リザーブドインスタンスや Savings Plans を購入した後に料金が改定されたらどうなるか

RI や SP を購入後に料金が安くなった場合、購入済みの RI や SP には何の影響も及ぼしません。

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コンバンハ、千葉(幸)です。

リザーブドインスタンス(RI)や Savings Plans(SP) は一定期間の使用をコミットする代わりにディスカウントを受けられる仕組みです。オンデマンド料金と比較して、70 % 程度割安で使用できるパターンもあります。いずれもコミット期間として 1 年 もしくは 3 年を選択できます。

ここで、RI もしくは SP を購入した後に料金が改定された場合、どういった考え方となるでしょうか。例えばオンデマンド料金が安くなった場合、購入済みの RI や SP も安くなったりするのでしょうか。

どういった扱いになるのかまとめてみました。

先にまとめ

  • オンデマンド料金の改定は購入済みの RI / SP に影響を及ぼさない
  • 今後オンデマンド料金の改定があるか、そしてあった場合 RI / SP の料金改定が連動するかは不明
  • RI / SP 自体の料金の改定は購入済みの RI / SP に影響を及ぼさない
  • コンバーティブル RI の場合は新価格の RI に交換できる
    • ただし交換後が同額以上となるよう調整が必要

RI / SP の価格改定への追従の可否。

種別 価格改定への追従
スタンダード RI できない
コンバーティブル RI 交換によりできる
EC2 Instance SP できない
Compute SP できない

(追記)RI / SP 購入時に存在しなかった新インスタンスファミリーへの適用の可否。

種別 新ファミリーへの適用
スタンダード RI できない
コンバーティブル RI 交換によりできる
EC2 Instance SP できない
Compute SP できる

オンデマンド料金の改定は購入済みの RI や SP に影響を及ぼさない

まずはオンデマンド料金の改定について考えます。

オンデマンド料金の改定は購入済みの RI や SP に影響は与えません。そのため、購入後にオンデマンド価格の値下げがあった場合、相対的な割引効率は下がると言えます。

RI もしくは SP の基本的な考え方は以下です。「オンデマンド料金を相殺できる権利」をそれより安い金額で購入できる、というイメージです。

両者の差額分、値引きが行われると考えられます。ここでオンデマンド料金が値下げになったとします。

購入済みの RI もしくは SP との差額が少なくなるため、相対的に割引効率が下がると言えます。

オンデマンド料金の改定に伴う RI もしくは SP の価格改定

続いて RI / SP 自体の料金が改定された場合を考えます。

まず、オンデマンド料金の改定が行われた場合、RI もしくは SP の料金は連動して改定されるのでしょうか?

こちらのカテゴリから過去の値下げの履歴を確認してみます。

リザーブドインスタンスの場合

SP 登場前は頻繁にオンデマンド料金の値下げがあり、その際は RI の値下げもあわせて行われていました。

米国東部 (バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部 (オレゴン)、および欧州 (アイルランド)リージョンの H1 インスタンスのオンデマンド、リザーブドインスタンス料金をまもなく 15% 値引することをお知らせいたします。

Savings Plans の場合

SP 登場後はオンデマンド料金の値下げは行われていません。そのため、連動するかどうかは不明です。

オンデマンド料金の改定に伴わない RI/SP 料金の改定

オンデマンドの値下げを伴わない RI / SP の値下げは過去に行われています。

ここでは以下種別のうち、太字のもののみが値下げが行われました。

  • RI
    • スタンダード RI
    • コンバーティブル RI
  • SP
    • EC2 Instance SP
    • Compute SP

RI、SP それぞれの料金改定が行われた時の考え方を見てみます。

RI/SP の料金の改定が行われた場合の挙動

リザーブドインスタンスの料金が改定された場合

以下動画にて、値下げがあった場合について説明があります。

Reservedinstances_discount

RI購入後値下げがあった場合、RIの料金はどうなりますか。

→購入済みのRIの料金は変更されず、契約時の料金が継続されます。コンバーティブルRIの場合は、料金変更後のRIへの交換が可能ですが、[交換前>交換後]となるため、数量を増加し差額を支払う必要があります。

