[レポート] AWSを活用した配信事例とAmazon CloudFrontの最新アップデート #interbee2020
こんにちは、大前です。
本記事は、Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSを活用した配信事例とAmazon CloudFrontの最新アップデート」のセッションレポートです。
セッション情報
セッションタイトル
AWSを活用した配信事例とAmazon CloudFrontの最新アップデート
セッション概要
昨今の社会情勢を背景に、インターネットを活用した動画配信がますます増えている中、クラウドを活用した動画配信を通じて視聴者体験の向上に取り組んでいる事業者様が増えています。本セッションでは、AWSを活用した最新の配信事例と、Amazon CloudFrontの最新アップデートを御紹介致します。
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該当のセッションはこちらから視聴が可能です。
スピーカー
- 大橋 謙一 氏
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
- AWS Elemental アカウント マネージャー
- 佐藤 凌 氏
- 株式会社Jストリーム
- 営業本部 メディアコンテンツ推進部 2課
- 高野 康彦 氏
- 株式会社Gnzo
- 研究開発部 ソフトウェアエンジニア
- 福井 学 氏
- 株式会社ネクステージ
- 代表取締役
- 矢野 完人 氏
- 合同会社DMM.com
- EC & デジタルコンテンツ本部 動画配信事業部 配信基盤グループグループリーダー
- 中谷 喜久 氏
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
- ソリューションアーキテクト
セッションレポート
5G時代に向けた新しいライブ配信スタイル ~マルチアングルライブについて~
- 現在のライブ配信の状況について
- 3月より国内5Gがスタート
- インフラ拡大に合わせて高速・大容量の映像配信が可能に
- コロナ情勢においてオンライン配信の需要も増加
- 3月より国内5Gがスタート
- マルチアングル配信とは
- 視聴者が好きなタイミングで好きなアングルの映像を視聴できる
- fvLIVE の構成
- ライブ配信現地では複数カメラで撮影し、エンコーダを通して AWS に映像を送出
- fvLive では映像の変換等を実施し、CloudFront 等の CDN を通して配信を実施
- クライアント側はマルチアングルに対応しているプレイヤー SDKを提供
- 特徴
- クラウド上での映像処理
- ハードウェアが撮影やエンコード機器のみで良くなる
- サーバ側での映像同期
- 全視聴者の同期が揃う
- エンコーダがタイムコードを埋め込める場合、サーバ側でタイムコードを参照して調整
- タイムコードに対応していない場合、配信オペレータが同期調整を実施
- 全視聴者の同期が揃う
- 1ストリームでの配信
- 複数映像ストリームを1ストリームに集約する事でクライアント側の負荷が低減する
- ブラウザで視聴可能
- ブラウザで視聴可能であるため、専用アプリ等が不要
- クラウド上での映像処理
- fvLIVE は 2つのサービスを提供している
- fvLIVE
- 画面ごとに異なる音声が出力可能
- 画面切り替え時に若干の遅延が発生
- スポーツ中継などに最適
- fvLIVE for MUSIC
- 各画面で音声が共通
- 瞬時に映像の切り替えが可能
- 音楽ライブや eSports など、同一拠点での中継イベントに最適
- fvLIVE
- fvLIVE 導入事例
- 東京マラソン2020にて利用
- 異なる 6つの映像を受信
- プライマリ映像については DirectConnect 経由で伝送
- 受け取った映像は複数 AZ で処理を行い、JStream 社の CDN を経由して配信
- 視聴者サイドではマルチアングルプレイヤーを埋め込み
- Jストリームと Gnzo の協力体制について
- 現場対応から配信までをサポート
- 用意するのは映像・音声ソースのみ
- Jストリーム社 CDN と連携済み
- 課金システムとの連携
- 現場対応から配信までをサポート
エンジニア1名だけの企業がLIVE配信サービスを2ヶ月で立ち上げるまで
- ネクステージについて
- 演劇に特化した動画配信を支援
- オンライン観劇サービスを中心とした事業を展開
- ミッション
- 表現者の未来を作る
- 5つのサービスを提供
- オンライン観劇サービス
- 舞台・演劇ライブ配信サービス
- 電子チケットサービス
- 演劇グッズ専門店
- 舞台撮影サービス
- オンライン劇場サービス「観劇三昧」について
- 観劇が見放題となる定額制オンライン観劇サービス
- 観劇に関する様々なニーズを解決する
- 舞台撮影サービス「舞台撮影所」について
- 撮影から編集・配信まで一連の要素をカバー
- 簡単かつセキュアに利用可能
- ネクステージの課題
- 社員が 5名しかいない
- エンジニアに至っては 1名しかいない
- 舞台芸術の特性や課題が存在
- コロナによる影響
- 公演中止が相次ぐ
- 劇団の収入手段の枯渇
- 公演を打つ事自体がリスクとなってしまう状況
- AWS MediaServices を使用した問題の解決を試みる
- MediaLive の利用
- 可用性の高さなど、様々なメリット
- 既存サービスに組み込み可能
- 手間のかかる設定が少なく簡単
- 細かい設定も可能
- 運用も容易
- MediaPacakge の利用
- 視聴者数が読めない事によるサービスの管理問題を解決
- 視聴者数に合わせたオートスケール
- DVR 等、機能が充実している
- CloudFront と組み合わせ可能
- 運用も容易
- MediaLive の利用
