[レポート] A-2 デジタル庁設立1年の活動報告 – プロダクトマネージャーカンファレンス2022 #pmconf2022
2022年11月02日(水)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2022』がオンライン形式で開催されました。
当エントリでは、ブレイクアウトセッション『A-2 デジタル庁設立1年の活動報告』の参加(視聴)レポートをお届けします。
目次
セッション概要
セッション概要は以下の通りです。
A-2 デジタル庁設立1年の活動報告
[登壇者]
・水島 壮太(ラクスル株式会社 CPO/ デジタル庁 CPO/ 日本CPO協会 理事)
[セッション概要]
デジタル庁が設立されてから1年が経ちました。ワクチン接種証明書アプリを突貫でリリースするなど、わかりやすい成果が出せた一方で、国のシステムがプラットフォームとして動くためにはまだまだ課題も多い状態です。プロダクトマネージメント通じて、国民の皆さんへの価値創造をするためにうまくいっていること、課題が多いところをお伝えできればと思います。特に、プロダクトカルチャーの導入やDXに挑戦している大企業の皆様に参考となる情報をお届けしたいと思っているのと、興味本位で我が国のシステムやプロダクトがどういった方向性を向いているのかを聞きたい方に設立1年のご報告をしたいと思っています。
(※以上、公式サイトより引用)
セッションレポート
自己紹介
- デジタル庁が創設されて1年経った
- 特にプロダクトマネージメントという観点もそうだし、パブリックで出ている情報とどういうことがあったのかについて話したいと思う
- 今回のテーマ:「回帰と進化」
- ほぼゼロの状態からプロダクトマネジメントをしていく中で大きな回帰があった
- 改めて自分の中でのプロダクトマネジメントやナレッジを振り返る機会になった
- 今日お伝えしたいこと
- デジタル庁1年の振り返りと成果、今後の課題
- プロダクト・クオリティーを上げるためにやっていること
- 難易度の高いプロダクトのロードマップを描くために考えていること
1年前の振り返り(RECAP)
- 今後のチャレンジ【と状況報告】 from 去年のまとめスライド
- 両利きの(アジャイル/ウォーターフォール、内製/外部調達)プロダクト開発マインドが必要
- 【アジャイル開発は型を作って模索している】
- デザイン(UI/UX)ファーストな開発プロセスの浸透
- 【だいぶ浸透、しかしデザイナーが足りていない】
- デジタル庁におけるプロダクトマネージメントの実行力とカルチャーの醸成
- 【一部チームでは実現出来てる、しかしまだまだこれから】
- 優先順位を意思決定するための評価方法の確立
- 【優先順位はエイヤで付けた、現在は内部的に指標や目標を定義】
- 官民融合のプロダクトチーム作り
- 【バランスの良いチームが増殖、現在フルスロットルで採用中】
- 両利きの(アジャイル/ウォーターフォール、内製/外部調達)プロダクト開発マインドが必要
デジタル庁の簡単な紹介
- ミッション
- 誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。
- ビジョン
- 優しいサービスのつくり手へ。
- 大胆に改革していく行政へ。
- バリュー
- 一人ひとりのために
- 常に目的を問い
- あらゆる立場を超えて
- 成果への挑戦を続けます
- プロジェクト制度とユニット制度を導入
- 「霞が関の働きかた」の先進事例に/250人の民間出身者、500人の行政出身者ほか
- 効率的な働きかた
- 自由がある働きかた
- 業務で学ぶ働きかた
- 設立から1年で着実に改革やサービスを前進
- 新型コロナワクチン接種証明アプリ
- マイナンバーカード対応
プロダクト・アウトプットの成果
- 新型コロナワクチン接種証明アプリ
- 緊急サービスを迅速に提供。利用も簡単。
- 社会の要請を踏まえ、接種証明書アプリを迅速に提供。スマートフォンでワクチン接種証明書を簡単に取得、海外渡航でも利用出来るようにした
- 接種証明書アプリによる証明書の発行は1000万件超に
- オンライン行政手続きの拡大
- 全ての行政手続きをスマートフォンで。
- いつでもどこでもスマートフォンで完結出来る、生活者にやさしい行政サービスの提供を目指す
- 公金受取口座登録:1291万件
- ストアのランキングで上位を維持
- マイナポイント第二弾によるキャンペーンや全国旅行支援などの政策に合わせてプロダクトを改善
何を変えたのか?