RI の料金改定は購入済みのものに影響を及ぼさないのが基本です。コンバーティブル RI の場合は交換という手段で価格改定に追随することもできます。

Savings Plans の料金が改定された場合

Savings Plans の場合は RI の交換に相当する考え方がないため、価格改定への追従ができません。

ドキュメントには以下記載があり、SP 購入後には期間が終了するまで同一の価格レートが使用されることが示されています。

When you sign up for Savings Plans, the prices you'll pay for usage stays the same through the plan term.

(機械翻訳) 貯蓄プランにサインアップすると、使用料として支払う価格はプラン期間を通じて同じままです。

(追記)RI / SP 購入時に存在しなかったインスタンスファミリーへの適用

新しいインスタンスファミリーは継続的に発表されています。

傾向として、従来のインスタンスファミリーと同程度の性能を発揮しようとした場合、コストは新ファミリーの方が安くつくことが多いです。 RI / SP を購入後に新ファミリーに切り替えたいとなった場合、そられは正しく適用されるのでしょうか。

先に結論から言うと以下の通りとなります。

種別 新ファミリーへの適用
スタンダード RI できない
コンバーティブル RI 交換によりできる
EC2 Instance SP できない
Compute SP できる

Compute SP 以外はインスタンスファミリーの指定が必須となるため、そこから外れたインスタンスは適用対象となりません。コンバーティブル RI は例外的に交換によりインスタンスファミリーを変更できますが、交換後が交換前と同額以上になるよう調整が必要です。

Compute SP の新ファミリーへの追従

ドキュメント上で「新ファミリーへの追従」が問題なく行われるか示された記述は見つからなかったのですが、具体例からご紹介します。

2021年8月に M6i ファミリーのインスタンスが発表されました。

M5 ファミリーと比較すると、オンデマンド料金は同一であるものの Compute SP のコミット額は M6i の方が低い(割引率が高い)ことが分かります。

M5 ファミリーの場合。

M6i ファミリーの場合。

とある環境で、 M5 ファミリーのインスタンスの一部を M6i ファミリーに置き換えました。その環境において2021年7月以前に購入した Compute SP で、M6i ファミリーのインスタンスに割引が適用されていることを確認しました。

購入後に発生した価格レートの変更への追従はできませんが、新規に発生したインスタンスファミリーについては問題なく「追従」してくれます。

まとめ

  • オンデマンド料金の改定は購入済みの RI / SP に影響を及ぼさない
  • 今後オンデマンド料金の改定があるか、そしてあった場合 RI / SP の料金改定が連動するかは不明
  • RI / SP 自体の料金の改定は購入済みの RI / SP に影響を及ぼさない
  • コンバーティブル RI の場合は新価格の RI に交換できる
    • ただし交換後が同額以上となるよう調整が必要

RI / SP の価格改定への追従の可否。

種別 価格改定への追従
スタンダード RI できない
コンバーティブル RI 交換によりできる
EC2 Instance SP できない
Compute SP できない

(追記)RI / SP 購入時に存在しなかった新インスタンスファミリーへの適用の可否。

種別 新ファミリーへの適用
スタンダード RI できない
コンバーティブル RI 交換によりできる
EC2 Instance SP できない
Compute SP できる

終わりに

RI もしくは SP の価格改定が行われた時の、購入済みの RI / SP に対する影響をまとめてみました。

Savings Plans においてはオンデマンド料金の価格改定へ追従ができるものと考えていたのですが、実際にはそういった仕様はありませんでした。以下エントリにおいて「できる」前提で記載していたため、本エントリと合わせて修正を行なっています。この場を借りて訂正いたします。

以上、 チバユキ (@batchicchi) がお送りしました。