- パーソナライズ: ユーザーごとに異なるビューをカスタマイズ
参考：
3. AI搭載のコスト予測機能
予測精度と期間が大幅に向上：
- 予測期間の延長: 12ヶ月→18ヶ月に拡大
- 分析期間の拡大: 過去6ヶ月→36ヶ月のデータを活用
- 説明可能なAI: 予測の根拠を明示し、意思決定をサポート
- 異常検知: コストの急増をAIが自動検出
4. Database Savings Plans
6年越しの待望の機能がついにリリース
- 対象サービス: RDS、Aurora、ElastiCache、MemoryDB、DocumentDBなど
- 柔軟な契約: 前払いなしの1年コミットメントオプション
- コスト削減: EC2 Savings Plansと組み合わせて最適化可能
- 自動適用: 対象サービスに自動的に割引が適用
参考：
5. AWS Billing Transfer
支払い管理を柔軟に移管できる機能：
- アカウント移行: 異なる支払者間でアカウントを移動
- コスト配分の最適化: 組織再編に柔軟に対応
- リザーブドインスタンスの引継ぎ: 割引の継続性を維持
AWS Billing Transferはこちらのセッションでも紹介されていました。
6. FOCUS 1.2対応のデータエクスポート
FinOps標準規格FOCUS 1.2に対応：
- 標準化: クラウドプロバイダー間でのコストデータの標準化
- マルチクラウド対応: AWS、Azure、GCPのコストを統一フォーマットで管理
- Data Exports for FOCUS: AthenaやQuickSightで簡単に分析可能
参考：
7. Kubernetesラベルによるコスト配分
コンテナレベルでのコスト可視化：
- EKSコスト分割: Kubernetesラベルを使用してコストを配分
- 詳細な追跡: プロジェクト、チーム、環境ごとにコストを把握
- Cost Allocation Tags: Kubernetesラベルが自動的にコスト配分タグに変換
参考：Understanding split cost allocation data - AWS Data Exports
ゲストスピーカーからの知見
Corey Quinn氏（Duckbill Group）
Database Savings Plansについて熱く語り、「6年待った甲斐があった」と評価。
特に前払いなしの1年コミットメントオプションが柔軟性を提供する点を強調しました。
今回制約は多いですが、試行錯誤して開発を進めたエピソードが聞けて面白かったです。
Matt Cowsert氏（FinOps Foundation）
FOCUS 1.2の意義を説明。
マルチクラウド環境でのコスト管理が標準化により大幅に簡素化されることを強調しました。
ベストプラクティス
セッションで紹介された推奨事項
- コスト可視化の徹底: ダッシュボードとBilling Viewを活用
- AI予測の活用: 長期的な財務計画にAI予測を組み込む
- Savings Plansの最適化: Database Savings PlansとEC2 Savings Plansを組み合わせる
- コスト配分の精緻化: KubernetesラベルとCost Allocation Tagsを活用
- 標準化の推進: FOCUSフォーマットでマルチクラウドのコストを統合管理
デモンストレーション
セッションでは実際の画面を使って以下がデモされました。
- Billing and Cost Management Dashboardのカスタマイズ方法
- AWS Billing Viewでのマルチアカウント統合
- Amazon Q Developerによるコスト最適化アセスメント
最後に
今回は、re:Invent2025のセッション「What's New with AWS Cost Management」の内容をご紹介しました。
個人的に今期のアップデートを見て感じたのは、大規模なエンタープライズ組織に役立つ機能が多くリリースされたということです。
特に以下の機能は、複雑な組織構造を持つ企業にとって大きな価値があると感じました
- AWS Billing Viewによる最大20組織の統合管理
- Database Savings Plansによる前払いなしの柔軟なコスト最適化
- FOCUS 1.2対応によるマルチクラウド環境での標準化
- Kubernetesラベル対応による細かいコスト配分
これらの機能により、大規模な企業でも各部門やプロジェクトごとにコストを正確に把握し、適切に配分できるようになりました。また、AI搭載の予測機能は18ヶ月先まで見通せるようになったことで、より戦略的な財務計画が立てやすくなっています。
一方で、小規模な組織やスタートアップにとっても、カスタマイズ可能なダッシュボードやAI予測機能は、コスト管理の効率化に役立つと感じました。
AWSがFinOpsの成熟度向上に本気で取り組んでいることが伝わってくるアップデートでした。
皆さんもぜひ視聴してみてください！
最後までお読みいただきありがとうございました！
以上、おつまみ（＠AWS11077）でした！
参考
AWS 公式ドキュメント・ブログ・動画
- 請求ビューによるコスト管理データアクセスの制御 - AWS コスト管理
- Introducing 18-Month Forecasting and Explainable AI Insights in AWS Cost Explorer | AWS Cloud Financial Management
- Data Exports for FOCUS 1.2 is now generally available | AWS Cloud Financial Management
- Understanding split cost allocation data - AWS Data Exports
- AWS Billing Transfer セッション動画