同接10万人超ライブ配信におけるAWSサービス活用のご紹介 ~弊サービスのハイブリッドクラウド構成のご紹介も添えて~
- DMM と動画サービスについて
- 40以上の様々なサービスを展開
- 創業 21 周年
- DMM 動画について
- 国内トップクラスの作品数を誇る動画配信サービス
- 動画配信事業部にて開発と運用を行なっている
- 動画配信事業部で活躍する AWS
- バックアップ
- コンテンツのバックアップ方法が課題だった
- S3 や Glacier を利用してコスト削減を実現
- S3 を利用することにより、DR が実現できるように
- 非常時には S3 Glacier Deep Archive に保存されたデータを各種 Elemental サービスと SPEKE を用いた DRM 技術により配信可能に
- コンテンツのバックアップ方法が課題だった
- DRM サービスの基盤
- CMAF に準拠した DRM 基盤の開発を行う必要があった
- EC2 上に Windows Server を用いてマルチ DRM 環境を構築
- ログ基盤
- 20 年以上運用しているサービスであるため、エラーの可視化が課題になっていた
- Kinesis Data Firehose 等を利用し、それらの可視化を実現
- 過去のコンテンツのライブ配信
- CDN としての利用
- バックアップ
- 大規模ライブ配信における事例紹介
- 今年の春ごろに同接続 10万以上の配信があった
- 過去の 2.5次元系の作品をライブ形式で無料配信することになった
- かなりの人気作品であるため多くのトラフィックが予想される
- 無料であるが、会員限定であるため認証の仕組みも必要
- 今までの実現方式
- エンコーダや配信サーバは社内やオンプレの物を利用していた
- スタンダードな構成だが、オペレーションが大変
- 配信サーバをそのまま使用できる点はメリット
- 今回は MediaLive を採用
- Rundeck というツールからスケジュールベースで MediaLive を操作
- 短期間でネットワークに左右されにくいアーキテクチャが実現できた
- 結果として大規模配信を乗り切れた
- CDN としての利用
- CDN コストがかかることがわかってきた
- ユーザサイドに仕込んでいるログから、高ビットレートで視聴されていない事がわかった
- 利用する CDN の調整
- 今までは CloudFront をあまり使用していなかったが、利用量を増やすことにした
- 費用も安い
- 通信経路の最適化
- CloudFront を利用した IPv6 化
- 社内でも IPv6 導入すれば速くなるのではと議論はあったが、オンプレでは試しづらい環境であった
- CloudFront であれば設定1つで検証可能
- 結果として
- 高ビットレートで視聴できるユーザが増えた
- 一方で、一部プレイヤーライブラリが不安定になることが確認できた
- また、トラフィックが増大することも確認できた
- CloudFront + IPv6 によって、コスト削減と大規模配信への対応が実現できた
- CloudFront を利用した IPv6 化
- 今年の春ごろに同接続 10万以上の配信があった
- まとめ
- 配信関連サービスでもスピーディに導入できるのが AWS の魅力
- 特徴をうまく捉えれば、既存のサービスに対しても導入が可能であり、品質向上が狙える
Amazon CloudFrontの最新アップデート
- AWS Media Services と Amazon CloudFront
- ライブや VoD 配信において利用されている
- CDN の領域を担当するのが CloudFroont
- CDN には性能、拡張性、可用性/セキュリティが求められる
- ユースケースとして
- Amazon Primeday 2020 においても CloudFront を使用
- 1分あたり 2億を超えるリクエストを捌いた
- CloudFront とは
- CDN の機能を提供するサービス
- 配信を高速化
- オリジンの負荷をオフロード
- AWS グローバルネットワークを利用する事が可能
- 世界各国に 220 を超える POP が存在
- 東京には 16(世界最大)
- この 2~3 年で 3倍以上増えている
- 東京には 16(世界最大)
- 2020 年後半にあった機能のアップデート
- 動画配信に関わりのあるアップデートを紹介
- CloudFront の変更反映の改善
- 今までは 20~30分かかっていたものが 5分ほどに短縮
- クォータの変更
- データ転送レートは 40Gbps から 150 Gbps
- リクエスト数は 10万から 25万
- キャッシュポリシーの変更
- キャッシュポリシーやオリジンポリシーを別途設定可能に
- CloudFront Header の拡張
- これまで以上に細かいヘッダ情報が扱えるように
- Origin Shield
- よりオリジンの負荷を低減できるように
- また、オリジンのコスト最適化にも役立つ
- Automatic Flash Crowd Protection
- 同時に大量リクエストが発生した場合、最初のリクエストのみオリジンに送信する
- CloudFront リアルタイムログ
- Kinesis Data Streams や Firehose と組み合わせることにより様々な分析が可能に
- 署名付き Cookie/URL の制限緩和
- ルートアカウントではなく、IAM アカウントでの署名付き URL/Cookie の生成が可能に
- CDN の機能を提供するサービス
おわりに
Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSを活用した配信事例とAmazon CloudFrontの最新アップデート」のレポートでした。
実際のサービスの裏側でどのようなサービスを検討し、利用しているかについて非常に参考になる情報が多く勉強になりました。
以上、AWS 事業本部の大前でした。