[参加レポート] #CMC_Meetup Tokyo Vol.33 エンタープライズ企業にこそコミュニティマーケティングのススメ
先日2024年11月22日(金) CMC_Meetupとしては通算33回目のイベントとなる『エンタープライズ企業にこそコミュニティマーケティングのススメ』が開催されました。
当エントリではイベント参加レポートをお届けしたいと思います。
また、合わせてイベントで投稿されたXのつぶやきもまとめています。セッション内容と合わせて投稿をお読み頂くことでよりイベントの内容を深堀りすることが出来ると思いますので是非御覧ください。
イベント概要
イベントサイトに記載のイベント概要は以下の通り。
CMC_Centralでも好評だった、「エンタープライズ企業とコミュニティのこれからの当たり前な関係」。コミュニティを運営する人たちにとっても、エンタープライズ企業との付き合い方は一つの大きな課題にもなっているのではないでしょうか。発信する習慣がある方々が多く集まりやすいコミュニティの中では、情報を公開しづらい、社内調整の難しさ、社名はなかなか出せない、などなど、特有の課題もあるのではないかと思います。
コミュニティマネージャー・リーダーの皆さんの頭の中でも意外とこんなこと思っていませんか?
・エンタープライズ企業だからクローズドでなければならない?
・発信は少なくなってしまう?
・企業内の部署との連携を強化するあまり刈り取りの場に?などなどこういった課題に向き合い、進めていくコミュニティ運営。どのように付き合っていくと良いかを考えてみます。
これからコミュニティをはじめる人だけではなく、すでにコミュニティを運営していて課題を感じていたり、ステージの変わり目で見直しを検討している人にもおすすめです。
イベントレポート
そしてここからはイベントレポートをお届けします。
開催会場はウイングアーク1st株式会社@六本木グランドタワー36F。先日参加した【完全版】:『セルフドライブするコミュニティ育成の秘訣とは』参加レポート #CMCラウンジ #CMC_Meetupと同じ会場ですね。
エンタープライズ特集回ということで、会場にはスーツ姿の方々も多数いらっしゃいました。
パネルセッション「エンタープライズ企業にこそコミュニティマーケティングのススメ」
- モデレータ:
- 小島 英揮さん(一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 代表理事
Still Day One 合同会社 代表社員)
- 小島 英揮さん(一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 代表理事
- パネラー:
- 友岡 賢二さん(フジテック株式会社/NPO法人 CIO Lounge/一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 フェロー)
- 小川 秀樹さん(株式会社SUBARU コネクティッドビジネスプランニング&マネジメント 兼 技術本部高度統合システム 主査)
- 坂内 明子さん(Head of Customer Success 一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 フェロー/Core❤︎Value代表)
オープニングの後はパネルディスカッションから始まりました。「コミュニティマーケティングがエンタープライズ企業に取って良いもの、味方になるのか?」という切り口での内容となっています。
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コミュニティにおける立ち位置
- 海外のSaaSがからすると、日本というマーケットというよりは全体を見てる。束になって日本を見てもらうようにしないといけない。声を大きくするのが重要
- ユーザーコミュニティの勢いが強いとベンダー側の意識も変わる。Google Japanもアメリカ直結になるまで頑張る、短くなるように頑張った。我々の声がプロダクトをつくるところにも届くようにしていった
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消費者行動の変化
- コミュニティが『想起』の生成・連鎖の加速装置に。
- コミュニティマーケティングを進めることで、ゴール共有は出来ているのではないか
- JAWSでも『この使い方が正しい』『使い方の答え合わせ』をやった
- コミュニティでは理解育成創造のいずれかをやっていることになるはず
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コミュニティ施策・実施の目的は?(理解/育成/創造)
- 育成。全部繋がってはいると思うが、コミュニティを体験してもらうと商品知識はおなじだけど話す次元が変わってくる。
- ベンダがいうとあまり説得力がないけど、そのサービスをうまく使っている人(参加した人)が話すとその効果が違ってくる
- 未成熟な状態でそのサービスの日本法人が立ち上がる場合、サービス側には力やリソースがない状態が多い。
- そういう面からしても、ユーザー会やコミュニティがしっかりサポートしていく必要がある
- ファンがプロダクトを広める、勝手エバンジェリストになる
- 愛だけじゃなくて打算的なところもあると思う。
- コミュニティ参加目的:楽しいはいいけど、会社事業的には成果を出すというのもある。
- 情シスとしての、経営ボードとしてのコミュニティの力を見る
- コミュニティで楽しむだけではだめ
- 育成の立場でコミュニティを見る。顧客の成長機会と捉えるのであれば、コミュニティはいいサイクルの場
- 成長機会を相互に与えている
- 成長機会とは?ユースケースに触れることが出来るというのは大きい。次の日から視点が変わる、というのはまさにそういうこと。自社での使い方が変わる
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ビジネスの側面から見たコミュニティ
- あるサービスに関する稟議が挙がってきた場合、稟議を承認する側としても何が挙がってきているかを把握する必要がある。
- ビジネス側として役員決済側も積極的に外に出て情報収集する必要がある。そこでコミュニティの場に積極的に参加していく
- ベンダが良いとしてもSIer経由で買わないとならない。誰(どこ)がいいのかを見極める必要がある。
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パートナーをコミュニティに入れるか?