- 課題設定は大きく2つ
- 1.プロダクトのベースクオリティが低い
- 入庁して、いち国民として不満だった
- 2.北極星に向けたロードマップが見えない
- しっかりしたものがあると思っていたがまだラフな状態だった
- 1.プロダクトのベースクオリティが低い
クオリティを上げる
- プロダクトのベースクオリティを上げるためにやったこと
- 1.デザインプロセスを無理矢理にでも入れる
- UI/UXやコミュニケーションデザインの検討に費やす時間を圧倒的に増やした
- 現実の請負ウォーターフォール:予算執行が大きくは1年単位なのでこれが通常
- 理想のアジャイル(実践仕込み中):1-2ヶ月スプリントでの柔らかい調達(高速ウォーターフォール?)
- 補足:マイナポイントアプリのUI改善の例
- 毎週行政官、デザイナー、PdM、エンジニア、開発会社とUI/UX検討会議を計20回以上開いてスケジュールが許す限りの改善、ユーザーテストを実施
- 2.リリースしてからの改革準備を徹底する
- リリースがゴールになってしまわないように指標を定義して意識付けした
- リリース後の改善指標を明らかにする
- コミュニケーションデザインと誘導レバーの設計
- 定性的な声への機動的な対応
- 3.アプリのプロダクト・ラインナップを考える
- 難易度の高いアプリの開発は最小限にするようにコントロールした
- プロダクト・システムの様態についてのガバナンスを徹底。1つのプロダクトビジョンでもある
- 海外の事例も研究して最適なプロダクトラインナップを検討、中長期で統合
- 1.デザインプロセスを無理矢理にでも入れる
ロードマップを描く
- すべての行政手続きを60秒以内にスマホで完結
- マイナポイント第二弾によるキャンペーンや、全国旅行支援などの政策に合わせてプロダクトを改善
- 1.クイックウィン出来るやり方を確立する
- 断片的に、一箇所でも良いから「スマホ60秒」の北極星を実現、検証してみようぜ!!!
- but HOW???
- 2.縦に解像度を高め、横に切り出していくアレンジ
- 国のシステムはプラットフォーム戦略でいかないといけない
- けどまずは1つプロダクトを作って成功を作らないとプラットフォームは作れない
- (1).Why/Whatを縦に追求し学びを得る
- (2).Howを洗練してプラットフォームへフィードバック
- (3).巨大なMVPもプラットフォームに乗せる
- 3.戦える「良いチームの型」を作る
- 行政官チーム、プロダクトチーム、開発ベンダーとの共創でロードマップが仕上がっていく
- 互いの信頼関係の醸成が大事
- 1.クイックウィン出来るやり方を確立する
次のチャレンジは?
- 進化:我が国のデジタル化を推進するために
- 1.各府省・自治体向けのプロダクトの形を模索していく
- 2.不確実性の高い技術要素とUXを両立出来るように思考
- 3.他国をベンチマークして追いついていく
- 民間のプロダクトマネージャーも2倍に
- プロジェクトマネージメントや行政官補佐の仕事も補完しながら、プロダクト志向なメンバー達の構成へ
デジタル庁の目指す姿に向けて
- 数値や事実に基づくプロジェクト推進へ
- 目標と指標の設定
- プロジェクトの整理
- サービス開発環境の整備
- 組織立ち上げフェーズから機能強化フェーズへ
- 採用の推進
- 経営企画機能の強化
まとめ
という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2022のセッション『デジタル庁設立1年の活動報告』の視聴レポートでした。