- 成長機会のはずが営業機会の場になってしまった...というのも見た
- だがある時入れてみたら、良い効果があった。
- 本当に良かったらパートナーを信じる
- モノが良いから信頼を得る、愛着が湧く
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行動の連鎖:種火/着火発火/長く燃える薪、皆さんはどういう役割?
- (友岡さん)種火。
- 誰も知らないけど良いもの、というのを広めたい。
- 種火を自覚しているからこそ、誰に着火すればいいかも見ている
- どんな人に来てほしいかをちゃんと見ている。
- ムーブメントを大きくしようとすると、大きな動きを生み出せる人に入って欲しい
- (小川さん)よく乾燥した小枝が近いかも。
- 種火的な人に惹かれ、残り火を燃やす人としてSUBARUに入った。
- コミュニティリーダーをやるときのモチベーションは極めて公益的なものだった。これを良くしたいという思い。利益はない。個人的には赤字。
- 公益に奉仕しているのが心理的な報酬感はあるかも
- コミュニティの存在が公益になっていないと。利益が入っていればねずみ講。 オンラインサロンみたいになってやいないか。
- (坂内さん)会社の方向性に合う、向いている人を見るのが得意かも
- ファーストピンの見つけ方
- 登壇してもいいけど、じゃなくて私の力がなんかになるなら喜んで...という人。当事者として他の人に響く話が出来る人、に担って欲しい。利他的な人。私利私欲で動いていない人。
- この辺は採用面談でも見るかも
- (友岡さん)種火。
事例セッション「コミュニティが企業価値になるために ~ウイングアークnestコミュニティの実践~」
- 登壇者:
- 河村 雅代 さん(ウイングアーク1st株式会社 マーケティング本部 カスタマーマーケティング室 室長/一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 理事)
次は事例セッションとしてウイングアーク1st株式会社より、河村様の発表。「コミュニティが企業価値となるために」というタイトルで、2018年にユーザーコミュニティを立ち上げてから現在に至るまでの至るまでの歴史であったり、その過程で直面してきた課題についてお話を展開されていました。
このセッションで印象に残ったのは「各部門の人々の巻き込みによる全社理解促進」と「コミュニティを企業価値に繋げるためにやるべきこと」。いずれもコミュニティの良さや効果を広げていくためには大事な部分であるとともに、それぞれの関係各所への働きかけは地道に少しずつ、理解を得て協力してもらいながらやっていくべきアクションなのだなぁ...というのは思いを新たに致した次第です。
事例セッション「Asanaユーザー企業コミュニティ『PLANETS』実践事例」
- 登壇者:
- 山本 健治 さん(フジテック株式会社 デジタルイノベーション本部 プロセス管理部長)
続いても事例セッション。フジテック株式会社 山本様より、自身が携わっているAsanaのユーザーコミュニティ『PLANETS』の取り組みについて紹介されていました。
Asanaを使い始めたものの最初は上手くいかず、からの90日プロジェクトで一気にその状況を改善した勢いはすごいなぁと感嘆したのはもちろんでしたが、その後に紹介された『心理的安全性を確保した運営方法』『共通の敵=関係者間でコンテキストを共有していた』といったあたりはコミュニティ運営をしていく中でとても大事な部分だなぁと色々参考になりました。
壁打ちセッション「コミュニティリーダーとコミュニティマネージャー、それぞれの課題を壁打ちで解消!」
- 登壇者:
- 山本 健治 さんフジテック株式会社 デジタルイノベーション本部 プロセス管理部長)
- 聞き手:
- 河村 雅代 さん(ウイングアーク1st株式会社 マーケティング本部 カスタマーマーケティング室 室長/一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 理事)
事例セッションが2つ続いた後は、それぞれの事例セッションで登壇された御二方の『壁打ちセッション』が展開されました。以下に列挙したテーマでそれぞれの思いなどを語っておられました。
- ウイングアークの営業さん、nestの理解度高すぎませんか?
- ユーザー参加者はどんな問題を解決したくて参加されてますか?
- サービス提供側としてユーザーの課題解決にどのようにどの程度関わっていますか?
- サービス提供側はどの程度コミュニティに関わっていますか?
ライトニングトーク(LT)
そして最後はLTで締め。
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LT①:株式会社スタディスト 藤中 貴司 さん「エンプラ企業の推進者がユーザーコミュニティに参加するために大事にしたい社内連携」
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LT②:株式会社NTTデータイントラマート 三村 真由 さん「山あり谷ありのユーザー会運営」
まとめ
という訳で、『エンタープライズ企業にこそコミュニティマーケティングのススメ』 の参加レポートでした。
今回は『エンタープライズ企業』という切り口でのイベントとなりましたが、エンタープライズ企業でコミュニティ展開されている方々はもちろん、そうでない企業の方々からしても色々と得るものの多い、有意義な内容となっていたと思います。
また、イベントの最後には今後の予定、及びコミュニティマーケティング実践協会の展開する「実践講座」のお知らせがありました。いずれも興味深い内容になっていると思いますので情報が展開され次第、チェックしてみてはいかがでしょうか。